月別アーカイブ: 2020年11月

ヤシカエレクトロ35MCのカメラ修理

今日は11月29日です。
「いい肉の日」、「いいフグの日」、
「いい服の日」、「いい文具の日」。。。等々ですねぇ
いい文具を使って仕事して
仕事が終わったらいい服を着て
肉やフグを食べに行くということですね!
なんと贅沢で充実した日だ。。。(笑)
私は日曜日は当然こうしてお仕事なので
仕事が終わったらいい服着てステーキ屋さんにでも。。。
うーん、月末でやること満載でちょっと難しいかな。。。
でもちょっといいお肉でも買って帰って
家で焼いていただこうかな。。。
ついでにちょっと良い赤ワインでも。。。(笑)
。。。実はあまり調子に乗って
飲み食いしている場合ではなくて
2月の入院で8kg落ちた体重が
もはやすっかり元に戻ったどころか入院前に比べても
2kg増えて人生最大の体重になっているのです。。。(汗)
当然、それによる弊害もかなりあるので
気合い入れてダイエットしなくては。。。

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35MC」のカメラ修理を行っています。
今月は一段とエレクトロの修理が多い気が。。。
ただ「MC」はエレクトロ35シリーズの中では
少々異端児的存在です。
まず他のエレクトロ全機種がレンジファインダーを搭載している中
「MC」は目測ゾーンフォーカスです。
レンズも他のエレクトロはF1.7クラスの大口径レンズを搭載しますが
「MC」は40mmF2.8です。
しかしながらそれもこれもこの非常にコンパクトな
ボディサイズを実現するためです。
ハーフ判カメラかと思うほどのコンパクトなカメラです。
レンズの出っ張りは少しありますが
上着のポケットの中にでも入れられる大きさです。
全速電子制御シャッターで絞り優先オート専用というところは
他のエレクトロとも共通する部分です。

エレクトロMCは電池室にトラブルを抱えたものが多いのですが
お預かりしているエレクトロMCは
そこは問題なくオート制御も動作しているようです。
ただ、上カバー上のチェックランプ
(バッテリーチェックではなく動作チェックのランプ)が
全く点灯しません。単純に球切れではないようです。
加えてエレクトロは前機種、巻き上げた際に「カチン」と
レリーズが戻る音がするのが正常ですが
このMCは全くその音がなく巻き上げても
レリーズが戻り切っていないものと思われます。
この場合、オート制御が不安定になったり
制御がでたらめになってしまう可能性があります。
今回の場合はオートがでたらめなことはないのですが
やはり制御は不安定な状態になってしまっています。
さらにオートが不安定な原因はもう一つあって
シャッター羽根の駆動部が粘ってしまっているようです。
電池を抜いたときには最高速で無条件に切れるのが正常ですが
このMCは「えっ?電池入ってる?」と勘違いするくらいに
スローシャッターで切れてしまいます。(1/8くらいかな)

シャッターユニットの整備、レンズ清掃等々
一通りの整備を行います。
小さなボディに結構ぎっしり詰まっていて
なかなか整備は大変なカメラですが
それでもXA辺りと比べると整備性は良いほうだと思います。
ちなみにチェックランプ不灯の原因は
シャッター連動接点の接触不良だったようです。
きちんと整備してしっかり使える状態にしたいと思います。
エレクトロ35MC。。。
実は私も個人的に一時期使っていたのですが
かなり良いカメラですよ。

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ミノルタオートコードのカメラ修理

今日は「フランスパンの日」だそうですよ。
「いい(11)フ(2)ランスパ(8)ン」という語呂合わせからだそうです。
うーん、なかなか無理もありますねぇ(笑)
それはともかくフランスパンは美味しいですよね!
あの硬いのがいいのですよねぇ。。
歯ごたえがあって外側は特にパリパリで。。。
軽くトーストするといい香りも楽しめて食欲ましますね!
形や大きさでバゲットやバタール、ブール、パン・ド・カンパーニュ、
シャンピニオン、エピ、クーペ…等々いろいろな種類があります。
そうそうクロワッサンもフランスパンの一種ですね。
日本だと砂糖を生地に入れることは多いので
菓子パンっぽいイメージですが。。。
フランスパンは小麦粉・塩・水・イーストのみで作られるものです。
乳製品や油脂類、卵は一切使わないのですね。
そのため作り手の技術が大きく味を左右すると言われています。
昔、紙袋にパゲットを刺して(1/3くらい入りきらなくて外に出てて)
買い物をしている姿にやたらと憧れたことがあったなぁ(笑)
今は一人で消費するにはバゲットは大きすぎるので
せいぜい頑張ってもバタールだな。。。
近所のスーパーにもよく売っていて
私が行く時間帯にはバタールがお安くなっていることも多いので
今日あたり買って帰って明日の朝にでもいただきましょう
フランスパンのトーストとコーヒーで始まる朝は
香りで覚醒されて何だか元気が出ますね!

