月別アーカイブ: 2023年9月

ミノルタハイマチックFのカメラ修理

今日は「カラーテレビ放送記念日」だそうですよ。
1960(昭和35)年のこの日に
NHK・日本テレビ・ラジオ東京テレビ(現:TBS)・読売テレビ・朝日放送の5局がカラーテレビの本放送を開始しました。
これはアメリカに次いで世界で2番目だったそうです。
さすがに記憶の彼方にかすかにしか覚えていないのですが
私の生まれ育った実家でも最初は白黒テレビで
私が3歳くらいの頃にカラーテレビに買い換えられたのですよね…
1972年あたりか…登場当時は非常に高価だったカラーテレビも
東京オリンピック(1964年)でずいぶん普及して
この頃になると割と一般的な価格にまで下がってきてたはず…
まぁでもチャンネルダイヤルはガチャガチャ回していましたし
UHF帯だと別のチューニングダイヤルを回してましたねぇ
もちろんリモコンなんてまだないですよ。
いわゆる家具調テレビです。懐かしいですね。
ステレオも無駄にデカい4ch家具調ステレオでしたねぇ…

さてさて

本日は「ミノルタハイマチックF」のカメラ修理を行っています。
私の実家のテレビがカラーになった頃に発売された(1972年)カメラです。
前年に登場した「ハイマチックE」の下位モデルとして
発売されましたが
この当時は「コニカC35」の大ヒットもあって各社コンパクトな
F2.8クラスのレンズ搭載のコンパクトカメラの開発に
躍起になっていて「ハイマチックF」も「コニカC35」の
対抗馬としてのポジションでした。
搭載されるロッコール38mmF2.7、シャッターユニットは
「E」とはまた異なりセイコーESL電子制御シャッターを搭載します。
露出制御はプログラムオートで行います。
シャッタレリーズのストロークが長く
レリーズした際のシャッター音が「ジャキーン」といった感じで
少々独特なフィールのカメラです。
個人的にはこのシャッター音が妙に好きで
一時期、気軽に持ち歩くようで個人的にも使っていたカメラです。
非常にコンパクトな上にデザインも端正で
なかなか良いカメラだと思います。

「ハイマチックF」は電源周りのトラブルが多いのですが
お預かりしている「F」は電池を入れてみると
なんとか電源は入るようです。ただやはり不安定です。
電池室を見ると腐食跡も若干確認できるので
接触不良や配線の腐食もあると思われます。
加えてオート精度が非常に悪く
4段以上アンダーに制御してしまうようです。
さすがにこれでは写真が暗くなってしまいます。
さらにレンズ前面のASA感度設定盤が一部破損していて
ASA100から設定の変更ができない状況です。

電子制御シャッター機は機械的な駆動部も整備に加えて
各接点の清掃やマグネット吸着部の清掃整備が非常に重要です。
そのあたりも踏まえて整備清掃を入念に行っていきます。
もちろん並行してレンズ・ファインダーの清掃調整も行います。
一部破損してしまっているASA感度盤については
中古部品での交換で対応いたします。

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オリンパスペンFTのカメラ修理

今日は9月9日ということで
「重陽の節句」ですね。
陰陽思想では奇数は陽の数で
陽数の極である9が重なることから
「重陽(ちょうよう)の節句」と呼ばれます。
旧暦では菊が咲く季節であることから「菊の節句」とも呼ばれます。
菊の季節には新暦だとまだ早いのですよねぇ
幼い頃に菊祭りとか菊人形展とかに連れて行ってもらった
記憶があるのですがもっと秋の深まった頃だったと思います。
旧暦だと10月の半ばにあたるので
やはりそのあたりが菊の季節ですよね。
そして今日は「救急の日」でもあります。
これは語呂合わせそのままですね。
あまりお世話になりたくはないですが
いざというときには救急車や救急外来を
頼らざるを得ないことはありますものね…
特にこの歳になってくると
いつ何が起こるかわからないので
常日頃から気を付けるしかないですね。
あまり神経質になり過ぎると
ちょっとした体調の変化に過敏になり過ぎて
またそれはそれで困るのですが…

