キヤノンAE-1のカメラ修理

新聞の4コマ漫画って各社とも連載されていますよね?
私が子供の頃、家では朝日新聞を取っていたので
(まわりは圧倒的に「中国新聞」が多数派でしたが…)
「フジ三太郎」が記憶に残っています。
なんでこんな話から始まったかというと
その昔「サザエさん」が朝日新聞の4コマ漫画で連載されていたのですね。
(1951年4月16日から朝刊で連載開始、1960年4月に連載中断
1961年10月15日から連載再開)
その連載が最後になったのが1974年2月21日で
中断という形だったのですが以降掲載されず
事実上の連載終了となりました。
サザエさんというとアニメも超長寿番組なので
その印象が強いのですが
原作の4コマ漫画はアニメとはまた全く雰囲気が異なるのですよね
あの頃の時代感が非常に出ていてこれはこれで非常に面白いです
連載終了時に私は4歳10ヶ月か…
その頃も家では朝日新聞だったはずですが
さすがに記憶には残っていなくて
アニメで見たほうが先で原作を読んだのは随分後だなぁ…
今日は日曜日、さすがに今は見ることありませんが
今夜もサザエさんの放送がありますねぇ
「サザエさんシンドローム」なんて言葉もありますが
私も昔、週末休みだった頃は
日曜日の「ちびまる子ちゃん」から「サザエさん」の流れで
テレビを見ていると何とも切ない気持ちになりました(笑)

さてさて

本日は「キヤノンAE-1」のカメラ修理を行っています。
1974年に発売され大ヒットしたカメラです。
キヤノンAシリーズの最初の1台でもあり
後に出てくるすべてのAシリーズの基本となるカメラです。
設計・精密加工・生産ラインの技術を総合して
各部門一丸となって行われた社内呼称「新機種X開発計画」の賜物です。
マイクロコンピュータ搭載による中央集中制御方式で
前モデル「EF」に比べて約300点の部品削減と
生産の効率化によるコストダウンを成功させています。
このAE-1の登場でカメラの電子化・自動化が
さらに一気に進むことになります。
コストダウン・効率化は進みましたし
上下カバーはプラではあるのですが
中身や構造に安っぽい部分は全くなく
機械構造部も非常にしっかりと作られたカメラです。
シャッター鳴き等の持病もあるカメラですが
これだけの電子制御機でありながら
修理不能になることがあまりないカメラです。

お預かりしているAE-1はミラーアップしたまま
固着してしまっています。
そのまま巻上は可能でシャッターも切れるのですが
ミラーは上がったままです。
さすがにこれでは撮影には全く使えません。
シャッターにも問題があり
1/1000~1/250までの高速シャッターで
ほぼシャッターが開きません。
さらに露出計、オート露出ともに3段以上オーバーといった状態です。
ミラーやシャッターは機械的動作不良で
露出計、オートに関しては抵抗や接点の汚れ等が原因と思われます。
このままではどうにも使えませんし
トラブルはいろいろ起こっていますが
ひとつひとつの症状はよくあるトラブルで
対処できるものと思われます。

不思議なことにミラー駆動は動作不良なのに
Aシリーズ定番のシャッター鳴きは全くないのですね。
以前に一度整備されているのかもしれません。
シャッター幕軸等もやはり動作不良です。
清掃注油で改善されると思われます。
ミラー周りにぎっしり配置された駆動部と制御部は
非常にややこしそうな見た目ではありますが
意外と整備性は悪くありません。
ただ、フレキの扱いには細心の注意を払います。
経年劣化で脆くなっている部分もあるので
外す際には相当神経を使います。
おまけにこれだけの電子制御機なのに
まだ連動糸があったりもしますので
こちらも注意して作業を行います。
頻繁に触っているので慣れてはいますが
やっぱり冷静に考えると
いろいろ整備は大変なカメラかもしれません(苦笑)

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オリンパスOM-1Nのカメラ修理

今日はこれと言ってピンとくる記念日は少ないのですが
1962年2月20日にアメリカ初の有人衛星
「マーキュリー・アトラス6号」(フレンドシップ7)が打ち上げられました。
ジョン・グレン中佐が塔乗し、アメリカ初の地球周回飛行となり
この分野で先行されていたソ連に追いつく形となったわけです。
この宇宙船にミノルタハイマチックのOEM品である
「アンスコ・オートセット」が載せられ
初めて宇宙に飛んだカメラとなったわけですね。
この辺の話は前回のハイマチック7のブログでも
書いたばかりですね。
今から59年前のことなのですよねぇ
意外と最近の話だなぁ。。。と思うのが半分
そんな昔の技術で
よく衛星軌道まで乗ったなぁ。。。と思うのが半分というところですね
でも実際にこの時代の宇宙計画はトラブルが多いのが当たり前で
フレンドシップ7も本来は最低7周以上の
地球周回飛行を行う予定であったのですが
2周目にトラブルが発生し
3週目終了時点で大気圏再突入・大西洋に無事着水・回収となったわけです
本当に命がけで宇宙に行く感じだったでしょうねぇ
現在でさえもいろいろトラブルの起こる可能性はあると思いますが
この時代は最後まで計画通りに無事に進むことの方が
少なかったのではないかと思います。
でも成層圏やその先の宇宙ってやはり憧れますし
興味もわきますよねぇ
普通に宇宙にりゅこうに行くことにできる時代に
もう一度生まれ変わってみたいものですね

