プリモフレックスのカメラ修理

今日は「三億円事件の日」だそうですよ。
ちょうど50年が経つのですね。
東芝府中工場で支給されるボーナスを積んだ車が
白バイ警官に扮した犯人に強奪されたという事件です。
私の生まれる前年の事件ですが
子供の頃には「三億円事件」ってよく聞くキーワードでした。。。
当時の三億円ですから今だと価値はもっとあるでしょうね。
それにしても。。。いいなぁ。。。ボーナス
しがない個人事業主の私には縁もゆかりもない話です。。。(苦笑)

さてさて

本日は「プリモフレックス」のカメラ修理を行っています。
軍需光学機器製造の双璧として
「陸のトーコー、海のニッコー」と称された「トーコー」こと
当時の東京光学器械株式会社、のちのトプコンのカメラです。
(ちなみにニッコーは現在のニコンです)
一般向けカメラメーカーとしては残念ながら1981年に
撤退していますがトプコンそのものは現在も
医療用光学機器や測量機器等のメーカーとして存在しています。

プリモフレックスはトプコンの二眼レフのシリーズ名です。
やはり全盛期は1950年代で10種類ほど発売されていますが
他メーカー同様、モデル名が明確に刻印されていないので
詳しくないとなかなかモデルの判別は難しいと思います。
今回、お預かりしているのはプリモフレックスの中でも
最終期に近い「プリモフレックスオートマット」です。
「プリモフレックス」を代表するカメラとも
国産二眼レフの代表するカメラとも言われているモデルです。
トプコンの二眼レフとしては初のクランク式巻上であり
セルフコッキング(巻上と同時にシャッターもチャージされる)が
装備されたモデルでもあります。
フィルム装填はいわゆるスタートマーク合わせ式の
セミオートマットです。
フィルム送りはミノルタオートコードでも見られるような
上から下に巻き上げるようになりました。
(フィルムの平面性を高いレベルで確保するため)
シャッターも当時の高級シャッター、「セイコーシャMX」で
最高速は1/500です。内容も当時のフラッグシップといえると思います。
もうひとつ良いところは二眼レフとしてはめずらしく
そのままで60cmまで寄れるのですね。
これ以外と大きな利点だと思います。

そんな今回の「プリモフレックスオートマット」ですが
まずはシャッターが切れません。
ご依頼者様曰く「最初数回は切れたのだが切れなくなった」とのこと
シャッターボタンが全く押せないので
最初はレリーズロックの誤作動かと思ったのですが
カバーを開けて調べてみるとチャージ不良のようです。
チャージカムがチャージ動作途中でシャッターユニット内の
他の部品に干渉して動きが止まってしまい
チャージができないようです。

まずはシャッターユニット内の動きをチェックしていきます。
チャージ不良はユニット内の整備をすることで改善したのですが
今度はクランク巻止めが動作不良で
フィルムを装填しても
どこまでもクランクが回ってしまうことが発覚しました。
シャッターユニット整備が終わったら巻上機構の整備も行います。
さらに二眼レフではいつものことですが
ファインダーミラーの劣化が激しいのでミラーは交換です。
プリモフレックスのファインダーはトーコーブライトと呼ばれる
フレネルレンズ付きのスクリーンです。
ミラー交換、スリガラス・スクリーン洗浄で
かなり快適にピント合わせができるようになりました。

二眼レフは形はどれも似たようなものですが
細かいデザインや機能に各メーカー色々な工夫があって
どれも個性的です。
使っていても楽しいカメラです。