マミヤシックスオートマットのカメラ修理

今日は3月12日ということで
「サ(3)イ(1)フ(2)」、「サイフの日」なのだそうです。
お財布って毎日、常に持ち歩くものだし大事ですよね。
私の財布、外が黒で内側が赤の本革製で
二つ折りの札入れとお揃いの小銭入れのセットなのですが
昨年あたりから外観も中身もうボロボロで
「いい加減に替えなくちゃなぁ…」とも思いながら
ちょっと思い出の品でもあるので
未だにダラダラと使い続けています。
いつから使ってるのだっけ?と思い
確かPCに初めて使った日に撮った写真があるはず…
あったあった、当たり前だけど新品でピカピカだ(笑)
撮影日時を調べてみると
なんと2002年の冬!18年以上も使ってたんだ!!ちょいびっくり
そりゃボロボロにもなるわ…(笑)
デジカメ写真なので撮影データを詳しく見てみると
撮影したカメラも「Finepix40i」うわ懐かしい…使ってたわ
このカメラの発売開始も調べてみると平成12年…
もちろん今は手元にないですが
東京に来たばかりの頃に良く使ってました…
意外なところで年月は確実に経っていることを痛感しました(笑)
そっか…もう18年前か…そりゃ昔だわ…
何か新しい財布、探さなくちゃね

さてさて

本日は「マミヤシックスオートマット」のカメラ修理を行っています。
いわゆるスプリングカメラ(フォールディングカメラ)ですね。
普段はレンズ部を折りたたむことができる蛇腹カメラです。
ブローニーフィルムを使う6x6判ですが
折りたたむと非常にコンパクトで出っ張りもなく
カバンのなかとかに入れておきやすい形状でもあります。
二眼レフブームが来る前の1940年代から50年代にかけて
各メーカーから発売されていた形式のカメラです。
今回は大丈夫でしたが最大のウィークポイントは
最大の特徴でもある「蛇腹」でこれが破れていたり
穴が開いていたりすると当店では修復及び交換は行っておらず
修理不可能となります。
基本的にレンズ固定式のレンズシャッター機で
ある程度の年代以降になるとレンジファインダーを装備するものが多いです。
マミヤシックスも同様ですがちょっと変わっているのは
その距離計に連動するピント調節方法で
通常のカメラはレンズを移動(レンズ前玉のみを移動させたり
レンズユニット全体を繰り出したり)して
ピント調整を行いますが
マミヤシックスの場合はレンズではなく
フィルム面を前後に移動してピント調節を行います
(バックフォーカス方式)
それに関連して上カバー背面にダイヤル状のピントダイヤルがあり
これでピントを調整します。
今回のマミヤシックスオートマットは細かいことを言うと
ファインダー内に撮影範囲のフレームが出るようになった「2型」で
1958年発売のモデルかと思われます。
余談ですがマミヤシックスは「Ⅳ型」以降は
カバーに刻印されるモデル名は「MAMIYA-6」となっています。
今回の「オートマット」モデル名に「オートマット」とありますが
これも細かいことを言えばスタートマーク合わせの
「セミオートマット」です。
でも現実的には信頼性がイマイチのフルオートマットよりも
メカニズム的にもシンプルにできるセミオートマットの方が
良いと思います。
実際にこの後に出てくる中判カメラのほとんどがセミオートマットで
フルオートマットなのはローライフレックスくらいですものね
セミオートマットでも赤窓式に比べれば十分にフィルム装填は楽になり
慣れてしまえば全く不便は感じないかと思います。
さらにマミヤシックスオートマットは
セルフコッキングとなり意図しない多重露光や
未露光のままフィルムを進めてしまうなどというミスも
大幅に少なくなったと思います。
そういう部分も含めてスプリングカメラの中ではかなり高機能なモデルです。

お預かりしているマミヤシックスオートマットは
「2型」ということもあり
搭載されるレンズはセコール銘の7.5cmF3.5で
シャッターユニットはセイコーシャMXです。
おそらくかなり長い間、眠っていた個体と思われます。
お預かり時から一通り動作はしているのですが
やはりシャッターを始めあちこちに動作の悪い部分も見られ
安心して使うには整備一式が必要な状態です。
レンズ・ファインダーにも汚れが目立ち
一部の小キズ、クモリは除去できないものもありますが
できる限りの清掃を行い実用上問題のない状態にしていきます。

画像は一通りの整備が完了した状態のものです。
外観もできる限りキレイに磨き上げています。
今回も気持ちよく使っていただける状態に
仕上がっていると思います。
これから最終チェックを行い
問題なければ完成となります。