さてさて

本日の修理は毎度おなじみのオリンパスOM-1Nです。
機能としてはフラッシュ関連の部分で多少の改善が行われていますが
他は従来のOM-1と何ら変わりません。
ただし、内部機構や部品は意外と変更が行われていて
(正確に言うと「1」の末期から少しずつ変更されている)
「1」と」「1N」は細かい部品に意外と互換性がなかったりします。
シャッター等の基本的構造は変わりはしないのですが。。。
いろいろ改善を行っている割には
相変わらずプリズムと接眼レンズの間には
大きな遮光用のモルトプレーンで覆われていて
それが元でプリズムの腐食も「1」同様に起こります。
数十年後の加水分解まで予想できなかったのか
いやいや数年に一度はキチンと分解整備して
モルト類は交換してくださいよ…ということなのか
どちらにせよ、数十年放置あるいは使いっぱなしの個体では
かなりの高い確率でプリズム腐食が起こります。

今回お預かりの個体は
明らかに視界の邪魔になるほど酷くはないのですが
やはり腐食が発生していて一度気になり始めると
ファインダーを覗くたびに気になってしまうという感じです。
一眼レフにしてもレンジファインダー機にしても
やはりフィルムカメラはファインダーの見え心地が非常に大事です。
ファインダーが汚れていると
写真そのものには影響がないとわかっていても
撮影するテンションが下がってしまいますものね
さらに今回の「1N」はプリズムの問題だけではなく
低速シャッター時にかなりの高確率で
ミラーアップしたままになってしまいます。
今回もミラー駆動部が…というよりはシャッター幕走行不良が
原因かと思われます。
というのもやはり高速SS時にもかなり後幕の動きが悪く
SS精度が全く出ていない状況のため
低速時のミラーアップもこの辺りが原因と思われます。
他、細かいことですが「R」ダイヤルがロックされず
巻戻しの際に「R」ダイヤルを「R」ポジションに
手で持ったままでないと巻きもぢができない症状が確認されています。
巻き戻しできなくはないですがこれはかなり不便ですね。
まだ通常の底部巻き戻しボタンであれば押したまま巻くのは
難しくはないですし古いカメラだとロックされないのが当たり前で
押したまま巻き戻すのが普通のカメラもありますが
OMの場合はダイヤル状な上に配置されている場所も
手で押さえておくにはやりにくい場所です
このトラブルの原因は巻き戻しダイヤル軸の変形ですが
たまに見受けられるトラブルです。

OM-1は他の多くのオリンパス機と同じく
小さなボディにぎっちりと機構部を組み込むため
整備の際にはいろいろと神経を使うカメラです。
基本的にはシンプルな造りなのですが
設定に繊細な部分が多いカメラで
ちょっとしたことでその繊細な部分のバランスが崩れると
なかなか復帰に手間のかかるカメラなのです。
毎月数台行いOM-1(N)の整備ですが
本当に油断禁物で(どのカメラでもそうではありますが)
今回も慎重に整備を行っていきます。

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ミノルタハイマチック7のカメラ修理

今日は「冥王星の日」だそうですよ
少し前に冥王星の軌道が海王星の内側に入った日の
話をここでしたばかりですねぇ(苦笑)
1930(昭和5)年のこの日に
アメリカ・ローウェル天文台の天文学者クライド・トンボーが
太陽系第9惑星「冥王星」を発見したことを記念した日です。
海王星の軌道の乱れから冥王星の存在は
予想されてはいたのですが実際に発見されるまでは
かなり時間がかかったそうです。
それもそのはずで冥王星は地球から見て15等星という暗さだったのです
空気のキレイなところで目の良い人が肉眼で見える
最も暗い星が6等星と言われています。
5等級異なると100倍明るさが異なるということなので
肉眼で見えるギリギリの明るさから
1/10000の明るさしかないということですね
そんな小さな星が良く見つかるものだと思います。
(実際にはある程度ありそうなエリアを絞り込んでおいて
日付の異なる日に撮った写真を比べて
動いている星(惑星)がないか探すのだそうです。
それにしたって冥王星より明るい
多少近くにある小惑星だってたくさんありそうですし
どちらにしても気の遠くなるような作業だったと思われます。
冥王星は月よりも小さく直径は2370kmしかありません
(月は3474km、地球は12,700km)
それが約48億kmのかなたにあるわけですねぇ
太陽系だけでもとんでもなく広いですねぇ
それと比べてもいけませんが私の部屋の何と狭いことよ(笑)

さてさて

本日はミノルタハイマチック7のカメラ修理を行っています。
1963年発売のカメラです。
ハイマチックシリーズと言えば60年代から70年代にわたり
ミノルタを代表するレンズ固定式カメラのシリーズです。
ハイマチック7はその2代目にあたりモデルですが
名前は「7」です。
これは初代ハイマチックのOEM製品である
「アンスコオートセット」が
マーキュリ-アトラス6号(コールサイン「フレンドシップ7」)に
搭載されて初めて宇宙に飛んだカメラとなったことを記念して
フレンドシップ7の「7」からハイマチック7となったわけです。
これ以降、ミノルタのカメラは戦略上、重要なモデルに
「7」を含むモデル名を多用します
(SR-7、X-7、α7000、X-700、α-7等々)
ハイマチック7は初代ハイマチックと比べると
内部構造も含みかなり大幅な変更を行っています。
そしてこの後続く初期のハイマチックシリーズのベースモデルとなっています。
初代と同じくプログラムオート露出を搭載しますが
初代では不可能だったマニュアル露出も可能となっています。
露出計は受光体がCdSのものに変更され
ファインダー内にEV表示することでオート時だけではなく
マニュアル時にも非連動ながらちゃんと動作するようになっています。
(連動の問題ですがマニュアル時に
露出計使用不可になるこのジャンルのカメラは意外に多いのです)
レンズは大口径のロッコールPF45mmF1.8で
シャッターユニットはセイコーシャLAで最高速は1/500です。

