オリンパスOMー1のカメラ修理

調べる前からわかっていましたが
今日は「箸の日」ですね。
「は(8)し(4)」(箸)と読む語呂合わせからです。
私も箸の持ち方はちょっとあやしいのですが
日本人たるもの箸は美しく使いこなしたいものですね。
毎年、この日が来ると
「毎日使うものだしちょっと良い塗り箸買おうかな…」と
考えるのですがなんだかんだ見送りになっています。
ちょっと後でいろいろ調べてみます。
気に入るようなものがあれば…

さてさて

本日は「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
今月もありますねぇ…「OM-1」毎月数台は
必ず修理を行っているカメラです。
ちゃんと集計したことはありませんが
おそらく機種別だと
ダントツに修理依頼の多いカメラだと思います。
それだけ現在でも大事に使われていることが
多いカメラなのだと思います。
元祖「軽量コンパクトな一眼レフ」ですね。
1972年発売(発売当初はM-1、翌年OM-1に改名)の
カメラですが
この頃の一眼レフは大柄で重いものしかない中
大幅に小型化され大ヒットしたカメラです。
さらに後になると電子制御機で
軽量な一眼レフは出てくるのですが
小さくてしっかり質感と精密感のあるカメラとしては
唯一無二のカメラかと思います。
ただし、他メーカーがやらなかった小型化を実現するために
独自の工夫や作りがいたるところに使われていて
それが故に多少デリケートな部分も多いカメラです。
それでも現行モデルであった頃は
非常に丈夫なカメラでしたが
生産から50年前後経過した現在では
当時の大柄で頑丈なカメラよりは
多少手がかかるカメラかとは思います。

お預かりしている「OM-1」は精悍なブラックボディです。
おそらく結構な長い間、
使われずに保管されていたカメラかと思われます。
まずは定番のプリズム腐食です。
プリズムと接眼レンズの間の遮光を行うために
貼られている内部モルトが加水分解を起こし
プリズムの蒸着を侵食することで起きる現象です。
何も手を入れられていない「OM-1」だと
ほぼ間違いなく発生するトラブルです。
幸いなことにまだキレイなプリズムは入手可能なので
当店では交換で対処します。
シャッターは一通り切れていて
露出計も一応は動作します。
しかしどちらもやはり精度は出ていません。
巻上のフィーリングも少々重々しい感じです。
積年の内部の汚れにより
動きが妨げられている状態なので
各部の分解整備を行います。

画像はまだ取り掛かり始めの段階ですが
ボロボロになったモルトとプリズムの腐食もしっかり写っていますね。
フィルム室のモルトはもちろんですが
内部に使われているモルトも定期的に交換されることが
前提で使われています。
致し方がないことですが何十年も未整備だと
これに限らず不具合が出てしまうのは当然です。
見慣れた内部の光景ですが
先述したようにデリケートな部分の多いカメラなので
集中して分解整備を行っていきます。

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ペンタックスSPFのカメラ修理

今日は「はちみつの日」だそうです。
「はち(8)みつ(3)」と読む語呂合わせからですね。
花の蜜のことをはちみつと呼ぶと考えられがちですが
花の蜜とミツバチの巣の中で貯蔵されたはちみつには
物理的・化学的な性質の違いがあるそうです。
まず花の蜜ははちみつよりも糖濃度が低いのです。
一般に花の蜜の糖度はミツバチが採集した段階で40%未満ですが
巣に持ち帰られた後で水分の発散が行われる結果
はちみつの糖度は80%前後に上昇します。
また、採集された花の蜜はショ糖液、
つまり水分を含んだスクロース(ショ糖)であり
ミツバチが巣に持ち帰ったはちみつは
ミツバチの唾液に含まれる酵素が蜜に混入し
その作用によって蜜の中のスクロースが
グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)に
分解されるのだそうです。
他にも、はちみつにのみコリンが含まれます。
コリンはミツバチの咽頭腺から分泌される
ロイヤルゼリーに含まれる物質です。
ロイヤルゼリーは女王バチの幼虫に与える食物で
女王バチが長寿で体も大きくなるのは
栄養価の高いロイヤルゼリーのおかげなのだそうです。
私、ほぼ毎日、プレーンのヨーグルトを口にするのですが
そのままだとさすがに食べにくいので
蜂蜜をたっぷり目にかけていただいています。
あの濃厚でねっとりとした甘さがたまらないのですよねぇ…
ただし…要は大部分が糖分なので
摂りすぎには要注意です…