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オリンパスペンFVのカメラ修理

今日は震災から10年ですが
ここで触れなくても皆様わかってらっしゃると思うので
あえて他の話題で…
今日、3月11日は「パンダ発見の日」なのだそうです。
1869(明治2)年のこの日に中国・四川省の民家で
伝道中のフランス人神父アルマン・ダヴィドが
白と黒の奇妙な熊の毛皮を見せられ
これが西洋でパンダが知られるきっかけとなったのだそうです。
中国では知られていたけど
欧米に知られるきっかけになった日ということですね。
今は「パンダ」といえばジャイアントパンダを指すのが普通ですが
もともとパンダといえば
先に発見されていた「レッサーパンダ」のことだったのだそうです。
それがジャイアントパンダが発見され有名になると
パンダ=ジャイアントパンダとなってしまい
レッサーパンダの方に「小さい方の」という意味の「レッサー」や
毛色から赤「レッド」(red)を付けて
レッサーパンダまたはレッドパンダと呼ぶようになったのだそうです。
でもレッサーとジャイアントパンダは似ても似つかないのに
なんで両方とも「パンダ」なの?と思って調べると
諸説あるのですがパンダという名は
ネパール語で「竹」を意味する「ポンヤ(ponya)」から
「竹を食べるもの」に由来する説があり
また、ネパール語で「(五指を含む)手のひら」を意味する
「パンジャ(panja)」に由来するという説もあるのだそうです。
まぁ名前の由来はともかく
どっちも可愛いことに変わりはないですね(笑)

さてさて

本日は「オリンパスペンFV」のカメラ修理を行っています。
孤高のハーフ判一眼レフ「ペンF」シリーズの一員ですが
「FV」の修理依頼は少し珍しいですね。
体感ですがペンF系修理依頼の8割がたが「FT」で
残りが「F」というイメージです。
最初に出たのが「ペンF」です。
ペンF登場3年後に「ペンF」の第三反射面をハーフミラーに変更し
その背後に受光体を置くことにより露出計内蔵とし
さらにセルフタイマーを内蔵し、巻上をダブルからシングルに変更したのが
「ペンFT」です。
「ペンFV」はその「FT」から露出計を省略したモデルです。
露出計を省略したことにより
第三反射面は「ペンF」同様の普通のミラーに戻され
FTに比べファインダーの明るさはその分明るくなっています。
加えて「FT」では定番のハーフミラー腐食・蒸着面剥離の
経年劣化のトラブルが起こりにくいのは良いですね。
初代「F」と比べるとシングルストロークになり
セルフタイマーが装備されたという変更点になります。

露出計関連以外の部分については
シャッター等の機械的構造はペンF系は基本的に同一です。
ただし部品の変更はそのモデルの中でも
比較的頻繁に行われているので
内部部品は意外に互換性がなかったりします。
同じ「ペンF」でも前期と後期では
構成部品がかなり変更されています。
今回は部品交換等はなかったのです良いのですが
中古部品を使わざるを得ない場面が多い中
このあたりは非常に気をつける部分です。
お預かりしている「FV」はレリーズが全くできず
固まっている状態です。
さすがにこの症状だけでは全く原因がつかめないので
分解しながら原因を探っていきます。
シャッターユニットの分離に取り掛かったあたりで
動かない原因を発見できました。
どこかのネジがシャッター機構に挟まって動きを止めていました。
どこか外れているネジがあるのかといろいろ調べてみると
どうやらアイレットの固定ネジが片方だけ
明らかに別のものに替えられていて
中のネジはどうやらアイレットの固定ネジのようです。
ここからは確信に近い予想ですが
アイレット緩みか何かを修理の際に
その固定ネジを誤って中に落としてしまい
落としたネジはそのままに
新しいネジを補充したのではないかと思われます。
正直言うと私も修理中に部品を内部に落としてしまったことは
過去に何度かありますが
(そういうことにならないように相当気をつけてはいます)
落としてしまったら再分解してでも絶対に内部から取り出します。
複雑なメカニズムの内部にネジや部品を残してしまうと
必ずあとでトラブルの原因になります。
それどころかそれを挟み込むことによって
場合によっては他の部品を破損・変形させてしまうことだってあり得ます。
内部モルトの屑でさえトラブルの原因になるのですから
硬い部品を閉じ込めてしまえばトラブルが起こるのは間違いないですよね
今回の場合は部品の変形や破損が見られなかっただけ
不幸中の幸いといえるかもしれません。

トラブルの原因は判明して修理もできたので
シャッターユニットの整備や
トラブルの起こりやすいミラー駆動部の整備
ペンF系に多用されている内部モルトの交換を行い
(逆にフィルム室には非常にモルトが少ない)
各部調整を行いながら組み立てます。
画像は整備完了後のもので
装着しているレンズは当店のテスト用レンズです。
巻上、シャッターともに非常に軽快に動作する1台となりました。
ご依頼者様はこのペンFVを最近入手し
おそらく入手した段階でシャッターが
切れない状態だったのだと思われますが
改めて存分に撮影を楽しんでいただければと思います。

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ニッカ3-Fのカメラ修理

今日は3月10日ということで
「サトウ」という語呂合わせに関する記念日が
たくさんあるようです。
そんな中、あえて語呂合わせではなく
今日は「東海道・山陽新幹線全通記念日」です。
1975(昭和50)年のこの日に「ひかりは西へ」の
キャッチフレーズのもと
山陽新幹線・岡山駅~博多駅間が延伸開業し
山陽新幹線が全線開業したのですね。
つまり私の地元、広島に新幹線が開通した日でもあるのです!
(正確には私の地元は呉なので広島駅は少し遠いですが(苦笑))
さらに新幹線のおかげで移動が
楽になったせいもきっとあると思いますが
同じ年に我らが広島東洋カープが初のリーグ優勝を果たしたのです!
私もじいさんに連れられて呉線に揺られて
新幹線をわざわざ広島駅まで見に行きました
(乗りはしなかったのですが)
それほど画期的な出来事だったのですね
当時はいわゆる0系新幹線です。
最新の新幹線ももちろんカッコ良いですが
やはり新幹線と言えば個人的にはやはり0系のイメージです。

