ミノルタSR-T101のカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの
「啓蟄」ですね。
大地が温まり冬眠をしていた地中の虫が
春の陽気に誘われて穴から出てくる頃と言われています。
春本番まであと少しという感じですね。
確かに随分暖かくなりましたが
まだ寒の戻りもあるようですし
寒暖差で体調を崩さないように気をつけましょう
次の節気はいよいよ「春分(3月20日)」で
この頃になると正に春真っ盛りになるはずです。あと少しですね。
ついこの間、お正月だと思っていたら
もう3月…月日の経つのは本当に早いですねぇ

さてさて

本日は「ミノルタSR-T101」のカメラ修理を行っています。
SR-T101も毎月コンスタントに修理依頼のあるカメラです。
ミノルタSRシリーズでおそらく最も売れたカメラで
最も長く作られたカメラです。
ミノルタ初のTTL測光の露出計を装備したカメラです。
はっきり調べたわけではありませんが
SR-Tの「T」はTTLからきっと取ったものだと思われます。
では何で「101」なんでしょうねぇ
ちなみにそれまでのモデル名の変遷は
SR-2、SR-3、SR-7(並行してSR-1)といった感じです。
TTL開放測光を採用したことにより
レンズ群も絞り伝達機構を持つ「MCロッコール」に一新したので
これまでのネーミングの流れとは
異なるものにしたのかもしれません。

お預かりしているSR-T101は
このカメラにしてはめずらしくシャッターが切れません。
SRシリーズのシャッターは非常に丈夫に作られていて
油切れで動きが悪かろうがなんだろうが
精度はともかくとしてもとりあえずはシャッターは
動作しているものが大半かと思われます。
動きのしんどいところを
健気に動いているだけではあるのですが…

今回のSR-Tは幕の位置から判断した感じでは
シャッターはチャージされている状態です。
レリーズボタンは押せる状態ですが
うんともすんとも何も動きません。
上の写真でも良く見ればわかるのですが
レンズ連動部の絞込レバーが絞込の位置で
止まっています。でもミラーアップはしていないのですね…
ちなみにマウント横にある絞込ボタンは押しても
元に位置に戻ってきます。
この絞込ボタンは正常の状態でも
ミラーチャージがされていないと絞込にすることはできません。
つまり巻き上げているときだけ有効なボタンです。
以上の現象から判断すると
おそらくシャッターはチャージされているのに
ミラーチャージがされていない状態だと思われます。
で、レリーズはしたのですがミラーがチャージされていないので
ミラーアップされずシャッターも動かない状態かと思います。
おそらく底部から強制的にミラーチャージしてしまえば
シャッターはとりあえず切れるかと思われます。
(実際にこの後、とりあえず切ることはできました)
ミラー駆動部の動作不良でミラーチャージロックが
できなかったことが原因かと思われます。
ミラー駆動部の整備を行わなければ
なんどでも同じことが起こると思われます。
シャッターが切れるちょうになったところで
とりあえずシャッタースピードの精度も現状チェックしたのですが
やはり幕軸の動きも悪く高速シャッターでは
先幕・後幕のバランスが全く取れておらず
結構な露光ムラが出るような状態です。

問題点と対処法がある程度、わかったところで本格的に
修理・整備に取り掛かります。
今回のように分解に入る前に原因と対処法が
ある程度わかっていいる状態であれば
比較的、整備は順調に進められます。
これが電子制御機等で
分解しながら原因と対処法を探る場合は
時間もかかるし手探りで大変な作業になりがちです。
そういう点でもSR-Tあたりは整備性の良いカメラで
露出計周りはともかく機械的部分で
予想外のトラブルが起こる可能性の低いカメラです。

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コニカⅢのカメラ修理

今日は「雑誌の日」だそうですよ。
いわゆる「紙の雑誌」って
本当に読まなくなりました…
昔それこそ暇さえあれば本屋さんに行って
色んなジャンルの雑誌を買って帰ったものですが…
そのときに興味のあるものにもよるのですが
カメラ・写真雑誌だったりクルマ・バイク雑誌だったり
比較的最近だと登山雑誌も…
あ、忘れちゃいけない一番買ってるのは
マンガ雑誌だったりしますね
とにかく買った後にかさばるのですよねぇ
今、思えばそれこそ中学生頃に買ったカメラ雑誌とか
バイク雑誌、二十歳頃に買ったクルマ雑誌とかは
取っておけばよかった!なんて今になって思いますが
引っ越しとかの際に大量に処分してしまいました…
今は興味のある新製品情報とかはネットで事足りますし
本屋さん自体にあまり行かなくなりました。
コミックだけは紙媒体でも買いますが
読みたいものだけを単行本で買うようになりました。
今でもたまに本屋さんに立ち寄れば
それなりに時間かけていろいろ見るし
興味がわけば買って帰るのですけどねぇ
頻度はかなり減ってしまいました。
でもそういう雑誌で得ていた情報以上のものを
いまはネット等で得られるわけですから
寂しい気もしますが
昔ながらの雑誌という形態は減っていくのでしょうね
よその業界のことを心配してる場合じゃないか
フィルムカメラ修理だっていつまでこうやってできるやら…(汗)

