月別アーカイブ: 2025年3月

キヤノネットQL17G-Ⅲのカメラ修理

今日は「レコード針の日」だそうですよ。
ただ調べても由来や制定団体等はわからないのですよね…
レコード針と聞いてそれがどんなものか
すぐにイメージできる方もやはりもう少ないのでしょうねぇ…
実家に幼い頃から大きな当時流行りの家具調ステレオがあって
それのレコードプレーヤーで童謡のレコードから
昭和歌謡、洋楽、ハードロック等々、多感な時期に
散々お世話になりました。
スタイラスクリーナーで針先をキレイにして
レコードの盤面をクリーナーで拭きあげて
レコードに針を落とす…毎度ワクワクする瞬間ですよねぇ…
大人になってからそれをもう一度味わいたくなって
実家に眠らせていた大量のレコードを持ってきて
新たにレコードプレーヤーも手に入れて
今でも頻繁にレコードを聴いています。
昔よく聴いていた音楽は記憶呼び起こすトリガーにもなり
何とも懐かしい気持ちに浸れます。
レコード針の寿命は種類にもよりますが
おおまかに150時間~200時間ほどです。
私のレコードプレーヤーももう少ししたらまった交換時期です。
単に針を交換するだけでなくカートリッジまで含めて
交換を考え出すとこれまたいろいろ楽しく悩めます(笑

さてさて

本日は「キヤノネットQL17G-Ⅲ」のカメラ修理を行っています。
1972年発売のカメラです。
初代のキャノネットは1961年に発売され
社会現象ともなる大ヒットを記録したカメラです。
その後、モデルチェンジを重ねて小型化も進みましたが
どのモデルもコンスタントにヒット商品となっています。
「G-Ⅲ」はそんなキヤノネットシリーズの最終モデルとなるカメラです。
初代の少し大柄なボディに比べると随分小型化されましたが
相変わらずの大口径レンズを搭載し
(QL17は40mmF1.7、QL19は40mmF1.9)
内臓露出計と機械的に連動した
シャッタースピード優先オート露出を装備
搭載されるシャッターユニットはコパル製で
1/500までカバーし、マニュアル露出も可能
マニュアル露出時には露出計がオフになるところまで
初代からG-Ⅲまで共通した造りになっています。
基本的なスペックはほぼそのままに
使いやすさをひたすらブラッシュアップしてきたようなシリーズです。
最終モデルの「G-Ⅲ」は現在でも非常に人気の高いカメラです。

お預かりしている「G-Ⅲ」は
おそらくかなり長い間使われずに眠っていたものと思われます。
シャッターはほぼ問題なく切れているようです。
ただし、電池室には当時の水銀電池が入ったままになっており
電池室を開けると真っ黒に腐食した電池が
ゴロンと出てきました。
当然ながら電池室の端子は両極とも腐食で
全く導通しないような状態です。
当然、露出計は不動です。
この状態だと配線や内部まで緑青が拡がっているものと思われます。
この類のカメラはコストの関係もあり
裏蓋に大量のモルトを使っていることが多いですが
New以降のキャノネットも同様です。
もちろんモルトはボロボロでフィルム室は粉状のモルト屑だらけです。
レンズにもかなりのカビが見受けられファインダーも曇っています。
全体的に入念な清掃整備が必要な状況です。

画像はまだ取り掛かり始めの状態で
ここから本格的に分解整備に取り掛かります。
電池室から伸びたマイナス側の配線は
前板裏側の端子で一度中継されるのですが
ここも緑青で覆われていて接触不良となっている状態です。
電池室に関わる配線及びハンダは全てやり直します。
機械的な駆動部分は大きなトラブルはなさそうですが
積年の汚れや古い油脂は全て除去して清掃整備を行っていきます。