さてさて

本日は「ニッカ3-F」のカメラ修理を行っています。
いわゆるバルナックライカコピー機ですが
ニッカカメラの製品はどれも品質が良く
当時はもちろんですが現在も根強い人気のあるメーカーです。
後にヤシカに吸収合併となり
前身の「ニッポンカメラ」から数えて
1940年代から1950年代に存在したメーカーです。
同じ時代に同様のカメラを生産していた
レオタックスが一番のライバルだったと思われますが
レオタックスが東京光学の「トプコール」を標準で装着するのに対して
ニッカは日本光学(現ニコン)のニッコールを標準としたのも
非常に対照的ですね。
「3-F」はニッカ5型の普及版として発売され
「5型」と同じくダイキャストボディで作られますが
「裏蓋開閉機能」、「1/1000シャッター」、
「視度補正レバー」が省略されています。
とはいえ機械的動作部分はほぼ「5型」と共通で
非常にしっかりと作られたバルナック型カメラです。

この時代のバルナックタイプのカメラというと
基本的にシャッター幕交換が前提になることが多いのですが
今回の「3-F」はめずらしくシャッター幕の状態は
全く問題ありません。
ただしさすがに各所に油切れの兆候が見られ
シャッタスピードは不安定です。
装着されているニッコールH/C50mmF2も
レンズに汚れ・カビが見受けられ
絞り羽根には油滲みが見られます。
ボディ・レンズ共に全体的に清掃・整備が必要な状態です。

画像は一通り整備が完了し
動きが安定するのを様子見している状況のものです。
整備前に判明したのですが
ボディ側のフランジバックの
微調整部が狂っていたらしく
フィルム面での無限遠が微妙に出ていませんでしたが
それもマウント部のフランジバック調整で
きっちり精度を出すことができています。
もちろんシャッター及び巻上は非常にスムーズに
動作するようになりファインダー・レンズも非常にクリアです。
高速SSもしっかり精度を確保して安定して動作しています。
これでご依頼者様にも気持ちよく使っていただけることと思います。

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コーワSWのカメラ修理

今日は3月8日ということで
「サ(3)バ(8)」、サバの日です。
昨日が「さかなの日」で今日は鯖ですか…続きますね(笑)
アジと並んで身近な魚ですが
日本近海で捕れるものは秋から冬が旬です。
いわゆる「戻りのサバ」と言われるもので
いったん北上してたっぷり太った鯖が
産卵のために再び南下する時期のものを指しています。
傷みが早いことで有名で
食中毒や寄生虫の問題もあり生食はタブーとされていますが
一部のブランド鯖で新鮮なものは刺身で食べられることもあるようです。
残念ながら食べたことはないですが美味しいそうですねぇ
生の刺身は身近ではありませんが
〆鯖はメジャーな調理法でまたこれが美味しいですよねぇ
他にも普通に焼き魚にしても美味ですし
何なら手軽なサバ缶でさえも美味いです。
で、これが日本酒と合うのですよねぇ
サバもそうですが魚介特有の生臭さというのは
調理法にもよりますが
多少なりとも口の中に残るものですよね
それがそのあとに日本酒を飲むとキレイにリセットされるのですよねぇ
白ワインだと逆に生臭さが広がることも多いと思います。
で、そのあとでさらに〆鯖とかを口に入れると
日本酒の香りがさらにサバの美味みを広げてくれるのですよねぇ
あぁ、これはいけん
まだ、昼前なのに飲むことと食べることばっかり考えてしまいます。
それにしてもサバはいいですねぇ
今日、帰りにスーパー寄って何か買って帰ります(笑)

さてさて

本日は「コーワSW」のカメラ修理を行っています。
コルゲンコーワとかウナコーワとかでお馴染みのあのコーワです。
薬の方が一般的には知名度が高いですが
コーワの光学部門は昔から優れたカメラやレンズを生み出している
知る人ぞ知る光学メーカーです。
現在でも「プロミナー」ブランドでレンズの生産販売が行われています。
カメラではありませんが眼科やメガネ店用の
光学機器や検査機等も生産しています。
現在でも一流の光学機器メーカーと言えると思います。
かつてはレンズだけではなくカメラ本体も
中判カメラを中心に魅力的なカメラをたくさん発売していました。
コーワシックスやカロフレックスあたりは
当店にも修理がたまに入りますが
今でも非常に人気のあるカメラです。
今回の「コーワSW」は35mm判レンズ固定式のカメラです。
発売は1964年です。
何といってもその魅力は搭載される4群6枚の28mmF3.2レンズです。
レンズ固定式のいわゆるコンパクトカメラは
(現代のレベルで考えるとコンパクトではないのですが)
一時期のワイドカメラブームの際でも35mmが主流でした。
それよりもさらにワイドな28mmレンズです。
モデル名の「SW」は「スーパーワイド」の頭文字です。
ピントは目測式としファインダーもスペリオ式実像ファインダーを採用し
非常にシンプルかつ当時としては軽量コンパクトに仕上げられています。
シンプルな28mmレンズということは
F8くらいまで絞り込んでパンフォーカスとして使えば
スナップシューターとしても現在でも非常に魅力的な1台です。