さてさて

本日は「オリンパスペンFT」のカメラ修理を行っています。
ハーフ判一眼レフというだけでも
数の少ないジャンルですが
単純に通常の一眼レフをハーフ判にしただけではなく
ハーフ判であることのメリットを最大限に生かそうと
いろいろと独自性の高いメカニズムを持つカメラです。
そういう意味ではまさに他に類を見ない孤高の存在だと思います。
最初に登場した「ペンF」、巻上をシングルストロークとし
露出計、セルフタイマーを内蔵した「ペンFT」
「FT」から内蔵露出計を省略した
「ペンFV」の3機種が存在します。
いずれにしてもロータリーシャッターを搭載し
ミラー駆動を横置きとしてポロプリズムを使用して
接眼レンズへファインダー像を導きます。
この構造のため通常一眼レフでは必ず存在する
ペンタプリズム部の出っ張りはなく
フラットな上カバー部となっています。
さらに構造上、レンズマウントは巻き戻し側に大きくオフセットされ
デザイン的にもペンFならではのものとなっています。

お預かりしている「ペンFT」はまずシャッターが切れません。
ペンF系でよくあるミラーアップしたまま固着…といった状態ではなく
ミラーは通常の位置なのですがレリーズは押せず
巻き上げもできず…といった状態です。
加えて「FT」のセールスポイントのひとつである
内臓露出計は電池を入れ替えても全く動作しません。
電池室は一見キレイなのですが
中には昔の水銀電池が入ったままになっていました。
おそらく裏側の配線やハンダは腐食してしまっているものと思われます。

ペンF系でシャッターが切れない場合の原因は
ミラーアップしたままになっている場合もそうですが
シャッターユニットよりミラー駆動に問題がある場合が多いです。
今回もシャッターユニット単体では
ガバナが少し粘っている部分もありましたが
シャッター自体は何とか動作しているようです。
ミラー駆動が完全に固着してしまっていて
ミラーが動かないためシャッターも切れないといった状態です。
シャッターユニットも含めて
ミラー駆動部、巻上機構部等の動作部分の整備を一通り行います。
並行して電池室の配線交換を行い
露出計の調整整備を行います。

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ミノルタSR-1のカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの「白露」です。
いよいよ秋の気配が迫り大気が冷えてきます。
夜間に気温が下がり大気中の水蒸気が草花に朝露となってつくようになります。
光によって白く見える露ができ始める頃という意味で「白露」とされるそうです。
今朝は関東地方は台風の影響で雨風がそれなりに強いですが
北から風が吹き込んでいることもあって気温も一気に下がりました。
最高気温も25℃前後のようです。
こうして季節も一気に進んでいくのですね。
あのどうにも暑くてたまらない真夏が終わって一安心です。
気持ちよく過ごせて旬の果物もたくさんある
秋ができるだけ長く続いてほしいと思いますが
近年の傾向からみて今度はあっというまに
寒くなるのでしょうねぇ
個人的にも秋が1年の中で一番好きなのですが…(苦笑)

さてさて

本日は「ミノルタSR-1」のカメラ修理を行っています。
毎回「SR-1」のブログの際には書きますが
ネーミングから想像されやすい
いわゆるフラッグシップモデルではなく
中級機のポジションになるカメラです。
最初の「SR-1」が出たのは1959年ですが
そのときのトップモデルは前年に発売された「SR-2」です。
数字が大きいほうが上位モデル…というネーミングですね。
当時の「SR-2」から1/1000シャッターを省略し
差別化して発売されたのが「SR-1」です。
そのほかはほぼ当時のSR-2と同一です。
その後、トップモデルはSR-2→SR-3→SR-7へと
モデルチェンジを行い、モデル名も変わるのですが
「SR-1」は中身はトップモデルに倣って
モデルチェンジされてもモデル名は「SR-1」のままだったのですね。
そのため「SR-1」は同じモデル名でいろいろなヴァージョンが存在します。
中身が全く異なるので修理する立場としても少々ややこしいですね。