さてさて

本日は「ペンタックスSPF」のカメラ修理を行っています。
1973年発売のカメラです。
大ヒットした「SP」の後継機で
これより2年前に出た電子制御機「ES」と同様に
SMCタクマーレンズを使用することによって
開放測光ができるようになったカメラです。
基本はねじ込みM42マウントのままなのですが
SMCタクマーレンズ用に定点ピンを設置し
絞り情報伝達機構が追加されています。
これまでのタクマーレンズ群(M42マウント)も
もちろん装着可能で
その場合はSP同様に絞り込み測光で測光します。
基本的なシャッターや巻上機構は「SP」と同様ですが
開放測光対応のために露出計回路は一新されています。
その中で「フォトスイッチ」が採用されています。
レンズキャップをしてファインダーに光が入らないようにすると
露出計が自動的にオフになるといったものです。
接眼レンズの上に測光用とは別で特製の異なるCDSを配置し
光が当たらないと抵抗値が最大値になり電流を遮断するという仕組みです。
そのため「SPF」には物理的な露出計SWが存在しません。

お預かりしている「SPF」は
まず定番のプリズム腐食です。
ファインダを覗くと中心部の少し下の
水平方向に黒い帯が見えています。
どうにも邪魔で気持ちよく撮影できない状況です。
加えて古い油脂類や汚れの影響で
シャッターやミラー動きは悪く
シャッターの精度は全く出ていません。
低速SS時にはミラーアップしたままになることもあります。
プリズム交換の上で各駆動部の清掃整備が必要な状況です。

画像にもプリズム腐食が写っていますね。
SP系のプリズム腐食の原因は
プリズムをぐるっと囲むように貼られた
遮光材の加水分解が原因です。
これがプリズムの塗装面に浸食し
さらにその内側の鏡面蒸着まで剥離させてしまいます。
余談ですがSPFはSPとのプリズム互換はありません。
それでもまだキレイなプリズムは入手可能なので
プリズム交換で対応いたします。
その前に分解を進めて各駆動部の清掃整備を行っていきます。

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キヤノンEXEEのカメラ修理

今日は「カフェオーレの日」だそうですよ。
6月1日が「世界牛乳の日」であり
10月1日が「コーヒーの日」であることから
その真ん中の日をコーヒーとミルクを混ぜて作る
「カフェオーレの日」としたとの由来です。
まったり甘いお茶うけと一緒にいただく
ガツンと苦いブラックのコーヒーも美味しいですし
毎日のようにいただく牛乳もそれぞれ美味しいですが
そのミックスともいえるカフェオレは
何とも優しくて口当たりもよく本当に美味しいですね。
私、普段はこれといって昼食をとらないので
お昼と午後3時に糖分補給を兼ねて
少し甘めに仕上げたカフェオレを毎日いただいています。
仕事中のちょっとした気分転換にも最適です。
ただ、甘くし過ぎないように少し気をつけていますが…
(血糖値高いですからね…(苦笑))

さてさて

本日は「キヤノンEXEE」のカメラ修理を行っています。
EXシリーズは「キヤノンFシリーズ」の時代の
エントリー向け一眼レフなのですが
少々変わったカメラです。
フォーカルプレーンシャッタの
一眼レフなのでレンズは交換式ではあるのですが
交換できるのは絞りより先端部分の前玉部分のみです。
絞りはボディ側と一体となっていて
絞りより後ろに2群3枚のレンズが固定されています。
コンパクトカメラにあるコンヴァージョンレンズのようなものです。
標準としてもともとカメラにセットされているのは
50mmF1.8です。
交換用前玉群は他に広角側から35mmF3.5、95mmF3.5
125mmF3.5が発売されています。
なるべくコストを抑えてシャッタースピード優先オート露出を
搭載した一眼レフ…を実現するためにこうなったようです。
他の一眼レフと大きく異なるのはここだけではなく
ボディ側に固定されている絞りをマニュアルで変更する場合は
鏡胴リングではなく巻き戻しクランク部に配置された
オート切り替え兼電源SW部で行います。
ここで絞りを設定してマニュアル撮影も可能ですが
その設定しやすさを考えても
やはり基本はシャッタースピード優先オートで撮るカメラです。
マニュアル時には露出計も使えませんし…
そしてファインダーも空中像式といわれる変わったもので
要はマット面を持ったスクリーンを装備していません。
ほぼ素通し状態なのでファインダーは非常に明るいです。
ただしマット面がないのでピントは中央部のプリズムでしか
合わせることができません。
レンジファインダー機のようなイメージですね。
普通の一眼レフとはいろいろ考え方が異なって
なかなか面白いカメラです。