お預かりしている「SW」は
まず大きな魅力の一つであるスペリオ式ファインダーに
カビや汚れが多く見え方が非常に悪い状態です。
さらにレンズシャッター機お約束の
シャッター羽根粘りが起きており
まともにシャッター切れない状態です
これでは快適に写真を撮ることはできません。
他、レンズ清掃等を含めて
全体手の整備一式を行います。

自慢の28mmレンズにもカビ・汚れ等あり
できる限りの清掃で実用上問題ないレベルに仕上げます。
本来、このくらいシンプルなカメラで十分なのですよね。
コーワSWを見ているといつもそんな思いになってしまいます。
スペリオ式のファインダーは対物レンズ側が
小さくなるのが外観上の特徴ですが
上カバー前面のシンプルさが非常にデザイン的にも良いと思います。
そのファインダーですが今回も清掃で非常にクリアになりました
このスペリオ式ファインダーの見え心地の良さも
SWの大きな魅力だと思います。
SWの整備はたまにしか入りませんが
そのたびに自分用にも1台SWが欲しいなぁ…と考えてしまうカメラです。

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アイレス35ⅢCのカメラ修理

今日は「さかなの日」なのだそうですよ。
魚介類をたくさん食べて
もっと身近に感じてもらおうという日だそうです。
今でこそ私も魚大好きですが
子供の頃は本当に苦手で
やっぱり骨がわずらわしかったり
調理にもよりますが微妙な生臭さ等がダメだったりで
あまり積極的にl口にすることはありませんでした
一気に好みが変わったのは
やはりお酒…それも日本酒を飲むようになってからですねぇ
酒の肴…と考えるとやはり魚介類は最高です。
食事と一緒に嗜むならやはり主張の強すぎない
純米酒が最適で刺身でも焼き魚でも煮魚でも
何にでも合うと思います。
そうしてお酒と魚の組み合わせの美味しさを知っていくうちに
いつのまにかお酒ナシでも普通にご飯のおかずとしての
焼き魚とか煮魚も大好きになっていきました。
一時期は釣ってきたきた魚を何でも自分で捌いて
調理するようにまでなっていたのですが
今やすっかりそんな手間をかけることも
なくなってしまいました(汗)
でも時間の余裕がるときはスーパーで買ってきた
魚を適当に調理して酒の肴にはしています。
最近はそれもお手軽な干物が多いのですが。。。(苦笑)
コロナ禍でなかなか今は難しいですが
本格的魚料理はやはり外食で楽しみたいですねぇ
そのためにも今はがんばって仕事するか~(笑)

さてさて

本日は「アイレス35ⅢC」のカメラ修理を行っています。
たまに修理依頼のあるカメラですね
アイレス自体は前身のヤルー光学の頃から
当時非常に人気のあった二眼レフの生産でスタートしたメーカーです。
アイレスフレックスは当店にも修理依頼で
よく入ってくるカメラです。
並行して35mm判カメラの生産にも乗り出し
レンズ固定式のレンズシャッター機のアイレス35シリーズは
それなりに好調に販売されていたようです。
そのアイレス35シリーズの中で
今回の35ⅢCは1957年に発売されますが
それまでのアイレス35のイメージは完全に切り捨てて
確信犯的にライカM3のスタイリングそっくりに作られました。
そのルックスのせいもあり35ⅢCは
今でもなかなか人気の高いカメラです。

こうしてみると確かにぱっと見は「M3」ですねぇ
でもアイレスはあくまでもレンズ固定式のレンズシャッター機です。
中身の構造は根本的に全くジャンルの異なるカメラです。
それでも裏蓋の開け方とかも明らかに「M3」を
意識しているのは明らかでこの時代ならではのカメラだと思います。
搭載されるレンズはアイレス製Pコーラル4.5cmF2.4で
シャッターユニットはこの時代ではお馴染みの
セイコーシャMXLです。
レンジファインダーを装備しパララックス自動補正機構も装備します。
こうして書き出してみるとスペック的には
この時代の王道ともいえるレンズシャッター機です。

お預かりしている35ⅢCはまずはレンズシャッター機定番の
シャッター羽根固着によりシャッターが開きません
SS設定リング、絞りリング共に非常に動きが重く
レンジファインダーの二重像もかなり見えにくい状態です。
セルフタイマーも一部破損していて使えない状態です。
機能的には問題ありませんがなぜかレリーズボタンも
カバー部が欠落しており軸がむき出しの状態です。
全体的にもかなりコンディションの悪い状態でした。

上の写真は整備完了後の状態で
現在、少し様子見して最終チェック待ちという状態です。
リング類は絞り羽根の張り付き等もあり
動きが悪い状態でしたがおそらく過去に落下歴もあり
微妙に歪んでいた部分もありました。
できる限りの修復と清掃整備でまずはスムーズに
操作できる状態になっていて精度的にも問題ない状態になりました。
ファインダー内の見えにくさは
内部反射ミラーがかなり劣化して曇っていたことが主な原因です。
もはや清掃では対処できない状態だったので
ミラーは交換で対応してあります。
その上でできる限りの清掃を行い
お預かり時とは見違えるほどクリアになり
二重像もくっきりと見えるようになっています。

結果的にかなり手はかかりましたが
気持ちよく使っていただける状態になったと思います。
ご依頼者様には見違えるほどに回復した
35ⅢCで撮影をお楽しみいただければと思います。

