コニカⅢのカメラ修理

今日は「電話創業の日」だそうです。
1890(明治23)年のこの日に東京ー横浜間で
日本初の電話事業が開始となったそうです。
当時はまだ交換手が電話を繋いでいた時代ですね。
電話に関する環境は私が知っている
この50年弱でも劇的に変化しました。
中学生くらいの頃は100円玉握り締めて
近所の電話ボックスに夜になると電話かけに行ってたなぁ(笑)
(家の電話だと周りに聞こえちゃうし、長電話を怒られるので)
ちなみに10円だと3分、100円だと30分話せます。
(100円はお釣りが出ません)
もちろん携帯電話なんてまだまだ先の話ですから
外出すると連絡は一切取れないのが当たり前だったし。。。。
まぁ、それはそれで良い時代だったような気もします。

さてさて

本日は「コニカⅢ」のカメラ修理を行っています。
コニカの35mm版カメラは
1947年発売の「コニカスタンダード」に始まり
「コニカⅠ」、「コニカⅡ」と続き
今回ご紹介する「コニカⅢ」が発馬されたのは1957年です。
既に60年以上経っているのですね。
この「Ⅲ」でついにセルフコッキングとなり
招き猫のようなレンズの根元に生えたレバーを
2回押し下げることによって
フィルム巻上とシャッターチャージを同時に行います。
きちんと整備されたコニカⅢはこの巻上が何とも小気味良いのですよね。
装着されるレンズは基本的にヘキサノン48mmF2ですが
数は少ないものの48mmF2.4のモデルも存在します。
シャッターユニットはセイコーシャMXLで最高速は1/500です。

お預かりしているコニカⅢは
レンズシャッター機定番のシャッター粘りが見受けられます。
しばらく動かさずにおいて
一発目のシャッターはほぼ間違いなく開きません。
2回目以降はとりあえず開くのですが
少し放置しておくとやはり1回目は開きません。
そのうち全く開かなくなるでしょうね。
おそらく開いていてもスムーズには動作していないと思われ
露光量も不安定です。
スローにも若干粘りがあったり、距離計にもズレが見られます。
大きなトラブルになる前にリフレッシュしておけば
当分は安心して使えるかと思われます。

大きさはコンパクトなのですが
総金属製でずっしりと重いです。
でもこれが質感高くていいのですよねぇ。。。
実はコニカⅢは私も個人的に気に入って使ってます。
SS・絞りの設定がLV方式のため
ほんの少し戸惑うこともありますが
非常に使っていて楽しいカメラです。

リコーXR500のカメラ修理

12月第三土曜日の今日は
大掃除ならぬ「大洗濯の日」だそうです。
ふとんカバーだとか毛布だとか
大物はしっかり時間とって洗濯しないと
なかなかできないですものねぇ
あぁ。。。ざっと考えただけで
年内に洗濯しておきたい大物は結構あるかも。。。(汗)
こんな話をしていると12月だなぁ。。。と実感湧きますね。。。

さてさて

本日は「リコーXR500」のカメラ修理を行っています。
発売は1978年で50mmF2のレンズとセットで
39,800円と非常にリーズナブルな設定でした。
確かに造りはプラスチックを多用しているし
外装には価格相応な部分も散見できるのですが
意外と中身はそれほど安っぽくはありません。
機械制御式のコパル製縦走りシャッターは
少々のことじゃへこたれない堅牢さを持っているのは
他のカメラでも実証済みです。
シャッター速度は1/8~1/500とこの時代の他モデルと比べると
少し物足りせんが普通に使う分には十分な設定です。
ただしISO400のフィルムで絞りをとにかく開けて
ボケさせたいというのであればシャッタースピードが足りません。
(そういう状況であれば1/1000があったとしても足りませんが。。。)