お預かりしている「EXEE」は
かなり長い間、使われずにしまい込まれていたものと思われます。
各駆動部は明らかに油切れで
シャッターは動作しますが切ってみると
未整備のFシリーズ系にありがちな
ギャインという耳障りな音がしています。
当然ながらシャッタスピードの精度は全く出ていません。
そして電池室端子やその裏の配線腐食のため
露出計が全く動きません。
シャッタースピード優先オートで撮ることが基本のカメラで
露出計が使えないとさすがに困ります。
さらにファインダープリズムは視野の半分以上を見えなくするほど
プリズムが激しく腐食してしまっています。
EXEEはプリズム周りにモルトは使われていませんが
コストの関係かプリズム自体の蒸着劣化による腐食が多い印象です。
これは程度の良い中古品と交換で対処します。

画像でもプリズム腐食がはっきりわかりますね。
基本的なシャッター部や巻上部の構造は
他のFシリーズでも見慣れた光景であまり変わりはありません。
ただしレンズ周りが全く異なるので
多少分解手順が変わってきます。
それでも整備性は悪くないカメラです。
画像に写っているレンズ部分はボディ側と一体となる
後玉+絞り部分です。
ここもそうですが装着されていた50mmF1.8前玉部分にも
カビがそれなりに発生しているのでこちらの清掃も行っていきます。

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リコーオートハーフのカメラ修理

今日は「蓄音機の日」だそうですよ。
1877(明治10)年のこの日に
アメリカの発明家トーマス・エジソンが
「蓄音機」の特許をとったとされていることからだそうです。
現在のレコードプレーヤーのご先祖様ですね。
私もいまだにレコードを聴くことも頻繁にあるので
レコードプレーヤーはちゃんと持っています。
安物ですが真空管アンプもあります。
レコード盤から小さな埃等を飛ばして
針先を簡単に清掃してレコードをセットして
針を落とす一連の動作は新鮮さはないですが
何とも言えず楽しい時間です。
フィルムカメラでの撮影の一連の動作にも
通じる部分がありますね。
…まぁ結局…10代の頃に馴染んだものからは
離れられないってことかもしれません…(笑
話を少し戻しますが…
昔手に入れて散々聴きこんだ
レコードにカセットテープにCD…
そしてそれらから複製したデジタル音源…
使いこなせば便利な上にいろいろ楽しめますが
なかなかややこしいことになってきています。(苦笑)
いや…今、自宅の模様替えをやっているのですが
オーディオ環境の配置や配線が面倒なことになっていて…(汗)
時間を作ってぼちぼちやらなければ…

さてさて

本日は「リコーオートハーフ」のカメラ修理を行っています。
「オートハーフ」もシリーズ化されて
いろいろなモデルが存在しますが
今回は1962年に発売された初代オートハーフです。
四角いボディの前面にレリーズボタンがあるのが特徴です。
ハーフカメラも各メーカーからいろいろ出ていますが
代表格はやはりオリンパスペンシリーズと
このオートハーフシリーズかと思います。
特にオートハーフは
「誰でも簡単にシャッターを押すだけで撮れる」
全自動カメラを目指したカメラです。
後に電池制御満載な「全自動カメラ」は90年代あたりから
いろいろ出てきますがオートハーフは60年代です。
当然、電子技術など確立されておらず
全てが機械仕掛けで制御されます。
自動露出はセレン光電池を使用する
露出計指針をレリーズ時に挟み込むことで露出計を決定し
ピントは固定焦点ですべての撮影をカバーします。
極めつけは巻上をゼンマイ仕掛けで行います。
それでいて幅90mm、高さ71.5mm、奥行き31mmの
気軽に持ち歩けるコンパクトさを実現しています。
反対に現在ではもう作ることができないであろうカメラかと思われます。

