月別アーカイブ: 2022年4月

ペンタックスMEスーパーのカメラ修理

HPトップページやSNS等で既にお知らせしていますが
明日5/1~5/6はGW休業といたします。
ご迷惑をおかけいたしますがご容赦くださいませ。

4月もあっという間に終わりましたね
月末の本日30日は「図書館記念日」なのだそうですよ。
1950(昭和25)年のこの日に
「図書館法」が公布されたことが由来となっています。
比較的近年まで図書館にもよく通っていて
本も良く借りていたのですが最近はご無沙汰ですねぇ
私は本は資料としていろいろ調べ物をするために借りることが多く
小説とかは読まないので
そういう目的だと最近はネットでことが足りてしまうのですよねぇ
でもネットだとある程度目的を決めてから調べることになるのですが
図書館だと漠然と「何か面白そうなものないかなぁ…」と
いろいろな分野の本棚を見て回り
それまで自分が知らなかったような分野の本を
手に取ることができるのがいいのですよねぇ
たまにはふらっと図書館には立ち寄ってみたいですね!

さてさて

本日は「ペンタックスMEスーパー」のカメラ修理を行っています。
「Mシリーズ」の基本形となる「ME」が発売されてから
3年後の1979年に発売されたカメラで
絞り優先オート専用機のエントリーモデルだった「ME」に
マニュアル露出モードと1/2000シャッターを追加し
さらに非常に明るくピントの山が掴みやすい
「クリアーブライトマットスクリーン」を搭載し
機能的にも使い心地的にも中級機以上のポジションとなったカメラです。
もともと「ME」の上品なシャッター音や
感触の良い巻上はクラスを超えたものでしたが
「MEスーパー」になったことで機能的にも
より使い勝手の良いカメラになったと思います。
元々のモードダイヤルは「ME」と同様の形状を保持し
そこに「マニュアルモード」が追加され
マニュアル時のSS設定は「UP」「DOWN」の2ボタン式になっています。
ダイヤル式に慣れた身からすると
少々最初は違和感を感じるかもしれません。
しかしながらこのボタン式のSS設定は
この後の「Aシリーズ」や中判の「645シリーズ」にも受け継がれます。

基本的な機械部分のベースは「ME」なので
「ME」同様の機械的トラブルが起こりがちです。
今回お預かりの「MEスーパー」も
MXを除くMシリーズ共通の持病ともいえる
ミラー駆動部のゴムブッシュ劣化によるミラーアップが発生しており
巻上はできずどうにも動けない状態です。
正確にいうと溶解したブッシュが抵抗になり
ミラーダウンができない状態です。
気を付けなければいけないのは
この状態ではなんの動作チェックもできない上に
この状態をとりあえず脱するためには
ミラーボックスを降ろしてミラー駆動部の整備を行うしかなく
もし電子基板関連のトラブルがあったとしても
一通り整備してみないと発見できないことです。
明かな基板腐食とかがない限り
ME系の基板は比較的丈夫なので可能性としては低いのですが…

整備性は非常に良いカメラですが
何度も無駄にミラーボックスの脱着は行いたくはないので
(余計なトラブルを呼び込むリスクにもなります)
当たり前のことですが
症状が出ていようがいまいがシャッターユニットの整備
マグネットの清掃、各ハンダ部の点検や再ハンダ付け
摺動抵抗の清掃等々、トラブルの原因になりそうなところは
一通りしっかり整備を行います。
先述したように全く動作チェックができず分解に至っているので
できることは全て行っておきます。
再組立て後に行うのは電気的な調整のみです。
これで何か組立て後に大きな問題があるとすれば
基板交換しかない…という状態で再組立てを行います。
それから過去にも書きましたが
この時代のペンタックス機は内部モルトがふんだんに使われています。
外からは見えないところですが
劣化させているとこれも余計なトラブルの元になるので
全て交換していきます。
整備性は良いとはいえチェック必須な部分はやはりそれなりに多いですね。

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ミノルタニューSR-7のカメラ修理

今日は「昭和の日」で祝日ですね。
元々は昭和天皇の「天皇誕生日」の日で
昭和天皇崩御の後は昭和天皇が生物学者であり
自然を愛したことから
「自然にしたしむとともにその恩恵に感謝し
豊かな心をはぐくむ」日として「みどりの日」となりました。
さらにその後、多くの国民の要望を受けて
「昭和の日」に改称することとなり
2007(平成19)年の「国民の祝日に関する法律」(祝日法)の
一部改正により4月29日は「昭和の日」に改称され
「みどりの日」は5月4日となりました。
このあたりはもう「GW」でひとくくりにされてしまいがちですが
それぞれの祝日の成り立ちは理解しておきたいですね。
ところでもともと「みどりの日」ということもあり
い草の緑色から、今日は「畳の日」でもあるそうです。
実家がなくなってから本当に畳の部屋に縁遠くなってしまいました。
最近はフローリングに敷ける畳があるらしいから
自宅に敷いてみようかな…
この季節の天気の良い日に窓を開けて畳にごろんと転がるのは
本当に気持ちいいですよねぇ…
昔は当たり前の日常だったのですが…(苦笑)