お預かりしているXR500もシャッターは非常に快調です。
おそらくご依頼者様は新品で買ってずっと使っていたものと思われますが
電池入れたままで長らく放置してしまったらしく
電池室回りが腐食してしまい、露出計の電源が入りません。
電池室蓋は腐食が酷いのでもはや中古良品と交換したほうが無難です。
プラス側端子は一見キレイなのですが
その裏側のハンダ付け及びリード線は腐食で導通しない状況です。
リード線は交換してハンダ付けは
端子をしっかり磨いた上でやり直します。
もちろんモルトはフィルム室、ファインダー周り、内部モルト
全て全滅でファインダー視野内はモルト屑だらけです。
スクリーンそのものはほぼキレイなのですが
コンデンサレンズにはカビがかなり発生しています。
XR500はシャッタースピードダイヤルに連動して
〇指針が動き、絞り開度・光の強さに応じて
もう1本の指針が動きますが
〇指針の動きが悪い個体をたまに見かけます。
今回も〇指針の動きがあまりズムースでなく
場合によっては固着するような状況でした。
これももちろん対処していきます。

まだ上カバーを外しただけの状態です。
まずは電池室周りの整備を行っていくので
これからミラーボックスの取り外しにかかります。
XR500。。。シンプルそうなスペックの割には
ちょっと分解、再組み立てに手間のかかるカメラです。
今回は点検整備一式なので何にしても
一通り分解するのですが
スクリーンを交換するだけでも
「こんなに外さないとダメなの???」といいたくなるようなカメラです。

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フジカST701のカメラ修理

今日は「南極の日」だそうですよ。
1911(明治44)年のこの日に
ノルウェーの探検家・アムンゼンと4人の隊員が
人類で初めて南極点に到達したとのことです。
同じ地球上なのに南極とかエベレスト山頂とか
想像を絶するような場所はいろいろあるのですよねぇ。。。
まぁ実際に行くことはないでしょうが。。。(笑)
南極とは比べ物にならないでしょうが
そろそろ本格的に寒くなってきて
いつも身体に力が入っている感じです。
もともと寒いのは平気なほうだったのですが
年々、身体がわがままになってきているようです。。。(苦笑)

さてさて

本日は「フジカST701」のカメラ修理を行っています。
フジカ。。。現在の富士フイルムで作っていたカメラです。
35mm判一眼レフではちょっと地味な存在でしたが
コンパクトカメラや中判カメラでは非常に存在感のある
カメラメーカーでもありました。
ST701は1970年の発売開始で
M42マウント、絞込み測光のシンプルな一眼レフです。
操作感も非常によく、完成度は高いカメラだとは思うのですが
当時としてはちょっとスペック的に地味だったのかもしれません。
しかしながら現在では
M42マウントで色々他メーカーのレンズを使えるということで
根強い人気のあるカメラです。
この後に発売される「ST801」では基本的にはM42マウントなのですが
自社レンズで開放測光の可能な「STマウント」に変更されます。
露出計も今となってはメンテナンスに難のあるLED式なので
今、M42マウントとしてフジカSTシリーズを考えるなら
シンプルなST701が良いかとも思います。

お預かりしているST701はご依頼者様が
かなり使い込んでいるカメラで
ブラックボディに適度な塗装剥げが何とも渋い個体です。
普通に使っていたそうなそうなのですが
うっかり落としてしまって
それ以来、露出計が使えなくなったとのことです。
それも含めてこのタイミングで点検整備一式を。。ということで
当店にやってきました。

露出計のトラブルはメーター内のコイル断線が原因でした。
今回は中古良品から露出計ごと載せかえることで対応しています。
ほかはとりあえず動作はしていたとはいえ
やはり長年の汚れや古い油等が影響して
シャッタースピードのバランスはやはり崩れていました。
シャッター幕軸、ミラー駆動部、巻上部等々
動作部の清掃と注油を行い、しっかり調整いたしました。

M42マウントのカメラというと
やはりペンタックス機を思い浮かべる方が多いとは思いますが
ST701はペンタックス機に負けない
魅力あるカメラだと思います。

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ミノルタSRTスーパーのカメラ修理

今日は「正月事始めの日」だそうです。
年神様を迎える準備を始める日です。
この日に門松や薪等、お正月に必要な気を
山に取りにいったそうです。
もう12月も半ば近くですものね。
少しずつ「あぁ今年も終わりが近いなぁ。。。」
という気になってきました。
さぁ今年もラストスパートです。がんばらなくては!

