月別アーカイブ: 2018年12月

ニコンFEのカメラ修理

いよいよ「大晦日」ですねぇ。。。
とはいっても意外とそんなに特別なこともないのですが。。。
昔は歳神様を迎えるために朝まで眠らずにいる習慣があったそうです。
歳神様に関係なく私も若い頃は朝まで起きてて
初日の出を見に行ってから眠る。。。というパターンも多かったですが
今やテレビも見ずにさっさと寝てしまいます(苦笑)
特にここ数年の元旦は丹沢を歩くのが恒例になっており
早起きしなくてはならないので尚のこと早寝していまいます。
一応、明日も行くつもりで準備しています。
2018年はここをご覧になっている皆さまのおかげで
何とか乗り切ることができました。
本当にありがとうございます。

さてさて

おそらく本年最後のカメラ修理になると思いますが
今日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
適度にコンパクトで使いやすい非常に良いカメラです。
電子制御シャッター機ということで
修理を断られることも多いという話も聞きますが
そのせいか当店には非常に多くのFEがやってきます。
そのかわりなのかFMの入庫数は非常に少ないです。。。(苦笑)
FEはやはり電子制御機ということもあり
絞り優先オートで気軽に撮ることもでき
現在のSSの指針と露出計の示す指針を二つ持つ
ファインダー内表示により綿密な露出設定で
マニュアルでも非常に使いやすいカメラです。
もちろん絞り設定も読み取ることができます。(Aiレンズ使用時)

お預かりしているFEはシャッタースピードは
申し分のない精度が出ているのですが
露出計が非常に不安定です。
詳しく言うと、安定しているときは
そこそこの数値が出ているのですが
シャッターを切っているうちにフラフラと不安定になり
そのうちパタンと動かなくなり一番下まで指針がさがってしまいます。
で、いろいろ触っていると何かの拍子でまた復活する。。。という状況です。
最初は電源供給が不安定なのかと疑ったのですが
電池室の状況は裏側端子を含めて問題がなく
おまけにバッテリーチェックランプは非常に安定しているので
電源供給に問題はないと結論付けました。
次に怪しいのは巻上レバーに連動するon/offスイッチですが
こちらもテスターであたってみても導通に問題はないようです。
。。。となると。。。SSダイヤルとユニットになっている
メーター本体及び管制部の不良を疑ったのですが
手持ちの良品の管制部と交換してみても症状は改善せず。。。。
となると基板そのものに問題か。。。。とも思い始めていたのですが
何だか違うような気がするなぁ。。。と色々試していると
どうやら絞りと連動する摺動抵抗に問題があるようです。

ある程度、原因が把握できたところで
シャッターユニット、ミラー駆動部等々の整備を行いながら
摺動抵抗の清掃も本格的に行います。

とりあえず再組み立てをして電気関係の調整を行います。
再組み立て後、それなりにシャッターも切っていますが
あれほど頻繁に出ていた露出計の問題も
今は全く出ない状況です。
もちろん調整後もしばらく様子を見ながらチェックします。
FEは電子制御機なので
基板上にある半固定抵抗を使って
露出計のレベルやバランス、オート時のレベルやバランス
マニュアル時のレベルやバランスを整えていきます。
どの抵抗がどの役割をするのかきちんと理解していないと
迷路に迷い込むように精度が出なくなります。
ちなみにFE2になると調整用抵抗の数は半分になります。

この調整が終わって全体的なチェックを行ったら
年明けに最終チェックを行い完成です。
私もこれで何とか仕事納め。。。になりそうです。

皆さまも良いお年をお迎えくださいませ!

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リコーフレックスⅦSのカメラ修理

今日は「地下鉄記念日」だそうです。
1927(昭和2)年のこの日に
上野-浅草に日本初の地下鉄
(現在の東京地下鉄銀座線)が開通したのだそうです。
住んでいると当たり前に感じてしまいますが
都心は地下鉄も在来線も非常に充実していて
たいして待つこともなくて本当に便利ですよね。
たまに地元に帰ったりすると
公共交通機関の充実度の差に愕然とします。
まぁ、そのかわり地方はクルマが所有しやすいし
渋滞もそれほどはないですし。。。一長一短ですかね。
クルマを持つ気は今のところないし
普段の足は電車で全く問題ないのですが
バイクはまた乗りたいし欲しいなぁ。。。
がんばって貯金しなくては。。。。(苦笑)