お預かりしている「SR-1」は
純正の外部露出計を装着するためのソケットがあり
そのため「SR-1」のロゴも巻き戻し側に刻印されます。
ロゴの色は黒ではなく緑色です。
フィルムカウンターは巻き戻しクランクの隣に配置されています。
以上の外観上の特徴から1961年前期のモデルかと思われます。
ベースとなっているのは当時の「SR-3」となります。

おそらくこの「SR-1」もかなり長い間
使われずに仕舞い込まれていたものと思われます。
各部の動きはかなり悪く
シャッタースピードの精度が出ていないのは当然ですが
巻上もかなり重く感じます。
レリーズ軸の動きもかなり悪いようで
巻上げてチャージしてもシャッターが切れなくなるような
症状が頻繁に発生します。
そして1/60より遅いいわゆるスローガバナで制御する
シャッタースピードに設定すると
全速でバルブ状態になりレリーズボタンを押している間
シャッターは開きっぱなしになります。
ボタンを離すと設定されたスローシャッターで作動して切れる感じです。
調速カム周りの部品の動きが悪いものと思われます。
装着されていたオートロッコールPF55mmF1.8は
レンズはそこそこキレイなのですが
絞り羽根が固着してしまっていて羽根が出てきません。
ボディ側、レンズ側ともに一通りの整備が必要な状態です。

確かに各部の動きは非常に悪い状態ですが
基本的には丈夫なカメラです。
どこか致命的な破損や故障があるわけではありません。
機械的な駆動部を隅々まで入念に動きを良くする清掃や
整備を行なった上で微調整を行えば
本来の状態に復帰できると思われます。
まだ取りかったばかりですが
これから各部点検整備一式を行っていきます。

ミノルタユニオマットのカメラ修理

今日は「CMソングの日」だそうですよ。
今年もこの日がやってきましたね(笑
1951(昭和26)年のこの日に
初めてCMソングを使ったラジオCMが
中部日本放送(CBC)・新日本放送(NJB)でオンエアされたことに
由来しています。
そしてこのCMで流れたのが
小西六写真工業株式会社(現:コニカミノルタ株式会社)の
「さくらフイルム」のCMだったのですが
歌の中に社名・商品名は一切入っていませんでした。
流れたのは「ボクはアマチュアカメラマン」という
このCMのために作られたCMソングです。
1年にこの日だけこの「CMソングの日」のことを書いて
ついでにyoutubeでこの曲を聴いてしまうと
1日耳について離れなくなるのですよねぇ(笑
「あら ピンボケだ♪ おや ピンボケだ♪ ああ♪ みんなピンボケだ♪」
歌では楽しげですが実際にこうなると真っ青ですよね(笑
でも当時は普通にキレイに撮るだけでも
それなりに大変だったのがよくわかります。
今でも当時の機材で撮影するとそれなりに苦労しますものね…
ご興味があったらフルコーラスで聴いてみてください
なかなかシュールでおもしろいですよ。

さてさて

本日は「ミノルタユニオマット」のカメラ修理を行っています。
1960年発売の普及型レンズ固定式カメラです。
搭載れるレンズは六コール45mmF2.8です。
セレン光電池を使用した露出計を内蔵し
追伸式でLVリングを回して針を合わせて露出設定します。
シャッターはプログラムシャッターで
絞りとシャッタースピードの組み合わせは選べず
設定したLV値に対応するSSと絞りでシャッターが制御されます。
シャッターユニットはシチズンオプチパーユニで
最高速度はレンズシャッタでは珍しい1/1000秒です。
ただ当時はそれほどの高感度フィルムは存在せず
プログラムシャッターで任意の絞りも選べないため
この1/1000が使われる機会はなかなかなかったと思われます。