さてさて

本日は「ミノルタニューSR-7」のカメラ修理を行っています。
1965年発売のカメラです。
前身となる「SR-7」の登場から3年後に発売されたカメラですが
機能的にはSR-7そのままで感度2段階切替の外光式のCdS露出計を装備し
布幕横走り機械制御シャッターで1/1000~1S・Bのシャッターを搭載します。
ただし中身的にはもはやフルモデルチェンジで
骨格ともいえるダイキャストから変更され
縦横幅数mmずつですが小型化が図られています。
このダイキャストは次のモデルでもあるSR-T101でも使われることになり
その後の機械制御シャッター機SRシリーズのダイキャストとして
非常に長く使われることになります。
シャッタ音や巻上フィーリングも明らかに向上しており
使い心地に重きを置くよりミノルタらしいカメラになりました。
細かいことを言えば露出計の感度切替ボタンは背面から
マウント脇に移動され、バッテリーチェックも追加されました
そのため底カバー部の形状やSWもSR-T101とほぼ同様になっています。

お預かりしている「ニューSR-7」は
巻上はロックされておりレリーズも押すことができず
うんともすんとも動かない状態です。
シャッター幕の位置から判断してシャッターチャージはされているようです。
この状態でよくあるのは何らかの原因で
ミラーチャージが完了しておらず
レリーズボタンを押しても何も動けないというパターンが多いのですが
今回はレリーズ自体もロックされて押し込めないので
それとも異なるような感じです。
露出計も不動ですがこれは電池室にかなり緑青が吹きだしているので
接触不良及び配線断線かと思われます。
で、電池室からの配線を見るためにまずは底カバーを外したのですが…
予想以上に電池室からの腐食が広がっていて
巻上部からレリーズ機構の下部も緑青がびっしり付いています。
レリーズロックの原因もこれですね…
応急処置的にレリーズ下部の緑青を落としてみたところ
レリーズは押せるようになったのですが
それでもシャッターは作動しません。
巻上部やシャッターロック機構、ミラー駆動部にも
緑青が広がっておりどこもかしこも動けない状態のようです。
これはもう徹底的に分解して洗浄して磨いていくしかなさそうです。
なかなか手のかかる作業になりそうです。


ここまでは底カバー部分から一部を覗いてみていただけなので
これからまずは全貌が確認できるところまで
本格的に分解を進めていきます。
基本的には機械制御のシャッターで
露出計もシンプルな外光式なので
SSダイヤル連動部にだけ気を付けながら分解を進めていきます。
上の画像でも少し確認できますが
プリズム抑えに挟まれているのはモルトではなくコルクです。
同様にプリズム前部にもコルクが挟まれていますが
モルトとは異なり加水分解を起こしません。
すなわちプリズム腐食が起こりにくいわけですね。
Xシリーズも同じように処置していてくれれば…(苦笑)

まずは駆動部分はスムーズに動けるように
整備を行っていきます。その上で各部の調整を行います。

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キヤノンAE-1のカメラ修理

今日は「缶ジュース発売記念日」なのだそうですよ
1954(昭和29)年のこの日に
明治製菓株式会社が日本初の缶ジュース
「明治天然オレンジジュース」を発売したことに由来しています。
当時の主流は瓶詰のジュースですね。
発売当初の缶ジュースはプルトップも何もついておらず
缶切りで開けるものだったそうです。
その後、1957(昭和32)年に明治製菓から缶の上部に
小さな缶切り(オープナー)が付いた
「缶切り付缶ジュース」が発売されました。
缶切りで飲み口と空気穴の2ヵ所を開けて飲むスタイルであり
缶切りを持っていなくても、
いつでもどこでも手軽にジュースが飲めるということで
評判になったのだそうです。
さすがに私が記憶のある頃には今のものとあまり変わらない
プルトップのついた缶ジュースが普通に売ってましたねぇ
でも神殿頃にはまだ瓶ジュースの自動販売機も多くて
自販機の栓抜きで蓋を開けて
飲み終わったら自販機の横にある瓶ジュース用の木箱に
空瓶を立てておいた記憶があるなぁ…
そういえばこの頃、コカコーラ系の瓶ジュースで
「スーパーカー王冠」ってのがあって
めちゃくちゃ集めてました。
じいさんが協力してくれて自販機の栓抜きの穴(その下に王冠が落ちる)に
紐で磁石をそーっと降ろして王冠をたくさん取ってくれたなぁ(笑)
スーパーカー王冠…ヤフオクとかにも出てますね。
いやさすがに買いはしませんが…懐かしいですねぇ…