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キヤノンFTbのカメラ修理

今日は「さかなの日」だそうですよ。
「さ(3)かな(7)」と読む語呂合わせだそうです。
和食の中心となる食材の魚介類をもっとたくさん食べてもらい
魚介類を身近に感じてもらうことが目的だそうです。
私、子供の頃は魚料理、煮魚や焼き魚が苦手だったんですよねぇ…
やはり骨を取ったり除けたりするのが面倒だったのと
うっかり骨を飲みこんでしまったこともあって
それですっかり嫌いになったんですよねぇ…
それも大人になって骨を除けるのが
たいしたことではなくなってきたことと
何といってもお酒を飲むようになってから
焼き魚や煮魚が日本酒のお供に最高だと気付いてからは
魚料理全般が大好きになりました。
特に焼き魚の皮目の香ばしさや
身のほくほく感はたまらないですよねぇ…
お酒だけではなく白飯にも文句ナシに合いますものね!
家で焼くのはなかなか大変ではありますが
出来合いで温めるだけの焼き魚ではなく
たまには焼きたての魚も自宅で楽しみます!
でも一番いいのはちゃんとしたお店で食べる焼き魚ですかね
やはりプロが出す焼き魚は違いますよ
まぁなかなかそれは機会が少ないですが
たまにはちゃんとしたものを口にしたいものです(笑

さてさて

本日は「キヤノンFTb」のカメラ修理を行っています。
1960年代~70年代にかけて展開された
「キヤノンFシリーズ」を代表する中級機です。
同じ時期にキヤノン初のプロ仕様機「F-1」が開発され
並行して「FTb」も開発されたということもあり
「F-1」との共通点も多く見られます。
…というより本来、基本設計に優れた「Fシリーズ系」を
さらにブラッシュアップして耐久性、システム性に
優れたカメラにしたのが「F-1」だと個人的には思っています。
「F-1」や「FTb」の発売に合わせて開放測光に対応するため
レンズシステムもFLレンズ群からFDレンズ群へと
モデルチェンジされました。マウントは共通ですが
ボディへの絞り伝達機構が追加されました。
少し話がそれますが
FDレンズ群は来たるAE化も踏まえてボディ側からも
絞りをコントロールできる機構も追加されています。

お預かりしているFTbは一通り動作はしているのですが
全体的に動きが重い状態です。
巻上もかなり重苦しい感じがします。
シャッターも精度は出ておらず
特に高速シャッターでは測定するたびに
値が不安定な状況です。
駆動部全体的に汚れがたまっていたり
油切れだったりで本来の軽やかな動きができない状態です。
そして定番のプリズム腐食です。
「Fシリーズ」のパターンである
ファインダー内に流れたような線が縦方向に2本見える状態です。
原因はプリズム抑えに貼られている緩衝材に
加水分解が起こりそれがプリズムカバーの隙間から
プリズムの塗装・蒸着に浸食してしまうことです。
やはり定期的に分解整備を行って消耗品を交換しないと
このような状態に陥ってしまいます。

プリズムカバーにはべったりと緩衝材が付着し
プリズムの腐食も画像に写っています。
当店では再蒸着等は行っていないので
プリズムは交換で対応いたします。
FTbに関してはまだ腐食のないキレイなプリズムが
確保できる状況です。
プリズムの交換は後で行いますが
まずはここから分解を進めて
各駆動部の清掃整備から取り掛かります。

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リコーXR500のカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの
「啓蟄」ですね。
大地が温まり、冬眠をしていた地中の虫が
春の陽気に誘われて穴から出てくる頃で
「啓蟄」とされています。
「啓蟄」の「啓」には「ひらく、開放する」の意味があり
「蟄」には「虫が土の中に隠れる、閉じこもる」の意味があるそうです。
都内は寒の戻りで春の陽気どころか
昨日あたりは真冬に戻ったかのような寒さでしたが
また今日から少しずつ暖かくなりそうです。
「啓蟄」の次の節気は「春分」なのですね。
いよいよ長かった冬も終わりですね!