さてさて

本日は「コニカⅢ」のカメラ修理を行っています。
コニカ初の35mm判カメラ、コニカ・スタンダードの流れを汲む
シリーズのカメラでその後、Ⅰ、Ⅱと続き
今回のⅢが発売されたのが1956年になります。
それまでのⅡまではノブ式の巻上だったのですが
Ⅲでは特徴的なフロントレバー式の巻上となり
ダブルストロークで巻き上げます。
いわゆるセルフコッキングとなり
レバー巻上によりフィルム巻上と
シャッターチャージを同時に行います。
後の60年代以降のカメラだとセルフコッキングは
特に35mm判では当たり前になりますが
やはりフィルム巻上とチャージをそれぞれに
行わなければならないのは誤動作の元になります。
フィルムカウンターも自動復元式で
巻戻しボタンも押したまま巻き戻すタイプではなく
押した状態でちゃんとロックされます。
見た目のレトロさとは異なり
意外と現代的に使えるカメラです。
Ⅲに比べるとⅠやⅡはいかにも50年代のカメラで
ある程度この時代のカメラに詳しくないと
使い方に戸惑う部分もあるかとは思いますが
それに比べるとⅢは随分使い勝手の良いカメラです。
巻上レバー周りだけが少々独特ですが
これは慣れてしまえば逆にリズミカルに楽しく操作できると思います。
私も実は個人的に使うようにⅢを1台持っていますが
整備されたⅢのダブルストローク巻上は非常にフィールも良く
巻き上げることが楽しくなってきます。

お預かりしているコニカⅢは
随分長いいあだ眠っていた個体かと思われます。
まずは定番のシャッター羽根固着で
一発目のシャッターでまず間違いなく
すぐには開かずレリーズした後、しばらく待っていると
じわ~っとシャッターが開いて閉じていきます。
その際にシャッター羽根に油がベッタリ付着しているのも確認できます。
一度、シャッターを切るとしばらくは普通にシャッターが切れているのですが
しばらく間を置くとまたじわーっと開く状態になってしまいます。
絞り羽根は何とか動きますがやはり絞りリングが重く感じる上に
絞り羽根にも油付着が確認できます。
この粘った状態で絞り羽根を動作させていると
何かの拍子に絞り羽根が破損する可能性も高いので
極力余計なことはそれ以上せずに整備に取り掛かります。

他、巻上も重い感じですしファインダーに汚れ曇りもあり
レンズにはカビも発生しています。
致命的なトラブルこそありませんが
積年の汚れでいろんなところに細かな問題が出ている感じです。
大きなトラブルになるまえにしっかり整備していきたいと思います
(シャッター羽根粘りは撮影不可能な問題ではあるので
ある意味、既に「大きなトラブル」ですね)
まだ現状チェックを行っただけの状態です。
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。

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ヤシカエレクトロ35GLのカメラ修理

今日は「ジグソーパズルの日」なのだそうですよ
小学生高学年だったかな…中学生になってたかな…
一時期はまってました。
最初に組み立てたパズルは300ピースとかで
集中すれば1日で完成するくらいのものでした。
それから気に入った風景の絵柄とかの
500ピースとか1000ピースとかもクリアして
2000ピースまでは何とか完成させました。
実家に飾ってあったのだけど
実家を引き払った際に親父に捨てられたな(苦笑)
確か2000ピースはさすがに1ヶ月くらいかかったのかな…
組立て時にやたらと場所取るのですよねぇ
完成して固めてしまえば立てられるので
それほど邪魔にはならないのですが
組立て時は広げたままですし
うっかり何かで吹き飛ばしてしまうと大ショックです。
真っ暗なシャドー部とか
ひたすら根気よく合わせるしかない部分もあって
なかなか苦労した覚えがあります。
でも完成したときの達成感はすごく気持ち良いです。
そういえばカープの今年のグッズで
1面真っ赤な中の隅っこに小さく「Carp」のロゴが入っているだけの
いじわるな(笑)パズルがあったなぁ
300ピースだからまぁなんとかなるでしょうが
1面ほぼ柄のない単色をは組むのは結構な苦痛ですねぇ
1000ピースとかだったらクレーム入りそうですねぇ(笑)
さすがに今更、ジグソーパズルをやろうとは思いませんが
カタログとかを見ているとステキな絵柄ばかりで
ちょっと欲しくなるのですよねぇ…

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35GL」のカメラ修理を行っています。
エレクトロの修理は本当に多いのですが
「GL」はかなり久しぶりですね
前身のGSN(GTN)までは初代からのボディをずっと引き継いでいたのですが
この「GL」でかなり小型化されました。
同時に受光体も「CdS」から「SPD(シリコンフォトダイオード)」に変更され
低輝度時の反応速度がかなり改善されています。
「GL」より少し前に広角レンズで小型化された「CC」や
ピントを目測と割り切り超小型化された「MC」とかも
既に出ていたのですが「GL」の登場で
初代から続くエレクトロ35の本流も小型化されたことになります。
使用電池はMCやCCは4LR44だったのですが
「GL」は従来モデルと同じくエレクトロのために開発されたと言われている
「HMー4N」積層水銀電池を使用します。
もちろん現在では入手不可な電池なので
LR44x4個+電池アダプタで使用するのが無難かと思われます。
電子制御シャッターコパルエレク+絞り優先AEで
露出をコントロールするのは初代から変わりません。
大口径レンズも同様で「GL」はカラーヤシノンDX40mmF1.7を搭載します。