さてさて

本日は「ミノルタSRTスーパー」のカメラ修理を行っています。
大ヒット作だった「SRT101」の改良モデルです。
発売開始は1973年。SRT101の7年後ですね。
X接点付きのホットシューとなり、
スクリーンはスプリット/マイクロプリズム式に変更となりました。
シャッタースピードはSRT101でもファインダー内で確認できましたが
SRTスーパーでは絞り値も確認できるようになりました。
ペンタ部のデザインも若干変更されましたが
基本的な構造はSRT101とほぼ同一です。
後のSR505/101も構造は同様なので
SRT101の構造がやはり優れていたということでしょうね。

先日のSRT101のブログでも書きましたが
基本的に丈夫なモデルです。
少々、油が切れていようが何とか動いてしまいます。
人間でもそうですがギリギリまで我慢してしまう人は
気がつくととんでもないことになっていたりします。
SRT系も同様で調子が悪くてもそれなりに
動いてしまうカメラなので
スムーズさに欠ける場合は早めの整備がよろしいかと思います。

お預かりしているSRTスーパーも
一通り動作しているもののシャッター幕軸が油切れのようで
幕速にバラつきがあります。
先幕・後幕の速さのバランスも崩れていて
1/1000でシャッターを切った場合で
走り始めは約1/750、画面中心で約1/1250、走り終わりでは約1/2000と
写真の両端で1段以上の露光量差が出ている状態です。
先幕がちょっと遅いので後幕に追いつかれてしまうのですね。
もう少し症状が進むと半分くらいは開かなくなると思われます。
巻上の感覚もやはりスムーズさに少々欠けている状態です。
露出計は少し振りが足らずオーバー気味です。
でもこの段階ならしっかりリフレッシュしてやることで
かなり快適に使える状態になると思います。

付属するMCロッコールPF58mmF1.4は絞り羽根に
少し粘りがあるようでF16に設定して
絞込みレバーを押し込んでおいて
素早く離すとレバーは素早く戻るのですが
羽根が戻るのが少し遅いようです。
ボディ側で速いシャッタースピードと組み合わせると
(例えば1/1000、F16)
シャッターが開いた瞬間にはまだF8くらいまでしか
絞り込んでおらず意図しない露出オーバーになってしまいます。
もちろんこれも対処いたしました。

少々話が逸れますが
整備後のテストの最後に必ず36枚撮りのフィルムを入れて
最後まで撮りきるテストを行います。
(感光済みテスト用フィルムなので撮影するわけではありません)
フィルムローディング、カウンター、巻上、巻戻し等々のチェックのためですが
カメラの機種にもよりますが
きちんと整備されたカメラはフィルムを装填しても
巻上の感覚が気持ちよいものです。
空シャッター時に巻上が軽いのは当たり前で
本来の負荷がかかった状態で快適に巻き上げられるかどうかが
やはり大事かと思います。

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コニカC35のカメラ修理

今日は「バッテリーの日」と「漢字の日」ですね。
バッテリーの日はもともと「カーバッテリー(蓄電池)の日」なのだそうで
日本蓄電池協会が制定しています。
野球のバッテリーを表す数字が「1、2」と表されることが由来ですが
同会はこの日にセ・パ両リーグから「最優秀バッテリー賞」を
一組ずつ選びます。今年は誰でしょうね。。。
「漢字の日」も、その年の世相を象徴する「今年を表現する漢字」を
清水寺で発表します。こちらも今年は何でしょうねぇ。。。
このブログ書き終わった頃には発表されていそうですが。。。。

さてさて

本日は「コニカC35フラッシュマチック」のカメラ修理を行っています。
当ブログにも何度も登場していますね。
いわゆる「じゃーに~コニカ」です。
軽量コンパクトなプログラム露出専用機で使いやすく
気軽に持ち歩けるコンパクトカメラです。
小さくてもしっかりレンジファインダーを装備し
しっかりピントを合わせて撮影することができ
絞りが開き気味になってしまうような状況でも安心です。
さらにレンズは伝統のヘキサノンで
38mmF2.8と無理のない設定であることもあり
非常に安定した写りをします。
常に持ち歩くカメラとしてとてもよくできたカメラです。
もちろん当時も非常に売れたカメラで
おかげで現在でも多くの個体が存在しています。
ただ、小さくて気軽に使えるカメラということもあり
荒々しく使われたり、あまり良くない環境で放置されていた個体も多く
これから手に入れるのであれば
整備を前提としたほうが良いかとは思います。

