オリンパスペンSのカメラ修理

今日は「森林(もり)の日」だそうですよ。
日付の由来は5月は「森林」の中に「木」が5つ入っていることから
20日は「森林」の総画数が20画であることからだそうです。
制定したのは名の頭に「美」の字がつく村10村で結成した
「美し村(うましさと)連邦」なのですが
平成の大合併により、茨城県美浦村以外の9村が消滅してしまうことになり
2003年(平成15年)10月3日に茨城県美和村で最後の会議が開かれ
「美し村連邦」は解散しているのだそうです。
由来はともかく新緑の季節でこの時期に森林に入ると
むせかえるような山の匂いで溢れていますよね
山歩きしている頃はこの季節の山も好きだったですねぇ
ただし…森林に生命力が溢れているってことは
虫も大量に出るのですよねぇ(苦笑)
森林限界ぬけるまでは執拗にアブにたかられて
ろくに立ち止まることも許されなくてキツかった記憶が…(笑

さてさて

本日は「オリンパスペンS」のカメラ修理を行っています。
ハーフカメラの代名詞ともいえるオリンパスペンシリーズです。
派生モデルも多く
現在最もよくみかけるのは
生産台数も多く操作の簡単なペンEEシリーズでしょうか…
今回の「ペンS」はEEとは対照的なシンプルなマニュアル機です
1960年に発売されたモデルで
前年に発売された初代ペンの高級版という位置づけです。
初代ペンと大きく異なるのはまずシャッターで
コパル製なのは同じですが
初代ペンが2枚羽根であるところペンSは5枚羽根となり
B,1/25-1/200秒の4速からB,1/8-1/250秒の6速とグレードアップされています。
レンズもDズイコー3cmF2.8付となっています。
(後に初代ペンと同じくDズイコー2.8cmF3.5付も追加されます)
初代ペンに比べて明らかに撮影の幅も拡がる仕様であり
現在でも非常に人気の高いカメラです。

お預かりしているペンSはレンズの状態もよく
コンディションとしては悪くないものなのですが
ペンシリーズ共通でよくある
「巻上が一コマ分で止まらない」というトラブルを抱えています。
一コマ分でキチンと止まることもあるのですが
かなり頻繁に二コマ分、酷いときは三コマ分進んでしまいます。
せっかくのハーフ判なのにこれでは
フィルムをとんでもなく無駄使いしてしまいます。
症状の通りに巻上部が原因の場合もありますが
このトラブルの原因の多くは
シャッター羽根、あるいは羽根駆動部の粘りが原因です。
そのためこのトラブルが出ているときは
シャッターが切れていてもシャッターの精度は出ていない場合も多く
写真がやたらオーバー目、
あるいは真っ白になってしまうこともあると思われます。
今回も低速シャッターやバルブで切ってみると
羽根の閉じ具合が明らかに遅くキレがなく感じられるので
羽根の粘りが原因かと思われます。

これからシャッタユニットを降ろして
本格的に整備に取り掛かるところです。
少々話が逸れますが
このペンSや初代ペン、あるいはペンEEのような
裏蓋が分離されるタイプのペンは
裏蓋部のモルトがかなり重要です。
画像ではもう貼られていたものは剥がした後ですが
今回の個体も比較的近年モルトを張り替えていると思われますが
そのモルトが薄すぎます。
通常良く使われる1.5mm厚のモルトでは厚みが足らず
それだと光線漏れする可能性がかなり高くなります。
ここにはもっと厚みのあるモルトが必要です。
今回も厚みのあるモルトで貼りなおします。
もちろん裏蓋を受けるボディ側上部のモルトも重要です。
(そこは通常の厚みのもので十分です)
ペンだけではなくコンパクトカメラの多くは
裏蓋の遮光をかなりモルトに頼っているカメラが多いので
そのあたりは一眼レフやボディサイズの大きな
レンズ固定型カメラ以上に
モルトには気をつける必要があります。

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