さてさて

本日は「ミノルタオートコード」のカメラ修理を行っています。
国産二眼レフ最高峰と言われることも多い
「オートコード」ですが1955年に最初のモデルが発売され
1970年代初頭まで発売され続けます。
これはいわゆる「二眼レフブーム」が過ぎ去った後にも
生産し続けたということにもなりますね
その間に分類の仕方や輸出モデルを含めるかどうかにもよりますが
8種類のモデルが登場しました。
今回はその中でも最終モデルとなる「オートコードⅢ」です。
なぜ「Ⅲ」なのか昔は不思議に思っていたのですが
オートコードは大きく前期型と後期型に分かれますが
後期型になったときに場b号を一度リセットし
最初の後期型を「オートコードⅠ」としたのです。
そのため後期型から数えて三代目となる最終モデルが
「オートコードⅢ」となるというわけだそうです。
(CDSもモデル違いとカウントするとまた変わってくるのですが。。(苦笑))
Ⅲ型の少し前に発売された「CDS型」から
高分散・低屈折の新種ガラスを使ったニューロッコールレンズとなっています。
これがⅢ型の大きな魅力でしょうね。
従来のロッコールレンズも非常に評価の高いレンズでしたが
さらに洗練された写りとなっていると個人的にも思います。
加えてⅢ型では220フィルム対応となり
(輸出仕様Ⅱ型でも既に対応はしていたが13枚目でリセットするタイプ)
カウンターが1-24まで連続して続くようになりました。
最後に登場したオートコードは「CDSⅢ型」なのですが
70年代に入り先に「CDSⅢ型」のほうがカタログ落ちしたので
「Ⅲ型」が最後のオートコードであり
ミノルタ最後の二眼レフでもあります。

お預かりしている「オートコードⅢ」が非常にキレイな外観で
使用感もあまり感じられない個体ですが
おそらくかなり長い間仕舞い込まれていたものと思われます。
保管環境そのものはそれほど悪くなかったようで
レンズには多少のカビや汚れが見られるものの
大きなダメージはなさそうです。
ファインダーはさすがに結構な汚れが目立ちます。
それよりも大きな問題は巻上クランクが全く動きません。
でもよく見るとシャッターはチャージされている様子です。
。。。となればクランクは回らなくて当然です。
ではレリーズボタンを押してみます。
。。。。うんともすんともいいません。。。。
おそらく強烈にシャッター羽根が固着しているようです。
羽根固着していてもシャッター音だけはして
実際は羽根が開かないというパターンが多いのですが
今回は羽根駆動部から固着しているようですね。
そのためチャージも解除されない状態のようです。
シャッターユニットの清掃・整備
シャッター羽根のの洗浄・清掃で修理できるのではないかと思います。

オートコードと言えばハラキリ式のピントレバーですが
これも動きがかなり重いです。
ここが固着あるいは非常に重い状態で無理に動かしていて
レバーを折ってしまっている個体が多いです。
もちろん今回はヘリコイドのグリスアップも行いますので
ピントレバーも軽く仕上げていきたいと思います。
画像ではわかりにくいですが後期型オートコードの特徴でもある
専用ストラップ用の取り付け金具は汎用性の高い前期のものに
取り換えられていますね。
個人的にはこれが正解だと思います。
後期型の専用ストラップ。。。
うっかり抜けることもたまにあるらしいので。。。(汗)

まだ現状チェックを行っただけで
これから本格的に分解整備に取り掛かります。
整備性も非常に良いカメラです。
隅々までしっかり整備して
できる限り本来の姿に戻したいと思います。

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ヤシカエレクトロ35GSNのカメラ修理

11月ももう27日。。。27日といえば
お店の家賃やらいろいろと引き落とされる日で
ネットで口座を見るとがっくりとくる日です(笑)
27日で金曜日。。。
あ、もうそろそろみなさん
忘れてしまっているかもしれないし
これの恩恵を受けている方が
世の中にどれだけいるのかわかりませんが
今日は「プレミアムフライデー」ですよ。
これもコロナ禍の影響もあって
積極的に早めに仕事を終わらせて
食事や旅行に出かけましょう!とも
言ってる場合じゃなくなっちゃいましたねぇ
そもそもリモートで出社していない方も
多少はいらっしゃるとは思いますが
通勤していらっしゃる方は早めに終わらせて
家で美味いものでもいただきましょう
じゃ、私も。。。とはならないですねぇ(苦笑)
作業は遅れ気味だし月末近いし
週末は稼ぎ時ですし
気合い入れてラストスパートです。

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35GSN」のカメラ修理を行っています。
うーん、本当に最近、エレクトロの仕事多いですねぇ
「GSN」はいわゆる初期のエレクトロの集大成といえるモデルです。
これ以降のエレクトロ35は小型化され
スペックや基本的構造はともかく
外観的には初代の面影がなくなっていくのですが
この「GSN」までは基本的に初代エレクトロの
マイナーチェンジ版といっても良いと思います。
初代と同じ大きさ、ほぼ変わらないデザインのカメラです。
内部的にはモデルが変わることに
部品の材質等に小さな改良を重ねてきていますが
基本的な構造は初代とそれほど変わりまりません。
前モデルの「GS」で変更された新コーティング採用の
カラーヤシノンDX45mmF1.7レンズは引き継がれ
写りの評価も非常に高いカメラです。
「GS」からの変更点はアクセサリーシューに接点が追加され
ホットシューとなったことくらいでしょうか。。。
個人的にはこの初代からの流れをくむデザインが
やはりエレクトロらしいと感じますし
特にシルバーモデルはヤシカらしいギンギラギンの派手なシルバーが
何とも言えず好みです。