お預かりしているC35は少し現存数の少ないブラックです。
やはり黒塗装だと締まってみえますね。
ちょっとかわいらしいはずのC35がとても精悍なカメラに見えます。
C35はフィルム室の遮光をかなりモルトに頼っています。
このクラスのコンパクトカメラの多くがそうですが
裏蓋側の広範囲にモルトが貼られています。
今回もそうですが、未整備であれば間違いなく劣化しており
遮光は満足にできていません。
さらに劣化したまま長期間放置されている個体だと
モルトと接しているボディ側の塗装まで傷んでいること多いです。
ご依頼者様は8年ほど前にこのC35を入手されたそうで
最近まで普通に使えていたのだそうです。
モルトも確かに交換時期ですが
修理することになった一番の原因はシャッターの粘りです。
シャッターを切ると開くのはそこそこ速いのですが
ゆっくりと閉じていきます。もちろん全ての写真が露出オーバーとなります。
毎回、書いているような気もしますが
コニカC35の場合は羽根汚れや油付着が原因の粘りではなく
シャッター羽根を駆動する羽根車が粘っていて
回転が戻るときにゆっくりとしか戻れないことが原因のことが多いのです。
ちなみにこの症状が出ていると高い確率で
バルブも効かなくなります。

まずはシャッターユニット周りから整備していきます。
シャッター周りにもモルトが使われているので
それももちろん交換していきます。
レンズは多少の汚れはあるものの状態は良いほうです。
再び気持ちよく撮影に使っていただける状態にしていきます。

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キヤノンF-1のカメラ修理

今日は「百円玉記念日」だそうですよ。
1957年(昭和32年)のこの日に百円硬貨が発光されたそうです。
それまでは百円札ですね。
最初と2代目の百円玉は60%も銀が配合された銀貨であり
現在ではかなり価値の高いものだそうです。
現在の百円玉は1967年(昭和42年)に発光された3代目だそうです。
材質は白銅貨で貨幣の質としては落ちてしまったのですね。
ちなみに百円玉にデザインされている桜は
ソメイヨシノではなく旧来から日本にある「山桜」だそうです。

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
キヤノン初のプロ向けの高級一眼レフですね。
プロ向けの高級機と言えばそれまではニコンFの独壇場で
さらに独走すべく後継機のF2が開発されたわけですが
そこへ待ったをかけたのがF-1ということです。
ここから本格的な2大メーカーの激しいシェア争いが
始まったと言ってもいいと思います。
社運をかけて開発したフラッグシップ機ということで
非常にしっかり造りこまれたカメラです。
ニコンの無骨なカッコ良さとは
正反対のスマートなカッコ良さはキヤノンらしくて良いですよね。
個人的にはどっちも持っていたくなり困るのですが。。。。(苦笑)

お預かりしているF-1はシャッターが切れません。
もう少し詳しく書くとレリーズしても
ミラーがアップしないためシャッターも動かない。。。といった感じです。
分解していろいろ動きをチェックしてみると
ミラーチャージロック機構の動作不良が原因のようです。
他、高速シャッターではやはりバランスが崩れていたり
ミラー駆動部も動きが少々重かったりと
やはり各部の清掃・注油が必要な状況でした。

F-1は基本的には丈夫なカメラですが
何箇所かトラブルの起こりやすい箇所が存在します。
定期的にメンテナンスしてあれば
大きな問題に発展することはないとは思うのですが
やはり何十年も稼動していない個体だと
まず一通りのメンテナンスを行っておきたいところです。

いつ見ても低く構えたペンタ部が何ともカッコ良いですよね。
この時代にあえてシルバーの設定をせず
思い切ってブラック一色にしたのもプロ機だというアピールでしょうか。。。
ある意味、非常にキャノンらしい設定だなと思います。