さてさて

本日は「キヤノンAE-1」のカメラ修理を行っています。
1976年に発売されたカメラで「Aシリーズ」最初のモデルかつ
全ての「Aシリーズ」の基本となるカメラです。
世界初のマイクロコンピュータ搭載カメラで
そのマイコン(死語?)が中央集中制御する方式を採用し
電子化により部品点数を従来機種より300点も減らしたそうです。
また、生産にも自動化を大幅に取り入れ、高機能、低価格を実現しました。
他社の同クラスのカメラより2万円近く安い価格設定が実現できたのだそうです。
キヤノンがこういう時代の節目節目で
一気に高機能低価格を進めるモデルを出すことが多いですね。
過去の「キヤノンP」や「初代キヤノネット」もそうですね。
それらのカメラが出てきたときと同じく
このAE-1の出現により直接的にはないにしろ
また高機能低価格についてこれなくなったメーカーが
何社か一眼レフ市場から撤退することになったとも思います。
「連射一眼」のキャッチフレーズで一世を風靡したカメラでもあり
現存台数は非常に多いと思われます。
大量に売れたカメラの宿命で手荒く扱われていたり
ジャンク箱に酷い状態で転がっているものも多く
そういうものを見るとちょっと切なくなってしまいますね。
キヤノンが社運を賭けて開発した渾身の一作であり
非常に良くできた使いやすいカメラです。

お預かりしている「AE-1」は
頻繁にミラーアップしたままになってしまいます。
「Aシリーズ」特有のシャッター鳴きの原因ともなる
ミラー駆動部のトラブルかとも思いましたが
今回はシャッター後幕の動きが悪く
シャッター走行後にうまくミラーダウンレバーを蹴れないようです。
横走りシャッター機ではよくあるパターンのトラブルですが
AE-1では少々めずらしいですね。
後幕走行不良ということは当然ながら
高速シャッターの精度も全く出ていません。
シャッター幕軸の清掃整備を行い動きを良くしてから
微調整を行う必要があります。
加えてこれも「Aシリーズ」では定番ですが
露出計が随分オーバー側にズレており
内蔵露出計の言う通りに露出設定を行うと
2段以上オーバーになってしまいます。
当然ながらオート露出も2段近くオーバーに制御されています。
抵抗や接点の汚れが原因かと思われます。

現在抱えているトラブルはもちろんですが
定番のシャッター鳴きやオート時の絞り制御レバー等の
整備も同時に行います。
今回はシャッター鳴きは出ていませんが
絞り制御レバーの方は動くたびに油切れ特有の
「ギャン」といった異音が小さくですが出ていて動きも重いの状態でした
このあたりはいずれにしても定期的に整備を行う必要があります。
電子制御機ということでメンテナンス性に不安があると
思われることもあるでしょうが
AE-1は妙な素人分解をされていない限り
致命的な電気トラブルの少ないカメラです。
整備性もそれほどは悪くありません。
SSダイヤル連動は糸連動だったりで
まだ電子制御機としては過渡期にあるモデルですが
機械制御と電子制御が上手くバランスされたカメラだと思います。

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キヤノンF-1のカメラ修理

今日は「哲学の日」だそうですよ。
紀元前399年のこの日に
古代ギリシアの哲学者ソクラテスが
死刑宣告を受けて刑の執行として
獄中で毒を飲んで亡くなったことが由来になっています。
哲学はよくわかりませんが
あまり難しく考えすぎないで
今日をしっかり生きるとシンプルで良いかとも思います…
ちなみに今日はこのソクラテスにちなんで
「悪妻の日」という日も制定されています。
ソクラテスの妻・クサンティッペが
悪妻として有名であったことに由来した日なのだそうです。
西洋では悪妻の代名詞ともなっているが
後世の作り話である部分も多く
彼女の本当の姿については殆ど分かっていないのだそうです。
悪妻にしろ悪夫にしろ
生活を共にする家族との関係が悪いとそりゃしんどいですよねぇ
で、ソクラテスが言うには
「ぜひ結婚しなさい。よい妻を持てば幸せになれる。
悪い妻を持てば私のように哲学者になれる」なのだそうです。
うーん…何といってよいのやら…(苦笑)

さてさて

今日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
つい数日前にも「F-1 OD」の修理を行いましたが
今回は普通のブラックです。
ただ、ODと同様に今回もいわゆる後期のF-1Nです。
オリーブはちょっと変わり種として
F-1は基本的にブラック塗装で
この時代、他のカメラでは主流だったシルバーがありません。
この後の時代のブラック塗装のケマラの人気ぶりを見ると
さすがキヤノンは時代を先取りしたのだな…とも思えますが
シルバーのF-1も見てみたかったような気がします。
ちょっと想像もつかないのですが…(笑)
このF-1がブラック一色だったことや
後のAシリーズでもブラックのみのモデルがあったり
シルバーの設定があってもブラックが多く売れていたりということで
他のメーカーに比べてもキヤノンの一眼レフは
ブラックのイメージが強いですね。

