キヤノンFXのカメラ修理

今日、制定されている記念日のほとんどが
阪神淡路大震災にちなんだものなのですが
その中に「おむすびの日」という記念日がありますね。
震災の炊き出しにちなんだものだそうです。
由来はさておき、炊き立て熱々のご飯で
手を火傷しそうになりながら作ったおむすびは
本当に美味しいですよね!
それであれば具材もナシの塩むすびが最高だと思います。
最近、めったに自宅でお米を炊くことがないのですが
熱々の塩むすびのためにたまにはお米を炊きましょう。
元々お米好きなのでむすびでなくても
広島菜が少しあれば炊き立てのご飯一合半はペロリと平らげちゃうのですが。。。
まぁ、この歳でそれを頻繁に行うといろいろ弊害が。。。(汗)

さてさて

本日はキヤノンFXのカメラ修理を行っています。

一眼レフの開発で完全に出遅れてしまった感のあった
キヤノンがいよいよ巻き返しを図るために新しく開発した
「Fシリーズ」、その最初のモデルが「FX」です。
「Fシリーズ」はその後、F-1やFTbへと発展し
ニューF-1まで含めると20年近く続いたことになります。
その間に基本的な構造は同一なものの
レンズマウントもFL、FD、ニューFDへと進化していきます。
最初のモデルであるFXの発売は1964年です。
オーソドックスな布幕横走り式機械制御シャッターを搭載し
露出計はCdSを使った外光式です。
シャッタースピードの設定に露出計指示版が連動し
指示された絞り値をレンズで設定するという方法です。

お預かりしているFXは
元々使えていたものらしいのですが
巻上が2/3ほど巻き上げられたところでロックしてしまっています。
もちろんシャッターは切れません。
巻上ロックがこんな位置でかかるわけはなく
原因がイマイチわかりません。。。
底部巻上周りの部品をいろいろチェックしていると
突然、巻上ロックが解除されて最後まで巻き上がりました。
「あれ?なんで直ったの?」と不思議に思っていると
10回ほどシャッターを切ったところで
再び同じ場所で巻上ロックされてしまいました。
もしや?と思い今度は上部巻上部のギア周りを
チェックしていくと。。。ありました。。。小さなナットが
紛れ込んでいてギアに噛みこんでいました。
これが原因のようです。
巻戻し側にある電池室端子が欠落しているのですが
それを留めていたナットがペンタ部を乗り越えて
ここまできてしまったようです。
電池室も後で修復して露出計も直します。

現存しているFXやFP、FTあたりのFシリーズ初期のモデルは
シャッター周りの油切れが進んでいて
キヤインというような高い異音を伴ってシャッターが切れるものが多いのですが
本来は非常に歯切れの良いキヤノンらしいシャッター音です。
今回もシャッターは切れるようになったのですが
油切れはかなり進んでいますので
幕軸周り、ミラー駆動部等も同時に整備を行っていきます。

写真は一通り整備を行って組み上げている途中でのものです。
ちょっとわかりにくいのですがシャッターダイヤルから
細い銅の帯が伸びていてそれで露出計の
指示板を動かしています。
この銅の帯が元々非常に脆いので注意が必要です。
普通に動かしている分にはまず切れることはありませんが
整備中にうっかり引っ掛けたりすると簡単に切れてしまいます。
ミノルタSRT系の連動糸やAE-1のワイヤに比べても
非常に切れやすく扱いには細心の注意が必要です。
昔、何度か痛い目にあいました(苦笑)

これからシャッタースピードの調整及び
露出計の調整をして完成となります。

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