お預かりしている「GSN」はその特徴的なシルバーが
非常に際立つほどキレイな外観を保ったモデルです。
このカメラの場合は「ピカピカです」というより
「ビッカビカです」というほうがしっくりきますね(笑)
電池室の腐食の多いカメラですが
この個体は電池が長期間入れっぱなしになったこともないようで
電池室蓋も内部の端子も非常にキレイです。
電池を入れてバッテリーチェックを押すと
まぶしいほどカウンター部のランプも光ります。

。。。でも、シャッターが全く制御されないのです。

シャッターを切ると明るさに関係なく同じように切れてしまいます。
電池を抜いても同じ動きなので
電気的制御が全くされていない様子です。

よくあるパターンとしては
根本的に電池室から電源が供給されない場合が多いですが
今回はバッテリーチェックも点灯しますしそんなことはありません
あと、エレクトロで多いのは電源は入っているのだけど
シャッター羽根駆動部の粘り・固着により全く制御されないという
パターンも多いのですが
その場合は明るぎる設定にしてみたり少し絞って薄暗い場所に
向けると赤・黄の警告灯は点灯するのですが
今回は警告灯も全く反応しません。
シャッターユニット(オート制御部も含む)に
全く電源が供給されていない感じです。

とりあえずある程度のところまで分解して
テスターでいろいろ当たってみると
やはり制御部手前まではちゃんと電源はきています。
。。。ということは内部のどこかで断線しているのか
接触不良になっている可能性が高いと思われます。
これはちょっと厄介そうです。
接点や配線をひとつずつチェックしていくしかなさそうですね。
時間はかかりそうですが
とりあえず:取り掛かっていきたいと思います。
根本的な原因がわかったところで
他部分の通常整備にも取り掛かっていきます。
何となく勘ですが何とかなりそうな気がするのですが。。。
こればかりはこの類のカメラはやってみないとわかりませんね

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ニコンFEのカメラ修理

11月恒例の「いい〇〇の日」
26日の今日はもちろん「いい風呂の日」です!
肌寒い季節になってきて
ちゃんと湯船にお湯をためて温まりたい季節ですよねぇ
でも私、今年の入院以来、ちゃんとお風呂に浸かってないのですよ
シャワーだけで済ませているということですが
何といっても足元がまだちょっとあやしいため
滑りやすい銭湯に行くのはためらってしまう状況で
(コロナ禍ということもありますが。。。)
さらに右半身温痛覚麻痺で温かいも熱いも
右半身はよくわからずシャワーの際も
温度調整にかなり慎重になっているのですよねぇ。。。
こんな状態だとお湯に浸かっても
あまり気持ちよくないかなぁ。。。という気もしますし。。。
でもそろそろ近所の銭湯には試しに行ってみようと思います!
それで感触が良かったら
あまり人のいなさそうな温泉でゆっくり過ごしてみたいですねぇ
お風呂も楽しみですが美味い酒に美味い飯。。。(笑)
そのためにも仕事を頑張らなくては。。。

さてさて

本日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
ニコマートELシリーズを前身とする
ニコンの中級機です。
この頃のニコンはまず先進的な機能は中級機で採用してみて
実績を作りつつ市場の反応を見てから
高級機(F一桁機)に採用するという手法を取っていて
1980年発売のF3で電子制御を採用するためにも
ELやFEで電子制御や絞り優先AEの機能を
いろいろ試してだろうなと推測されます。
ELの時代はまだまだ電子制御に
不安定な要素も多少はあったと思いますが
FEになってからは非常に安定した品質になったと思います。
発売から40年以上経過した現在でも
電気的なトラブルは比較的少なく
どちらかといえば機械的なトラブルのほうが多いのは
(これも定期的な整備で防げる程度のもの)
さすがきちんと作られているな。。。と思います。
ただし、やはりF一桁機ほどの堅牢性ではないので
保存環境が悪かったり強いショックを受けた個体に関しては
修理不能な場合も当然ございます。
(F一桁機でもダメな場合はもちろんございますが。。。)

お預かりしているFEは一通りの動作はしています。
ただ全体的に妙にシャッタースピードが早めで
1/1000は1/2000~1/3000くらいの露光量になっており
1秒も0.6秒くらいで切れてしまいます。
さらに露出計もアンダー気味で
オートはさらにアンダーで2段近くアンダーになってしまっています。
それでもネガなら何とか写るでしょうが
ポジだと致命的に暗くなってしまうと思われます。
電気的な調整が全体的に必要な状態です。
加えて巻上に油切れの兆候が見られ
モルトもかなり劣化しています。
どちらにしてもリフレッシュしてあげなくてがならない時期に
差し掛かっているものと思われます。

外観は非常にキレイな個体です。
フィルムレールにはそれなりに使い込まれた感がありますので
ほとんど使われていな個体ではなく
そこそこ使ってはいますが非常に丁寧に扱われた個体だと思われます。
とはいえ、製造から40年もたつとさすがに内部に
汚れや劣化はそれなりに目立ちます。
電気的な調整は最後に行いますがその前に一通りの整備と清掃を行います。
シャッター羽根基部にも
劣化したモルト屑とかが入り込んでいたりするので
慎重に隅々まで清掃整備を行っていきます。