さてさて

本日は既に店舗はお休みなのですが
作業はひっそり行っていたりします。
今日は「リコーフレックスⅦS」の修理を行っています。
6x6判二眼レフの中では軽量で非常に使いやすい
「リコーフレックスシリーズ」です。
1950年代の二眼レフブームを牽引したモデルですね。
一時期は国内の生産量の半分を
リコーフレックスが占めていたことがあるそうです。

お預かりしているリコーフレックスⅦSは
ご依頼者様のお祖父さまが持っていたものだそうです。
長年仕舞いこまれていたもので
レンズにはクモリ、ミラーは腐食、ピントリングは不動。。。と
長い間使われていない個体にありがちなパターンです。
レンズクモリはリコーフレックスに限らず
レンズの変質で曇っているものも多く
その場合には清掃では改善できない場合が多いのが現実です。
今回は清掃で完全にではないですが
普通に撮影するには問題ないレベルまで改善できています。
ミラーは二眼レフの場合、交換は必須です。
これでファインダーの見え方が劇的に改善します。
そもそも現存している二眼レフの多くが1950年代のもので
60年以上経過しているわけですから
さすがにミラーの蒸着は曇ってしまって
そのままではどうにもなりません。

一通り整備が終わって少し様子見をしている段階です。
ボディのあちこちにサビも発生していましたが
極力落としましたので見た目にも非常にキレイになったと思います。
キレイに仕上げたリコフレはメッキパーツが多いこともあり
何とも高級感が漂いますよね。
非常にシンプルなカメラなので
セルフコッキングも巻止めもなく
赤窓でフィルムの位置を決め、シャッターをチャージし
チャージレバーを押し下げることでシャッターを切ります。
慣れるまでは意図しない多重露光や
未露光のコマを多発させてしまうこともあるかもしれませんが
余計な機構がない分、非常に軽量です。
(二眼レフの中ではそうですが
もちろん総金属製なので重量感はあります)
ご依頼者様はこれが初めてのフィルムカメラになるそうなのですが
カメラの基本的な動作を理解するには
最適なカメラのひとつだと思います。

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ヤシカミニスターのカメラ修理

本日で当店も年内の営業は終了いたします。
新年は1月5日からの営業となります。
今年もいろいろありましたが
何とか乗り切ることができたようです。

さてさて

本日はヤシカミニスターのカメラ修理を行っています。
ミニスターっていうと、どうしてもタバコの銘柄を
思い浮かべてしまうのですが。。。
(一時期、仲の良い友達が吸ってたし)
カメラのミニスターも60年代に非常に人気のあったモデルです。
ヤシカのレンズ固定式コンパクトカメラは
今回のミニスターシリーズにリンクスシリーズが当時は併売されていました。
60年代後半になるとこのカテゴリーのモデルは
エレクトロ35シリーズに集約されることになります。
ミニスターはセレン式の露出計を装備し
コパルMXVシャッターでシャッタスピードは1/500まであります。
レンズは45mmF1.9か45mmF2.8が組み合わされます。
この時代ではかなり高いスペックの高級機です。

お預かりしているミニスターですが
心配されるのはセレンの状態ですが
今回は申し分なく元気一杯に起電しています。
起電していても多少なりとも振りが足りなくて
調整してもオーバー気味なことが多いのですが
今回は少しの調整でバッチリ精度を出すことができました。
ミニスターのセレンは比較的状態の良いものが多いような気がします。
ミニスターはどちらかといえばファインダーのほうが
心配な状態のほうが多いと思います。
正直に言って元々二重像の見え辛いファインダーです。
今回はその上に接眼レンズや対物レンズに
積年の汚れやクモリもあり
ほぼ二重像の見えない状態でしたが
清掃で何とか見えるようにはなりました。
心配されるハーフミラーは蒸着剥がれもなく問題のない状態でした。
長年動作していないミニスターで
必ず最初にチェックしておくべき点は
ボディ底面にある巻戻し切替レバーです。
これが「R」まで回せず、巻戻しができない個体が多いのです。
今回も見事に固着しており「R」の手前で止まってしまい
とてもそれ以上には押せない状態でした。
このレバーがスプロケットの軸を押して
スプロケットをフリーにする仕組みですが
スプロケット軸ががっちり固着してしまうのですね。

シャッターユニット周りはSSリング、絞りリング共に動きが重く
羽根に粘りも見受けられます。
この辺りはレンズシャッター機では毎度のことですね。
もちろん、シャッターユニット周りも一通りの整備を行います。