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プリモフレックスのカメラ修理

今日は「三億円事件の日」だそうですよ。
ちょうど50年が経つのですね。
東芝府中工場で支給されるボーナスを積んだ車が
白バイ警官に扮した犯人に強奪されたという事件です。
私の生まれる前年の事件ですが
子供の頃には「三億円事件」ってよく聞くキーワードでした。。。
当時の三億円ですから今だと価値はもっとあるでしょうね。
それにしても。。。いいなぁ。。。ボーナス
しがない個人事業主の私には縁もゆかりもない話です。。。(苦笑)

さてさて

本日は「プリモフレックス」のカメラ修理を行っています。
軍需光学機器製造の双璧として
「陸のトーコー、海のニッコー」と称された「トーコー」こと
当時の東京光学器械株式会社、のちのトプコンのカメラです。
(ちなみにニッコーは現在のニコンです)
一般向けカメラメーカーとしては残念ながら1981年に
撤退していますがトプコンそのものは現在も
医療用光学機器や測量機器等のメーカーとして存在しています。

プリモフレックスはトプコンの二眼レフのシリーズ名です。
やはり全盛期は1950年代で10種類ほど発売されていますが
他メーカー同様、モデル名が明確に刻印されていないので
詳しくないとなかなかモデルの判別は難しいと思います。
今回、お預かりしているのはプリモフレックスの中でも
最終期に近い「プリモフレックスオートマット」です。
「プリモフレックス」を代表するカメラとも
国産二眼レフの代表するカメラとも言われているモデルです。
トプコンの二眼レフとしては初のクランク式巻上であり
セルフコッキング(巻上と同時にシャッターもチャージされる)が
装備されたモデルでもあります。
フィルム装填はいわゆるスタートマーク合わせ式の
セミオートマットです。
フィルム送りはミノルタオートコードでも見られるような
上から下に巻き上げるようになりました。
(フィルムの平面性を高いレベルで確保するため)
シャッターも当時の高級シャッター、「セイコーシャMX」で
最高速は1/500です。内容も当時のフラッグシップといえると思います。
もうひとつ良いところは二眼レフとしてはめずらしく
そのままで60cmまで寄れるのですね。
これ以外と大きな利点だと思います。

そんな今回の「プリモフレックスオートマット」ですが
まずはシャッターが切れません。
ご依頼者様曰く「最初数回は切れたのだが切れなくなった」とのこと
シャッターボタンが全く押せないので
最初はレリーズロックの誤作動かと思ったのですが
カバーを開けて調べてみるとチャージ不良のようです。
チャージカムがチャージ動作途中でシャッターユニット内の
他の部品に干渉して動きが止まってしまい
チャージができないようです。

まずはシャッターユニット内の動きをチェックしていきます。
チャージ不良はユニット内の整備をすることで改善したのですが
今度はクランク巻止めが動作不良で
フィルムを装填しても
どこまでもクランクが回ってしまうことが発覚しました。
シャッターユニット整備が終わったら巻上機構の整備も行います。
さらに二眼レフではいつものことですが
ファインダーミラーの劣化が激しいのでミラーは交換です。
プリモフレックスのファインダーはトーコーブライトと呼ばれる
フレネルレンズ付きのスクリーンです。
ミラー交換、スリガラス・スクリーン洗浄で
かなり快適にピント合わせができるようになりました。

二眼レフは形はどれも似たようなものですが
細かいデザインや機能に各メーカー色々な工夫があって
どれも個性的です。
使っていても楽しいカメラです。

オリンパスOM-1のカメラ修理

今日はしそ焼酎「鍛高譚(たんたかたん)」の日だそうです。
あぁ。。。鍛高譚、飲みやすくて美味しいですよねぇ。。。
居酒屋で頼むこともあるし、家で飲むこともありますねぇ
ロックでもいいですし、お湯割り梅干入りもいいですね!
昔の話ですが最初に当時の会社の上司が
「たんたかたん」をオーダーしているのを聞いて
「なんだ?その変な名前のお酒?」って思ったのを思い出しました(笑)
メーカーのサイトを見てみると
飲み方もいろいろ紹介されていて
クランベリージュース割りだとか飲むヨーグルト割りだとか。。。
見ているといろいろ試したくなりますね~