お預かりしている「オートハーフ」は
ゼンマイ巻上が固着しているうえに
シャッターも切れない状態でした。
そのうえ露出計もファインダーから確認する限り
動作していないような状況でした。
ほぼすべての機能に問題がある状態です。
内部はよく考えられたカラクリ仕掛けで
繊細な部分も多いため積年の汚れや古い油脂で
いとも簡単に固着します。
今回もトラブルの多くはこういった原因の
固着や粘りが原因でした。
最も心配していたのはやはり交換となると入手の難しい
セレン光電池でしたが若干の劣化はあるものの
起電的には問題がなく調整や抵抗で
問題ない状態に復帰できそうです。
あとは分解して入念に細かい部分まで清掃整備を行い
調整をこれまた念入りに行います。

既に一通りの分解整備は完了し
最終テストを行っている段階です。
動きは非常にスムーズになり
全く問題なく撮影に使うことができます。
外装もできるかぎり磨き上げて見違えるほどになりました。
あくまで当時の普及カメラなので
部品一つ一つを見ていくと華奢な部分も多いですが
それなりに丁寧に使っていけば
まだまだ長く使い続けられるカメラだと思います。
ご依頼者様はまだおそらくこのカメラでの
撮影自体は経験がないと思われますので
存分に当時の撮影スタイルを楽しんでいただければと思います。

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ニコンFMのカメラ修理

今日は「梅干しの日」だそうですよ。
この頃に新物の梅干が食べられることから
また、梅干は健康に良く、「梅干しを食べると難が去る」と
昔から言われてきたことから
「なん(7)がさ(3)る(0)」の語呂合わせもあるとのことです。
この日の卯の刻(午前6時から8時)に
その年の恵方に向かって食べると
気が高まり精気がみなぎるとされているそうです。
恵方巻食べるより気軽そうですいいですね!
でもその時間帯はとっくに過ぎてしまいました…
冷蔵庫に梅干しあったのに…(笑
子供の頃にはかなり苦手な食べ物のひとつでしたが
大人になってから美味しく食べられるようになりました。
ごはんのお供や焼酎に入れるために常備していますし
たまに買うコンビニのおにぎりでも
梅干し入りをかなり好んで買ってしまいます。
あの酸っぱさがクセになるのですよねぇ…
…って書いているだけでなんだか唾液が口の中にたまります…(笑
日本人にはありがちな条件反射ですねぇ…

さてさて

本日は「ニコンFM」のカメラ修理を行っています。
1977年に発売されたカメラです。
前身の「ニコマートFT系」と同様に
コパルの金属幕縦走りユニットシャッターを
機械制御するマニュアル一眼レフです。
キャッチフレーズの「コンパクト・ニコン」の通り
大柄なニコマートに比べると随分とコンパクトになり
かなり現代的に洗練されました。
シャッター関連のスペックはニコマート時代とほぼ変わりませんが
露出計はAi対応の開放測光でファインダー表示は
シンプルな「+〇ー」のLED表示です。
Ai連動爪は後のFM2と異なり可倒式で
非Aiレンズも装着は可能です。
ただしその場合は絞り込み測光となります。

お預かりしている「FM」は最初全く露出計が動かない状態でした。
電池室の一部が割れていてそこから接触不良になっていると思われます。
それよりも心配だったのは上カバーをよく見ると
落下痕があり、その影響で露出計制御部の破損がないかどうかでした。
結論からいうと大丈夫だったのですが
「FM/FE」は比較的落下の影響を受けやすい部分に
割れやすい露出計制御部があり
それが破損してしまっている場合、修理不可能となります。
シャッターは一見、正常に動作しているように見えたのですが
測定器で測ってみると無視できないほどのズレがあり
分解してると羽根の根元部分に結構な汚れが溜まっている状態でした。
これが抵抗となりスムーズな動作ができない状況でした。

既に一通りの修理整備は完了した状態です。
電池室は中古良品と交換を行い
安定して動作しており精度も問題ない状態です。
シャッターも高速から低速まで
全く問題ない動きになっています。
少し動きが落ち着くまで様子見をしていたのですが
これから最終的なテストを行って
問題なければ完成となります。
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キヤノンTLbのカメラ修理

