オリンパスOM-1Nのカメラ修理

今日は「あかりの日」だそうですよ。
1879(明治12)年のこの日に
アメリカの発明家トーマス・エジソンが
世界で初めて実用的な白熱電球を完成させたことに由来しています。
現在の世の中で当たり前のように明かりが灯っているのは
普通ではあるのですが
これほどありがたいものはないですよねぇ…
そういえば以前に毎週のように山に登っていた頃は
ちょっとした手違いやトラブルで
日没までに下山できず真っ暗な山の中を
ヘッドライトの明かりを頼りに下りたことが何度かあるのですが
そのときに登山口まで下りてきて
民家の明かりを発見したときにどれほどホッとするか…(苦笑)
まぁほぼ下りきっていて最後の30分くらいの
足場の良い道が残っているだけの状況ではあるのですが
明かりのない山の中を歩くほど不安なことはないですよ…
場合によってはあきらめてビバークすべきですものね…
そういうときに見る暮らしの明かりって
むちゃくちゃ暖かそうに見えて何だか切なくなるものです。
明かりがあって暖かい生活が
できることに本当に感謝ですね!

さてさて

本日は「オリンパスOM-1N」のカメラ修理を行っています。
「1N」は1979年に発売されたカメラで
基本的な機能は「OM-1」とさほど変わりません。
アクセサリーシュー4と対応フラッシュを使用することにより
フラッシュ充電完了表示がファインダー内で可能になったくらいです。
1972年に発売された「OM-1」が7年後のモデルチェンジで
大きな変更がないということはそれだけ
「OM-1」の元々の設計が優れていたということかと思います。
しかしながら基本的構造は「OM-1」と同一とはいえ
細かな部品の変更は「OM-1」の頃からマイナ―チェンジで
何度も行われており「1N」になったタイミングでも
いろいろと細かな変更は行われています。
特にプラスチック部品の材質や強度は
最初の「OM-1」の頃のものを比べると全く異なります。
多少コストダウンされている部分も確かにありますが
それ以上にプラ部品の材質は向上していると思います。

でも相変わらずなのがプリズムと接眼レンズの間に
モルトプレーンを貼ることですね
今回もこのモルトが原因でプリズムはしっかり腐食してしまっています。
ファインダーから見ると視野の下部がモヤモヤして見える
OMならではの腐食のパターンです。
まぁモルトは定期的に交換するのが前提ですからしかたないですが
OMに限らずこの時代のカメラはモルトを原因とする
プリズム腐食が本当に多く困ったものです…

シャッターや露出計は一応は動作していますが
高速シャッターの精度は出ていない上に不安定で
1/1000はたまに開かないこともあるようです。
露出計も2段以上オーバー気味となっており
このままではとても信頼できる状態ではありません。
巻上やミラー駆動部の動きも渋めで
やはり全体的に整備が必要な状況です。

プリズムの腐食もしっかり写っていますね
先日のOM-1修理のブログでも書きましたが
OM-1はその他では類を見ないコンパクトさや静かさを実現するために
他の一眼レフでは見られないような工夫や独自の構造が多いカメラで
調整箇所も非常にデリケートな部分の多いカメラです。
絶妙なバランスの上に成り立っているような部分もあり
そういう意味ではなかなか整備の厄介なカメラでもあります。
それでもしっかり整備された個体は
その独特な使い心地の良さや上品なシャッター音を
存分に楽しむことができます。
整備するたび「これが人気のあるのはやはりわかるなぁ…」と
思わざるを得ないカメラですね!

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