お預かりしている「GL」は
電池を入れるとバッテリーチェックは点灯するのですが
シャッターは明るさに関係なく定速となり
電池を入れていない状態と変わりません。
その上、露出計も反応していないようです。
(赤ランプや黄色ランプが全く点灯しない)
バッテリーチェックも基板を経由して点灯するので
基板までは確実に電源は入っているものと思われます。
ただ、そこからシャッターユニットや
受光体には電圧がかかっていないものと予想されます。
…となると基板内のトラブルの可能性が高く
もしかしたら修理不能の可能性も考えられます。

基板そのものがダメというパターンはあまりないカメラなので
おそらくハンダ付けとか接点の接触不良とかが
トラブルの原因とは思われますが
はっきりとピンポイントで「ここだ!」と
原因を発見するのはかなり困難だと思われます。
まずは怪しげな箇所をひとつひとつチェックしていくしかありません。
今日はテスターが大活躍ですね(苦笑)
まだ分解に取り掛かったばかりの状態なので
まずはここから集中して
トラブルシューティングを行っていきます。

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ペンタックスSPのカメラ修理

早いもので今日から3月です!
3月は英語で「March」ですが
「march」といえば「行進曲」のことでもありますよね、
ということで今日は「マーチの日・行進曲の日」なのだそうです。
3月の「March」はローマ神話の
「マルス(Mars)の月」を意味する「Martius」に由来しています。
マルスは「戦と農耕の神」で「軍神」とも呼ばれています。
行進曲の「march」とはスペルが同じなだけで
語源は全く違うのですね。
行進曲の歴史は古く17世紀の終わり頃に
オスマン帝国(トルコ)の軍楽隊をルーツとする
「トルコ行進曲」まで遡るのだということです。
有名なベートヴェンやモーツァルトの「トルコ行進曲」は
オスマン帝国軍楽隊の音楽をルーツとして作曲された行進曲です。
本来のトルコ行進曲は単なる楽曲のタイトルではなく
もっと広い範囲を指す言葉なのですね。調べていて初めて知りました。
でも日本だと行進曲と言えばやはり「軍艦マーチ」ですかね
他にも行進曲はいろいろありますが
行進曲を聞いていると小学校の運動会の行進の練習を思い出します。
単調でめんどくさい上に運動会前1ヶ月くらいから
何度も何度もやらされるのですよねぇ。。。
運動会そのものは好きでしたが
あの開会式・閉会式の行進練習だけは本当にいやだったなぁ
それにしても今考えると何であんなに気合入れて
運動会の練習やってたんでしょうねぇ…
今ではそんなことないですよね?
ところでモーツァルトの「トルコ行進曲」聴くと
どうにも運動会の「徒競走」を思い出してしまいます(笑)

さてさて

本日は「ペンタックスSP」のカメラ修理を行っています。
SPもコンスタントに毎月修理依頼のあるカメラです。
M42マウントということでペンタックスタクマーレンズ群はもちろん
世界中のM42マウントレンズ群を使用することができ
そこも未だに人気の高い要因になっていると思います。
発売当時は現在どころの騒ぎではなく
いわゆるハイアマチュアの方の中でのシェアはナンバー1だったと思われます。
本当かどうかははっきりしませんが
雑誌のフォトコンでの入選以上の作品が
全てSPで撮られていたこともあった…という話も聞いたことがあります。
それほどまでに支持を集めていたカメラなので
現存している台数も多いのですが
コンディションの悪い状態のものも多いのが現状です。
さすがに生産されてから50年以上経過するカメラですので
使いっぱなし、しまいっぱなしで
そのまますぐに使えるとは考えない方が良いかと思います。
現在、きちんと動作しているSPは
それなりに定期的に整備され、ある程度使い続けられている個体かと思います。

お預かりているSPは少々めずらしいブラック塗装のSPです。
適度な使い込まれ感がありなかなか良い感じです。
現状をチェックしてみると
まずは定番のプリズム腐食です。
プリズムの周りにぐるりと1周貼られている遮光材が
加水分解を起こしプリズムの塗装、蒸着を剥離してしまいます。
発売以来何も対策が取られていない個体は
まず間違いなくこのプリズム腐食が発生しています。
中古良品のプリズムと交換で対応いたしますが
腐食のないSPのプリズムは今や非常に希少で
なかなか見つけることが難しい状況となっています。
今回は何とかひとつ確保できたので無事に交換で対応できそうです。
シャッターはこれもよくある症状で
後なくの走行状態が非常に悪く最後までキチンと走り切りません
そのため最後にミラーダウンレバーを作動させることができず
ミラーアップしたまま固着という状態になってしまいます。
それほど後幕の走行状態が悪いということは
当然、全域にわたってシャッタスピードの精度は出ていません

画像にプリズムが写っていますが
劣化した遮光材が貼られているのが写っていますね
ここの内側が剥離して
ファインダー上で横方向に一直線に黒い線の入る
SP系特有のプリズム腐食が見られるようになるわけです。
シャッター周り、ミラー駆動部回るの修理・整備はもちろんですが
露出計周りの配線等もしっかり整備、修理していきます。
露出計そのものは現状何とか動いてはいますが
お預かり時には電池室に腐食した水銀電池が入ったままで
まずは電池室の蓋が強力に固着して開かない状態でした
もちろん電池室周りの配線や端子はかなり腐食していたので
交換や修理で対応し後で精度もキチンと調整します。
SPにありがちな露出計SWがシャッターを切っても
戻らない状態だったのでそれも対処いたします。
実はこのご依頼者様からは一緒に家から出てきたSPFと
レンズもスーパータクマー、SMCタクマー、合わせて4本
お預かりしておりそれぞれに大なり小なり問題を抱えているので
一気にすべて整備を行っていきます。
だいぶ長い間、眠っていたものと思われますが
ご依頼者様の手で是非、何十年かぶりに
今の景色をフィルムに焼き付けてほしいと思います

