キヤノンFTのカメラ修理

今日は「噴水の日」だそうですよ。
1877(明治10)年のこの日に
東京上野公園で第1回内国勧業博覧会が開催され
会場中央の人工池に
日本初の西洋式の噴水が作られたことが由来になっているそうです。
噴水はいつまでも眺めていられますよねぇ
子供の頃に呉市中央公園の噴水広場で良く遊んだなぁ…
ここの噴水、今でも基本的に50年前と変わらないのですよね
今度、呉に戻ったときにもっと写真撮っておかなくては…
そう考えると昔ほど公園で噴水を見なくなったような気がします。
気のせいかな…都内だとぱっと思い出すのは
日比谷公園くらいしか浮かばないですねぇ…
最近だと夜ライトアップされる噴水とかもあると思うのですが
ここ10年くらいそんなオシャレなスポットには行く機会がないな…
ちょっと都内の気軽に行けるところで噴水があるとこ調べてみます…

さてさて

本日はキヤノンFTのカメラ修理を行っています。
キヤノンFLマウントの絞込測光機ですね。
1966年発売のカメラです。
これの開放測光機がFDマウントのFTbとなり
以前はFTbのほうが当店にやってくることが多かったのですが
最近はやたらとFTが多いのですよね
先月もFTの修理ブログ書いたような気がします…
シャッター、巻上、ミラー駆動等の
基本的構造はFシリーズ初代の「FX」から引き継いだものですが
もちろん細部はブラッシュアップされていて
非常に精度高く安定した動きをするカメラです。
FXでは外光式だった露出計はTTL測光となり
その受光体はコンデンサレンズの背後にセットされます。
コンデンサレンズ内にハーフミラーが組み込まれており
ファインダー視野の12%にあたる中心部の光のみをCdSに導きます。
そのためこの時代の多くのTTL測光機が採用していた
平均測光や中央部重点測光ではなく中央部部分測光となります。
受光体の取り付け位置も外光に影響されにくい部分で
非常に精度の高い測光方式と言えると思います。
露出計の構造を理解している方なら
部分測光の方が露出の難しい場面でも予想しやすいと思います。
このコンデンサレンズの背後に受光体を置くキヤノン独特の構造は
後のF-1やFTbにも受け継がれます。
さらにこの時代のキヤノンお得意の機能となる
QL(クイックローディング)も搭載され
フィルム装填が簡単に行えます。

お預かりしている「FT」は
まずお決まりのプリズム腐食を抱えています。
Fシリーズのカメラもプリズム腐食の非常に多いカメラですが
パターンとしては視野内縦方向に水が流れたかのような
モヤモヤが出現しているパターンです。
プリズム交換するのが最適な対処法ですが
FT、FP、FXの腐食のないプリズムは
もはや入手が非常に困難になっています。
今回は何とか交換で対処できそうですが
今後はだんだん難しくなると思われます。
加えて低速シャッター時にかなり高い確率で
ミラーアップしたままとなってしまいます。
SSを「B」に設定して動きを何度か確認したのですが
普通にシャッター幕が走行して
ミラーダウンまで何事もなく完了することもあれば
後幕が…するする…するっ…とゆっくりとしか出てこずに
その後、最後1/4を残して
開いたまま止まってしまうようなこともありました。
もちろんミラーはアップしたまま固まってしまいます。
後幕の動きがかなり悪いようです。
そのために起こるミラーアップですね。
当然この状態で高速シャッターでの精度も出ているわけもなく
シャッター幕軸の清掃注油の上の調整が必要です。

ちょっとわかりにくいですが
プリズムの縦方向の腐食が2本見えていますね。
こいつの原因はその横に写っている
プリズム抑えの金具の裏に貼られている
モルトプレーンの加水分解が原因です。
プリズムカバーが一応あるとはいえ
隙間もあるので長い時間をかけて
プリズムを腐食させてしまいます。
もちろんプリズムカバーがなければこんなものではすまず
視野中央に真っ黒い帯がでるような腐食になると思います。
プリズム周りのモルトを原因とする腐食は
どのメーカーのカメラも多いですね…
定期的に交換していないと間違いなく発生してしまいます。
プリズムは最終的に載せ替えますが
その前にっこから分解を進めて
シャッター周り、巻上、ミラー周りの整備を行っていきます。

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