キヤノンFXのカメラ修理

今日は「引っ越しの日」らしいですよ。
今となっては引っ越しなんて面倒過ぎて
極力行いたくはないですが
これまで…特に若い頃は
結構頻繁に引っ越ししていましたね。
新しい街に新しい環境は
めちゃくちゃテンション上がるし
モチベーションも上がりますよねぇ
引っ越しと聞いて
これまでの記憶で一番思い浮かぶのは
やはり初めて東京に引っ越してきたときかな…
それまでの引っ越しは地元・広島の中での話だったので
馴染みがない街とはいえ
全く知らない場所ではなかったのですよね
それが広島から東京に越して来た時には
右も左も何もわからない
これから住むところがどんな場所かも
全くわかっていない状況だったので
不安も大きかったですが、それでもそれ以上に
希望や期待が大きかったですねぇ
ちなみにその時に越してきたのは「中板橋」でした。
石神井川沿いで春になると川沿いに桜並木の美しい
とっても住みやすい街でした。

さてさて

本日は「キヤノンFX」のカメラ修理を行っています。
1964年発売のカメラで
いわゆる「キヤノンFシリーズ」の最初のカメラです。
レンズマウントの絞り連動機構を一新し
それまでの「Rマウント」から「FLマウント」に変更されました。
機械制御横走り布幕フォーカルプレーンシャッターで
最高速は1/1000です。
露出計は外交式で巻き戻しクランク側の前面に
受光体(CdS)が配置されています。
窓の大きさを切り替えることができ
低輝度時には好感度(H)に切り替えて使用します。
トップカバー上にシャッタスピードに連動した
指針窓がありそこに露出計指針が指示する絞り値に
絞りを手動で設定して露出を決定します。
このFXのシャッター機構や機械的なベース部分は
「Fシリーズ」を通して基本となり
後のF-1も基本的には同じ構造のシャッターとなっています。
それだけ最初のFXの設計がしっかりしていたということですね。

お預かりしているFXは
これまでずっと未整備だった個体らしく
いろいろな問題を抱えた状態で当店にやってきました。
まずシャッターは非常に動きが悪く
シャッターを切っても後幕が最後まで走り切らず
少し隙間の空いた状態で止まってしまいます。
当然、ミラーアップしたままになってしまいます。
その際のシャッター音も「ギャイン」といった感じで
明らかに油切れで動きが悪いのが音からもわかります。
ミラー駆動部にも動作不良があり
シャッターを切った際のミラーアップ時も
ミラーはゆっくりと上がっていきます。
モルトは当然のように全滅で
プリズムにもかなりの腐食が見られます。
ファインダー内もそうですが
装着されているFL50mmF1.8レンズにも
かなりのカビが見られます。
露出計は何とか動作してはいますが
不安定な上に精度は出ていません。

とにかく動くところは全て清掃して注油して
調整する必要がある…といった状態です。
ちょっと困ったのは腐食したプリズムで
FX,FP,EX,FTのプリズムはサイズがFTb以降とは異なり
腐食のないプリズムの確保が非常に困難な状況です。
後でまずはうちの在庫プリズムを探してみます。
以前ざっと調べた感じではもうなかったのですが…
その前にとにかく動作を安定させていきます。
これからさらに分解を進めてシャッター周り、巻上周りから
整備を行っていきます。

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