ニコマートFTnのカメラ修理

今日は「フラフープ記念日」だそうですよ。
1958年のこの日に日本で発売開始になったことが由来となっています。
さすがに私の生まれる10年以上前の話なので
リアルタイムで体験してはいませんが
社会現象といえるほど流行ったそうです。
当時の価格は子供用が1本200円、大人用が270円だったそうです。
人気絶頂だったフラフープですが
「腸ねん転になる」と噂がたち、急速にブームが終わったそうです。
ちなみにフラフープと腸ねん転は全く因果関係はないそうです。
そりゃそうですよね。腸って腸間膜や腹膜でしっかり固定されているのだから
フラフープくらいでねじれてたら大変です。。。
そういえばフラフープより少し前に
「ホッピング」も大流行しましたが
このときは「やりすぎると胃下垂になる」なんて噂がたち
ブームが沈静化したそうです。
この頃はこういうデマは多かったのでしょうね。。。

さてさて

本日は「ニコマートFTn」のカメラ修理を行っています。
ニコマートシリーズは構造をユニット化し
コストダウンを行いながらも高い品質を誇った
ニコン中級機のシリーズです。
機械制御シャッター機のFT系と電子制御シャッター機のEL系に分かれ
どちらもコパル製シャッターユニット「コパルスクエアS」を搭載します。
特にFT系はF一桁機に負けない堅牢性を持つと個人的にも思っています。
FTnは1967年の発売で開放F値補正操作(通称ガチャガチャ)を
採用したモデルです。
これでレンズ交換の際に露出計連動のための
開放F値セットがかなり楽になりました。

お預かりしているFTnはもともとはご依頼者様の
お父さまが使われていたものとのことです。
巻上レバー上には「A」マークのシールが貼られており
A型スクリーン(スプリット)が装備されいることを表しています。
A型スクリーン搭載モデルが追加されたのは1971年です。
これ、探すと意外と見つからないのですよね。。。
かなり長い間使われていないカメラと思われ
接眼レンズ、プリズム、装着されている50mmF2レンズ
あらゆるところにカビが大量に付着しています。
シャッターを切るとミラーが非常にゆっくりと上がっていき
レリーズにかなり遅れてシャッターが切れます。
その上、受付時に何度かシャッターを切ったところで
レリーズがロックしてしまいシャッターが切れなくなりました。
おそらくミラー駆動部の動作不良が原因と思われます。
露出計も何とか動作しているものの
指針が非常に不安定で同じ明るさをみていても
フラフラと落ち着きません。
さすがに全体的に手を入れなければ普通に使えない状態です。

さすが丈夫なコパルスクエアというところで
シャッターユニットそのものは汚れはともかくとして
それほど問題のある状態ではありませんでした。
レリーズロックの原因も予想通りミラー駆動部の動作不良が原因でした
とはいえ、この時代のニコン機なので
ミラー駆動にも強靭なバネが使われていて
そう簡単に動作不良にはならないのですが
さすがに年月には勝てない。。。といったところもあるでしょうか。。。
ミラー駆動部の整備はもちろん
シャッターユニットの整備・調整も並行して行います。
露出計不安定の原因は電池室裏のハンダ付け及び配線が
腐食して断線寸前だったためです。ここの配線は交換で対応します。

元々、非常に丈夫なカメラなため
しっかり整備を行えばきちんと使えるカメラとして
現在でも十分快適に撮影できるようになります。
一緒に預かった50mmF2レンズも清掃を行います。
おそらく十数年、眠っていたのだと思われますが
再びステキな写真をたくさん撮っていただきたいと思います。

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