日別アーカイブ: 2025年10月23日

ニコマートFTnのカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの
「霜降」ですね。
秋が一段と深まり、露(つゆ)が冷気によって
霜(しも)となって降り始める頃なので「霜降」とされています。
楓(カエデ)や蔦(ツタ)、躑躅(ツツジ)
、漆(ウルシ)、銀杏(イチョウ)などが
紅葉または黄葉し始める頃で
また、朝夕の気温が下がり冬の近付きを感じる頃でもあります。
この日から「立冬」までの間に吹く寒い北風を
「木枯らし(凩:こがらし)」と呼びます。
気圧配置が西高東低の冬型で
最大風速8m/s以上の北風など条件はさらに複雑ですが
関東地方(東京)と近畿地方(大阪)において
毎秋最初の木枯らしを「木枯らし一号」として気象庁より発表されています。
昨日、一昨日は12月並みの寒さで
いきなり「立冬」が来たのかと思いましたが
今日からはしばらく暖かいようですね。
晩秋のキリッとした張りつめた空気はいいですね。
何だか気持ちが引き締まる気がします。

さてさて

本日は「ニコマートFTn」のカメラ修理を行っています。
1967年発売のカメラです。
前モデルは初のニコマートとなる「ニコマートFT」ですが
「FT」をベースに開放F値補正操作が搭載され
(いわゆるニコンのガチャガチャ)
レンズ交換の際に必要な開放F値設定が
絞りリングを往復させるだけでセットされるようになりました。
ちなみにニコマート系ではこの絞り値セットが
動作不良になっている場合も割と多いので
ヒサビサに動かく個体はガチャガチャした後に
マウント横のF値設定が正しいかどうかを
確認することをお勧めします。
他、ファインダー内に設定SS表示がされるようになり
測光方式も平均測光から
中央部重点測光に変更されています。
基本的な構造やシャッターは「FT」から変更ないのですが
かなり使い勝手が良くなったカメラです。
ニコマートシリーズ中、最も売れたカメラで
現存台数も非常に多く現在でも人気のカメラです。

お預かりしている「ニコマートFTn」は
これもかなり長い間、使われずに眠っていたカメラだと思われます。
それでもシャッターや巻上は精度はともかくとしても
大きな問題なく動作はできています。
さすがニコマート&コパルスクエアですね。
ただし動きはあまりスムーズではなく
巻上等に油切れの兆候が見られます。
高速シャッターの精度も内部の汚れのせいだと思われますが
開いてはいるものの精度はよろしくありません。
露出計も何とか動作はするものの
マイラー抵抗やSW部の汚れが原因と思われますが
かなり動きが不安定です。
ファインダー内部や装着されている50mmレンズには
かなりのカビが発生していて
使われているモルトはもちろん全滅です。
気持ちよく使うためにも全体の入念な整備清掃調整が必要です。

中級機とはいえこの時代のカメラなので
定期的に分解整備を行いながら
長く使われることを考えられているカメラで
整備性は非常によく各動作部にも
調整箇所が多くあり
よく考え抜かれた造りになっています。
この時代のニコンらしい質実剛健なカメラです。

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