お預かりしているハイマチック7は
まずシャッター羽根がレリズしても全く開きません。
レンズシャッター機定番の羽根固着です。
シャッター羽根がこれだけ固着しているということは
絞り羽根にもやはり粘りがあり
マニュアル時にはそれほど問題にならないのですが
小さなバネ力で絞りを制御するオート時には
やはり上手く開閉ができないようです。
加えてレンジファインダー内のハーフミラーが劣化して
蒸着部分がかなり剥がれ落ちているのが
明らかに目視でわかります。
これ以上剥離が進むとそのうちハーフミラーではなく
ただの素通しのガラスになってしまいます。
当然今の状況でも随分剥がれ落ちているので
ファインダー内の2重像やブライトフレームの見えは良くありません。

ハーフミラーは交換で対処するしかありません。
シャッターが開かなかったので透かして見られなかったのですが
外してみるとレンズにも強烈にカビが生えています。
後玉表面のカビはかなり深く侵食しており
さすがにカビ跡は残りそうです。
通常の撮影に問題のないレベルに持っていくように
できる限りの清掃で対処いたします。
当時としてはコンパクトカメラに分類されるでしょうが
現在の感覚だとコンパクトとはいいがたい大きさです。
でもその余裕のある大きさのおかげで
整備性はなかなか良好です。
後のハイマチック9,11、7Sと長きに渡って
この「7」がベースとなるわけですが
それだけしっかり考えられて作られている内部構造だと思います。
個人的にもかなり」好きなカメラの一つです。

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ミノルタXDのカメラ修理

今日は「天使の囁き記念日」だそうですよ。
ここでいう「天使の囁き」は「ダイヤモンドダスト」のことです。
「ダイヤモンダスト」。。。
大気中の水蒸気が昇華してできた
ごく小さな氷晶が降ることで日本語でいうと細氷(さいひょう)です。
いくつもの気象条件が重ならないと見られない
非常に珍しい自然現象ですが
現在では人工的に発生させることもできるそうです。
えっと…
気温は氷点下10度を下回ること、天気は快晴そして無風
なおかつ明け方が良いそうです。
加えて1km以上見渡せるほどの視程、
大気中の水分が凍るわけですから適度な湿度も必要です。
うーん、これだけ条件を上げるだけでも
なかなか見られそうにないわけですよねぇ
私?もちろん見たことありません(笑)
日本国内でも厳冬期の北海道内陸部で見られるそうです。
同じようなものに「氷霧」というのもあります。
こちらも非常にめずらしい現象で同じようなメカニズムで発生しますが
細氷は「雪」に分類されるのに対し氷霧は「霧」に分類されます。
結晶の大きさも氷霧のほうが小さいのだそうです。
霧なので視程も悪く気温もマイナス30度くらいにならないと出ないそうです。
ちなみに細氷(ダイヤモンドダスト)は雪に分類されると書きましたが
ダイヤモンドダストが発生するときは天気は基本的には快晴です。
でもダイヤモンドダストが観測されるとその時の天気は
「雪」として記録されるそうです。ちょっと面白いですね。
一度くらいは見てみたいですねぇ…でも寒いだろうなぁ(笑

さてさて

本日は「ミノルタXD」のカメラ修理を行っています。
ミノルタらしい非常に官能的な使い心地と
これまた官能的なルックスがウリのカメラだと思いますが
それは今だから言えることで
発売当時のウリは何といっても世界初の両優先AE搭載です。
(SS優先、絞り優先)
その後、露出モードは分割評価測光を含めて
さらの進んだので今更、両優先AEはそれほどすごくは思えませんが
当時は自動露出モードは「絞り優先」、「シャッタースピード優先」
「プログラム露出」のどれかがひとつ装備されているのみというのが普通で
それにマニュアルが可能か否か…といった選択肢しかなかったわけです。
で、昔のクルマでツインカムかターボかどっちが優れているのか
みたいな議論と同様に「絞り優先」と「SS優先」
どちらがいいのかという議論もされていたわけです
クルマは「ツインカムターボ」が出てこの議論に終止符が打たれましたが
カメラの世界ではXDが両優先を搭載しこの議論に終止符を言ったわけです。
さらに翌年には両優先+プログラムオートを搭載する
キヤノンA-1も発売されるわけです。
前回のXDのブログの際にも書いたので詳しくは省略しますが
XDもサイバーネーションシステムの恩恵で
SS優先時にはプログラムAE的に使用することも可能です。

XDは両優先AEを搭載したことや上記サイバーネーションシステムの
プログラムシフトがあるせいもあり
電子制御は当時としてはかなり複雑です。
そのためもあるでしょうが現行モデルの頃から
電装系トラブルの多いカメラとしても有名です。
今、現在生き残っているものは
比較的電気トラブルが少ないと思われますが
それでも長年眠っているものは
トラブルを抱えたまま年数だけが立っているものもあると思いますし
もちろん部品の経年劣化で電気的トラブルが発生する可能性もあります。
やはり制御関連にトラブルを抱えているものは
当店でも修理不能となります。

お預かりしているXDはSSや露出計、オート制御にそれぞれ
多少のズレは見受けられるものの調整可能な範囲と思われ
動きに致命的な問題はないかと思われます。
しかしながら前回のXDもそうでしたが
今回もフィルム室巻上側スプールの爪が折れてしまっています。
ミノルタX系は本当にこのトラブルが多いですね。
さすがに何十年も使われてくるとこういう負荷のかかる部分が
当時の樹脂製だとさすがに持ちません。
とはいえ交換する部品も新品は用意できず
中古良品を使用するしかないので
いつまでもつかは正直なところ何とも言えません
無理な使い方をしないようにいたわって使うしかないですね。