今日は「菜っ葉の日」だそうですよ。
「な(7)っ(2)ぱ(8)」(菜っ葉)と読む語呂合わせからだそうです。
葉物野菜を食べて夏バテを防ぎましょう!ということらしいです。
キャベツ、白菜、ほうれん草、小松菜、チンゲン菜、野沢菜、
水菜、レタス、ネギ、ニラ、タマネギ、ニンニクなどがありますね。
どれもビタミン類やミネラルが豊富に含まれています。
個人的には「なっぱ」といえば
私の実家では「広島菜のお漬物」だったのですよ
必ず食卓のどこかにあって
少し醤油をつけて食べるとこれが白飯に合うんです。
「なっぱ」だけでごはん一膳食べられちゃいます…
食べ盛りの頃はおかずがなくなると
ご飯はお茶漬けにして「なっぱ」を添えて
仕上げに一気に平らげる…なんてパターンがお決まりでした。
子供の頃に馴染んだものはいまだに習慣になっていて
広島菜はさすがにこちらにいると手に入らないので
代用の野沢菜を必ず朝ご飯のお供にしています。
お盆に帰省した際には広島菜も買って帰って
懐かしの味を堪能したいと思います。

さてさて

本日は「キヤノンTLb」のカメラ修理を行っています。
1976年発売のカメラです。
ちょっとめずらしいですね。
同じ年には次期Aシリーズの「AE-1」が登場するので
「Fシリーズ」としては末期のモデルとなります。
中身としては「Fシリーズ」を代表する中級機
「FTb」をよりシンプルにしたカメラです。
この前年に同様に「FTb」を簡素化したモデル
「TX」が輸出モデルとして登場していて
それの国内版ともいえるカメラです。
シャッタースピードは1/1000を省略し
最高速が1/1000となりました。
この時代のキヤノンお得意の「QL」も非搭載で
アクセサリーシューのx接点も省略されています。
FTbやF-1だとやたらと機能が追加されている
セルフタイマーレバーも絞り込みプレビュー機能のみとなり
ミラアップやセルフタイマーは省略されています。
「FTb」と同じくTTL開放測光ですが
露出計SWやバッテリーチェック機能も省略されています。
基本的に露出計は常にオン状態です。
…といっても露出計の電池消費量はわずかなものですし
レンズキャップでもしておけばほとんど消費されないと思います。
コンパクトカメラでも常時オンのカメラが結構ありますが
これで全く問題ないと思います。
電源SW周りのトラブルも多いですし…

お預かりしている「TLb」はかなり長い間使われいなったと思われ
どこかが致命的に壊れているわけではないのですが
全体的に動きが悪く高速シャッターの精度は出ておらず
低速にするとスローガバナーが粘ってしまう状況です。
露出計も動作はしているのですが
指針の振りが鈍く
不安定な上にかなりオーバー目を指示します。
配線劣化で正しい電圧が露出計まで届いていないと思われます。
油切れや内部の汚れも含め
全体的に清掃整備が必要な状況です。

プリズム内に腐食はありませんでしたが
お決まりのプリズム抑えのモルトの加水分解で
プリズム塗装部分に少し浸食が始まっていました。
腐食前に手を入れることができたので
貴重なキレイなプリズムをそのまま使い続けることができますね。
内部は基本的に「FTb」とほぼ共通ですが
「FT」以降、コンデンサレンズ背後に配置されていたCDSは
「TLb」では一般的な接眼レンズ上部に配置されます。
そのためキヤノンお得意の「中央部部分測光」ではなく
この時代に一般的な「中央部重点測光」となっています。
「FTb」では露出計SW及びバッテリーチェック周りの
接触不良が非常に多いのですが
「TLb」ではその部分がごっそりなくなっているのは良いですね。
余計なリスクがない構造となっています。
いろいろシンプルなつくとなっているカメラですが
普通に日中屋外で撮影する分にはこれで十分だと思います。
余計なものがない分、故障のリスクは減り
機械的にも余裕のあるカメラだと思います。

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オリンパス35DCのカメラ修理

今日は「スイカの日」だそうですよ。
スイカの縞模様を綱に見立てて
「な(7)つのつ(2)な(7)」(夏の綱)と読む
語呂合わせからだそうです。
夏を代表する果物ですよねぇ
言われてみればこんなに暑いのにまだ今年はスイカ食べてないや…
一人暮らしだとさすがに丸々とはいらないので
今夜あたりカットされたスイカでも買って帰りましょう
勝手なイメージなのですが
夏休みの日の朝には桃を食べて
お昼にはスイカを食べるってイメージが
子供の頃に植え付けられていて
この二つは本当に夏の代名詞です。
スイカに限りませんが
暑い日が本当に続くので水分補給をしっかりしましょう
でも果物で水分補給って
今考えるといろいろ贅沢だなぁ…(笑
でも美味しいからできるだけ旬の果物は小まめに買って
しっかりいただきます!