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キヤノン7のカメラ修理

今日は「スポーツ新聞の日」なのだそうです。
1946(昭和21)年のこの日に日刊スポーツ新聞社により
日本初のスポーツ新聞『日刊スポーツ』が
創刊したことが由来となっています。
駅売りやコンビニのスポーツ新聞とか
毎朝のように買っていた時期もありましたが
これも先日の「雑誌の日」と一緒で
最近は全部ネットでことがすんでしまうのですよねぇ
そもそも普通の新聞だってとらなくなって
もう20年以上経ってしまっています(苦笑)
でもスポーツ新聞は今でもプロ野球が始まると
たまに買ってしまうのですよねぇ
もちろんカープが快勝した翌日限定ですが。。。
優勝したときにはさすがに各社のスポーツ新聞全部買いました(笑
そういえば今日からカープのオープン戦もスタートします。
今日はズムスタでヤクルト戦です。
まぁオープン戦なので結果は二の次ですが
やっぱり良い内容で勝ってほしいですねぇ
オープン戦が始まると春が来た!って感じがします
予定は未定ですが今年は数試合でも現地観戦できるといいですねぇ

さてさて

今日は「キヤノン7」のカメラ修理を行っています。
1961年に発売されたレンズ交換式フォーカルプレーンシャッターの
レンジファインダー機です。
この頃になると各社、いわゆるレンジファインダー機から
一眼レフへ移行する時期と重なっていて
1957年に「アサヒペンタックス(AP)」
1958年には「ミノルタSR-2」、さらに翌59年には「ニコンF」、と
既に現在でも人気の高い一眼レフ機が発売されていました。
キヤノンも1959年には「キヤノンフレックス」
1960年には1/2000のSSで他メーカとの差別化を図った
「キヤノンフレックスR2000」を発売しています。
しかしながらレンジファインダー機の需要もまだまだあり
レンジファインダー機メーカーとして成功を収めていた
キヤノンとしてはまだ軸足はレンジファインダー機に
残っていたのではないかと思われます。
キヤノン7はレンジファインダー機末期の製品とはいえ
高い完成度で商業的にも成功しますが
キヤノンフレックスシリーズは一眼レフの重要なポイントでもある
システム性や使い勝手の悪さで他メーカーに
少々後れを取ったと言わざるを得ないと思います。
「7」の話に戻りますが
バルナックコピーの時代からその完成度の高さで
評価の高いキヤノンレンジファインダー機ですが
内部を細かく見ていくと「Ⅵ型」までは
まだバルナックコピー時代の名残を引きずっている部分もあり
整備・修理する立場で言うと
少し前時代的かな…と思う部分もありました
大きく変わったのはやはり「P」登場後で
明らかに作り方も変わりましたし整備性も良くなりました。
…とはいえあくまでも「P」は普及機で
その後に出た「7」がキヤノンとしては真打だったと思われます
当然「Ⅵ型」までまとわりついていたバルナックコピー時代の
名残はキレイに消え失せて
非常に完成度の高いカメラに仕上がっています。
「7」からローマ数字ではなく
アラビア数字表記のモデル名になったのも
「これまでとは違うんだよ」という
キャノンのメッセージが込められているのではないかと思います。

前置きが長くなりました(汗)
お預かりしている「7」は
とりあえずはシャッターは切れていますが
全体的にやはり油切れや積年の汚れで
動きの悪い部分も多く
スローガバナは固着しておりスローシャッターでは
シャッターが開いたまま固まってしまいます。
高速シャッターも全く精度が出ていない状態です。
問題があると対応が非常に困難な
セレン光電池で駆動する露出計は
動作はしてますが非常に不安定な上に
指針の振りが全く足りません。
根本的に起電量が足りないということであれば
もはやどうにもできませんが
接触不良もあるようなので
できる限りのことを試してみます。

画像は一通りの整備が完成した状態です。
装着しているレンズは当店のテスト用レンズです。
シャッターや巻上の動作は非常にスムーズになりました。
もちろんスローシャッターでもガバナも問題なく動作しています。
高速シャッターの精度も問題ないレベルまで達しており
動きも安定しています。
問題の露出計は若干オーバー目ではあるものの
実用上問題ないレベルに落ち着きました。
もちろん動作そのものも安定しています。
非常に気持ちよく使っていただけれるj交代になったと思います。
全体的にかなりの清掃、新たな注油を行っているので
少し動きが落ち着くまで様子見を行っていますが
もうほぼすべての動きが落ち着いてきた頃です
もう少し時間をおいて最終的なテストと
必要であれば微調整を行って完成となります。

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ミノルタSR-T101のカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの
「啓蟄」ですね。
大地が温まり冬眠をしていた地中の虫が
春の陽気に誘われて穴から出てくる頃と言われています。
春本番まであと少しという感じですね。
確かに随分暖かくなりましたが
まだ寒の戻りもあるようですし
寒暖差で体調を崩さないように気をつけましょう
次の節気はいよいよ「春分(3月20日)」で
この頃になると正に春真っ盛りになるはずです。あと少しですね。
ついこの間、お正月だと思っていたら
もう3月…月日の経つのは本当に早いですねぇ

