日別アーカイブ: 2025年6月19日

オリンパスペンEEDのカメラ修理

今日は「元号の日」らしいですよ。
645(大化元)年のこの日に
蘇我氏を倒した中大兄皇子(後の天智天皇)が
日本初の元号「大化(たいか)」を制定したことに由来しています。
「大化」以降、248の元号が定められています。
もちろん今は「令和」ですね。
ついこの間始まったばかりの元号だと思っていたら
もう「令和」も「6年」なんですよねぇ…
時の流れって気づかぬ間に確実に残酷に進みますねぇ(苦笑)
私が生まれたのが昭和44年…その後、平成・令和と続き
現在の元号から数えて昭和って二つ前なんですよね。
年数がそれぞれ違うので一概に言えませんが
私が子供の頃に二つ前の元号といえば…「明治」
当時でも「明治生まれ」といえばもうかなりのお年寄り…
そりゃ私がじじいになるはずだわ…(笑

さてさて

本日は「オリンパスペンEED」のカメラ修理を行っています。
1967年発売のカメラです。
ペンの最上位シリーズである「ペンDシリーズ」の一員とも
いえなくはないですが他の「ペンD」とは全く異なるカメラです。
とはいえ、「ペンEEシリーズ」とも中身は大きく異なるので
「EED」はペンの中でもちょっと異端児的なカメラです。
「D」ということもありレンズはGズイコー32mmF1.7の
大口径レンズを搭載します。
シャッターはコパルではなくオリンパス内製のプログラムシャッターです。
シャッター羽根と絞り羽根を二枚羽根で兼用としたタイプで
それをCDS使用の露出計と連動して露出を決定します。
誤解されることがたまにあるようですが
シャッターそのものは機械的に駆動します。
そのため露出計と連動しないフラッシュモードだと
電池がなくても駆動することができます。
ただオート露出モードだと露出計が振れていないと
赤ベロが出てシャッターロックがかかるため
現実的には電池を入れて露出計を動かさないと
普通に撮影に使用することはできません。

露出計が不動となって
撮影不可能になっている個体が多い印象ですが
お預かりしている「EED」は電池を入れると
露出計はとりあえず動作するようです。
ただし精度に問題があって
かなりオーバー目に制御されてしまうようです。
この状態で日中屋外等で撮影に使用すると
かなりハイキ-な写真を量産することになりそうです
それはそれで面白いといえば面白いのですが
やはり現実的にちょっと困りますね。
ペンEEDはフィルム室のモルトも最小限で
基本的には裏ブタの構造で遮光するコストのかかったタイプです。
ただし隙間の空きやすい丁番部と
反対側端の開口部にはモルトが使われています。
そしてやはりモルトは全滅です。
加えてファインダーやレンズには
それなりにクモリやカビが発生しています
さらに巻上が油切れか堆積した汚れのせいで
妙に重くなってしまっています。
やはり本来の使い心地でキレイな写真を撮るには
一通りの整備が必要な状況です。

これから分解を進めてまずはシャッターユニットを分離して
シャッターの整備を行っていきます。
そして外したレンズは入念に清掃を行い
シャッタユニットの外された本体側は巻上の整備と
露出計電気回路の点検整備を行います。
おそらく配線やハンダに劣化が見られると思うので
それを改善するだけでもオーバー傾向はある程度改善すると思われます。
その上で最終的には電気的に調整を行っていきます。
「EED」は構造的にも他のペンと共通項が少ないですが
デザイン的にもかなり独自性が強いと思います。
二枚羽根プログラムシャッターのためシャッター音も独特です。
なかなか個性が強くて面白いカメラだと思います。

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