さてさて

本日は「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
毎月コンスタントに修理依頼のあるカメラです。
それまでの大きく重い一眼レフのイメージを一変させた
軽量コンパクトで非常に使いやすい一眼レフです。
シャラシャラっとした巻上の感触や
非常に上品なシャッター音等、使い心地も良いカメラです。
この時代の一眼レフとしては
群を抜いてコンパクトなOM-1ですが
さすがにその軽量コンパクトを実現するために
多少デリケートな部分もあります。
数年に一度は定期的に点検をしたほうが良いかとも思います。

お預かりしているOM-1はご依頼者様が
随分以前からお持ちの個体だということですが
最近は使われずにしまってあったようです。
まずは定番のプリズム腐食、
これは何か対策を行っておかないと
まず間違いなくいつかは発生するトラブルです。
接眼レンズ上からプリズムにかけて貼られている
モルトが加水分解し、プリズムの塗装・蒸着を侵してしまうことが主な原因です。
一旦、腐食が発生したプリズムは
再蒸着という手段もございますが基本的には交換が望ましいと思います。
(当店では再蒸着は受け付けておりません)

シャッターは動作しているものの
1/1000で動作チェックをしてみると
走り始めこそ1/1000の露光量ですが
走り終わり付近では1/4000になってしまいます。
先幕の動きが遅いため
だんだんスリットが狭くなってしまうのですね。
このままだとそのうち開かなくなってしまいそうです。
写真両端で2段、露出が異なるわけですから
現在でも写真に影響は出ると思います。

上の写真ではわかりにくいですが
プリズム腐食もはっきり写っています。

加えてトラブルの比較的多い露出計ですが
今回も全く動きません。
いつもの電池室端子裏のビス折れかハンダ腐食かと予想しましたが
そこはしっかりしており、長期間電池が入れっぱなしだった形跡も見当たりません。
電池室の周辺の導通も問題ありません。
それでは上カバー部SW周辺か、あるいはメーターそのものが断線か、
といったところでしょうか。。。
メーターに直接電圧をかけると指針は元気よく振り切ります。
SWの根元までは導通が来ることも確認できました。
となるとSWでしょうね。ここの接触不良も多いです。
SW部の磨き・清掃を行い、とりあえず露出計復活です。
シャッター周り、ミラー駆動部、巻上周りの整備を行ってから
露出計の調整も行います。

写真にはありませんが今回は一緒に入庫した
50mmF1.8レンズと200mmF4レンズのカビ取り清掃もこの後行います。
一式リフレッシュで是非また撮影を楽しんでいただければと思います。

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ミノルタSRT101のカメラ修理

今日、12月8日は「事納め」の日ですね。
その年の農事・雑事をしまう日ということです。
去年も「事納め」が来ると「あぁ、12月だなぁ」という実感がわきました。
この日に昔は里芋、こんにゃく。にんじん、小豆を入れた
「御事汁」を食べたそうです。
何だか温かくて優しい味がしそうですね。
ちなみに農事を始める「御事始め」は2月8日だそうです。
これから長く厳しい冬が始まるわけですね。

さてさて

本日は「ミノルタSRT101」のカメラ修理を行っています。
ミノルタ機械制御シャッター機の代表機種といっていいと思います。
ミノルタ初のTTL開放測光機でもあります。
ちょっと変わっているのがCLC測光といわれる
CDS(受光体)を視野内の上下に配置し
上下分割測光としていることです。
視野内の輝度差が大きい場合に露出を適正にさせる方法です。
現在では分割評価測光は当たり前の機能ですが
2分割のシンプルなものとはいえ
ミノルタのCLCはその元祖と言えると思います。
SRT101は非常に大ヒットとなったカメラで
100万台以上作られたとも言われています。
そのため現存している個体数も非常に多く
元々が非常に丈夫なカメラなため
未整備でもとりあえず動作しているものも多いと思います。
しかしながら油切れであちこち動きの悪い中
かろうじて動作しているような個体も多いと思います。