さてさて

本日は「ミノルタSR-T101」のカメラ修理を行っています。
SR-T101も毎月コンスタントに修理依頼のあるカメラです。
ミノルタSRシリーズでおそらく最も売れたカメラで
最も長く作られたカメラです。
ミノルタ初のTTL測光の露出計を装備したカメラです。
はっきり調べたわけではありませんが
SR-Tの「T」はTTLからきっと取ったものだと思われます。
では何で「101」なんでしょうねぇ
ちなみにそれまでのモデル名の変遷は
SR-2、SR-3、SR-7(並行してSR-1)といった感じです。
TTL開放測光を採用したことにより
レンズ群も絞り伝達機構を持つ「MCロッコール」に一新したので
これまでのネーミングの流れとは
異なるものにしたのかもしれません。

お預かりしているSR-T101は
このカメラにしてはめずらしくシャッターが切れません。
SRシリーズのシャッターは非常に丈夫に作られていて
油切れで動きが悪かろうがなんだろうが
精度はともかくとしてもとりあえずはシャッターは
動作しているものが大半かと思われます。
動きのしんどいところを
健気に動いているだけではあるのですが…

今回のSR-Tは幕の位置から判断した感じでは
シャッターはチャージされている状態です。
レリーズボタンは押せる状態ですが
うんともすんとも何も動きません。
上の写真でも良く見ればわかるのですが
レンズ連動部の絞込レバーが絞込の位置で
止まっています。でもミラーアップはしていないのですね…
ちなみにマウント横にある絞込ボタンは押しても
元に位置に戻ってきます。
この絞込ボタンは正常の状態でも
ミラーチャージがされていないと絞込にすることはできません。
つまり巻き上げているときだけ有効なボタンです。
以上の現象から判断すると
おそらくシャッターはチャージされているのに
ミラーチャージがされていない状態だと思われます。
で、レリーズはしたのですがミラーがチャージされていないので
ミラーアップされずシャッターも動かない状態かと思います。
おそらく底部から強制的にミラーチャージしてしまえば
シャッターはとりあえず切れるかと思われます。
(実際にこの後、とりあえず切ることはできました)
ミラー駆動部の動作不良でミラーチャージロックが
できなかったことが原因かと思われます。
ミラー駆動部の整備を行わなければ
なんどでも同じことが起こると思われます。
シャッターが切れるちょうになったところで
とりあえずシャッタースピードの精度も現状チェックしたのですが
やはり幕軸の動きも悪く高速シャッターでは
先幕・後幕のバランスが全く取れておらず
結構な露光ムラが出るような状態です。

問題点と対処法がある程度、わかったところで本格的に
修理・整備に取り掛かります。
今回のように分解に入る前に原因と対処法が
ある程度わかっていいる状態であれば
比較的、整備は順調に進められます。
これが電子制御機等で
分解しながら原因と対処法を探る場合は
時間もかかるし手探りで大変な作業になりがちです。
そういう点でもSR-Tあたりは整備性の良いカメラで
露出計周りはともかく機械的部分で
予想外のトラブルが起こる可能性の低いカメラです。

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コニカⅢのカメラ修理

今日は「雑誌の日」だそうですよ。
いわゆる「紙の雑誌」って
本当に読まなくなりました…
昔それこそ暇さえあれば本屋さんに行って
色んなジャンルの雑誌を買って帰ったものですが…
そのときに興味のあるものにもよるのですが
カメラ・写真雑誌だったりクルマ・バイク雑誌だったり
比較的最近だと登山雑誌も…
あ、忘れちゃいけない一番買ってるのは
マンガ雑誌だったりしますね
とにかく買った後にかさばるのですよねぇ
今、思えばそれこそ中学生頃に買ったカメラ雑誌とか
バイク雑誌、二十歳頃に買ったクルマ雑誌とかは
取っておけばよかった!なんて今になって思いますが
引っ越しとかの際に大量に処分してしまいました…
今は興味のある新製品情報とかはネットで事足りますし
本屋さん自体にあまり行かなくなりました。
コミックだけは紙媒体でも買いますが
読みたいものだけを単行本で買うようになりました。
今でもたまに本屋さんに立ち寄れば
それなりに時間かけていろいろ見るし
興味がわけば買って帰るのですけどねぇ
頻度はかなり減ってしまいました。
でもそういう雑誌で得ていた情報以上のものを
いまはネット等で得られるわけですから
寂しい気もしますが
昔ながらの雑誌という形態は減っていくのでしょうね
よその業界のことを心配してる場合じゃないか
フィルムカメラ修理だっていつまでこうやってできるやら…(汗)

さてさて

本日は「コニカⅢ」のカメラ修理を行っています。
コニカ初の35mm判カメラ、コニカ・スタンダードの流れを汲む
シリーズのカメラでその後、Ⅰ、Ⅱと続き
今回のⅢが発売されたのが1956年になります。
それまでのⅡまではノブ式の巻上だったのですが
Ⅲでは特徴的なフロントレバー式の巻上となり
ダブルストロークで巻き上げます。
いわゆるセルフコッキングとなり
レバー巻上によりフィルム巻上と
シャッターチャージを同時に行います。
後の60年代以降のカメラだとセルフコッキングは
特に35mm判では当たり前になりますが
やはりフィルム巻上とチャージをそれぞれに
行わなければならないのは誤動作の元になります。
フィルムカウンターも自動復元式で
巻戻しボタンも押したまま巻き戻すタイプではなく
押した状態でちゃんとロックされます。
見た目のレトロさとは異なり
意外と現代的に使えるカメラです。
Ⅲに比べるとⅠやⅡはいかにも50年代のカメラで
ある程度この時代のカメラに詳しくないと
使い方に戸惑う部分もあるかとは思いますが
それに比べるとⅢは随分使い勝手の良いカメラです。
巻上レバー周りだけが少々独特ですが
これは慣れてしまえば逆にリズミカルに楽しく操作できると思います。
私も実は個人的に使うようにⅢを1台持っていますが
整備されたⅢのダブルストローク巻上は非常にフィールも良く
巻き上げることが楽しくなってきます。