最終的な電気調整も終えると全く問題ない精度に仕上がりました。
スクリーンにはFM3A用の明るいスクリーンが装着されており
ピント合わせも快適です。
ちなみにこの明るいスクリーンを装着すると
当然ファインダー内も明るくなるので
露出計はほんのわずかにアンダー気味になります。
。。。とはいっても1/3段以下なので
通常の使用だと全く気にするほどではございません。
今回はそんなことは関係なく大きくアンダー気味にズレてしまっていたので
できる限り調整して問題ない精度に調整させていただきました。

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オリンパストリップ35のカメラ修理

今日は「いいえがおの日」だそうですよ。
「いい(11)笑顔=にっこり(25)」ということですね。
いつもいい笑顔でいようとは思うのですが
なかなか世の中うまくいかないことも多く
ついついイライラしてムスっとしてしまうこともありますよねぇ
まぁそういうときこそ深呼吸して落ち着いて
穏やかに笑顔でいられるように取り組みたいと思います!
(これが意外と難しいのです。。。(苦笑))

さてさて

本日は「オリンパストリップ35」のカメラ修理を行っています。
セレン光電池を使用した露出計を内蔵し
その露出計の指針の位置によって
(露出計指針自体は内蔵されていて見えません)
SS(2速切替)・絞りを決定し自動露出で撮影するカメラです。
ピントは目測式ゾーンフォーカスです。
搭載されるレンズはD.ズイコー40mmF2.8で
使いやすくコンパクトな上に非常に写りも良く
評価も高いカメラです。
歴史あるオリンパス35シリーズの一員でもあり
小旅行に気軽に持って行けるカメラとの意から
「トリップ」と名付けられたそうです。
発売は1968年で同ジャンルで最大のライバルともいえる
コニカC35も同じ年に発売されています。
C35のキャッチフレーズが「じゃーに~コニカ」で
両社とも気軽に旅行に持っていけるカメラという
コンセプトまで同じでした。
スペックを確認したり外観を見ていると
この時期のカメラに詳しい方なら
お気づきになる方も多いかもしれませんが
この「トリップ35」は要は「ペンEES-2」のフルサイズ版です。
3点式ゾーンフォーカスも1/30・1/250切替の2速SSも共通です。
もちろんオリンパスお得意の「赤ベロ」があるのも共通で
光量不足の場合にはファインダー内に赤い警告板が出てきて
シャッターがロックされます。

お預かりしているトリップ35は
オート時に常に赤ベロが出てきてシャッターが切れません。
十分に明るいところにレンズを向けても同じなので
何らかの原因で露出計がほぼ動作していないものと思われます。
フラッシュモー土(SS1/30固定)だとシャッターは普通に切れるので
シャッターユニット・絞りユニットには
大きな問題はなさそうです。
ただし、レンズ・ファインダーには盛大にカビが生えています。
露出計が動かない原因として一番に考えられるのは
やはりセレン光電池の劣化による起電量不足です。
セレンを使ったカメラはこの時代非常に多くありますが
セレンの劣化によるトラブルを抱えているものが少なくありません。
で、その場合にはもはやセレンを交換するしか手段がないのですが
セレンはもうずいぶん前に生産が終わっており
交換するとしても中古良品のものを探すしかありません。
セレン光電池仕様のカメラは電池いらずで
非常に気軽に使えるのが利点ですが
今となってはトラブルの可能性も高い部分です。
今回もセレンの劣化を予想していたのですが
実際に分解してみるとセレンの起電力自体は多少の劣化はありますが
全く実用上問題のない良好な状態でした。
露出計不動の原因は今回は露出計本体内部の断線によるものでした。
どちらにしても交換で対応するのは同じなのですが
セレンなのか露出計自体のトラブルなのかは分解してみないとわかりません。

上カバーの左上に置いていあるのが
取り外した露出計本体です。
要はコイルを利用した電流計ですが
コイル部で断線してしまい全く動作しない状態でした。
もちろんこれは中古良品と交換して再調整いたします。
2速切替のSSと絞りを露出計の指針を
のこぎり状の歯で挟み込み露出を決定する
この時代に多く使われる手法ですが
この構造部を見ていると
修理を始めたばかりの頃にトリップでこの構造を勉強し
「なるほど~うまく考えられているもんだなぁ」と
感心したことをついこの間のように思い出します。
赤ベロの作動部も含めて基本的にはシンプルなのですが
非常に良く考えられていて効率の良い造りになっています。
ただしそれも長い年月の間に動きが悪くなっている場合も多いので
今回、しっかり清掃した上で調整して
今後余計なトラブルが起きないように整備していきます。

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キヤノンAV-1のカメラ修理

今日は「勤労感謝の日」で祝日ですね。
本来、当店は祝日はお休みという設定なのですが
ここ数年、火曜日(定休日)の祝日、年末年始、GW以外の
祝日はなんだかんだと通常営業していますね(苦笑)
まぁ休みにしたとしても店に出てきて
作業はすると思うので普段の休みは
やはり休みは火曜日だけでいいのかもしれません。
手間仕事な上に一人でやっているわけだから
休むとそのまま売上ダウンに直結しますねぇ。。。
逆にどうしても休みたければ
前もって決めておけばいつでも臨時休業にはできる。。。とは
思っているのですが。。。「どうしても休みたい」が
この歳になるとあまりないのですよねぇ(笑)
今日はせっかくの勤労感謝の日なので
閉店時間が来たら何か美味いものでも買って帰ります。。。