お預かりしている「F-1」は
動きの悪いところもいろいろあるのですが
一番の問題はファインダー内露出計指針の
絞り連動「〇指針」の動作不良です。
レンズを装着して絞りを動作しても
上手く連動できないようです。
実はこの「〇指針」関連のトラブル
F-1では結構よくあるトラブルです。
〇指針自体が非常に小さなバネ力で戻るような
構造になっていることと
ミラーボックス側面に支点があるのですが
ここが粘ったり固着することが非常に多いのです。
おまけにその視点から伸びている先端に〇指針がついた
腕部分がわずかな歪みや変形で周辺の部品に
干渉し動けなくなっている場合も多くあります。
今回も支点自体の粘りと腕部分のわずかな歪みによる干渉
両方の原因で動作不良を起こしている様です。
F-1は部品一つ一つの剛性や強度は申し分ないのですが
意外と繊細な調整や構造で動作している部分もあるので
定期的な整備が不可欠なカメラだと思います。
今回は問題ございませんでしたが
幕ブレーキ周りのデリケートさも見逃せません。

シャッターや巻上、ミラー駆動部等々
各部の整備を一通り行って少し油が馴染むまで様子見している状態です。
全体的に非常にスムーズに動作する状態になっています。
やはり旧F-1には旧FDレンズが似合いますね。
装着されているのは50mmF1.4s.s.cです。
いつ見ても思いますがこの時代のTTL露出計内蔵カメラで
ペンタプリズム部がこんなに低く精悍に構えているカメラは
F-1だけですね。
やはりFTの頃に開発したCdSをコンデンサレンズの後ろに置く構造なのが
効いているのではないかと思います。
ニコンF2と並んで間違いなく70年代の高級一眼レフを
代表するカメラだと思います。

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ペンタックスMXのカメラ修理

今日は「歩道橋の日」だそうですよ。
1963(昭和38)年のこの日に
大阪駅前に日本初の横断歩道橋が完成したことに由来しています。
東京で初めての横断歩道は
同じ1963年の9月10日に五反田駅前に完成したのだそうです。
意外と近年ですよね…私が記憶がある頃には
もう近所に歩道橋が何か所もありました
急激に全国に普及したのですね…
家から一番近い歩道橋は歩いて1分もかからないところにあり
小学校の通学で毎日通り
夕焼けのキレイな日には歩道橋の上から呉港方面を眺め
夏の呉海上花火大会の日もこの歩道橋の上から
何度も眺めました。
今でもちゃんと健在です。長らく渡っていませんが…
歩道橋は交通事故を大きく減らすことに貢献したそうです。
しかし、その一方で自動車を優先し
高齢者や障害者などの歩行に
大きな負担を強いるものだという批判もあったのだそうです。
そうそう、子供の頃は歩道橋渡ることなんて
何とも思っていなかったけど
今、実際に歩みが少し不自由になってみると
歩道橋ってしんどいのですよねぇ…渡れなくはないのですが…

さてさて

本日は「ペンタックスMX」のカメラ修理を行っています。
1976年11月発売のカメラです。
小型化を大きく進めた「ペンタックスMシリーズ」の
最初のモデルとなったカメラですが
最初に出た割にはシリーズ内では実は異端児的なモデルで
その1ヶ月後に発売された電子制御機「ME」のほうが
「Mシリーズ」の中核を担うモデルでした。
「Mシリーズ」の大きな目標は「小型化」と同時に
「電子化」でもあり
従来の機械制御式横走りシャッター機は
既に貴重な存在になりつつありました。
実際に「MX」以外の「Mシリーズ」のモデルは
「ME」がベースとなり
その後の「Aシリーズ」のベースともなっていくのですが
「MX」だけは取り残された形になり
後継機も開発されないまま純然たる機械制御シャッター機としては
ペンタックス最後のモデルとなってしまいました。
コンパクトな機械制御シャッター機というジャンルでは
実質このMXとOM-1の2機種の独壇場で
後発のMXはこのジャンルで既に大きな成功を収めていた
OM-1を相当に意識して開発されたカメラだと思われます。
OM-1同様に小型化するためにあらゆる部分に工夫や
独特の構造がみられその上露出計は整備するには厄介な
LED式ということもあり
修理整備の難易度としては高いカメラかと思います。

お預かりしている「MX」はもともとご依頼者様のお父様が
購入したカメラでご依頼者様がお生まれになった記念に
買われたものだそうです。
ということはご依頼者様の写真をこのMXで相当たくさん
撮られているはずですね。
そんな思いでの詰まったMXですが
さすがに近年は使われずに仕舞い込まれたままになっていたらしく
その間にいろいろなトラブルを抱え込んでいるようです。
まず保管時に電池が入れたままになっていたと思われるのですが
電池室裏の端子、そこから伸びる配線、繋がる電子基板に至るまで
盛大に緑青が発生しておりもちろん通電できない状態になっています。
露出計はもちろん動きません。
シャッターもスローガバナは固着しており
高速シャッターのバランスも全く話にならない状態で
とてもとてもこのままではまともな写真が撮れない状態です。
シャッターだけではなく巻上から裏蓋の開閉まで
いろいろな部分で動作不良が起きてしまっています。