お預かりしている個体は実は上にある
まだ何も手を付けていない個体です。
わかりにくいですが確かにスプール爪は折れて紛失しています。
まずは先に交換用のスプールを部品取りから取り出します。
スプール交換はそれだけでもなかなか大変な作業で
スプールを取り出すだけでも巻上周りは全て分解が必要です。
手前に立ててあるのが今回使用するスプールですが
これを取り出すためだけにこれだけの分解が必要です。
見た目以上になかなか大変なのです(苦笑)
部品の準備もできたところで
これから本格的にシャッターやミラー駆動部の整備も行いながら
スプール交換も行っていきます。

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ペンタックスSVのカメラ修理

今日は「春一番名づけの日」なのだそうです。
何のことかと思ったら
「春一番」という言葉が初めて使われたことを
記念した日なのだそうです。
そもそも春一番とは冬の北風とは逆方向で
その年に初めて南から吹きつける強風のことです。
「その年に初めて」とはいいますが
通常、立春から春分の間にかけて吹く南風のことですね。
立春直前に全国的に南風が吹き気温が上昇した年もあったのですが
立春の前であったために
定義上、気象庁はこの風を「春一番」と認めなかったこともあるそうです。
なかなかその辺の判断は微妙ですよねぇ
人間が決めた定義とは関係なく自然現象は起きるものですし。。。
ちなみに今年の関東地方は2月4日、
立春の翌日に既に「春一番」が観測されています。
(今日現在、関東以外ではまだ観測されていません)
ここ数日また暖かくなってきましたし
このまま一直線に春に向かってほしいものです。

さてさて

本日は「ペンタックスSV」のカメラ修理を行っています。
いわゆる「アサヒペンタックス系」のカメラの末裔にあたります。
(SPまで含むかどうかいろいろ考え方はあるのですが…)
ここでいう「アサヒペンタックス系」とは
ペンタックス最初のカメラでもある「アサヒペンタックス(AP)」を
ベースとする一眼レフカメラです。
1964年に登場するTTL露出計搭載の「SP」も同じ系列ではあるのですが
「SP」は「SP系」として別に考えるほうがしっくりくる気がします。
(SPで内部構造もかなり変更されましたし)
今回の「SV」はアサヒペンタックス系の最終機といっても良いと思います。
正確に言うとSVよりも「S2スーパー」の方が後に登場するのですが
「S2スーパー」は「S2」を名乗りますが実際は「SV」から
セルフタイマーを省略したモデルです。
「SV」はその前身となる「S3」の後継機で
「S3」で実現した完全自動絞り機構に加えて
セルフタイマーと自動復元型フィルムカウンターを装備したものです。
機能的に追加されたのはその二つですが
ミラー駆動部やファインダー等、内部機構もかなりリファインされており
露出計を装備していないこと以外は
その後、数十年続くMFマニュアルカメラとしての基本的機構を
全て備えているカメラです。
つまり普通に70~80年代のマニュアルカメラが使える方ならば
それほど違和感なく使えるカメラになっているということですね。
(これ以前のアサペンだと半自動絞りだったり
カウンターは自動復元でなかったりとそれなりにひと手間と
慣れが必要かと思われます)
SVの「V」はセルフタイマーを意味する”Voraufwerk”の頭文字ということです
この時代のカメラにはSV以外のレンズシャッター機等でも
セルフタイマーレバー部によく「V」と刻印されてあります。
ただ、SVのセルフタイマーは非常にわかりにくい場所に設置されています。
通常、一眼レフのセルフタイマーというと
ボディ前面の目立つところにレバーがありますが
SVのセルフタイマーは巻き戻しクランク下がダイヤルになっていて
それをグルンと回転させてセットします。
これ、予備知識として知ってないとなかなかわからないと思います。

前置きが長くなりましたが
「SV」というか「アサヒペンタックス系」(SPより前)のモデルは
みんなそうなのですがシャッター幕が劣化・硬化していて
シャッターがまともに動作しない、あるいは動作していても
とてもとても正常にシャッターが走行できず
全くシャッタスピードの精度が出ない…という状態の個体が非常に多いです。
経年劣化なので仕方がない部分ですね。
シャッター幕の素材はいわゆるゴム引きで
布幕にゴムの層が組み合わされており
このゴムの層があるのでしっかり遮光できるわけなのですが
そのゴムが劣化してドロドロになったり
その後硬化して波を打ってしまっている状態になったりします。
今回のSVもシャッター幕がガチガチに硬化しており
特に後幕にいたってはシャッターをリリースしても
シャッター幕が走りだせないような状態でした。
シャッター幕交換は重整備ですし工賃もかなりかかりますが
ゴム引きのシャッター幕はやはり消耗品です。
今回のようにシャッターがまともに動作できないものに関しては
目に見えて交換が必要ですが
環境や個体差もありますが50年以上経過しているものは
やはり交換も考えなくてはならない状態になっていると思います。
ただSVはまだ比較的シャッター幕交換がやりやすいカメラで
それ以外の部分もシンプルで丈夫であるがために
シャッター幕を交換して各部の整備を行ってしまえば
また当分の間、安心して使える状態になるカメラだと思います。

画像は一通りの整備が完了後のものです。
黒のSVはちょっとレアですね。文句なしにカッコ良いです。
交換前のガチガチに硬化して波打ったシャッター幕に比べると
新品のシャッター幕のしなやかさは別次元のものです。
当然、スムースにシャッターは動作しており
他部分の整備も行っているので
巻上も軽く非常に気持ちの良い感触で
シャッター音も非常に上品な良い音になっています。
でもあくまでこれが本来の姿にかなり近い状態です。
(完全な新品になるわけではないので
完璧に本来の姿とはいいませんが)
SVは中古カメラ店とかに行くと
ジャンク箱の常連だったりすることも多いのですが
本来はこんなに使って気持ちよいカメラだということを
せめて今所持している方には知っていただきたいとは思います。