さてさて

今日は「キヤノンAV-1」のカメラ修理を行っています。
めったに修理に入らないカメラなのですが
先週もAV-1の修理ブログ書きましたね(笑)
次はさすがに当分ないのではないかと思います。
手順としてはAE-1と同じようなものですし
共通している部分も多いので
作業する分には意外と見慣れた部分が多いカメラです。
前回のAV-1のブログでも書きましたが
北米キヤノンの非常に強い要望により
企画開発されたキヤノン唯一の絞り優先AE専用機です。
米国への輸出が売り上げのかなりの部分を占めるのは
大手のメーカーはどこも同じだと思われますが
そこの要望だとやはり断れなかったのでしょうね
当時はキヤノンといえば絞り優先機より
「わかりやすく使いやすい」という主張で
シャッター優先AE機を積極的に開発しており
Aシリーズの前身ともいえる「EF」も
Aシリーズの根幹ともなるAE-1も
当然シャッタースピード優先AE機です。
A-1で両優先+プログラムAEになったとはいえ
AE-1Pでも基本はシャッタスピード優先AE機なので
このAV-1だけが唯一異端児的な存在です。
良い意味でも悪い意味でも非常に割り切ったカメラなので
操作性は非常にシンプルです。
でも実際のエントリー層には価格も含めて
このくらいでちょうどよかったのでしょう
キヤノンだけではなく他メーカーも含めて
国内でも海外でもこの類の絞り優先AE専用機は
どれも大ヒットしました。

お預かりしているAV-1は
ご依頼者様のご実家で眠っていた個体のようです。
しっかり整備した上で
今度はご依頼者様のお子様が使われるのだそうです。
こういう使いやすいシンプルなカメラが
引き継がれていくのもとても素敵ですね。
ただ、さすがにそのままでは
とてもとてもおそらくフィルム初心者であろう
ご依頼者のお子様にお勧めできる状態ではありません。
モルトは全滅でファインダー内もカビだらけです。
露出計・シャッターは一応生きていますが
精度的には全然ダメでオートは大きくオーバー側にズレています。
定番のシャッター鳴きも盛大に起こっています。
装着されていたレンズはNewFD50mmF1.8ですが
清掃しようとしたのかマウント部が一部分解されています。
単純にネジが外されただけで
大きな問題はないように見受けられますが
分解されかけの個体は何が起こっているのかわからないので
各部点検しながら慎重に組み上げます。
もちろんその際にレンズ清掃等も一通り行います。

シャッター鳴きはAE-1と同じ原理で起こるのですが
そもそもシャッター音の印象が
AE-1とAV-1では微妙に異なります。
シャッターそのものの構造はAE-1と変わりないのですが
おそらく絞り制御機構がないからかと思われます。
絞り優先機の方が機械的な構造はシンプルになりますね
(機械的に絞りを制御する機構がないため)
その分、電子制御は少し複雑になるのでしょうが。。。
先述したように機械的整備はAE-1と手順はほぼ一緒です。
いわゆるウィークポイントやチェックすべき箇所も
同じなのでそのあたりは手慣れた作業で行えます。
快適に動作する個体に仕上げて
是非、ご依頼者様とお子様にもこのAV-1での
撮影を楽しんでいただきたいと思います。

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オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの「小雪」です。
「しょうせつ」です。「こゆき」だと
よしこがモノマネしている女優さんになってしまいます。
いや、本物の小雪さんは非常に綺麗な方で
その話題でも全然いいのですが。。。。
「しょうせつ」は「わずかながら雪が降り始めるころ」ということですが
そもそも二十四節気は中国の内陸部の気候がベースとなっているので
関東地方で当てはめようとすると少しズレがありますよね。
雪どころかここのところは妙に暖かい日が続いていて
今日も日差しがさせばかなり暖かそうな天気です。
まだ11月ですものね、冬というよりはまだ晩秋です。
本格的に寒くなるのは年明け以降でしょうから
それまではお店の暖房もなるべく入れずに頑張ります。
(もちろん今シーズンはまだ入れていません)
エアコン入れてオイルヒーターまで入れる時期になると
光熱費が跳ね上がるのですよねぇ。。。(苦笑)

さてさて

本日はオリンパスOM-1のカメラ修理を行っています。
今月は。。OM-1の修理は2回目ですかね。
今回もブラックの精悍なOM-1です。
生産時期としては前期の後期というべきか。。。
MDモデルになる前のモデルですが最初期モデルではなく
フィルム室のスタッドは2本で圧版も横長のタイプです。
かなり多くの数が生産されたタイプですが
この時期のブラックも比較的少ないのではないかと思います。
OM-1も1Nが出るまで長く生産されたカメラですので
生産時期によって細かい変更がかなりされています。
余談ですがこの辺りの仕様をある程度はわかっていないと
部品交換を部品取り個体から移植しようとしても
合わないなんて事態が発生します。