電池室・露出計周りの緑青や腐食には少々苦労しましたが
シャッターや巻上・ミラー駆動は
致命的な破損があるわけではなく
とにかくスムーズに動けるように
抵抗になる古い油や汚れを取り除きひたすら清掃を行います。
その上で最小限の注油を行い
あとは微調整を繰り返すことで本来の動きを取り戻します。
画像は一通りの整備が終わって少し様子見の状態ですが
見違えるほど動きはよくなりました。
MXのシャッターは少々厄介な傾向が合って
先幕と後幕の幕速バランスがやたらと崩れやすい傾向があります。
そのため1/1000が開かない、高速シャッターで写真の片方が黒くなる…
というトラブルがかなりの頻度で発生します。
同じような構造のシャッターを持つOM-1でも同じようなトラブルはありますが
MXのほうが圧倒的にその頻度が高いような気がします。
OM-1以上に定期的な整備が必要なカメラだとは思います。
それでも一度、きちんとしっかり手を入れてやれば
また当分の間は安定して動作できると思います。
今回のMXも当分安心して使える状態になったと思いますし
今度はご依頼者様の手で
いろいろな思い出を切り取っていただければと思います。

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キヤノンF-1のカメラ修理

今日は「消防車の日」だそうですよ
火事は怖いですよねぇ…
自分のところが火元になることだけは
ないようにお店閉めて帰るときは
いろいろと確認して帰るようにしています…
火事に限らずこういう災いは
「まさか自分のところで…」って油断しているときに
思わぬことが起こりがちですものねぇ
常に最悪の事態を想定しておかなくては…
それはさておき、消防車といってもいろいろな種類があります
子供の頃にそういう「働くクルマ」の図鑑とか
穴が開くほど毎日見ていましたねぇ
消防車と言えばポンプ車とハシゴ車ですが
ポンプ車も通常の消火栓・防火水槽などから水を吸いあげるものと
水槽付きで現場についたら迅速に消化に取り掛かれるものもあります
化学消防ポンプ車というものもありますね
ハシゴ車も大きなビルに対応できるものから
屈折ハシゴ車のような狭いところでも対応できるものがあり
ポンプ車やハシゴ車以外にも
レスキュー隊が使う救助工作車や
コンテナを積み替えることで多目的に対応する
災害対応多目的車というものもあります
一言で火事と言ってもいろんな場合があって
迅速に消火・救助にあたるために
消防車もいろいろなものがあるのですね

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
「F-1」に関しての説明は毎度毎度同じようなことを
ここでも書いていますが
今回お預かりの「F-1」はちょっと変わり種です。
1978年発売の「OD F-1」と呼ばれるモデルで
1976年発売のF-1改(F-1N 後期F-1)のカラーバリエ―ションモデルです。
先に写真だけ載せてしまいますと…

いわゆるオリーブ色ですね
「OD F-1」の「OD」はOlive Drab(オリーブ・ドラブ)の略です。
当時の若者に人気のあったU.S.アーミーカラーのF-1ですね。
オリーブグリーンのカメラは他メーカーでも
いくつか存在していますがどれもちょいとレアモデルです。
この「OD F-1」も現存台数が少なく
なかなかお目にかかることが少ないカメラです。
おまけにこの個体の外装は非常にコンディションの良い状態です。
基本的にはカラーバリエーションモデルなので
中身や機能は「F-1改・F-1N」と同様です。
前期のF-1に対して下記の仕様変更が行われています。
巻き上げ角180度、予備角15度の仕様を
迅速巻き上げの要望により139度、30度に変更。
フィルム感度使用域の高感度側をISO 2000から3200へと拡大
巻き上げレバーに指当てを追加
シンクロターミナルのソケットを抜け止め式にする等
13項目の細部にわたり改良が施されています。

ご依頼者様は通常のF-1も所有されていますが
このオリーブのF-1を以前から探されていたのだそうです。
そしてやっとコンディションの良さそうなものを見つけ
手に入れたそうなのですが
外装のコンディションは良いとはいえ
さすがに発売から40年以上経っているカメラです。
保管状態は良いと思われますが
それだけ使われていない(動かされていない)こともあり
動きの悪い部分があちこちで散見されます。
特に問題のはやはりシャッターで
幕軸に汚れ粘りがある状態で
1/2000・1/1000は動作はしても全くシャッターが開かない状態でした。
低速シャッターもこちらはスローガバナに粘りがあり
やはり動作不良を起こしています。
露出計・バッテリーチェックもSW部の接触不良により
全く動作しない状態です。
ただ、どれも動かしていないがための動作不良で
どこかが破損しているといった類のトラブルではありません。
レアなモデルということもあり
おそらくほとんど実用として稼働していなかったのではないと思われます。
ひたすら動作部分や接点の清掃を行い
通常の動きを取り戻す作業を行います。

結果的にはシャッタスピードも問題ない精度に安定し
各部の動きも非常にスムーズになりました。
こういうモデルの運用・維持は考え方次第ではあるのですが
やはりある程度は実用として使っていただければとは思います。