さてさて

本日は「リコーXR500」のカメラ修理を行っています。
1978年発売のカメラです。
その前年に発売された「XR-1」のの機能を限定したモデルです。
低価格50mmF2レンズとケース込みで39800円を実現し
「サンキュッパ」をセールストークとして
テレビCFを流し大きな話題となったカメラです。
縦走り機械制御シャッターを搭載し
追針式連動露出計を搭載するシンプルなカメラです。
「XR-1」との差別化もありシャッタースピードの最高速は
1/500に抑えられています。
…とはいえ普通の感度のフィルムで普通に撮影する分には
最高速1/500でも全く問題はないかと思います。
外装の質感等は確かに値段なりの部分はありますが
反対に「普通の環境で普通に写真を撮る目的なら
これで充分だよ」という潔さも感じられます。
確かにガンガン使い倒す目的であれば
これほど使いやすくてわかりやすいカメラもないと思います。
個人的にも非常に好きなカメラです。

お預かりしている「XR500」は近年はあまり使われてはないようですが
一通り動作は行えます。
ただフィルム室やファインダー周りのモルトの劣化が進んでいて
光線漏れの心配もありますし
ファインダー内もモルト屑がたくさん入り込んでいます。
測定器を使ってチェックしてみると
ネガフィルムでの撮影には大きな問題はないでしょうが
高速シャッターでの精度が不安定なことと
露出計の精度が多少ズレています。
シャッター羽根や接点の汚れが原因と思われます。
安心して気持ちよく使うためには
やはり全体的なリフレッシュが必要です。

機能的にはシンプルで使いやすいカメラですが
内部構造…特にファインダー周りや露出計連動は
なかなか変わった構造をしていて
単純にファインダー清掃を行うだけでも
意外と手間のかかるカメラです。
シャッター自体はユニットシャッターで
整備性は良いのですが…
「XR500」の整備は少し久しぶりだったので
間違いのないように資料を引っ張り出して
確認しながら慎重に分解を進めていきます。
画像にはありませんが当時組み合わされていた
リケノン50mmF2も一緒にお預かりしていて
こちらにもかなり目立つ大きなカビがど真ん中に
居座っています。ボディのあとで
こちらもしっかり清掃を行っていきます。

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ペンタックスSPのカメラ修理

今日は「上巳・桃の節句」で「ひな祭り」ですね。
それは今日あちこちで祝われているでしょうから
まずは置いておいて
他にもいろいろな記念日が制定されています。
「ジグソーパズルの日」なんてのがありますねぇ…
数字の「3」を裏表で組み合わせると
ジグソーパズルのピースの形に見えることからだそうです。
子供の頃の一時期、ジグソーパズルにハマった時期がありました。
きっかけは500ピースの風景画だったかな…
最終的には3000ピースの大きなものにもチャレンジしましたが
時間がかかる上に組み上げている最中には
当然ながら広げたままだからめちゃくちゃ場所も取るのですよねぇ…(苦笑)
私が居間で毎日少しずつ組んでいるのが
いい加減邪魔だったのか最後には家族総出で組み上げました(笑
懐かしいですねぇ…
1000ピースくらいのものを短期で一気に組み上げるのが
図柄にも飽きることがなくていいような気がします。
組んだ後に固めて額に入れて飾るまでも
大きなものだと意外と大変だったりします…

さてさて

本日は「ペンタックスSP」のカメラ修理を行っています。
当時の大ヒット作でもあり現在でも人気の高いカメラなので
修理依頼も非常に多いカメラです。
現存数も非常に多いのですが
コンディションの悪い個体もかなり多くて程度は千差万別です。
それでも余程悪い状態でない限りは
M42マウントが故に露出計も絞り込み測光で
シンプルな構造なため
しっかり整備を行うと現在でも全く問題なく撮影に使用できます。
M42マウントで交換レンズがペンタックス純正のモノ以外にも
多くの交換レンズが比較的簡単に手に入れることができるのも
大きな魅力になっていると思います。

お預かりしている「SP」はまず電池室が強烈に固着していて
電池室の蓋がまったく開けることができません。
こういう状態の「SP」もよく見かけるのですが
こうなると固着を溶かすだけでもかなりの時間と手間が必要です。
電池室裏の端子も緑青で覆われていて
まずはある程度導通するようにしないと
露出計の状態も確認できません。
それ以外のコンディションは比較的良い個体で
シャッターはさすがに幕軸が粘っていて
シャッタースピードの精度はさすがに全く出ておらず
高速では開かないことも多々あり
巻上も油切れでかなり重めですが
心配される定番のプリズム腐食はなく
プリズム周りの遮光材の劣化もあまり進んでいません。
今のうちに腐食対策しっかり行って
貴重なプリズムの保護を行っていきます。
各部の動きに問題があるのは通常の清掃整備で
しっかり精度も出せる状態に復帰可能だと思われます。