お預かりしているOM-1はご依頼者様が
最近、入手された個体のようです。
ブラック塗装のボディのコンディションは比較的良い状態で
お預かり時の時点でもかなりキレイです。
定番のプリズム腐食もなく
若干のゴミの混入や多少の接眼レンズ・プリズムの汚れはありますが
ファインダーもまずまず良い状態です。
シャッター・露出計共に一通り動作していますが
幕軸や底部三連ギアの汚れによる若干の粘りだと思われますが
高速シャッターの精度が悪い上に
シャッターを切るたびにかなりのばらつきがあり不安定です。
あとは細かい部分ですがセルフタイマー基部の樹脂部品に割れがあり
とりあえず接着してあるとのことです。
ここは樹脂が劣化していて割れやすいのですよねぇ
ネジを少し締めすぎると簡単に割れてしまいます。
今回は中古良品の部品と交換で対応いたします。
この時代の樹脂がそもそもそうなのかコストの問題でそうなったのか
ちょっとわからないのですが
OMの樹脂類はニコンやキヤノンに比べると
少し脆いのではないかと思われます。
いや、もちろん、現行機種だった頃は全く問題ない強度だったと思われますが
経年劣化で少し脆くなりやすい材質なのではないかと思います。
話が逸れますがフジカST系も同じような時代のカメラですが
こちらはさらに樹脂類が脆く整備時にかなり神経を使います。

プリズムは一度腐食して交換されているようです。
腐食対策に加水分解しにくい材質の遮光材に交換もされています。
OMは基本的にはしっかりできているカメラなのですが
その軽量コンパクトさを実現するために
少々、まめにメンテナンスを行わないとならない部分もございます。
よく整備に入るカメラはトラブルの起こりやすい場所も
大体わかってくるのでお預かり時にはちゃんと動作していても
「せっかくバラすのだから
あそことそことここはチェックしておかないとな」みたいな部分があるのですが
そのチェック箇所がOMは他のカメラ比べても
正直言って多いです。
もちろん、そのチェック箇所やウィークポイントをしっかり押さえておけば
独特の官能的な使用感も含めてまだまだ楽しめるカメラでもあります。
今回も申し分ない状態に仕上げることができそうです。
安心して使える状態でご依頼者様には
存分に楽しんでいただきたいと思います。

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ミノルタSR-Tスーパーのカメラ修理

今日は「かきフライの日」だそうですよ。
これからまさにマガキのシーズンですし
熱々のかきフライは本当に美味しいですよねぇ
これから冬の間はマガキが旬を迎え
春から夏にはイワガキが旬を迎えるので
かきフライ自体は比較的一年中、食べることができますが
広島育ち・瀬戸内育ちの私としては
これからのマガキのシーズンがやはりかきフライも旬だと思います!
まぁ寒くなってきて熱々が美味しくなってきますし。。。
フライだけではなくて殻付きの焼きガキとかが
やはり王道ですよねぇ。。。
かきフライなら苦みの効いたビールだけど
焼きガキとか酢ガキならやはり日本酒ですよねぇ~
「そこは白ワインでは?」という意見もあると思いますが
白ワインも昔いろいろ試したのですが
意外と口の中に「魚介類特有の生臭さ」が残るのですよねぇ
その点、日本酒は少しの量でもキレイに生臭さが洗い流されます。
牡蠣だけではなくやはり日本の魚介類には日本酒が最強に合うと思います。
お酒も魚(牡蠣)もそれぞれ単独で
いただくより何倍も美味しくなりますものね
(あくまで個人的主観です)
そろそろここ数年、毎年恒例の広島産牡蠣(殻つき・お取り寄せ)を
注文しておかなければ。。。

さてさて

本日は「ミノルタSR-Tスーパー」のカメラ修理を行っております。
1973年発売で、それまで超ロングセラーで大ヒットとなった
「SR-T101」のヴァージョンアップ版です。
スーパーが発売されたタイミングでSR-T101は
小変更を行い継続して併売されているので
「後継機」というわけではないのですよね。
その後、SR-TスーパーはSR505に
SR-T101はSR101にモデルチェンジされ
SRシリーズは終焉を迎えます。
SR-TスーパーでSR-T101に比べて変更された部分は
まずファインダー内で絞り値が確認できるようになりました。
これはレンズの刻印をマウント上部の窓から直読するタイプです。
そのため。。。というのもあると思いますが
ペンタ部のデザインもスーパーでは大きく変更されています。
次にファインダースクリーンはスプリット/マイクロプリズムに変更されました
(101はマイクロプリズム)
さらにペンタ部のアクセサリーシューには
接点が追加されホットシューとなりました。
機能的な変更点は以上です。
つまり基本的なスペックは101と変わりません。
中身を見ればいろいろ細かい変更は
毎年のように行われているのですが
基本的なスペックや構造は「SR-T101」以降
「SR505/101」まで違いほぼありません。
でもSR-Tスーパーや505の
「ファインダー内で絞り値が確認できる」はやはり便利ですね。
(ちなみにSSはもともとSR-T101時代から表示あり)

お預かりしているSR-Tスーパーは
ご依頼者様のご自宅で長らく眠っていたものだそうです。
外観から判断するに結構使い込まれた感がありますが
おそらく20年以上は使われていないのではないかと思われます。
一応、シャッターは切れますが
これはSR系のカメラが非常に頑丈に作られているからで
一応動いているだけで本来の動きではありません。
巻上も重いですし、1/1000・1/500の高速シャッタでは
幕が全く開かないまま動作してしまっています。
その状態なので当然、他のSSでも精度は出ていません。
すっかり動きにくくなった身体を必死で動かしている感じがして
とてもいたたまれない気持ちになります。
早く整備して必要最小限の力で
軽く動けるようにしてあげましょう