お預かりしているコニカⅢは
随分長いいあだ眠っていた個体かと思われます。
まずは定番のシャッター羽根固着で
一発目のシャッターでまず間違いなく
すぐには開かずレリーズした後、しばらく待っていると
じわ~っとシャッターが開いて閉じていきます。
その際にシャッター羽根に油がベッタリ付着しているのも確認できます。
一度、シャッターを切るとしばらくは普通にシャッターが切れているのですが
しばらく間を置くとまたじわーっと開く状態になってしまいます。
絞り羽根は何とか動きますがやはり絞りリングが重く感じる上に
絞り羽根にも油付着が確認できます。
この粘った状態で絞り羽根を動作させていると
何かの拍子に絞り羽根が破損する可能性も高いので
極力余計なことはそれ以上せずに整備に取り掛かります。

他、巻上も重い感じですしファインダーに汚れ曇りもあり
レンズにはカビも発生しています。
致命的なトラブルこそありませんが
積年の汚れでいろんなところに細かな問題が出ている感じです。
大きなトラブルになるまえにしっかり整備していきたいと思います
(シャッター羽根粘りは撮影不可能な問題ではあるので
ある意味、既に「大きなトラブル」ですね)
まだ現状チェックを行っただけの状態です。
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。

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ヤシカエレクトロ35GLのカメラ修理

今日は「ジグソーパズルの日」なのだそうですよ
小学生高学年だったかな…中学生になってたかな…
一時期はまってました。
最初に組み立てたパズルは300ピースとかで
集中すれば1日で完成するくらいのものでした。
それから気に入った風景の絵柄とかの
500ピースとか1000ピースとかもクリアして
2000ピースまでは何とか完成させました。
実家に飾ってあったのだけど
実家を引き払った際に親父に捨てられたな(苦笑)
確か2000ピースはさすがに1ヶ月くらいかかったのかな…
組立て時にやたらと場所取るのですよねぇ
完成して固めてしまえば立てられるので
それほど邪魔にはならないのですが
組立て時は広げたままですし
うっかり何かで吹き飛ばしてしまうと大ショックです。
真っ暗なシャドー部とか
ひたすら根気よく合わせるしかない部分もあって
なかなか苦労した覚えがあります。
でも完成したときの達成感はすごく気持ち良いです。
そういえばカープの今年のグッズで
1面真っ赤な中の隅っこに小さく「Carp」のロゴが入っているだけの
いじわるな(笑)パズルがあったなぁ
300ピースだからまぁなんとかなるでしょうが
1面ほぼ柄のない単色をは組むのは結構な苦痛ですねぇ
1000ピースとかだったらクレーム入りそうですねぇ(笑)
さすがに今更、ジグソーパズルをやろうとは思いませんが
カタログとかを見ているとステキな絵柄ばかりで
ちょっと欲しくなるのですよねぇ…

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35GL」のカメラ修理を行っています。
エレクトロの修理は本当に多いのですが
「GL」はかなり久しぶりですね
前身のGSN(GTN)までは初代からのボディをずっと引き継いでいたのですが
この「GL」でかなり小型化されました。
同時に受光体も「CdS」から「SPD(シリコンフォトダイオード)」に変更され
低輝度時の反応速度がかなり改善されています。
「GL」より少し前に広角レンズで小型化された「CC」や
ピントを目測と割り切り超小型化された「MC」とかも
既に出ていたのですが「GL」の登場で
初代から続くエレクトロ35の本流も小型化されたことになります。
使用電池はMCやCCは4LR44だったのですが
「GL」は従来モデルと同じくエレクトロのために開発されたと言われている
「HMー4N」積層水銀電池を使用します。
もちろん現在では入手不可な電池なので
LR44x4個+電池アダプタで使用するのが無難かと思われます。
電子制御シャッターコパルエレク+絞り優先AEで
露出をコントロールするのは初代から変わりません。
大口径レンズも同様で「GL」はカラーヤシノンDX40mmF1.7を搭載します。

お預かりしている「GL」は
電池を入れるとバッテリーチェックは点灯するのですが
シャッターは明るさに関係なく定速となり
電池を入れていない状態と変わりません。
その上、露出計も反応していないようです。
(赤ランプや黄色ランプが全く点灯しない)
バッテリーチェックも基板を経由して点灯するので
基板までは確実に電源は入っているものと思われます。
ただ、そこからシャッターユニットや
受光体には電圧がかかっていないものと予想されます。
…となると基板内のトラブルの可能性が高く
もしかしたら修理不能の可能性も考えられます。