さてさて

本日は「オリンパス35DC」のカメラ修理を行っています。
1971年発売のカメラです。
ネーミングの由来はデラックスなコンパクトです。
低輝度な場面から高輝度な場面まで
どんなシーンでも簡単に撮影するための
40mmF1.7大口径レンズに
露出計連動プログラムシャッターの組み合わせです。
詳しい情報はありませんがかなりのヒット作だと思います。
そのため現存台数は多く
当店にも修理依頼の多いカメラです。
シャッター自体は機械式のプログラムシャッタで
本来は電池がなくても動作するのですが
露出計連動の上に露出計が振れないほどの低輝度の場合は
失敗を防ぐため機械的にシャッターロックがかかります。
シャッターロックを回避するための
強制シャッターモードもあるのですが
これも強制的に露出計を動作させて解除するため
いずれにしても電池が入っていないとシャッターを切ることができません。
そして電池室等のトラブルで露出計が不動となっている
個体が非常に多いカメラでもあります。
当店にやってくる「35DC」はたいていは露出計関連のトラブルです。

お預かりしている「35DC」も露出計が不動で
シャッターを切ることができません。
でも完全に不動というわけでもなく
電池を入れたり出したりしていると
たまに露出計が動作してシャッターが切れることもあるようです。
ご依頼者様曰く少し前までは普通に使えていたそうです。
電池室を見ても液漏れ跡や腐食は見当たらず
さほど悪いコンディションと思えません。
「35DC」はオリンパスらしく(苦笑)
少々変わった構造をしていて
露出計が底部に配置されています。
そのため底板を外せば露出計にはアクセスできるので
先に露出計本体がキチンとぐ置くかどうかだけはチェックしておきます。
露出計に直接電圧をかけてみたところ元気に針は振れますので
露出計本体には問題ないようです。
…となると…問題は配線かハンダの劣化かと思われます。
ちなみに電池室の真横に露出計が配置されているのに
電池室からの配線はいったん上部の基盤を経由して
CDS回路等を経由してまた下部の露出計に降りてくる構造です。
限られたスペースに配置するための工夫かと思われますが
少々ややこしいです…

電池室裏のハンダにも劣化はありましたが
それよりも原因はそこからの配線そのもの劣化でした。
電池室から上部基盤までの配線を外して
両端をテスターであたってみると
明らかにまともに導通していない状態でした。
両端の剥けた部分は一見キレイでゴム被膜にも潰れ等はないのですが
やはり見た目だけではわかりませんね。
内部はしっかり腐食が進んでいるようです。
上画像は配線を外す前の取り掛かり始めのモノですが
フラッシュマチック関連もあり
指針抑え式機械式プログラムオート機の割には
いろいろややこしいカメラです。
あまり整備性が良いとは言いにくいですね。
それでも機械制御なのでそれなりになんともでもなるのですが…
劣化した配線は交換し、他の部分のチェックや整備を含めて
入念に隅々を見ていきます。

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キヤノネットQL17G-Ⅲのカメラ修理

今日は「はんだ付けの日」らしいですよ。
「はんだ」が7種類の元素(Sn:錫、Pb:鉛、In:インジウム、
Ag:銀、Cd:カドミウム、Bi:ビスマス、Sb:アンチモン)から
できていることと
「はんだ付け」に最適な温度が250℃であることからだそうです。
なかなか強引ですね(苦笑)
由来はさておきハンダ付けは仕事柄ほぼ毎日のように行います。
電子制御シャッター機はもちろんのこと
機械制御機でも露出計内臓であれば必須ですし
露出計がなくてもシンクロ接点等もありますから
何らかの配線がハンダで留まっています。
そして配線自体もそうですがハンダも長い年月の間に劣化します。
一見、しっかり付いているようにみえて
実は導通していないなんてことも古いハンダ付けだと多々あります。
だからハンダ付けはやはり毎日のように行います。
修理始めたばかりのころは比較的、はんだ付けって苦手だったのですが
毎日のように手にしているとそれなりにコツがわかってきますね。
無駄にはみ出さないように(短絡の原因になる)
そしてしっかりとくっつけることが目的です。
そのためにはハンダゴテもしっかり手入れをしていないと
きちんとハンダ付けすることができません。
そういえばハンダゴテの手入れ少し間隔があいていました
あとで軽くコテ先を磨いておきましょう…