電池室は裏蓋と一体なので
こちらは潤滑剤も大量に使って別途に時間をかけて対処するとして
それ以外の本体側の整備を並行して行っていきます。
機械的駆動部はさらに分解を進めて
積年の汚れを除去してスムーズに動くように対処していきます。
電池室以外の露出計関連は幸運なことに
大きなダメージはないようです。
コンスタントに月に数台は依頼のある機種なので
見慣れた内部構造ではありますが
油断はせずに慎重に作業を行っていきます。

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リコー500GXのカメラ修理

今日は3月1日ということで
たくさんの記念日が制定されていますね。
そんな中に「豚の日」なんてのがありますね。
米国で制定された記念日だそうです。
最も利口で役に立つ家畜のひとつである豚への感謝を込め
豚の正当な地位を認めることが目的だそうです。
豚肉…美味しいですよねぇ…
シンプルに焼いて食べると豚肉独特のほのかな甘みがあって
あれが何ともいえず美味しいのですよねぇ…
そして比較的お安いですし…(笑
自炊でもかなりの頻度で使いますし
外食で食べるやわらかくて分厚いとんかつも最高ですよねぇ…
そういえば最近お店でとんかつ食べてないですね
以前のようにたっぷり食べられなくなったので
お店のボリューム満点のメニューだと
少ししんどくてちょっともったいないのですよね…
でもたまには食べたいですね…
おなか目いっぱい空かせて和幸にでも行ってみましょうかね。

さてさて

本日は「リコー500GX」のカメラ修理を行っています。
1977年発売のカメラです。
前身となる1972年発売の「500G」の発展型です。
コニカC35の登場と大ヒット以来
このタイプのコンパクトカメラが各メーカーから
いろいろとリリースされます。
リコーでは「500G」からこのタイプのカメラが始まり
1974年には高度に電子化された「エルニカF」が
発売されます。ハイマチック等でお馴染みの
セイコーESFシャッターを搭載した電子制御機です。
おおむね好評でしたが
海外では入手しづらい電池を使用していたことと
電子制御来が故にその電池がないと全く使えなかったこと
マニュアル露出に対応できないこと…等の不満点を補うということで
今回の「500GX」が発売されています。
シャッタスピード優先オートを搭載しつつも
マニュアル露出可能なのは先代の「500G」と同様です。
「GX」ならではの装備としては
バッテリーチェック、フィルムインジケーター、
シャッターロック機構等が搭載され
さらにこのタイプのカメラでは珍しい多重露光機構も備わります。
レバーが変わった場所についていますが
要はフィルム巻上を行わずにシャッターチャージのみを
レバーで行うためにこの位置なのですね。納得です。

なかなか高機能で何でもできる良いカメラですが
お預かりしている「500GX」は
電池室周りが腐食していて電源が全く入りません。
電源がなくてもマニュアル露出で使うことはできますが
露出オートもそうですがやはり露出計が使えないのは困りますね。
小型でどこにでも持っていけるカメラだけに
気軽に簡単にいろいろな機能が使えてこそだと思います。
ファインダー、レンズにもカビや汚れがそれなりにあります。
そしてこのタイプのコンパクトカメラは
コストの問題もあり裏蓋に大量のモルトを貼って
遮光を行うものが多いのですが
「500GX」もかなり広範囲にモルトを使用しています。
そして当然ながらそのモルトは劣化で全滅です。
露出計周りも含めて全体的にリフレッシュして
快適に使える状態に整備していきます。

本来、構造としては比較的シンプルなカメラなのですが
こまごまと機能委が追加されていることと
リコー独特の造りみたいな部分もあって
少々ややこしいカメラです。
細かいところは全然異なるのですが
少しオートハーフの構造にも似た部分があります。
「500G」系のカメラの分解整備はヒサビサなので
資料を確認しつつより慎重に取り掛かっていきます。

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