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リコーオートハーフEのカメラ修理

今日、2月14日と言えば
やはり「ふんどしの日」ですよね!(笑)
日本古来の伝統ある下着です。
日本人全員が「ふんどし」一枚は持っている、
そんな時代の到来を目標としている
一般社団法人・日本ふんどし協会が制定しています。
…なかなか志が高いというか…
なかなか今の時代それは難しいかも(笑)
私も正直言ってふんどし付けたことありません(汗)
日付は「ふ(2)んど(十)し(4)」と読む語呂合わせからです。
もうひとつ今日は「煮干しの日」でもあるのです。
「に(2)ぼ(棒→1)し(4)」という
なかなか無理のある語呂合わせからきています。
いわゆる出汁の元ですね。
個人的にはうどんの出汁の元というイメージかな。。
あぁ地元の呉の細うどんが食べたくなってきます。
子供の頃はイリコをそのまま食べたりとかもよくしていました。
。。。いや今でもたまに酒の肴代わりに食べてますね
煮干しとナッツを一緒に詰めたつまみなんかも売っていますものね
カルシウム不足を補うにはいいかもしれませんね

さてさて

本日は「リコーオ-トハーフE」のカメラ修理を行っています。
ハーフカメラといえばやはりオリンパスペンシリーズが
一番人気で有名ですが
オートハーフもハーフカメラを語る上で決して外せないカメラです。
オートハーフシリーズは1961年に初代がデビューし
マイナーチェンジを繰り返しながら1980年代初頭まで生産されます。
18年以上もの間、基本的な構造はほとんど変更なしに作られています。
可能な限りの撮影自動化に加え
女性のハンドバッグ、男性の上着のポケットに入るサイズの
小型化を目指して設計されたカメラです。
使用レンズは大口径レンズを搭載する「SL」を除いて
25mmF2.8レンズをシリーズを通して搭載し
ピント合わせの必要のない固定焦点とします。
セレン光電池を使用した露出計を搭載し
プログラムオートで自動露出
さらにオートハーフの一番の特徴でもある
ゼンマイ駆動による自動巻上で
まさに構えてシャッターボタンを押すだけでよいカメラに仕上がっています。
コンパクトな割に重量はそれなりにありますが
レンズの出っ張りもなく真四角なスタイリングは
今でも非常に新鮮で魅力のひとつだと思います。
本棚やテーブルの上とかにオートハーフをちょこんと置いてあるだけでも
ちょっと絵になりますものね。

お預かりしているのは1966年発売の「オートハーフE」です。
おそらく現存するオートハーフの中でも
「E」が一番多いのではないかと思います。
前面のアルマイト板にいろいろなデザインのパターンがあり
限定品等を含めると数えきれないくらいのバリエーションが存在するそうです。
「〇〇記念」といった感じでごくごく少数のみ作られたものもあるようで
その種類の数はもはやメーカーも把握できていないそうです。
レアなデザインで人気のあるものは
とんでもなく高値で取引されているものもあるそうです。

先に画像を出しておくと今回はこのデザインです。

いわゆるレッドフラワーと呼ばれているデザインですね。
これも非常に人気のあるデザインです。
いかにも60年代のデザインという感じがしますものね。
外観のコンディションもなかなか良く
シャッターも動作しているのですが
ゼンマイ部に油切れの兆候が見られ動きがあまりよくありません
動作音も少々苦しそうな感じです。
さらに露出計は全く作動しておらず
明るさに関わらず常に絞り開放でシャッターが切れる状態でした。
これはやはりセレン光電池の劣化により
ほとんど起電しておらず露出計が不動だったことが原因です。
オートハーフのセレンもなかなか状態の良いものを
確保するのが難しいのですが
今回は中古良品のセレンと交換することで対処しています。
以前も書きましたが
元々レンズシャッターは小さなバネの力でシャッターを駆動していて
ちょっとしたことで固着したり不動となったりするのは定番なのですが
オートハーフのシャッターはその大きさのせいもあり
さらに小さなわずかなバネの力でシャッターを駆動しています。
そのためほんのわずかな油シミが付着しただけでも
簡単のシャッターは固着します。
その上羽根が露出していて汚れやすいビハインドシャッターです。
今回はとりあえずしゃったーは動作していたのですが
分解時に念入りにシャッター駆動部の清掃を行い
必要最小限にほんのわずかな量だけ注油を行いました。
動きは明らかにお預かり時よりもスムーズになりました。

オートハーフ。。。収集癖のある方は
これに手を出すと泥沼にはまりそうで怖いカメラです。
私も人気のあるデザインのものを一通り集めたいと
考えたことが何度かあるのですが何とか思いとどまっています(笑)
基本性能も高くてデザインが良くて
さらにバリエーションが数えきれないほどあるなんて反則ですよね(笑)