オリーブのF-1。。。ぶら下げて歩いているだけでも
カッコいいですね。。。なかなか羨ましい限りです。

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リコーオートハーフSEのカメラ修理

今日は「道の駅」の日だそうですよ。
言われてみれば「道の駅」っていつ頃から始まったのだっけ?と
思って調べてみると
1993(平成5)年4月22日に103ヵ所の
「道の駅」が第1回登録されたのが始まりだそうです。
今日の記念日もこの日付が由来なのですね。
それから「道の駅」はどんどん増え続け
2020年3月時点で「道の駅」の全国登録数は1173ヵ所に上るのだそうです。
高速道路では昔からSAがそれなりに充実していましたが
一般道ではなかなかこういうものはありませんでしたものねぇ
休憩にも使いやすいですし
お土産や地元特産品も手に入ったりしますし
ドライブ途中で見かけると「ちょっと寄ってみようか」って
気になりますものねぇ…
まぁ私は今やクルマ持ってないので
立ち寄ることもないのですが…(笑)

さてさて

本日は「リコーオートハーフSE」のカメラ修理を行っています。
オートハーフもコンスタントに修理依頼のあるカメラです。
露出はセレン光電池を利用する露出計に連動して自動
ピントは固定焦点でこれまた合わせる必要なし
さらに何と言ってもオートハーフの特徴でもある
ゼンマイ仕掛けの自動巻上
あらかじめゼンマイを巻いておく必要はありますが
シャッターボタンをおしてシャッターを切れば
すぐに次のコマに自動で巻き上げてくれます。
そりゃ90年代以降のオートフォーカス機ならそれも当たり前ですが
電池さえ使う必要なくてこれだけ自動化されているのですよ
それも1960年代に…
こういう機械仕掛けは撮影していも楽しくなりますよね
何もかも自分で設定するマニュアル機も操作する楽しみがありますが
気軽に構えるだけでパシャパシャ撮れるオートハーフは
また違った意味での楽しさのあるカメラです。
さらに何と言っても他のカメラと間違えようのない
このデザインもいいですよねぇ…
オートハーフもいくつかの種類がありますが
今回のSEはオートハーフEをベースにセルフタイマーが追加されたものです。
ちなみに…オートハーフEはオートハーフSから
セルフを省いたものなのですが…
まぁその辺を言い始めるとややこしくなるからやめましょう(苦笑)

SEは鏡面仕上げのシルバーと波紋柄黒の2色が発売されており
今回は鏡面シルバーの個体です。
かなり長い間使われずに仕舞い込まれていた個体とみられ
レンズ・ファインダーにはかなりのカビやゴミが見受けられます。
ファインダーレンズの一部は接着剤の影響かと思われますが
四隅が一部溶けてしまっていてこのままでは
清掃しても視野に悪影響がある状態だったので
ここは中古良品と交換します。
オートハーフの特徴でもあり問題点ともなる
フィルム室裏に大量に貼られた遮光用モルトはもちろん全滅です。
最も心配の種となるセレン光電池は多少の劣化はあるものの
調整でなんとかなる程度に起電はできています。
起電できない状態のセレン光電池も多く
そうなるとなかなか使えるセレン光電池を入手するのも
最近は難しくなってきたので修理が難しくなります。
最大のセールスポイントでもあるゼンマイ巻上は
油切れで多少動きが悪いものの
整備を行えば問題ない状態に改善できそうです。

そうして整備が一通り完了したオートハーフSEは
非常に快適に動作するようになりました
ファインダーもレンズも非常にクリアな状態で
露出計やオートの精度も問題ございません。
ゼンマイ巻上も非常に歯切れよく快調に巻き上げてくれます。
フィルム室内は劣化したモルトの影響で
塗装が剥がれてボロボロな部分も多かったのですが
そこもできる限りキレイに仕上げました。
気持ちよく使っていただける状態になっていると思います。
造られた時代が時代のなので
サイズ的には非常にコンパクトなのですが
重量は見た目とは異なりずっしりとしています。
この時代ならではのモノの質感とも言えますね。
カバンの隅にでも気軽に入れて置けるサイズなので
どこにでも持って行ってもらって
いろんな写真を撮ってもらえればと思います。
ハーフ判でたっぷり撮れるのもいいですよね!

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ペンタックスSVのカメラ修理

今日は記念日はピンとくるものがないのですが…
何か4/21に起こった出来事ないかな…と思って調べていると
1934年のこの日にイギリスの新聞がネス湖で撮影された
ネッシーの写真を掲載していますね。
「外科医の写真」と呼ばれた
ネッシーが水面に首をもたげている有名な写真です。
小学校の頃、いろんな本や雑誌でこの写真何度も見ましたねぇ~
実際に撮影したのは「外科医」ではなくて「産婦人科医」で
さらに撮影者が晩年(1993年)に
トリック写真であったことを白状したことでも
話題になった写真ですね。
…とはいえこの有名な「外科医の写真」は本人が白状する前から
周りの水面の波の大きさ等からトリック写真ではないかという
疑惑は1960年代から出ていたのだそうです。
本人としてはエイプリルフールのジョークのつもりだったようですが
世界的に注目されたことで引くに引けなくなったそうです。
ネッシーの存在云々はともかくとして
ちょっとした冗談が引くに引けないことになることはありすよねぇ
まぁこれはちょっと極端な例ですが…
特に現在ではネット等で自身の発言や行いが思いもよらぬところから
注目される可能性もあるので
昔よりも怖いですよねぇ…
便利にはなったけど難しい世の中になりました…