さてさて

本日は「キヤノネットQL17G-Ⅲ」のカメラ修理を行っています。
1972年発売のカメラです。
初代(1961年)からキヤノンのコンパクトカメラ部門を
支え続けてきたキヤノネットですが
この「G-Ⅲ」が最終モデルとなります。
最終モデルとはいえ前モデルの「ニューキヤノネット」と大差はなく
バッテリーチェックがランプ式に変更されたくらいです。
レンズやシャッター等の機能には全く変更はありません。
「ニューキヤノネット」で一気に小型化され一新しましたが
露出計と連動するシャッター速度優先オートを搭載し
マニュアル露出も可能なレンズシャッター機で
F1.7~F1.9の大口径レンズを搭載…という主な機能自体は
初代から変わっていません。
マニュアル露出時には露出計がオフ…という点も初代から共通です。
さらにいうとオート制御や巻上機構の主要な機械駆動に関しても
基本的な構造は初代からあまり変わっていません。
それだけ初代での基本設計が優れていたということだと思います。
「G-Ⅲ」はやはり小型化の恩恵で使いやすく
しっかり写る大口径レンズで光量の少ない場面でも
安定した露出を選択できるカメラです。
そのためやはり現在もなかなかの人気機種で
当店でも修理依頼の多いカメラです。

お預かりしている「G-Ⅲ」はシャッター羽根が固着してしまっていて
巻き上げてレリーズボタンを押してもうんともすんとも言いません。
露出計は精度はともかくとしてもしっかり動作しています。
羽根の付着した油脂類等の汚れが原因と思われます。
キヤノネットに限らずレンズシャッター機の定番トラブルです。
オート時の絞り制御のためシャッター羽根以上に
小さな力で駆動する絞り羽根も固着とはいかないまでも
やはり粘りが出てしまっています。
これでは露出計が正しくてもオート制御は正しく行い状態です。

整備性は悪くないカメラですが
さすがに小型されているため以前の大柄なキヤノネットに比べると
内部スペースに余裕がなく多少ややこしい部分もあります。
これからシャッターユニットを分離して
シャッターの整備を行っていきますが
シャッターユニットを下すのも以前のキャノネットに比べると
少々やりにくいですね。
それでも内部はよく考えられていて
いろいろな調整幅もしっかりと取られています。
比較的慣れた機種ではありますが油断せずに
慎重に作業を行っていきます。

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ニコマートFTのカメラ修理

今日は「卒業アルバムの日」なのだそうですよ。
なぜこの時期に???と思ったら
「な(7)つ(2)かし(4)い」(懐かしい)と読む
語呂合わせからだそうです。
昔は学校の行事ごとに近所の写真屋さんの主人が
カメラマンとして大活躍していましたが
今はそういうのも形を変えているのでしょうねぇ
修学旅行とかにも同行していましたから
あれはあれで責任もあるし大変だっただろうなぁ…
その写真屋さんのところに私も子供の頃は
よく現像に出しに行っていたものです…確かに懐かしい…(笑
その写真屋さんが大活躍だった卒業アルバムも
小中高と家の押し入れの奥に眠っています。
実家を片付けたときに持ってきたのですが
たまには引っ張り出してみるか…

さてさて

本日は「ニコマートFT」のカメラ修理を行っています。
1965年発売のカメラです。
「ニコマートシリーズ」の第一号機ですね。
これより前に普及機として「ニコレックスシリーズ」が
存在していたのですが外部に製造を委託したこともあり
個性的で面白いカメラが多いものの
ニコン製品としては正直なところイマイチで
商業的にも失敗といえる状況でした。
それを踏まえて「ニコマートシリーズ」では
シャッターユニットこそユニットシャッターである
「コパルスクエア」を搭載したものの
(コパルスクエアは非常にクオリティの高いシャッターユニットです)
開発組み立てはニコン社内で行い
クオリティ的にも劇的に進化した中級機となりました。
使い心地やシステム拡張の面ではF一桁機にかなわないのは
当然としてもニコンらしい堅牢性に非常に優れたモデルです。