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キヤノン7のカメラ修理

今日は「世界ラジオデー」だそうですよ。
さすがに最近はラジオ聴くこと本当に少なくなりました。
(たまにナイター中継聴くくらいかな)
昔はよく聴いていたと思います。
クルマで長時間移動していると
CDばかりじゃ飽きるのでラジオつけることが多かったし
仕事が外回りの頃にはなおのこと聴いていたかな
でもラジオと聞いて思い出深いのは
やっぱり小学校高学年くらいから中学校の頃にかけて
布団の中でイヤホンして聴いていた
AMラジオのラジオドラマやオールナイトニッポンかなぁ
好きなアイドルや女優さんが出ている
ラジオドラマはくまなくチェックしていたし
その頃全盛期だった鶴光のオールナイトニッポンはすごく面白かったし
その少し後にパーソナリティやっていた
中島みゆきのオールナイトニッポンも面白かったなぁ
エアチェックするために
FMも番組表とやたらにらめっこしていましたが
単純に聴いてておもしろかったのは深夜のAMラジオかな
また夜更かししていると怒られるから
家族にばれないようにイヤホンして布団被って聴くのが
背徳感があっていいのです(笑)
まぁ、あの時代ならではの楽しみだったかもしれませんね
そんなAMラジオももはや風前の灯火ですねぇ
あの音質が悪くてノイジーなのが味わい深いのになぁ(苦笑)

さてさて

本日は「キヤノン7」のカメラ修理を行っています。
「キヤノン7」の発売は1961年
既にニコンから「F」が出て2年ほど経っており
ペンタックスからも「S3」が発売されている頃で
時代は確実にレンズ交換式カメラに関しては
レンジファインダー機から一眼レフへ移行している時期でした。
キヤノンもそのあたりは重々わかっていて
1959年には初の一眼レフであるキヤノンフレックス
1960年には1/2000搭載のR2000を発売しています。
でもその頃のキヤノンの主流はまだまだ
高級レンジファインダー機であり
またそのブランドイメージも確立されていました
しかしながら時代の流れは確実に一眼レフに傾いていき
このキャノン7と後に出るマイナーチェンジ版の「7S」が
キヤノンレンズ交換式高級レンジファインダー機の
最後のシリーズになってしまいました。
「7」はそれまで30年近く作り続けてきた
レンジファインダー機の集大成ともいえるモデルで
最高速1/1000のシャッターを搭載し
ファインダー視野枠は35/50/85+100/135の4つを
手動で切り替えることができます。
(パララックス補正機能付き等倍採光式ブライトファインダー)
さらにセレン光電池式の露出計までも搭載しています。
シャッタースピードの設定に応じて
対応する絞り値を指針が差し
それに合わせて手動で絞り設定を行う方式です。
50mmF1.4レンズが付いて当時の価格は47,500円
大卒初任給が15,700円の時代です。
やはりかなり高価かつ高級なカメラだったことがよくわかります。

お預かりしている「7」はちょっとレアな
ブラック塗装の7です。
露出計が不動ということでお預かりしていますが
露出計周りに弄られた形跡もあり
メーター表示版の位置関係もおかしいですし
ASA設定も不動で設定ができません。
さらにメーター窓のアクリル板は破損しています。
通常、交換部品の確保が非常に困難なカメラなのですが
今回はご依頼者様から部品取りとして
同じブラックの「7」をもう1台ご提供いただいています。
メーター窓は交換しようにも取り外す際に
破損する可能性も高いので今回は
上カバーごと交換で対処します。
メーター不動ということでセレンの状態が
非常に心配されましたが
セレンそのものはしっかり起電しており
照度切替SW付近での接点接触不良が不動の原因でした。
シャッターはとりあえず一通り動作はしていますが
やはり高速域での精度は今一つで
そのあたりも含めて全体的に整備を行います。

画像は一通りの整備が終わった段階でのもので
装着しているレンズは当店のテストレンズです。
露出計は通常使用に全く問題ないレベルで精度も確保できています。
シャッタースピードも問題ないレベルになり
巻上も非常にスムーズになりました。
普段シルバーしか見る機会がないので
ブラックはやはり新鮮なイメージです。
黒ローレットのこの時代のキヤノンレンズが合いますね
70年代中期にはキヤノンの一眼レフというと
ブラックボディのイメージが強くなるのですが
この時代のキヤノンのブラックも良いですね。
もう少し様子見を行った後に最終チェックをして完成となります。
見違えるほど操作感も良くなったと思うので
ご依頼者様にも堪能していただきたいと思います。

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オリンパスペンFTのカメラ修理

今日は「レトルトカレーの日・ボンカレーの日」だそうですよ
1968(昭和43)年のこの日に日本初のレトルト食品である
「ボンカレー」が発売されたことが由来となっています。
ヒデキ感激!のハウスバーモンドカレーと並んで
昔からのレトルトカレーといえばボン・カレーですよねぇ
私とかのおっさんだとやはりパッケージは
昔の松山容子さんのものが思い出されますし
テレビCMでもはぐれ狼のパロディで
「3分間待つのだぞ」「じっと我慢の子であった」のセリフが
未だに強烈にイメージが残っています。
ところでボンカレーのボンはフランス語の形容詞で
で「良い(優れた)、おいしい」という意味だそうです。
ただ、この商品名を決定する際に
一人暮らしの男性でも温めるだけで簡単に食べられることから
「チョンガーカレー」という案もあったそうです。
うーん、もし「チョンガーカレー」で発売されていたなら
こんな同一名商品でロングセラーになっていなくて
途中で絶対に名前変えられていたでしょうね(笑)
ボンカレーはともかく今日は金曜日だから
私も夜ご飯はカレーにしましょう!
レトルトでもなくて近所の「ほっともっと」で
ロースカツカレーかな。。。(笑)