基板そのものがダメというパターンはあまりないカメラなので
おそらくハンダ付けとか接点の接触不良とかが
トラブルの原因とは思われますが
はっきりとピンポイントで「ここだ!」と
原因を発見するのはかなり困難だと思われます。
まずは怪しげな箇所をひとつひとつチェックしていくしかありません。
今日はテスターが大活躍ですね(苦笑)
まだ分解に取り掛かったばかりの状態なので
まずはここから集中して
トラブルシューティングを行っていきます。

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ペンタックスSPのカメラ修理

早いもので今日から3月です!
3月は英語で「March」ですが
「march」といえば「行進曲」のことでもありますよね、
ということで今日は「マーチの日・行進曲の日」なのだそうです。
3月の「March」はローマ神話の
「マルス(Mars)の月」を意味する「Martius」に由来しています。
マルスは「戦と農耕の神」で「軍神」とも呼ばれています。
行進曲の「march」とはスペルが同じなだけで
語源は全く違うのですね。
行進曲の歴史は古く17世紀の終わり頃に
オスマン帝国(トルコ)の軍楽隊をルーツとする
「トルコ行進曲」まで遡るのだということです。
有名なベートヴェンやモーツァルトの「トルコ行進曲」は
オスマン帝国軍楽隊の音楽をルーツとして作曲された行進曲です。
本来のトルコ行進曲は単なる楽曲のタイトルではなく
もっと広い範囲を指す言葉なのですね。調べていて初めて知りました。
でも日本だと行進曲と言えばやはり「軍艦マーチ」ですかね
他にも行進曲はいろいろありますが
行進曲を聞いていると小学校の運動会の行進の練習を思い出します。
単調でめんどくさい上に運動会前1ヶ月くらいから
何度も何度もやらされるのですよねぇ。。。
運動会そのものは好きでしたが
あの開会式・閉会式の行進練習だけは本当にいやだったなぁ
それにしても今考えると何であんなに気合入れて
運動会の練習やってたんでしょうねぇ…
今ではそんなことないですよね?
ところでモーツァルトの「トルコ行進曲」聴くと
どうにも運動会の「徒競走」を思い出してしまいます(笑)

さてさて

本日は「ペンタックスSP」のカメラ修理を行っています。
SPもコンスタントに毎月修理依頼のあるカメラです。
M42マウントということでペンタックスタクマーレンズ群はもちろん
世界中のM42マウントレンズ群を使用することができ
そこも未だに人気の高い要因になっていると思います。
発売当時は現在どころの騒ぎではなく
いわゆるハイアマチュアの方の中でのシェアはナンバー1だったと思われます。
本当かどうかははっきりしませんが
雑誌のフォトコンでの入選以上の作品が
全てSPで撮られていたこともあった…という話も聞いたことがあります。
それほどまでに支持を集めていたカメラなので
現存している台数も多いのですが
コンディションの悪い状態のものも多いのが現状です。
さすがに生産されてから50年以上経過するカメラですので
使いっぱなし、しまいっぱなしで
そのまますぐに使えるとは考えない方が良いかと思います。
現在、きちんと動作しているSPは
それなりに定期的に整備され、ある程度使い続けられている個体かと思います。

お預かりているSPは少々めずらしいブラック塗装のSPです。
適度な使い込まれ感がありなかなか良い感じです。
現状をチェックしてみると
まずは定番のプリズム腐食です。
プリズムの周りにぐるりと1周貼られている遮光材が
加水分解を起こしプリズムの塗装、蒸着を剥離してしまいます。
発売以来何も対策が取られていない個体は
まず間違いなくこのプリズム腐食が発生しています。
中古良品のプリズムと交換で対応いたしますが
腐食のないSPのプリズムは今や非常に希少で
なかなか見つけることが難しい状況となっています。
今回は何とかひとつ確保できたので無事に交換で対応できそうです。
シャッターはこれもよくある症状で
後なくの走行状態が非常に悪く最後までキチンと走り切りません
そのため最後にミラーダウンレバーを作動させることができず
ミラーアップしたまま固着という状態になってしまいます。
それほど後幕の走行状態が悪いということは
当然、全域にわたってシャッタスピードの精度は出ていません

画像にプリズムが写っていますが
劣化した遮光材が貼られているのが写っていますね
ここの内側が剥離して
ファインダー上で横方向に一直線に黒い線の入る
SP系特有のプリズム腐食が見られるようになるわけです。
シャッター周り、ミラー駆動部回るの修理・整備はもちろんですが
露出計周りの配線等もしっかり整備、修理していきます。
露出計そのものは現状何とか動いてはいますが
お預かり時には電池室に腐食した水銀電池が入ったままで
まずは電池室の蓋が強力に固着して開かない状態でした
もちろん電池室周りの配線や端子はかなり腐食していたので
交換や修理で対応し後で精度もキチンと調整します。
SPにありがちな露出計SWがシャッターを切っても
戻らない状態だったのでそれも対処いたします。
実はこのご依頼者様からは一緒に家から出てきたSPFと
レンズもスーパータクマー、SMCタクマー、合わせて4本
お預かりしておりそれぞれに大なり小なり問題を抱えているので
一気にすべて整備を行っていきます。
だいぶ長い間、眠っていたものと思われますが
ご依頼者様の手で是非、何十年かぶりに
今の景色をフィルムに焼き付けてほしいと思います

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