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ミノルタSR-1のカメラ修理

今日は「ビスケットの日」だそうです。
「ポケットのなかにはビスケットがひとつ♪
ポケットをたたけばビスケットがふたつ♪」
本当に幼い頃、よく歌っていた気が…(笑)
ポケットにビスケット入れて叩くと
ビスケットが粉々になって酷いことになるような気がします…
あ、でもビスケットは数えきれないほどの数になる気が…(笑)
クッキーとの違いはなんなのでしょうねぇ…と思って調べたら
そもそもビスケットなんて呼び名はなく
全てクッキー、あるいはその逆
いやいや焼き菓子は全て「サブレ」。。。等々、
お国や地域によってバラバラです
あくまで日本国内での食品としての区別ですが
糖分と脂肪分が全体の40%未満のもの”をビスケットと呼び
40%以上のものをクッキーと呼ぶらしいです。
まぁ、でも一般的にはどちらでも良いようですね。
ところで私が子供の頃にはいわゆる普通のビスケットではなくて
「乾パン」が必ず常備されていて
ちょっと小腹がすいたときとかによく食べていました。
やっぱ呉だから自衛隊の影響なのか時代としてそうなのか
比較的どこの家にも「乾パン」はあったような気がします。
あの表面に針穴の付いた典型的な「乾パン」です。
さして美味しいものでもなかったような気がしますし
だいたいうちにあったものは大形の「乾パン」で
子供が食べるには1枚が妙に大きくて
途中で味に飽きちゃうのですよねぇ
でも「乾パン」、賞味期限5年くらいあって
保存食や非常食には最適ですね。
少し買っておこうかな。。。(笑)

さてさて

本日は「ミノルタSR-1」のカメラ修理を行っています。
1959年発売のカメラでネーミングからして
ミノルタ初の一眼レフカメラかな…と思ってしまいますが
実は前年の1958年にミノルタ初の一眼レフとして
「SR-2」が先に発売されていて
「SR-1」はシャッター最高速が1/500までの
(SR-2は最高速1/1000)の普及機として登場したカメラです。
このSR-1、少々ややこしいのが
毎年のようにマイナーチェンジが行われるのですが
モデル名は「SR-1」のままなので
同じ「SR-1」でもボディ形状だけでも
4種類のバージョンが存在します。
意外と内部部品や構造も変更されているので
互換性がないことも多く修理する立場としては注意が必要です。
トップモデルである「SR-2」が
「SR-3」、「SR-7」とモデルチェンジが行われるたびに
ネーミングも変わるのに対して
SR-1はトップモデル同様にモデルチェンジが行われながら
ネーミングは「SR-1」のまま存在し続けたわけです。
トップモデルが「SR-T101」になった翌年の
1967年にやっと「SR-1s」とネーミングも変わり
1/1000シャッターも与えられます
SR-T101がTTL露出計+開放測光で
シャッタースピードで差別化を行う必要が
なくなったからでしょうかね
…というわけで一言で「SR-1」といっても
なかなかややこしいカメラなのであります。

お預かりしているSR-1は
トップモデルがSR-3の時代のものと思われます。
露出計連動用のソケットが存在し
SR-1のロゴは巻き戻し側で文字色は緑色
フィルムカウンターも巻き戻し側であることから
1961年型かと思われます。
他のSRシリーズ同様にシャッター周りは非常に丈夫なカメラで
調子が悪かったり少々動きが悪かったとしても
何とかシャッターだけは健気に動く個体が多いカメラです。
今回のSR-1も何とかシャッターは切れていますが
明らかに油切れの兆候がシャッター作動音からもわかる状態で
巻上もかなり重くなってしまっています。
シャッタースピードを計測してみると
明らかに後幕の幕速が遅く
トップスピード1/500の設定で
実際には走り始めで1/125前後、画面中央部で1/90前後
走り終わり付近で1/50前後も露光してしまいます。
全体的に写真は明る過ぎてしまうでしょうし
写真の両端で1段以上異なるとさすがに影響は大きいと思います。
それよりもこれでよく頻繁にミラーアップしたままにならないものだと思います。
ファインダーも全体に曇りがちで
装着されているオートロッコールPF55mmF1.8は
レンズそのものはかなりキレイなものの
絞り羽根が相当粘っていてまともに開閉できない状態です。
ボディ側・レンズ側ともに整備・調整が必要な状態です。