お預かりしているユニオマットは
おそらくかなり長い間使われずに仕舞い込まれていたものと思われます。
シャッターは少々粘りがあるものの
まずは一応動作していますが
レンズ、ファインダーには盛大にカビが発生しています。
特にレンズは酷くカビのせいで全体的にも濃く曇っています。
一部カビ跡、もともとある拭き傷は除去できませんが
できる限りの清掃を行っていきます。

少し大柄で外寸にも余裕があるので
整備性は非常に良好なカメラです。
レンズはカビは全て除去され
若干のカビ跡や以前からの拭き傷は残りますが
ほぼ撮影に問題ないレベルに改善されました。
ファインダーも同様です。
大きくズレていて全く使えなかった
距離計二重像もしっかり調整して
問題のない状態になっています。
心配されるのはやはりセレンの状況ですが
お預かり時の状態では2段以上オーバーの状態で
やはり起電状態は劣化の影響で
少し落ちていますが
露出計側の調整で何とか実用航問題のないレベルには
調整ができています。
この時代のカメラらしくしっかり造られていて
意外と使いやすいカメラです。
60年代らしい直線基調の中に丸みがあるデザインが
何とも魅力的な1台です。

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オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は9月6日…「く(9)ろ(6)」ということで
「黒」に関連する記念日が目白押しです。
「黒の日」「黒牛・黒豚の日」「黒豆の日」
「黒酢の日」「黒あめの日」「9696(クログロ)の日」
「カラスの日」「松崎しげるの日」…等々
そんな中に「黒い真珠・三次ピオーネの日」がありますねぇ
その美味しさと色合いから「黒い真珠」と呼ばれている
広島県三次(みよし)産の高級ぶどうです。
私にとっては地元の名産品で目にすることは多かったのですが
さすがにちょいとお高いので口にすることは少なかったですねぇ
ちょうど今頃が露地モノが出回る季節なのですね。
大粒で甘くて適度な酸味で本当に美味しいのですよねぇ…
思い切ってお取り寄せしてみようかな…

さてさて

この流れで行くと「黒いカメラ」の修理ブログだと
日付に合うのですが何にも段取りせずに
そんなにうまくめぐり合わせるわけもなく
今日はシルバーの「OM-1」のカメラ修理を行っています。
毎月数台は「OM-1」の修理をしていた時期が
長く続いていたのですが
最近はしばらくご無沙汰でしたね。
少しヒサビサの「OM-1」の修理です。
コンパクトな「機械制御マニュアル一眼レフ」といいうジャンルにおいて
まさに第一人者といえるカメラだと思います。
ただ軽量コンパクトだけでなく
巻上やシャッター音等、その何とも上品な使い心地のよさで
高い人気を誇るカメラです。
現行品であった時代から現在にいたるまで
どの時代においても高い人気を保ち続けている
数少ないカメラでもありますね。

軽量コンパクトであることを最優先に作られているために
多少機械的に気難しい…というか
定期的なメンテナンスが必須なカメラでもあります。
通常の大柄な一眼レフに比べると
多少デリケートな部分やより小さなバネの駆動力で
動作している部分もあり
動きの良い状態を常にキープしておく必要があります。
今回、お預かりしている「OM-1」も
シャッターは一通り動作してはいるのですが
やはり幕軸や巻上部に動きの渋い部分もあり
高速シャッターの精度は出ていない状態です。
さらに露出計は電池を入れても全く動作しない状況です。
電池室は非常にキレイな状態で
周辺をチェックしてもハンダ付けや配線には問題がなく
それ以外の原因で電源が入らない状態のようです。

まれに露出計本体内部で断線している場合があり
そうなると結構大変な修理となってしまいます。
なのでまずは露出計本体が動作するかどうかを
確認するのですが今回は露出計本体にも問題はないようです。
…となるとSW部の接触不良の可能性が高いですね。
いろいろ調べていくとやはりSW部に問題があるようです。
今回の「OM-1」は後期のモデルで
SW部は「OM-1N」と同様の構造に変更されている個体なのですが
それでも前期モデルと同様にSW部のトラブルは
比較的多いようです。
さらにこのタイプのSWになっているOM-1は
アース側の接触不良も多いのでそのあたりにも注意が必要です。
機械的な駆動部分も整備も行い
並行して露出計回路周りの整備調整を一通り行っていきます。

