リコーオートハーフEのカメラ修理

今日は「森林の日」だそうですよ。
「しんりんのひ」ではなく「もりのひ」と読むそうです。
日付の5月は「森林」の中に「木」が5つ入っていることから
20日は「森林」の総画数が20画であることからだそうです。
足が少し不自由になってから
もうすっかり山歩きからは離れてしまいましたが
どこの山に登ったって
大抵の場合、登山の最初は鬱蒼とした森歩きから始まるのですよね。
ほぼ間違いなく早朝スタートなので
ひんやりとした空気と森の何といえない空気が美味いのです。
深呼吸するのが気持ちよくてしかたないほど…
高い山で森林限界を超えて森を抜けたときの爽快感も
最高ですが深い森の中をただひたすら歩くのも
身体の中が浄化されるようでなんとも気持ち良いものです。
ただ…山域や季節によりますが虫が多いのですよねぇ(苦笑)
虫自体はそれほど嫌いではないですが
あまりにもまとわりつかれたり刺したり噛んだりするものは
さすがに困ります…
本格的な山歩きは無理ですが
森の入口くらいなら平気そうだし
そのうち森の空気を吸いに行きたいです。
苔むす北八ヶ岳とか気持ちよさそうですねぇ…

さてさて

本日は「リコーオートハーフE」のカメラ修理を行っています。
オリンパスペンシリーズと並んで
ハーフカメラを代表するカメラですね。
最初のオートハーフは1962年に発売されますが
ハーフ判ならではのコンパクトさに加えて
とにかく誰でも簡単に写真が撮れるカメラというものを
目指して作られたカメラです。
セレン光電池を利用した露出計を搭載し
その露出計に連動し露出は自動化され
ピントは被写界深度を最大限に利用した固定焦点で
ピント合わせも不要
さらにはゼンマイ仕掛けでバネさえ巻いておけば
巻上すらも自動で行うというこの時代ならではの「全自動カメラ」です。
撮影者はまさに構えてレリーズするだけですね。
加えて搭載される3群4枚リコー25mmF2.8レンズの写りもよく
ハーフ判とは思えない優れた描写をするということで評価も高いのです。
初代以降、いろいろなタイプのオートハーフが発売されていますが
最もよく見かけるのが今回の「E」だと思われます。
1966年発売のモデルで前年に発売された
「S」からセルフタイマーを省略したタイプです。
当初からボディ前部のアルマイト板にいろいろなデザインが用意され
さらにことあるごとにデザインを追加されたり
限定のデザインが発売されたりで
そのバリエーションは今やメーカーでも把握しきれていないそうです。
当時の時代を反映したようなレトロなデザインの図柄も多く
今でもレアなデザインのモデルは高値で取引されているそうです。

お預かりしている「オートハーフE」は
ご依頼者様のお話によるとできあがった写真が
全くピントが合っていないそうです。
動作自体は一通り動いていて
弱点とされるフィルム室のモルトも交換がされている個体です。
オートハーフは人気モデルでもあり
中古で流通しているものの多くは
いろんな形で整備分解されているものが多いのですが。。。
おそらく分解時にピント設定がおかしくなったものと思われます。

ピントが目視で確認できる状態にして
測定してみるとやはり大きくピント設定がズレてしまっています。
構造上レンズを取り外すとピント設定は必ず必要で
一応、元の位置に戻すための目印等はつけてある形跡があるのですが
目印通りに設定できていない状態です。
あるいは目印を付けたときの分解整備とは別のタイミングで
再び分解されてるのかもしれません。
心配されるセレンは一応…生きているのですが…
これもどうもうまくない感じです。
LV15ではほぼ問題ないのですが
LV12以下だと全くダメな感じですね…
詳細は省きますがセレンおよびそれに関連する抵抗類は
こちらで用意したものに交換しました。
これも前回の分解時にいろいろ考えたようで
細工がしてあったのですが
ちょっとうまく動作していない…という状態でした…

画像は一通りの整備が完了した状態でのものです。
ピント精度は問題なく調整済みで
オートの精度も以前とは全く異なり問題ない状態に調整済みです。
もちろんシャッターユニットや巻上ゼンマイ部の整備も
一通り行っておりスムーズに動作する状態です。
これでこれからは非常に快適に使えると思いますし
本来の写りを楽しんでいただけると思います。
このシルバーの花柄もいいですねぇ
オートハーフはいろんなデザインのものを
預かるたびに私の物欲も刺激されがちなので
注意と理性が必要です(笑

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