さてさて

本日は「ペンタックスSV」のカメラ修理を行っています。
数日前にも「SV」の修理をここでも書きましたが
「SP」もそうですがペンタックスM42マウント機の
修理整備依頼はコンスタントに入ってきます。
やはり大ヒット作でもある「SP」が圧倒的に多いですが
比較的現存台数の多いSVやS2・S3も多いですね。
ただし「SP」だとそれほどひどいものはまだみかけませんが
S2,S3,SVの場合だとシャッター幕が劣化しているものが非常に多いです。
一般的な布幕の場合、ゴム引き幕と呼ばれるもので
片面はゴム素材が貼られています。
このゴム部分が長年の経年劣化で傷んできてしまいます。
保管環境によってはゴム部分がいったん溶けてしまい
再び固まったような様な状態になっているものもあり
こうなると粘着質になって
シャッターが動かなくなっているものも多く見られます。
もちろん動いたとしてもゴム部分にひび割れや裂けができていたりして
本来の役目である遮光自体ができなくなっているものもあります。
そこまでは劣化が進んでなくてもゴムの痛みにより
幕が硬化しているものも多く見られます。
硬化しているので巻きグセがついてしまっていて
遮光そのものはできていてもスムーズに走行することはできません。
これも症状は様々ですが
シャッターが最後まで走り切れなくなって
途中で止まってしまうものも多く見られます。

今回お預かりしているSVはシャッター自体はどうにか動いていたものの
ご依頼者様のご要望もあり幕交換を行いました。
やはり外してみるとよくわかりますが
硬化はそれなりに進んでいて本来のしなやさかさは全くなく
これがバネの力でスムーズに動くわけがないよなぁ…という状態です
当然、幕交換を行うということはシャッター周り
巻上周りの設定は最初から調整しなおします。
貼った後の調整も大事ですが
幕自体を正しい位置に貼り、
先幕・後幕の位置関係が正しい状態になっていることが大前提で
ここが上手くいっていないといくら後で調整しようとしても
まともな精度はでないことになります。

画像は一通りの整備が終わった後の状態で
手前に写っているのが元々貼られていたシャッター幕です。
画像ではわかりにくいですが
硬化はそれなりに進んでいて波打った状態で
固まってしまっているのがわかります。
交換後はシャッタースピードの精度は
1/1000から全く問題なく安定して出ており
巻上の軽さやスムーズさも申し分ありません。
当分の間、気持ちよく使っていただける状態になったと思います。

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コニカFTAのカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの「穀雨」ですね。
この頃には田畑の準備が整い
それに合わせて春の雨が降る。
この春雨は穀物の成長を助けることから「穀雨」と呼ばれます。
種まきや育苗に適した時期であるそうです。
今日もどんより曇天でときおり小雨が降っているようですが
これが穀物の成長を促すわけですねぇ
次の節気はもう「立夏」なのですが
昨日の午後や今日のように陽射しが途絶えると
まだ少し肌寒さを感じますねぇ
私が個人的に寒さに弱くなってしまったせいもるでしょうが
まだ足元のオイルヒーターが手放せないのですよねぇ
数十年前はGW前後にはタンクトップで出かけていたような
記憶があるのですが…(苦笑)

さてさて

本日は「コニカFTA」のカメラ修理を行っています。
コニカARレンズマウントの一眼レフです。
発売開始は1968年です。
それまでのオートレックスが外光式の露出計だったのに対して
FTAではTTL露出計となりました。
露出計指針挟み込み式のシャッタースピード優先は
オートレックスと同様ですがFTAは35mm判専用機で
ハーフ判への切り替えはできません。
シャッターはコパルスクエアSを搭載します。
60年代の一眼レフなので少々大柄で重いですが
非常にしっかり造られたカメラです。
前期モデルは露出計SWが上カバー背面部に配置され
後期の「ニューFTA」になるとシャッターレリーズ部に移設されます。
今回お預かりしているのは前期モデルです。

お預かりしているFTAは
まずミラー駆動部の動きが悪く
空シャッターを繰り返していると段々レリーズして
シャッターが切れるまでの時間が長くなっていきます。
レリーズしてミラーガ動き始めるまでの時間が
段々長くなっていく感じです。
そのまま続けているとレリーズしてから
シャッターが動き始めるまで10秒近くかかかるようになってきます。
そのうちシャッターが切れなくなりそうです。
シャッター羽根の動きも少々粘りがあるようで
高速シャッターの精度は全く出ていません。
そして電池を入れてSWをオンにしても
露出計は全く動きません。バッテリーチェックも同様です。
そしてこれはFTAの持病と言っても良いと思いますが
ファインダーもクモリが酷いです。
露出計の指示盤が読み取れないほどです。
このファインダーのクモリはFTAの場合、
接眼レンズが曇っている場合がほとんどで
それも汚れて曇っているのではなく
接眼レンズの変質が原因で雲っている場合がほとんどです。
そうなると清掃では残念ながら除去できません。
そして交換しようにも曇っていないFTAの接眼レンズが
これがまたなかなか見つからないのです。