まだ始めたばかりで分解途中ですが
これから分解進めてシャッター幕軸や
調速カム周り、ミラー駆動部、巻上機構部と
動作する部分の古い油や汚れを取り除き
最小限の注油を行っていきます。
その新しい油がある程度馴染んだところで
シャッタスピード等の調整を行っていきます。
基本的に非常にしっかり作られたカメラなので
酷い分解品やショック品、水没品でない限り
問題なく撮影に使えるレベルに復活できるカメラです。
ただ、今回は大丈夫だったのですが
古いSR系のカメラはシャッター幕が劣化・硬化しているものも多く
交換しないとまともに動かない個体も存在します。
その場合でもシャッター幕交換を行なえば
もちろん復活可能なのですが
修理費用が大きく変わってくるのでご注意ください。

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オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は「国際ホッキョクグマの日」なのだそうです。
ホッキョクグマと言えば動物園でも人気ですよね
まだ幼い頃に連れて行ってもらった動物園に
ホッキョクグマがいて
敷地内の端から端までをずっと行ったり来たりしているのです
端でターンするときには
一瞬2本足になって大きく首を上にもたげて
方向を変えるのです
それが妙に印象に残って家に帰ってからも
じいさんやばあさんの前で四つん這いになって歩いて
部屋の端まで行って同じような動きを真似していたのを覚えています。
随分後になってから知ったのですが
これはホッキョクグマだけでなく
動物園の動物に時折みられる「常同行動」と呼ばれる「異常行動」で
ストレスが原因で同じ行動を繰り返すのだそうです。
きっとそのときもストレスたまってイライラして
あの行動だったのですねぇ
子供でわからなかったとはいえ
おもしろがって真似してごめんなさい。。。
動物園も今はこの常同行動をみつけると
いろいろと対策を立てるのだそうです。
外敵や餌に苦労することはないとはいえ
わけもわからず限られたスペースの中に閉じ込められるわけだから
それはいろいろストレスもたまりますよねぇ。。。
いろいろな動物を知ることのできる動物園は必要だし
大切だとは思いますが
そこに住む動物たちもできるだけ快適に暮らしてほしいものですね

さてさて

今日は「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
相変わらずコンスタントに修理依頼の多いカメラです。
それだけ今でも人気の高い証明でもありますね

お預かりしているOM-1は使用感のある年季の入った
ブラックボディです。
中身にダメージを受けるほどではないですが
上カバーの角には多少の凹みや塗装剥げも見られます。
捉えかたは人それぞれですが
適度な使いこまれ感が渋いといえる感じでもあります。
それでも全体的には年代を考えるとキレイな部類だと思います。
見た目はそんな感じで大きな問題もないのですが
このOM-1、まずはしゃったーが全く切れません。
シャッター幕の位置をフィルム室側から確認してみると
どうやらチャージはされています。
シャッターボタンは押し下げることができないので
レリーズすることができずにシャッターが切れない状態です。

OM-1のこういうパターンはまず底部三連ギアの
位置関係に問題が出ていることがほとんどですが
底カバーを開けて確認してみると
案の定、底部三連ギアは巻上途中の位置で固まった状態です
ここがリリーズ状態であろうとチャージ状態であろうと
基本的な位置に戻っていなければシャッターを切ることはできません。
まずは三連ギアのうち二つを取り外し正しい位置に
設定しなおすととりあえずはシャッターは切れました。
しかしながら今度は巻上時に巻き止めが効かず
何枚分でも延々に巻き上げることができてしまいます
(もちろんシャッターは切っていないのにです)
三連ギアの位置がおかしなことになってしまったのは
おそらくこの巻き止め動作不良が原因かと思われます。
ここだけではなく三連ギアやシャッターの幕軸、巻上機構部
スローガバナー、調速カム。。。等々
いろいろなところの動きが悪い状態で
積年の汚れがあちこちに詰まっている感じです。

いつも問題になりがちな
露出計周りには大きなトラブルはないようです。
ただ、今回は1.5Vで最適な値が出るように調整しなおします。
毎度おなじみのプリズム周りは以前に対策が取られているようですが
それでも多少プリズム外側塗装部には侵食が見られます。
まだ内部剥離までには至っていないので
できる限りの対策を取って
今回は現状のプリズムをそのまま使います。
あとはとにかく駆動部分を徹底的に洗浄・清掃を行います。
その上で細かくシャッタスピードの調整等を行っていきます。
整備を進めているうちに動きやすくなったのか
巻上の感触もOMらしいシャリっとした中に
滑らかさを感じる独特のフィールに戻ってきました。
ご依頼者様のお手元に戻るころには
かなり気持ちよく操作できる状態になると思います。

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ペンタックスMEスーパーのカメラ修理

今日は「ラッピングの日」だそうですよ
由来は「つ(2)つ(2)む(6)」(包む)と読む
語呂合わせからだそうです。
プレゼントをもらうことも贈ることも
随分減ってしまいましたが(苦笑)
中身が大事なのはもちろんですが
キレイにラッピングされたプレゼントは
その外観だけでテンションあがりますよね!
同じものをもらっても極端な話
スーパーのレジ袋に入ったものと
キレイにセンス良くラッピングされたものでは
気持ちの盛り上がりが全く違うと思います。
豪華にラッピングされた包み紙とかリボンとか
思わずプレゼントの箱と一緒に
記念にとっておきますものね
(まぁ後から使うことは箱以外はまずないのですが…)
いろいろ思い出したり想像していると
豪華にラッピングされたプレゼントが欲しくなってきました(笑)
中身もラッピングに負けない高級な一品でお願いします!
(誰に言っているのやら(笑))
まぁプレゼントはもらうのも嬉しいですが
贈るのもそれを選ぶのも楽しいですよね。
(もちろんこころからプレゼント贈りたいと思う
相手であることが大前提ですが)
とりあえずキレイなラッピングで
自分にご褒美でも準備してみようかな。。。(笑)