SRーT系はメインのプリズムに子プリズムが
いくつか接着されておりそれでCdSや
絞り直読システムを光を取り込んだり反射させています。
この子プリズムが接着の劣化で外れかかっているものを
最近よく見かけます。今回もCdS用プリズムが
ほぼ外れてしまっていたのでバルサムで再接着します。
露出計は比較的元気に動いていますが
今回は1.5V仕様で再調整を行います。
その前にここからさらに分解を進めて
シャッター幕軸、ミラー駆動部、SS調速カム
巻上機構部等々、汚れや油切れで動きにくくなっている部分を
洗浄・清掃し注油を行います。
整備が終わるころには見違えるような動き・感触になると思います。
ご依頼者様には本来のSR-Tスーパーの姿と状態で
撮影を楽しんでいただきたいと思います。

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ミノルタオートコードLのカメラ修理

今日は「ピザの日」だそうですよ。
焼きたての熱々のピザってやはり美味しいですよねぇ。。。
やっぱりピザと言えばトマトソースで
定番のマルゲリータを想像しますよね。
濃厚なモッツァレラチーズがまた美味しいのですよねぇ
それからシーフードのたっぷり乗ったペスカトーレも
捨てがたいですよねぇ。。。
どちらにしても合うのはやはりビールかな。。。
軽めの飲みやすいやつじゃなくて
麦芽とホップだけでガツンと苦みの効いたやつがいいですよねぇ
。。。となるとやっぱりエビスかな。。。
いかんいかん、昼前から飲むことを考えているようでは。。。(笑
そういえば昨日、お店を閉めたあとで
新宿ヨドバシまで現像上がりのフィルムを取りに
歩いていってきたのですが(さすがにちょっと遠くて往復2時間少々)
お店の比較的近くに某大手宅配ピザ屋さんがあるのを発見しました。
だからポストにチラシがよく入ってるんだ。。。と納得
どうせなら本格的なピザ屋さんで食べたい気持ちが強いですが
持ってきてもらえるのはお手軽でいいですよねぇ。。。
。。。気を付けないと食べちゃいけない時間帯に
頼んでしまいそうだ。。。(苦笑)

さてさて

本日は「ミノルタオートコードL」のカメラ修理を行っています。
「L」は初期型のオートコードにセレン光電池仕様の
露出計が装備されたモデルです。
最初のオートコードとほぼ同時期に発売開始されました
(一説によると1か月後のようです)
AUTOCORDの銘板を跳ね上げると
セレン受光体が出現します。
露出計は非連動で明るさによってLV値を表示します。
。。。となるとSSリング・絞りリングに連動した
LV値表示窓があるものと想像しがちですが
ビューレンズの上の窓に表示されるのは
通常のオートコードと同じく「SS値」と「絞り値」です。
LV値は正面から見て設定したSSレバーと絞りレバーに対応する
数値の和がLV値となります。
うーん、さすがにこれは少し使いにくいですよねぇ
私は仕事柄、LV15と聞くと反射的に
ASA100・F16・1/125とイメージできるので
この使いにくいLV値表示は使わないでしょうねぇ。。。
せっかく上から見下ろすだけで
SSや絞りが確認でき、露出計側のLVも読めるのだから
LV値から絞り・SSへすぐ変換できるように
覚えてしまえばかなり:使いやすくなると思います。
あともう一つ、通常の初期型オートコードと異なるのは
「L」のシャッタユニットはシチズンMXVではなく
セイコーシャラピッドです。
最高速が1/500になりますね。これも別バネ使用の1/500で
使い方にちょっとクセがありますが。。。
(1/500にセットするのは必ずチャージ前に。。。)

お預かりしているオートコードLは
シャッターが普通に開くときと全く開かないことがあるようです。
羽根の粘りもあるかとは思いますが
おそらくチャージ機構の動作不良かと思われます。
オートコードはセルフコッキングなので
クランクを回せばフィルム巻上と同時に
シャッターチャージもされますが
たまにチャージされないこともあるようです。
実際にフィルムを入れていなくて
空シャッターを切る場合は
フィルムカウンタには▼が表示され
クランクは普通に1回転しますが
フィルムを装填しカウンタが「1」になると
クランクは1回転までは回ることがなく
カウントが「2」になったところで止まり
そこから逆転して最初の位置(クランクが固定できる位置)まで
戻してからシャッターを切ります。
で、今回のオートコード、巻き止めも動作不良で
例えば「1」から「2」に巻上するときに
「約1.5」の位置で巻き止めが効いてクランクが止まってしまいます。
しかたがないので戻してシャッターを切り
次に巻き上げると「2」で止まります。
延々これを繰り返す感じです。
たまに一コマきちんと進むときもあるのですが
12枚撮るのに20回前後シャッターを切ることになってしまいます。
もちろん写真は重なりまくりますね(汗)
レリーズ後の巻き止め解除が動作不良で
中途半端にしか戻らず次に進めた時に中途半端な位置で
巻き止めがかかってしまうようです。
これ、実際にフィルム入れないとトラブルに気づきませんよね。
オートマット機構のある中判カメラはたまにこういうことがあるので
現状チェックの時にも必ずフィルム入れて確認するのですが
確認してちゃんと先に気が付いて良かったです。