さてさて

本日は「オリンパスペンFT」のカメラ修理を行っています。
毎度書きますがペンFシリーズは
世界でも例を見ないハーフ判専用の一眼レフカメラです。
ハーフ判カメラ自体が日本でしか
あまり普及しなかったという側面もありますが
オリンパスらしい非常に独創的なカメラです。
メカ構造的にも通常の一眼レフカメラとは全く異なり
整備・修理する場合もペンF系ならではの留意点がたくさんあります。
「FT」は最初に登場した「F」をベースに
巻上をダブルストロークからシングルストロークに変更し
第三反射面のミラーをハーフミラーに置き換えることで
そこに入ってくる光の一部を透過させ
受光体(CdS)に送り露出計を制御します。
さらにペンFで花文字がデザインされていた部分には
セルフタイマーを装備しています。
露出計やセルフタイマーが装備されたことで
機能的には進化しましたが
第三反射面をハーフミラーとしたことで
ファインダーは少し暗くなり
シングルストロークとしたことで
巻上角は非常に大きくなり
ストラップ金具に引っかかってしまうこともあります。
なかなか全てが進化して良いことづくめとはいかないようです。

お預かりしている「ペンFT」は
シャッターは動作しているのですが
ファインダーを覗くと一見してわかるほどの
ハーフミラー腐食で
全体に黒いシミ上の腐食痕が散見されます。
加えて露出計の動作が非常に不安定で
これは電池室の腐食が原因と思われます。
露出計の値自体もとてもそのまま使えるような精度ではなく
調整が必要な状態です。
装着されているFズイコーオートS38mmF1.8レンズは
絞り羽根に油シミが多く羽根清掃が必要です。

画像は一通り整備が完了した段階でのものです。
清掃注油等を行った上での調整を行っているので
動きが落ち着くまですこsばかり様子見の段階です。
今回はシャッターには大きな問題はありませんでしたが
ペンF系で多いのはガバナ関係のトラブルと
ミラー駆動部関連のトラブルです。
今回もチェックを行った上でそういうトラブルが起きないように
一通りの整備を行っています。
外観もできる限り磨き上げたので
なかなかキレイな1台に仕上がりました。
この後、最終チェックと微調整を行って完成ですが
ご依頼者様にも存分に楽しんでいただければと思います。

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オリンパスXAのカメラ修理

本日は全国的に
「建国記念日」ということで祝日ですが
個人的には1年前のこの日の夜に
脳梗塞(正確には延髄外側梗塞)で救急搬送されたのです。
あれから1年、最悪の状態の時には
自力で立ち上がることもできず
目を開けるだけで強烈な回転性のめまいに襲われ
目の焦点も合わず
ほんのわずかな水も飲みこめないほどの嚥下障害等々
「もう普通の生活には到底戻れないんじゃないか」と
覚悟しましたが
おかげさまで何とか普通に仕事もでき
日常生活を送れるほどに回復しています。
まだ左顔面及び首下右半身の温痛覚障害や
左目視力が不安定だったり
ふらつきや微妙にまっすぐ歩けない等々、問題も多々ありますが
1年経過しましたし、さすがにこれ以上は回復しないのかもしれません
それでもほんの少しでもまだ回復する可能性がないともいえないので
さぼらずに毎日リハビリは行っていきます。
刺激を入れ続けないと悪化しそうな気もしますし(汗)
人生死ぬまで修行ですよねぇ。。。
なかなか楽はできません(笑)

さてさて

本日は「オリンパスXA」のカメラ修理を行っています。
昨日のブログで「OM-1」の修理依頼が
圧倒的に多いという話を書きましたが
メーカー別に考えてもオリンパスカメラの修理は多いのですよね
オリンパスのカメラは軽量コンパクトを突き詰めた機種が多く
そのため独創的な構造をしているものも多いのです。
言い換えると他メーカーが大きさに余裕をもって
堅牢性や整備性を確保している中、
ギリギリの設計をしている部分も正直見受けられます。
現行モデルでいるうちには全く問題なかったと思いますが
そのため経年劣化に多少弱いところもあり
トラブルも起こりやすいともいえると思います。
ただし、定期的に整備を行える機種(当店では行えないものも多いです)であれば
決して壊れやすいカメラではありません。
何よりも他メーカーの機種では代わりがないようなカメラが多いのが
オリンパス機の魅力かな。。。とは思います。
今回の「XA」も間違いなくそういうカメラです。
スライド式のレンズバリアでレンズキャップを不要とする画期的デザインで
この後のコンパクトカメラに同様のデザインのものが次々と出てきました。
画期的なデザインだけではなくハーフカメラ並みのコンパクトさで
35mmフルサイズ版、単焦点35mmF2.8レンズ
さらにレンジファインダー装備で
絞り優先AEで撮影ができるカメラなんて他にはなかなか存在しません。
XA2以降のXAシリーズはプログラムAEで目測ゾーンフォーカスとなったため
尚のこと初代XAが機能的にも際立つ存在になっています。

ただし、正直言ってトラブルは可能性は少々高めのカメラだと思います。
今回お預かりのXAもシャッターが全く切れません。
これもXAならではのフェザータッチのシャッターレリーズの
接触不良のトラブルも非常に多いのですが
今回はまずは根本的に電源が入りません。
まずは定番の電池室周りからチェックしていきますが
おそらくかなり長い間電池を入れっぱなしだったと思われ
液漏れ跡はないものの電池から出るガスの影響で
配線はものの見事に腐食しており完全に断線しています。
腐食は配線だけにとどまらず
基板の一部まで広がっている状態でした。
配線はもちろん交換で基板の一部や清掃や磨きで対処します。
XAの修理となると毎回必ず問題になるのが
ファインダー内に表示される露出計です。
XAは受光体(CdS)が2つ装備されており
片方はオート制御に使用され
片方はファインダー内に表示されるためにだけ使われます。
なので両方のCdSが劣化なく明るさによって抵抗値が変化していれば良いのですが
XAの場合、ファインダー表示用のCdSがほぼ間違いなく劣化して
正しい値を示すことができません。
ただオート制御側のCdSは問題ないものが多く
ファインダー表示にはおかしな値が出ていても
オートそのものは正常に動く場合が多いのです。
おまけにこの2つのCdSは特性が異なり入れ替えることはできません。
さらにオート制御用のCdS回路は細かく調整が可能な構造ですが
ファインダー内表示の回路は調整箇所が基本的にありません
とはいえファインダー内表示が実際の動きと異なるのは問題なので
今回もできる限り一部抵抗を変更したり
いろいろ調整を行ってまずまずの値が出るように調整しています。
なにせスペース的にもとにかくギリギリなので
何を行うにしても苦労の多いカメラであることは間違いないです。