さてさて

本日は「ペンタックスMEスーパー」のカメラ修理を行っています。
いわゆるペンタックスMシリーズの一員です。
Mシリーズはいわゆるカメラ好きな方の間だと
一番人気は機械制御機のMXなのだろうと思いますが
個人的には使い勝手は使い心地の面も含めて
Mシリーズの中で一押しは「MEスーパー」だと思っています。
MX以外の全てのMシリーズの基本となる
絞り優先AE専用機「ME」を母体として
マニュアル露出モードを追加し、シャッターの最高速を1/2000とし
さらにファインダースクリーンを
明るい上にピントの山の掴みやすい
「クリアーブライトマットスクリーン」に変更しています。
いろいろな機能追加と基本性能jの底上げで
エントリー機であるMEを中級機以上の高スペック機に変身させたものが
「MEスーパー」と言ってよいと思います。
発売は1979年12月、70年代のトリを飾ったカメラでもあったわけですね

お預かりしている「MEスーパー」は
一応一通り動作してはいるものの
細かいトラブルをいくつか抱えているようです。
露出計表示がたまに極端にアンダー表示になったりであるとか
(ー2段くらい?)
フィルムカウンターがたまに動かなかくなったりであるとか
チャージロックがうまく行われず
巻上が空回りするような感じになったりであるとか
巻上完了時に巻上軸が戻らないような感じにばってりであるとか…
ただどれも常時発生するのではなく
「たまに」なるわけですね
トラブルの再現性のない場合はなかなか
修理する側としては厄介です。
ただ、今回は比較的予想が付きやすいほうで
たまにアンダーになるのはおそらく感度設定盤下の
摺動抵抗の汚れが原因と思われ
巻上に関する症状は例のME特有のミラー駆動部の不具合の
前兆と思われます。
カウンターに関しては再現もできたのですが
送り機構の粘りが原因かと思われます。
それも通常の整備を行うと解消されるのではないかと思われます。

ME系のカメラは全てミラー駆動部のトラブルを
大なり小なり抱えているものが多いのですが
その原因はミラー駆動部に使われているゴムブッシュの劣化です。
モデルや生産時期によりゴムブッシュではなく
プラのスペーサーに変更されているものもあるのですが
今回はゴムブッシュの使われている可能性のある
駆動リンク部3か所のうちの1ヶ所だけがゴムブッシュで
そこが若干粘りを起こしているのが
巻上関連のトラブルをたまにひいき起こしている原因かと思われます。
もちろんゴムブッシュは除去し対策品に交換します。
もちろん電子制御機なのでマグネットの清掃や
各接点、摺動部の清掃も行い誤作動の起こりにくい状態にしていきます。
キチンと整備されていれば
ME系のカメラの動きは非常に安定します。
忘れてはいけないのはこの時期のペンタックス機なので
内部モルトが非常の多いので全て交換していきます。
特にファインダー周りにモルトが多いので
キチンと清掃の上、交換しないと
自慢のクリアーブライトマットスクリーンの上に
どこかともなくモルト屑が落ちてきて
せっかくの快適なファインダーが台無しになってしまいます。
除去残しのないように慎重に作業を行っていきます。

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キヤノンAE-1のカメラ修理

今日は「ヱビスの日」だそうですよ
もちろん「ヱビスビール」のことですね
1890(明治23)年2月25日に
「ヱビスビール」が初めて発売されたことを由来とする記念日です。
昨年、発売130年だったのですねぇ
少しだけお高いですが
個人的にもビールの中で一番好きな銘柄です。
いわゆるコーンスターチ等の添加物の入った
大部分のビールは確かに軽めで飲みやすいのですが
やはりビール本来の苦みとどっしりした重みは捨てがたく
そうなると身近に入手できるものは
ヱビスだけになっちゃうのですよねぇ
でも子供の頃、(まぁいろいろ緩い時代だから)
じいさんによく少しだけ飲ませてもらったビールはキリンだったけど
ヱビスと同じように
重量感のある苦みだったような気がするのですよねぇ
40年以上前の話だからもはや勘違いかもしれないのですが…
まぁ、でもやはりビールは麦芽100%で
作られているものが正統派ですよね。
最近ではモルツや一番搾りもそうですが
やっぱり一番ビールらしい重量感のあるのはヱビスだと思います。
(もちろん好みがあるので個人的見解です)
こんなこと書いていると、まだお昼前なのに焼肉や焼き鳥で
思い切りビールが飲みたくなってきました…(笑)

さてさて

本日は「キヤノンAE-1」の修理を行っています。
つい先日もAE-1の修理やってここにも書きましたね
最近、AE-1やAE-1Pの修理が少し増えてきたような気がします。
(実際に問い合わせも多い)
世界初マイクロコンピュータ搭載の電子制御カメラです。
フィルムカメラの場合、あくまで電子化されるのは制御部で
実際に動作するのは機械的なシャッターなのですが
最新のデジカメになるとシャッターそのものが電子化されていて
いわゆる「機械的に動く」シャッターが存在しないもののもあるのですね
まぁ、私はその編は詳しくないしあまり興味もないのですが…(苦笑)
何がいいたかったかというと制御する電気回路部分に
何か部品レベルのトラブルが出ると正直修理は非常に難しく
(電子基板丸ごと移植なんて大技ができるカメラもありますが)
機械的に動作する部分の修理であれば
比較的何とかなるものが多いということです
それでもさらに時代が進み
液晶が基板内に組み込まれるようになってくるころには
機械的な部分の修理もかなり制限され
交換用電子部品のストックがないと
手も足も出なくなってくるわけですが…