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ペンタックスKXのカメラ修理

今日は「ベッドの日 (good sleep day) 」だそうですよ。
日付の由来は英語表記の「good sleep day」の
「グッドスリープ」を「グッスリ」と読み
「9」と「3」の語呂に合わせたものだそうです。
なかなか無理やりですねぇ…と思ったものの
「ぐっすり眠る」の「ぐっすり」は
英語の「good sleep」に由来するという説もあるそうです。
ちなみに別の説では
江戸時代の書物『黄表紙・即席耳学問』に
「すっかり」「十分に」の意味として
「ぐっすり」が使われており、英語に由来しない説もあるのだそうです。
いずれにしても「ぐっすり眠る」のは大事ですね。
今日は「ドラえもん」の誕生日でもあるのですが
のび太の名言にも
「あったかいふとんでぐっすりねる!
こんな楽しいことがほかにあるか」というのがあり
本当にその通りだと思います(笑
ストレスなく十分な快適な睡眠をしっかりとるために
起きている時間にしっかり働いて必要な食事をとっている…といっても
過言でもないかもしれませんね…
ついつい夜更かしや深酒をして
翌日に起きるのが辛く後悔することも多々ありますが…
これから気候もよくなって夜に時間も長くなり
より気持ちよく眠れる季節になると思います。
気持ちよく眠るために布団を新調したくなりますね!

さてさて

本日は「ペンタックスKX」のカメラ修理を行っています。
1975年発売のカメラです。
1975年5月にペンタックスはレンズマウントを新しく
バヨネット式とした「Kマウント」を搭載した
「Kシリーズ」を3機種同時に発売開始しました。
トップモデルの「K2」は縦走り金属羽根シャッターを
電子制御で駆動する全く新しいモデルでした。
中級機となる「KX」は
従来までのアサヒペンタックスシリーズの造りを引き継いだ
機械制御布幕横走りシャッターを搭載します。
基本的なシャッターや巻上周りの構造は
これまでの従来モデルの基本的背一計を受け継いでいますが
ペンタプリズムは銀蒸着となりより明るくなり
露出計受光体もCdSからSPDへと変更されています。
その露出計のファインダー表示も設定SS表示を兼ねた
追針式となり露出計の値と設定SSがどれほど離れているか
一目で直感的にわかる非常に使いやすいものとなっています。
さらにファインダー内にレンズの絞り値を直読させる
窓も装備されマニュアル露出機として
非常に使い勝手の良いものになっています。
しかしながら翌1976年末にはより電子化+小型化を進めた
「Mシリーズ」が発売となり
「Kシリーズ」は実質的に1年半程度の短命となってしまいました。

お預かりしている「KX」は
一通り動作はしているのですがかなり全体的に動きが悪い印象です。
油切れや古い汚れや油脂類のせいだと思われます。
やはり高速シャッターの精度は出ていない状態です。
値自体も不安定で一定していません。
露出計も動作していますが1.5段ほどのオーバー表示です。
「Kシリーズ」の各モデルも
「SP系」と同じくプリズム腐食の多いカメラです。
その多くの原因はプリズムを囲むようにぐるりと張り付けられた
遮光材によるものが多いのですが
今回のKXは遮光材の劣化や加水分解ももちろんありますが
それ以前に蒸着そのものの劣化で銀蒸着が一部剥がれてしまっています。
この時代のプリズム蒸着、特に銀蒸着は劣化しやすいものが多い印象です。
「KX」の腐食のないプリズムも
今はなかなか入手しづらい状況なのですが
今回はなんとか確保できたので交換で対応していきます。