お預かりしているSRT101は
元々、ご依頼者様のお父さまのカメラだそうです。
長い間、使われずに保管してあったようですが
ご依頼者のお子さんが使ってみたいということで
今回、当店にやってきました。
先程も書きましたが、相当長い間動かしていなかったと思われますが
とりあえずは動作します。
しかしながらファインダー、レンズはカビだらけで
露出計は非常に不安定で針が激しく踊ります。
シャッターは動作してはいるものの
1/1000にセットしても実際は1/400くらいしか出ていません。
汚れや油切れで非常に動きにくい中
必死で何とか動いているような感じです。

プリズム上にCDSが縦方向に2個配置されています。
先述したCLCですね。
写真は一通り整備して調整を行っている段階でのものです。
シャッター幕軸、スローガバナー、ミラー駆動部、
巻上部、等々、動作部は全て清掃して注油を行っていきます。
シャッター速度も申し分ない精度になり
巻上も非常に軽やかになりました。
SRT101はハンダ劣化の多いカメラでもありますので
露出計関連のハンダは基本的にやり直します。
もちろんSW類等、接点も磨きます。
これで露出計も安定した値がでるようになりました。
これでやっと本来の動きができるような状況になってきたと思います。
ボディが終わったら今度は一緒に入庫した
MCロッコールPF58mmF1.4の清掃整備も行います。
このレンズ、軽く拭いただけでコーティングが剥がれ落ちるレンズ面があるので
そのあたりに注意しながら清掃していきます。

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ペンタックスSPのカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの「大雪」ですね。
「おおゆき」ではありませんよ(笑)
「雪が激しく降り始める頃」ということですが
二十四節気は中国・中原の気候が元になっているので
関東と比べると随分北国よりな感じがしますね。
都内では雪はまだまだという感じです。
ここ数日は少し暖かく
冬本番はもう少し先かもしれません。

さてさて

本日は「ペンタックスSP」のカメラ修理を行っています。
1960年代最大のヒット作といってよいカメラだと思います。
日本国内だけでなく世界的にもベストセラーとなったカメラです。
それだけ売れまくったカメラですから
現存している台数も非常に多く
現在でも使っている方が多いカメラでもあります。
M42マウントで世界中のいろんなレンズが使えるのも
現在の人気を支えている要因だと思います。

それだけのカメラですから
当然、修理依頼も多いカメラです。
基本的にシンプルな造りで丈夫なカメラなので
現在でも動作している個体が多いと思いますが
製造されてから50年を超えるカメラです。
一見、動作していても
あちこち動きにくい箇所がある状態で
何とかかろうじて動作している。。。という個体も非常に多いです。
さすがに50年以上の間、
未整備な上に長期間動作させていないものは
とりあえずシャッターが切れても問題は抱えていると考えていいと思います。

今回、お預かりしているSPは
まず電池室の中に液漏れした電池が入っているようで
蓋が固着してビクとも外れません。。。
実はこれを開けるだけで1時間以上かかってしまいました(苦笑)
当然、電池端子は+側も-側も腐食で導通せず
露出計は動作しません。
シャッターは一応動作していますが
1/1000は開ききらず、低速シャッターだとミラーアップしたままになってしまいます。
いつものパターンではありますが
幕軸の汚れと古い油が原因と思われます。

ただ、定番のプリズム腐食は全くありません。
全体的に汚れや劣化は少なからずありますが
外装のコンディションは悪くなく
仕舞いこむまでは大切に使っていたことが想像できます。

古いカメラの整備の際の基本ですが
とにかく動作する部分はひたすら清掃して適度な注油を行います。
もちろん電池室及び端子は磨いて導通を取り戻します。
電池室からの配線は交換です。

シャッター、露出計はもちろん復活しましたが
少々重苦しかった巻上も本来のSPらしい
軽快な巻上に戻すことができました。
話が少し逸れますが
SPやS3、SVあたりの巻上フィーリングは
後に出てくるKXやMXよりも
個人的には気持ちよいと思います。
部品磨耗が激しいと巻上フィーリングは
元に戻らないことも多いのですが
巷に出回っているSPは
巻上の妙に重いものが多いような気がします。
整備次第では巻上のフィーリングも良くなる可能性は高いと思います。

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