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キヤノンFTのカメラ修理

今日は「身体検査の日」だそうですよ。
まぁ、もう身長は縮むことはあっても
伸びることはないだろうし
体重は毎朝計っていますが。。。
うん、何とかしなくちゃいけませんね(汗)
本当にこの歳になると
少々運動したくらいでは体重は落ちません。。。
モチベーションを上げるためにも
病院でインボディで体組成も計ってもらいましょう
そういえば1年位前に計っていろいろショックを受けてから
計っていないや。。。いやあまり改善はされていないとは思いますが。。。(苦笑)

さてさて

本日は「キヤノンFT」のカメラ修理を行っています。
発売は1966年です。
キヤノンFシリーズの中で比較的初期のモデルになります。
測光は絞込み測光です。
このモデルからコンデンサレンズに中にハーフミラーを埋め込み
コンデンサレンズの背後に埋め込まれたCdSで
測光する形になっています。
より正確に測光できることと中心約12%の部分測光になります。
この測光方式はその後、F-1にも継承されます。
フィルム装填はキヤノンお得意のQL(クイックローディング)です。
キヤノンらしい歯切れの良いシャッター音も心地よいカメラです。

お預かりしているFTはご依頼者様のご実家で
眠っていたカメラだそうです。
修理が完成した後に実際に使われるのは
ご依頼者様のお子さまだそうです。
発売当時、高価だったフィルムカメラが
ご家族で受け継がれていくのは
やはり何とも感慨深いものがありますね。

整備前の状況としては
全体的に油切れで動きが悪いです。
スローガバナは固着気味で1秒のシャッタースピードの場合で
5秒以上かかってやっとシャッターが閉じます。
そんな状況なので高速シャッターもやはりダメで
写真の両端でかなり露光量に差が出てしまっている状態です。
加えてたまにミラーアップしたままになってしまいます。
心配されるプリズムの腐食はほぼありませんでした。
(視野外にはあるのですが実際の使用には影響無し)
露出計は動作はしているのですが非常に不安定で
針が全く落ち着きません。
細かく見ていくといろいろありますが
どれも動きが悪くなっていたり接触不良が原因ということで
致命的なトラブルはありません。
しっかしお掃除して注油していけば良い状態になりそうです。

FTもFTbもそうですが上カバーを外した際に
シャッタースピードダイヤルと連動しているノコギリ歯の
位置がずれないように注意します。
これがずれると露出計の設定が狂います。
感度ダイヤルの設定によっては
シャッタースピードダイヤルが1/1000~Bまで
きちんと回らなくなってしまったります。
FTの場合はASA100・1/1000までは露出計が動作しますが
ASA50・1/1000では連動範囲外ということで
露出計はオフになってしまうのが正常ですが
このあたりもノコギリ歯の位置がずれると
おかしな動きになってしまいます。
余談ですがこの頃のキヤノン機は
バッテリーチェックを行う際に構造上
定められた感度・SSにしないと正しい値が得られません。
FTはASA100でSSは「X」
FTbはASA100でSSは1/1000
F-1はASA100でSSは1/2000です。
FTは巻戻しクランクの下の見えにくいところにそれが刻印されています。
FTbやF-1になると背面にシールで貼ってあるだけなので
剥がれ落ちているものも多く
説明書がないとこれを知らないまま使っていることも多いのではと思います。

これから本格的に分解を進め
各動作部の清掃・注油から取り掛かっていきます。

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オリンパス35DCのカメラ修理

今日は特にこれといった記念日がないですねぇ。。。
ところでトップページには少し前から提示してあるのですが
12/30~1/4は年末年始休暇とさせていただきます。
30日はお店の大掃除かな。。。
それ以外は。。。何も予定が決まっておりません(苦笑)
毎年元旦恒例の丹沢登山には
よっぽど荒天でない限りは行こうとは思っていますが。。。
それ以外は結局、仕事してるかも。。。(汗)

さてさて

本日は「オリンパス35DC」のカメラ修理を行っています。
意外と修理依頼の多いカメラです。
40mmF1.7の大口径レンズを搭載したコンパクトカメラです。
しっかりレンジファインダーも装備しています。
シャッターはプログラムシャッターで
絞り・SSの組み合わせはカメラ任せです。
ピントだけファインダーで合わせて
あとはシャッターを切るだけという操作の簡単なカメラです。
露出計がある程度振れていないと
光量不足と判断されシャッターがロックされます。
そのため露出計を駆動する電池がないと
シャッターは切れない構造になっています。
電池を入れないとシャッターが切れないため
電子制御シャッターかと思われることもあるかもしれませんが
シャッターそのものは機械式制御シャッターです。