確かに少々大柄なカメラですが
非常にしっかり作られているカメラで
前述したように使い勝手も非常に良いカメラです。
さすがにSP系よりは中身はややこしく
整備性はそれなりですが
それでもサイズ的にも余裕があるおかげで
後の「Mシリーズ」に比べても整備性も良いカメラです。
短命だったわりにはそれなりに現存数もあり
「KX」や「KM」は意外と隠れた名機なのではないかと思います。

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ニコンFMのカメラ修理

今日は「くず餅の日」だそうです。
「く(9)ず(2)もち」(くず餅)と読む語呂合わせからですね。
私は「くず餅」と聞いて
葛粉を使った半透明の夏らしい涼し気な和菓子を連想したのですが
この記念日でいうところの「くず餅」は
いわゆる関東でいう久寿餅(くすもち)で
小麦澱粉(でんぷん)を発酵させて作る白い和菓子なのですね。
たぶん…いや間違いなく食べたことないな…
調べてみると…適度なやわらかさとしなやかな歯ざわりで
江戸時代から愛されている和菓子唯一の発酵食品である…
画像とかを見ても…お、美味しそうですね…
どこに行けば買えるのでしょう???
これも調べてみるとお取り寄せでも店舗に買いに行っても
普通に手に入りそうですね。
老舗の和菓子屋さんでのお取り扱いも都内やその近郊であるようです。
近日中に買いにいってみます!
ところで…「くず餅」ではないのですが
先日、呉に墓参り帰省した際に
数十年ぶりに「いが餅」を食べました!
できたて熱々ではなかったのですがちゃんと保温してあって
温かくってふわふわもちもちです。
慣れ親しんだ味ということもありますが
思わず泣けるほどどちゃくそ美味かったです。
また帰省した際には絶対現地で食べます!(笑

さてさて

本日は「ニコンFM」のカメラ修理を行っています。
1977年発売の中級機です。
前身となっているのは「ニコマートFT系」で
コパル製金属羽根縦走りユニットシャッターを
機械式制御で動作させます。
ニコマート時代に比べるとボディもコンパクトになり
外観も現代的な非常に端正なデザインです。
ニコマートFT3からAiレンズ対応となっていますが
このカメラの登場によりレンズのAi方式化が一気に進み
従来の非Aiレンズでの「カニの爪+ガチャガチャ」での連動は
急速に姿を消すことになります。
とはいえそれまでのレンズ資産もありますから
FMではAi連動爪は可倒式になっていて
物理的には非Aiレンズ装着もまだ可能です。
ただし絞り値の伝達はできないため
開放測光は行えず絞り込み測光のみでの対応となります。
露出計はそれまでの指針式ではなくLED表示となります。
ただ「+〇ー」での表示のみなので
どのくらいズレているのかを直感的にわかるという意味では
指針式のほうがわかりやすかったかもしれません。
ちなみにこのFM系のLED式露出計…かなりデリケートで
トラブルを抱えてしまっているものは修理不能になることが多いです。

お預かりしている「FM」は
そのちょっと心配な露出計に関しては全く問題はなく一安心です。
ご依頼者様からご指摘いただいているのは
ファインダースクリーンに汚れ・シミが多いので
清掃してほしいとのこと…
FMは実は生産時期によってスクリーンがミラー側から
取り外しできるものとできないものが混在します。
下から外せないものはニコマート系と同じく
プリズムを降ろして上から外すしかありません。
今回のFMは下から外せないタイプのため
ある程度分解して上から外して清掃します。
それもFMはスクリーンにたどり着くまでがなかなか手間がかかります。
今回はいずれにしてもプリズム側や接眼レンズに
カビも見受けられましたので全て外して清掃を行います。
加えて高速シャッタースピードが不安定だったり
動きの悪い部分も確認できておりますので
全体的な整備一式を行っていきます。

まだ取りかかかったばかりの状態で
上カバーを外しただけの段階です。
兄弟機のFEと比べるとプリズム上にフレキもなく
非常にシンプルな造りに見えます。
…ただし…個人的な見解も含みますが
FMは整備性に関してはなかなか難しい部分の多いカメラです。
手順さえしっかりわかっていれば
電子制御部の圧倒的に多いFEのほうが
分解・再組立ては楽な部分もあります。
そして、先程も少し触れましたが
露出計周りは非常にデリケートなので
分解時には細心の注意を払います。