で、まずはその巻き止め及び
巻上機構から修理整備していきます。
部品の変形とか摩耗で動作不良が起きているようだと
ちょっと困ったことになるかな。。。と思っていましたが
単純に油切れ+汚れで起こる動作不良で
清掃・注油で正しい動きを取り戻すことができました。
チャージ不良も同様に巻上機構側の動作不良が原因のようです。
もちろんこの後、シャッターユニットの整備も行いますので
シャッターユニット側のチャージ機構及び
シャッター羽根駆動部の修理・整備を行います。
「L」の最大のセールスポイントである露出計は
セレンが劣化しているとどうにもならないことが多いのですが
今回のこの個体はセレンは絶好調で
露出計の精度も元々全く問題がございません。
念のための配線等のチェックは行いますが
極力露出計に関しては余計なことはせず現状維持に努めます。
それほど良い状態です。
しかしながら肝心のシャッターや巻上にトラブルが多いので
そのあたりを引き続き慎重に整備していきます。

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ヤシカエレクトロ35GXのカメラ修理

今日は「鉄道電化の日」だそうです。
1956(昭和31)年のこの日に
米原~京都間が電化され、
東海道本線全線の電化が完成したのだそうです
要はそれまで蒸気機関車やディーゼル機関車、ディーゼル気動車しか
走れなかった路線に架線が設けられ
いわゆる「電車」(もちろん電気機関車も)が走れるようになったわけですね。
電化に伴って電気機関車(EF58)がけん引する
特急「つばめ」が東京~大阪間を7時間30分で走ったのだそうです。
ちなみに「電車」の特急は
1958年の「こだま」が最初です(151系電車)
1964年には東海道新幹線が開業するので
この時代はめまぐるしく公共交通機関や道路が開発される
高度成長期だったのだなぁ。。と再確認してしまいますね。
話が逸れますが子供の頃、151系とか181系の
ボンネット型の特急電車にやたらと憧れました。。。
実際には今でも見たことはなくて図鑑や写真でしか
見たことないのですが。。。
(広島在住だとこういう電車にはなかなか縁がないですよねぇ)
どこかの博物館に行けば今でも見られるのかな
それよりも鉄道模型買ったほうが満足度高いかな。。。(笑

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35GX」のカメラ修理を行っています。
昨日は同じエレクトロでも「CC」でしたね。
こうしてみると「エレクトロ35シリーズ」という括りで見ると
毎月コンスタントに数台修理していますね。
で、少し前に部品取りが必要になって
ジャンクのエレクトロ探していたのですが
最近意外と高いのですねぇ。。。エレクトロも。。。。
状態のよくわからない個体にも良い値段が付いていてびっくりしました(汗)
一部のモデル(MC)を除いては
F1.7クラスの大口径レンズと距離計を搭載し
SSは全速電子制御で絞り優先オート専用機、というのが
エレクトロ35シリーズの共通項です。
今回のGXはそんなエレクトロ35シリーズの
最終モデルとなったカメラです。
発売は1975年、初代登場から9年が経過しました。
初代に比べると随分とコンパクトなカメラになりました。
もちろん全速電子制御シャッターでレンジファインダー機です。
搭載されるレンズは40mmF1.7の大口径レンズです。
最後まで初代登場時の「ろうそく1本の光でも写る」を
メインのコンセプトととしたカメラです。

お預かりしているGXは
一応オートもシャッターも作動しているのですが
やたらと露出オーバーになってしまうようです。
値にしてLV15(晴天屋外日なたくらいの明るさ)の場合で
+4段~5段です。
これではさすがに写真は真っ白になってしまいます。
最初はオート制御が悪いのかと予想していたのですが
これだけオーバー傾向だと
F16にするとLV15であろうと1/15とか1/8で
切れていると思われるので
スロー警告(黄色の警告灯)がでるはずなのですが
それは出ないようです。
では。。。と実際にスロー警告が出るはずの明るさ
(LV9でF16)に設定すると警告灯は出ます。
つまり制御そのものは悪くないのではないかということになります。
エレクトロシリーズはレンズシャッターにありがちな
シャッター羽根油シミ等によるねばりは起こりにくいカメラです。
その代わりマグネットの力で開閉する
羽根駆動部の軸が練って動作不良を起こすことがよくあります。
今回の露出オーバー傾向の原因も
制御的には速いSSで動作しようとしているのだけど
物理的に(機械的に)駆動部が粘ってうまく動けないようです。
原因がある程度、絞り込めればあとは直していくだけです。

オート制御不良の原因は予想通り
羽根駆動部の軸粘りが原因でした
エレクトロはこのパターン多いですね。
今回はやたらオーバーになるという症状でしたが
もう少し粘りが進み動かなくなると
電源は入るのにSSが全く制御できず
全て等速で切れる、あるいはシャッター羽根が動かないという
症状になることも多々あります。
今回は半端に明るさに反応して動くので
ちょっと最初は迷ってしまいました。
シャッターユニット整備、レンズ清掃、
巻上部、レリーズ部の整備を一通り行いました。
これからオートの調整も行い
ファインダーの清掃、距離計調整を行います。
問題なく快適に使用できる状態に復活させることができそうです。

ファインダー内の矢印や警告灯は
エレクトロならではですよね。
矢印の出た方向に絞りリングを回せ。。。なんてのも
初代からの共通項ですがよく考えられていると思います。
エレクトロは初代からこのGXまで
どれも魅力的なカメラばかりです。

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