今回、お預かりのAE-1は
シャッターが切れたり切れなかったりしています。
よく動きを観察してみると
電源が不安定なようでonになったりならなかったりしているようです。
さらに根本的な電源のオンオフに関係なく
露出計は全く動かないようです。
当然、SS優先オートの制御は効かず常に絞り開放となってしまいます。
かなり長い間放置されている個体のようで
他にもいろいろと問題を抱えていそうです。

露出計は露出計本体内でコイルが断線しているらしく
単体で取り出して直接電気を流しても
全く反応しない状態です。
でもこれなら逆に露出計本体を中古良品ものと
交換すればよいので何とかなります。
困るのは露出計本体が良いのに
電子基板から信号が来ない場合です。
ただそれでも今回は問題があり
露出計本体は全く問題はないはずなのに
露出計表示が大きくオーバー側に狂ってしまっています。
+5段くらいです。さすがに撮影の上でも許容できるレベルではありません。
いろいろ基板周りや摺動抵抗やらで調整して
何とか正しい値に持っていくことができました。
今回はうまくいきましたがこういうトラブルは
なかなか対処が難しいです。

AE-1も電子制御とはいえ昨日のSR-T101と同様に
連動糸がまだ使われています。
こいつも何も考えずに上カバーを外すと
ほぼ間違いなく切れてしまいます。
ただ連動糸は1本だけなので比較的対処は楽です。
そういえば再組立て時になぜか絞り連動機構にトラブルが起こり
何度か組み立てなおす羽目になりました
(後で原因がわかり納得はしましたが)

ところで今回のAE-1は外装もずいぶん汚れていましたので
どの修理でもそうですができる限りの清掃を行っています。

↓ これが清掃前上カバー

↓ 同じく清掃後

画僧をクリックすると大きくできます。
コンデジでプログラムAEで簡単に撮った画像なので
1,2枚目で微妙に露出が異なるのはご容赦くださいませ

キズやサビ、凹みはどうにもならないですが
汚れはある程度は落とせます。
機能回復が最優先ではありますが
気持ちよくつかっていただくためには
なるべく外観もキレイに仕上げたいものです。

今回もいろいろありましたが
何とか気持ちよく使っていただけるレベルに仕上がりそうです。

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ミノルタSR-T101のカメラ修理

今日は「月光仮面登場の日」だそうですよ。
1958(昭和33)年のこの日に
ラジオ東京(現:TBS)で国産初の連続テレビ映画
『月光仮面』のテレビ放送が始まったのだそうです。
さすがに私が生まれる10年以上前なので
月光仮面そのものにはそれほど馴染みはないですが
それでもいわゆるヒーロものの元祖でもあるわけなので
意外とよく知っているかも…
でも月光仮面よりは小学校の頃に
家族の目を気にしながら読んでいた
月刊ジャンプの「けっこう仮面」のほうがインパクトあったな(笑
舞台は長野の山奥にある「スパルタ学園」で
園長は「サタンの足の爪」ですよ(笑
顔は誰かは知らないけれど~♪
からだはみんな知っている~♪ですねぇ。。懐かしいな

さてさて

本日は「ミノルタSR-T101」のカメラ修理を行っています。
ミノルタはXシリーズの開始と共に
電子制御カメラに大きく舵を取ったために
機械制御のミノルタ機というと「SRシリーズ」まで遡らないといけません。
SR-2の始祖とするSRシリーズの中で
最も販売台数が多く長く生産されたのが
この「SR-T101」です。
ミノルタ機械制御シャッター機を代表するカメラと言っていいと思います。
この後に出たSRーTスーパーやSR101、505も
このSR-T101のマイナーチェンジ版といえると思います。
それほど基本的な部分には変更が加えられていません。
SR-T101はミノルタ初のTTL測光搭載機でもあります。
開放測光を行うためにレンズ側も絞り情報伝達機構を備えた
MCロッコールにモデルチェンジされています。
さらにそのTTL測光は視野を上下に分割し
それぞれを別のCdSで測光しています。
今でいう分割測光の簡単なものと言えると思います。
当時としては先進機能を満載したカメラだったわけですね。
機能的には目新しいところも多かったのですが
機械的な部分はオーソドッグスな造りで非常に丈夫にできています。
この信頼性の高さも当時の高い人気の一因だったと思われます。

お預かりしているSR-T101は
主に低速シャッター時にミラーアップしてしまう症状が出ています。
毎度同じようなことを書きますが
ミラー駆動部が悪いというよりは
シャッター幕の走行があまりよくないためと思われます。
低速時にミラーアップしてしまうというのは
ガバナでいったん動きを止められた後幕が
キレイに走り切ることができず
最後のミラーダウンレバーを蹴られないということだと思われます。
シャッタスピード計測を行ってみるとさらにその現象は明らかで
後幕の幕速が異様に遅く高速シャッター時の精度も出ていません。
これが逆に先幕の動きが悪い状態だったら
高速時に走行途中でシャッターが閉じてしまい
写真の端が黒くなってしまう等のトラブルが起こると思われます。