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オリンパスペンFTのカメラ修理

ちょうど100年前の1923(大正12)年の9月1日午前11時58分
関東大震災が発生しています。
マグニチュード7.9の大地震が関東地方を襲い
死者・行方不明者10万5000人、家屋全半壊25万戸、
焼失家屋21万戸という大災害となりました。
そのことに由来して今日は防災の日となっています。
関東大震災から100年…首都圏では大きな地震や
大規模な火災には遭遇していません。
だからこそ油断できないですよね…
首都圏直下型の地震がそろそろ起こるといわれて
もう何年も経ちますが
この瞬間に起こったっておかしくはないのですよね
実際に遭遇するとどうにもならない部分もあるとは思いますが
起きたときにどうしなくてはいけないのかは
常日頃から備えておかなくてはいけませんね。

さてさて

本日は「オリンパスペンFT」のカメラ修理を行っています。
「FT」を含む「ペンFシリーズ」は
唯一無二の存在ともいえるハーフ判一眼レフです。
ただ単に通常の一眼レフをハーフ判したわけではなく
ハーフ判であることのメリットを最大限に生かすべく
シャッターやファインダー光路を始め
他のカメラでは見られない独自性の非常に高いカメラです。
最初に発売された「ペンF」をベースとし
巻上をダブルストロークからシングルストロークに変更
第三反射面のミラーをハーフミラーにすることで
その背後にCdSを配置し露出計を内蔵
巻き戻しクランク下のスペースにセルフタイマーも追加し
機能性を高めたモデルが今回の「ペンFT」です。
表面的に見える部分以外にも内部機構もいくつか
変更が行われています。
巻上が変更になり、ハーフミラー化したことにより
ファインダーの見え方も変わり
スクリーンにも変更が行われていることから
初代ペンFとは使い心地の面でも変化が見られます。
個人的見解ですが
どちらがいいか悪いかというほどの差ではなく
好みの問題で選択肢があるといった感じかとは思います。

お預かりしている「ペンFT」はシャッターが開きかけたところで
固まってしまっています。
もちろん巻上もロックされてミラーアップ状態
この状態では何も動きの確認等もできない状態です。
状況からしてガバナの固着等で固まっているわけではなさそうです。
何はともあれ、ある程度分解してみないと原因もわからなそうですね。

ここまで分解する前にシャッタユニットの全貌が見えた時点で
原因は把握できました。
シャッタスピードダイヤルにリンクして
SS制御のガバナを制御する調速カムがあるのですが
そのカムにかかる爪が破損してしまい
破片がシャッタユニットに噛みこんでしまい
固着してしまったようです。
この爪の部分…たまに破損している個体を見かけます。
発売から60年近く経過しており経年劣化もあるとは思いますが
強度的に少し弱いのかもしれません。
折れた部品とその基部を取り除き
中古良品の部品と交換することで対処していきます。
汚れや油切れによる動作不良が元で
部品破損することもありますので
シャッターユニット、巻上機構、ミラー駆動部
動きの悪くなりやすい部分を入念に清掃整備を行います。
お預かり時にはミラアップした状態だったので
確認できていなかったのですが
ペンFTの泣き所でもあるハーフミラーはやはりかなり腐食していて
ファインダー視野をかなり見えにくくしてしまっている状態でしたので
こちらも比較的キレイなハーフミラーと交換を行います。
機械的にもかなり独特な造りの部分が多く
ちょっとトラブルが多いのは正直なところ否めませんが
キチンと整備を行うことでかなりの部分は防げるかとは思います。
機構自体はそれほどややこしいものではないので
機械動作的に何かあっても大抵の場合は修理可能です。
今回もしっかり整備を行い
また当分の間、安心して撮影に使っていただければと思います。

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