…というくらいなので致命的なトラブルはかなり少ない
ニコマートなのですが
今回の「FT」はミラーアップしたままシャッターが切れません。
よくある汚れの蓄積によるミラー駆動部の粘りではないようです。
シャッターユニット自体はさすがコパルスクエアで
特に問題はないと思われます。
外から状況を見ても今回はよく原因がわからないので
まずは分解しながら内部の様子を伺っていきます。
露出計は完全に不動です。
これも露出計本体ではなく電池室からの配線腐食かと思われます。

当初のトラブルの状況を細かく説明すると長くなるので
割愛しますがミラーアップで固着なのは確かなのですが
その状況がよくあるパターンとは明らかに異なっていたので
何かおかしいな…と思いながら分解していったのですが
ミラーボックスを外してみたところでそれが判明しました。
プラスチックの異物がミラーダウンリンク部の足に
挟まって動きを完全に妨げていました。
内部のどこからか落ちてきたのか…とも一瞬思いましたが
そのプラスチック片を見たところ
明らかに内部で使われているようなものではありません。
一体どこから入り込んだのか…
そんな大きな隙間のあるカメラではないのですが…
原因ははっきりしたのでよいのですがその異物を挟み込んだまま
動作しようとしていたためリンケージ部の変形も多少あるようです。
正しくスムーズに動くように修理整備を行っていきます。
露出計不動の原因はやはり電池室からの配線が
腐食で断線してたことが原因のようです。
こちらも交換した上で露出計の調整を行っていきます。

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ミノルタハイマチック7のカメラ修理

今日は「日本最高気温の日」なのだそうです。
2018(平成30)年7月23日に
埼玉県熊谷市で41.1℃を観測し
さらに、2020(令和2)年8月17日に
静岡県浜松市でも同じく41.1℃を観測しました。
2025(令和7)年7月時点で
これらの7月23日と8月17日の日付が「日本最高気温の日」となっています。
この記念日これからもどんどん更新されるのでしょうね…
しかしながら今日の都内の最高気温予想は35℃で猛暑日ですが
これでも強烈に暑いのに40℃なんてもはや殺人的ですね…
寒いのは着込めばなんとかなりますが
暑いのはどうにもなりませんものね…
昨日は定休日で今日と同様に暑かったのですが
さすがに日中は極力外出しないようにしていました。
まだまだ盛夏は始まったばかりですが
早く秋になってほしいものです。

本日は「ミノルタハイマチック7」のカメラ修理を行っています。
1963年発売のカメラです。
初代のハイマチックはプログラムオート露出専用のカメラでしたが
2代目となる「7」ではマニュアル露出も可能になっています。
前面に配置されていたレリーズボタンも
一般的な上カバー上に移設されました。
オート露出に連動する露出計もセレンを使うものから
受光体はCDSに変更されています。
シャッターユニットはセイコーLA、
搭載されるレンズはロッコールPF45mmF1.8の大口径です。
基本設計に非常に優れたカメラで
後のハイマチック9、7S、11まではシャッタユニットの変更等はありますが
基本的な構造は「7」と同様です。
コンパクトカメラの小型化の波が押し寄せるまでは
この構造で全く問題なかったわけですね。
ハイマチックとしては2代目なのに「7」なのは
初代ハイマチックのOEM提供商品であったアンスコオートセットが
宇宙船フレンドシップ7号に使用されたことから
それにちなみ名称に「7」を採用しています。
一眼レフの「SR-7」と同様の理由です。
これ以降、ミノルタのカメラで「7」は定番のネーミングになります。

お預かりしている「ハイマチック7」は
まずレリーズボタンを押してもシャッターはピクリとも動きません。
巻上もできない状況です。
加えて電池を入れ替えても露出計は全く動作しません。
要は「何も動かない」状態です。
あ、各リング類はとりあえず回せます…
シャッター羽根は汚れ等で完全に固着です。
当然ながらそれよりも固着しやすい絞り羽根も完全に固着です。
露出計は電池室裏で完全に断線していて電源が供給されない状態です。
レンズやファインダーのカビや汚れもそれ相応にあり
全体的に清掃整備調整が必要な状態です。

小型化される前の世代のコンパクトカメラなので
整備性は良好です。
定番の指針抑え式のオート露出制御ですね。
ハーフミラーの状態が少々心配でしたが
問題なくクリアな状態にできそうです。
これから入念に清掃整備を行っていきます。

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