露出計も動作はしているのですが非常に不安定で
精度も出ていません。
シャッター整備と並行してそちらも整備していきます。
SR-T系というと連動糸が多く
分解が大変なイメージでもありますが
しっかり手順通りに行えばさほど連動糸に神経質になる必要もありません。
整備性はこの時代の機械制御機らしく非常に良いと思います。
ただ正しい手順を知っていなければ連動糸に苦労するかもしれません
何も考えずに上カバーを開けると
まず間違いなく連動糸を切ってしまうと思います。
AE-1とかもそうですが
部品取り用にジャンクを取り寄せると
連動糸の切れている個体にそれなりに巡り合います。
あくまで自己責任ですがカメラがかわいそうなので
予備知識もなくよくわからないままに分解するのは
できれば避けていただきたいなぁ…とも思います。

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ミノルタX-700のカメラ修理

今日は2月22日ということで
にゃんにゃんにゃんということで
お馴染み「猫の日」ですが
それは全国的に有名すぎるし
私がここで取り上げる必要もなさそうなので
それよりも2月22日は「おでんの日」だったりします。
言われてみれば今シーズンは
あまりおでん食べていないなぁ
今日はやたらと暖かい日のようですが
まだ寒さが戻ってくる日もあるでしょう
残り少ない冬の名残をおでんで楽しむのもいいですね
おでんも地域によって味や具に大きな違いのある食べ物ですね
やっぱり個人的には汁の透明な「関西風」が好みです。
で、絶対に外せないのが「牛すじアキレス」です!
子供の頃、おでんが出るとこればかり食べてしまって
ばあさんに叱られた記憶が鮮明によみがえります(笑
この辺では牛アキレス手に入らないのですよねぇ
その気になれば今はネット通販で
もちろんお取り寄せできるのですが…
アキレスなんてしばらく食べてないな…取り寄せてみようかな
もちろん良く煮しめた大根やこんにゃく、練り物も大好きです。
何にしても日本酒が合いますよねぇ…
あぁ、こんなこと書いていると
すっかり頭の中が「おでんモード」です。
アキレスはすぐに手に入りませんが
とりあえず今夜はおでんにしようかな(笑

さてさて

本日は「ミノルタX-700」のカメラ修理を行っています。
1981年発売の中級機でこの年代になると
マニュアルフォーカス機としてはかなり末期のものです。
一概には言えないのですがおおざっぱに考えて
当店で修理できるカメラとしてもギリギリの世代ですね。
これ以上新しいものになると修理不可能がほとんどです。
ミノルタのマニュアルフォーカス機としては
かなり長い間、頂点に君臨していたカメラで
オートフォーカスのαシリーズに移行後も
生産・販売が続けられ1999年まで販売が続けられました
18年間にもわたって生産・販売が続けられたわけですね
カメラとしては中級機ですし時代も反映して
外装カバー類は全てプラスチックですし
XDあたりと操作感を比べると巻上等の気持ちよさは
正直なところそこまでではありません
でも、このカメラ妙に使い心地良いのですよね
ファインダーの見えの良さはさすがミノルタ機で
アキュートマットのスクリーンは
明るい上にピントの山が掴みやすいという
相反する要素を見事に高いレベルでバランスしたものです。
シャッター音も剛性感のある耳障りの良い音で
使い勝手も非常に良い1台です。
実は私も個人的に今でも使っているカメラです。
F3と並んで使用頻度の高いカメラです。
電子制御関係のトラブルが発生すると
修理不能な可能性もありますが
XDあたりに比べると電気関係のトラブルは少ないと感じます。
酷い分解品や水没品・ショック品でない限り
比較的安定した動きをするカメラだと個人的には思っています。

お預かりしているX-700も
電気的な問題はないようです。
ただ巻上にトラブルを抱えていて
巻上完了後に巻上軸が本来の元の位置に戻りません
見かけ上、巻上レバーは戻っているのですが
軸が戻っていないためレリーズができず
シャッターが切れない状態になります。
で、底部からモータードライブ用のリンク部に
コインかなにかで軸が戻る方向に軽く回してやると
軸が本来の場所に戻りシャッターも切れるといった状況です。
油切れや積年の汚れ等で固着といった感じではなく
巻上軸周りの部品が変形して
干渉してしまっているような感じです。

この巻上軸のトラブルが意外と解消に苦労しました。
予想通り微妙な部品の変形により
軸に干渉してしまっているせいでしたが
巻上部のかなり奥まったところに原因があり
それがはっきりわかるまでに苦労した感じです。
それ以外に若干のオートのズレとか
接触不良やマグネットの汚れ等が原因と見られる
オートの動作不良等も見受けられたので
もちろん一緒に整備していきます。
上の画像は上カバーを外しただけの段階でのものですが
いかにも80年代のカメラですね。
フレキでしっかり覆われていてプリズムが全く見えません
フレキの扱いにさえ気をつければ
意外と整備性は悪くありません。
でもそのフレキの扱いが大変なのですが…(苦笑)
巻上軸のトラブルの原因がわかり対処する方法も確定したので
あとは通常の整備を含めて慎重に粛々と進めていきます。

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