まずはその接眼レンズの状況から確認します。
その曇り具合から「これは交換しないと難しそうだけど
交換できるほどキレイなものもうちにはないし
どうしようかな…」と考えていたのですが
いろいろ考え付く手段をあれこれ試してみたところ
今回は運よくかなりクリアにすることができました。
今回は本当にたまたまです。
大半のケースでは上手くいかず結局交換することになるのですが
その交換する接眼レンズも多少なりは
除去できない曇りを抱えていることがほとんどです。

ミラーやシャッターは
通常整備で本リアの動きを取り戻せると思われます。
露出計は電池室底部(マイナス側)裏の端子が腐食していて
断線状態でした。ここからバッテリーチェックSWへとまず
接続されるのですが配線自体も腐食してしまっています。
このあたりは端子を磨いて配線交換で対処します。
画像は上カバーを外して接眼レンズを外しただけの状態ですが
このカメラも糸連動が多い上に挟み込み機構部のリンケージもあるので
ミラーボックスの取り外し及び再組立てはなかなか大変です。
まずは糸の処理に細心の注意を払います。
オート時の絞り制御機構もなかなか独特で
見た目のオーソドックスさとは裏腹になかなか独創性の高いカメラです。

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ペンタックスSVのカメラ修理

今日は「ハローワークの日」だそうですよ。
20代の頃は職を転々としてたからよく通いましたねぇ
その頃は比較的求職するには良い時代で
あまり細かいこと言わなければ仕事はいろいろあったし
若けりゃ経験なくても雇ってもらえたしな…
今じゃそうはいかないでしょうねぇ
私が最初に行った頃はまだ「ハロワ」の呼び名はなく
いわゆる「職安」でした。
求職情報も今みたいに端末で自由自在に見られるなんてことはなく
職種別に棚に並べられたファイルを取り出して
閲覧するといったものでした…それも懐かしいですねぇ…
コピー取ってもらうのもいちいち受付してもらわなくてはいけなくて
面倒だった記憶が…(苦笑)
ちなみに「職安」または「職業安定所」の呼び名が
いかにも暗く古臭いということで新しい愛称を全国から公募して
1990(平成2)年1月8日から「ハローワーク」の愛称で
呼ぶこととなったのだそうです。
そういえばこの頃の求人情報誌と言えば「B-ing」ですね。
これまたちょっと懐かしい(笑

さてさて

本日は「ペンタックスSV」のカメラ修理を行っています。
「SP」以前のアサヒペンタックス系の末裔モデルですね。
AP→K→S→S2→S3→SVとモデル変遷してきました。
正確に言うとSVの後に「S2スーパー」というモデルもありますが
これは構造的にはSVからセルフタイマーを省略したモデルなので
やはりSシリーズの最終は実質このSVということになると思います。
Sシリーズで初めてセルフタイマーが内蔵されたモデルです。
モデル名の「SV」の「V」は
ドイツ語でセルフタイマーを意味する”Voraufwerk”の頭文字です。
この時代の他のカメラでもセルフタイマーレバーに
「V」の刻印があるカメラは多く存在します。
基本的な構造も前モデル「S3」からかなり改良・高品質化され
自動復元式フィルムカウンターも装備されています。
S3で完全自動絞りになったことと合わせ
このSVで内蔵露出計以外の装備は
いわゆる全盛期の「フィルム一眼レフ」の
装備・機能を満たしていると言えますね。

SV…というよりもSPより前のペンタックスM42マウント機は
時代的にシャッター幕の劣化が進んでいて
穴があいてたり裂けていたりリボンが切れていたり…
そこまでいかなくてもガチガチに幕が硬化していて
まとも動作しなかったりと
幕交換するしかない状態の個体が非常に多いのですが
今回お預かりしている個体は幕の状態はそれほど悪くないようです。
ただそれでもシャッター幕はまともに動作しておらず
後幕が最後まで走り切らず少し隙間が開いているような状態で
シャッター幕が止まってしまいます。
もちろん幕走行が完了していないのでミラーアップしたままです。
幕軸の汚れやら古い油分やらがかなりの抵抗になっているようです。
古い汚れは全て洗い流して新たに注油することによって
問題なくスムーズに動作するようになりそうです。
そこまで行けばあとは微調整で精度が出せるかと思われます。

まだ分解途中の状態ですがここからミラーボックスも分離して
一通りの整備を行っていきます。
露出計がないため電気回路は
フラッシュ接点関連だけです。
機械的にはシンプルでしっかり造られた構造です
めちゃくちゃ堅牢な部品や
精度の高いダイキャストを使っているわけではありませんが
キチンと整備してさえやれば
そう簡単に壊れるような構造ではありません。
80年代当たりの電子制御機と比べると
その構造のシンプルさとあまりの違いに少々驚きますが
本来、これだけで十分に撮影に使えるのですよね。
こういうシンプルな機械構造のものはやはり良いですね。

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