修理不能で返却することも正直言うと多いカメラです。
今回は何とか安心して使えるレベルに修理・整備することができました。
画像に写っている専用フラッシュA11は
当店では修理・整備は行っていないので
今回は発送等の動作チェックのみ行いました。
今のところは問題ない状態だと思われます。
フラッシュ外すとほんとに小さいのですよね
XAも修理を行うたびに自分用に1台欲しいと思うカメラです。
なかなかうまく縁がなくて(せっかく入手した程度の良いものが
部品取りになったりして)自分用のXAが実現しませんねぇ
先程も書きましたが機能的にもスペック的にも
他で代替ができないカメラだと思いますし
歴史的にも価値があるカメラだと思います。
程度の良いものが存在しているうちに
何とか1台キープしておきたいものです。

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オリンパスOM-1Nのカメラ修理

今日は「左利きグッズの日」なのだそうですよ。
もともと日本独自の「左利きの日」であったのですが
その後「左利きグッズの日」に改称されたのだそうです。
日付は「レ(0)フ(2)ト(10)」と読む語呂合わせが由来です・
世界的には8月13日が「左利きの日」とされているのですが
日本ではお盆真っ最中のため
イベントが開催しづらいとの理由で2月10日となり
その後、改称されたのだそうです。
うーん、私も生粋の左利きでお箸も書くのも左で
右利きと同じなのはギターと
子供の頃習った習字の大筆くらいですねぇ
(なぜか小筆は右で書けない(苦笑))
でも子供の頃から右利き用のものを
左で扱うことに慣れてしまっているので
今更、ハサミとか左利き用を使っても逆に難しいのですよねぇ(笑)
えっと…他に左利き用が比較的用意されているものは…
カッター、定規、鉛筆削り、扇子、急須、
フライ返し、コルク抜き、スライサー
うーん、左利き用じゃなくても良いものばかりのような気が…
慣れって意外とすごくって何でも何とかなっちゃうのですよねぇ
おまけに昔は今ほど左利き用の道具なんて
おそらく手に入らなかったと思いますし…
まぁ左利きなことで数えきれないほど
いろいろ気を遣うことは多かったと思います。
それもいつのまにかどれも大した問題ではなくなりましたねぇ

さてさて

本日は「オリンパスOM-1N」のカメラ修理を行っています。
今月も何台かOM-1系の修理が入っていますよ
やはり機種別でみて修理依頼が多いのは
ここ数年圧倒的にOM-1です。
「1N」は1979年に発売されたOM-1のマイナーチェンジ版です。
フラッシュ関連の変更が行われた以外は
基本的な機能はOM-1と全く変わりません。
ただ、内部部品の変更はかなり行われており
「1」と「1N」だと意外と部品の互換性がなかったりします。
「OM-1」のデビューが1972年、基本的にはほぼ同じ機能の
「1N」の発売が7年後、後継ともいえるOM-3の発売が1984年…
こうしてみるとOM-1が非常にロングセラーだったことがわかります。
それだけ基本設計が優れていた証かと思われます。

お預かりしているOM-1Nは
全く露出計が動かないとご依頼者様から聞いておりました
宅配便でお受けしてその時点では確かに露出計が動かず
電池室の状態は良好なので
「もしかしたらメーター本体かな…」と予測していたのですが
実際に修理に入る前に再度現状チェックを行うと不安定ながら
動作しています。
何度か電池を出し入れしていると
全く動かなくなってしまうこともあるので
端子の接触不良かハンダ不良かと思われます。
少々話が逸れますが
このときに使用電池はいわゆる電池アダプタを使っていたのですが
LR44やLR43を使う電池アダプタだと端子の形状や
アダプタや電池の形状のわずかな誤差で
マイナス端子側(ボディ側端子)に電池の(+)部分が
触れてショートしてしまうことがございます。
比べてみるとわかるのですが本来の水銀電池と比べると
電池のマイナス部分が狭く
その分プラス部分が広くなってしまい
OM-1のように電池室の端から端子が出ているタイプの電池室だと
プラスが触れてしまうこともあるようです。
今回は配線の交換や再ハンダに加えて
念のため端子の端部分には絶縁処理を行いました。
露出計はそれで解決したのですが
測定器で計測してみると高速シャッターの精度が全く出ていません。
いつもの整備の一環で幕軸やガバナー、調速部の清掃を行い
最終的に微調整を行い精度を確保していきます。

装着しているレンズは当店のテスト用レンズです。
少し様子見を行っていますが
今のところシャッターも露出計も動きは非常に安定しています。
もう少し時間をおいて最終的なチェックと
必要であれば若干の微調整を行って完成となります。
毎度、整備をしていて思いますが
OM-1独特のシャリっとした巻上は何とも言えず気持ち良いですね
ミノルタXEとかのひたすら軽く少しヌメっとした感じの
巻上も気持ち良いですがOMの巻上はそれとはタイプが異なりますが
また違った魅力に溢れています。
そういう部分に楽しみを見出してしまうと
カメラの台数が増えてしまうのですよねぇ。。。困ったものです(笑)

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