35DCの修理は大抵の場合が露出計関連なのですが
今回の35DCも露出計がかなりオーバーに表示されています。
(+4段程度)オートもそれに伴って大幅にオーバーです。
いくらネガがオーバーに強いとはいえ
これはちょっとオーバー過ぎですね。
それも動作確認したのは1.5Vで行ってこの様子のため
本来の1.3Vだともっとオーバー傾向かと思われます。
お預かりしている35DCはバッテリーチェックランプの付いた後期型です。
全開のキヤノネットG-Ⅲもそうですが
35DCも電圧変換型の電池アダプタを使用すると
バッテリーチェックランプが点灯しなくなります。
それもあり今回は1.5Vで使用することを前提に整備を行います。

フラッシュマチックが搭載されているせいもありますが
針挟み込み式のAE専用機の割には
電気系がなかなかややこしいカメラです。
露出計のトラブルは単純にCdSの劣化であれば
まだ良いかと思っていたのですが
そんな単純な問題でもなさそうです。
電池室等は全く問題のない様子です。
まずはシャッターユニットの整備を先に行い
電気系のチェックを行いつつトラブルの原因を探ります。

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キヤノネットQL17G-Ⅲのカメラ修理

今日は「プロ野球誕生の日」らしいですよ。
正確に言うとアメリカのチームと対戦するために
現存するチームの中では最古のチームとなる
大日本東京野球倶楽部(読売巨人軍の前身)が創立されたそうです。
だからジャイアンツの誕生日みたいなものですよね。
それにしても。。。来シーズンはどうなるでしょう。。。。
そう毎年毎年優勝できるとは思えないですが
日本シリーズで勝ててないですから
何とか来シーズンもがんばってもらいたいものです。
特に。。。開幕三連戦は気持ちよく勝ってほしいです。
まだ三ヶ月先の話ですが。。。(笑)

さてさて

本日は「キヤノネットQL17G-Ⅲ」のカメラ修理を行っています。
コンパクトで使いやすく、シャッタースピード優先AEだけではなく
マニュアルでも使える(マニュアル時は露出計が使えませんが)
初心者からベテランまで非常に間口の広いモデルです。
初代キヤノネットから一貫して
シャッタースピード優先AE+マニュアルも可という部分は変わっていません。
もちろん何も変わっていないわけではなく
各部非常に進化しており何と言っても非常にコンパクトになりました。
初代キヤノネット発売から11年後の1972年発売のカメラです。
このモデルがキヤノネットシリーズとしての
最終モデルにもなります。

お預かりしているG-Ⅲは
お決まりの絞り羽根粘りもありますが
何といってもファインダーの状態が酷く
二重像が全く見えないほど曇っています。
G-Ⅲでここまでファインダー雲っているのは
ちょっとめずらしいかもしれません。
曇っているのはハーフミラーの蒸着面です。
もちろん清掃ではどうにもならないので
交換が前提となります。

加えて露出計がかなり不安定で
バッテリーチェックが点灯しません。
以前にも書きましたがG-Ⅲのバッテリーチェックランプは
電圧変換型の電池アダプタを使用すると点灯しません。
今回は新品の1.5Vの電池を無変換で入れても
全く点灯しません。
原因を調べてみると電池室のマイナス側端子を
支えているプラスチック部分が破損していて
接触不良となっているようです。
プラスチックは劣化で脆くなりますから
こういうところはどうしても問題が起きますね。

先程、絞り羽根粘りと書きましたが
元々キヤノネットの絞り羽根はちょっと変わった動きをします。
文章で書くと伝わりにくいとは思いますが
例えばマニュアルモード時でシャッターはリリース状態と仮定します。
この状態で絞りリングを絞っていくと
当然、絞り羽根は絞って(閉じて)いきます。
ではそこから今度は絞りリングを開放方向に開いていきます。
絞り羽根は。。。絞ったままで変わりません。
巻上レバーを巻き上げれば絞りリングで設定された絞りまで開きます。
これで正常な動きです。
オート時にはリリース状態のときはその前にシャッターを切ったときの
絞り位置のままになっていて
巻き上げた時に開放になりシャッターを切るときに
露出計と連動して絞っていきます。
絞り羽根が粘っているというのはマニュアル時やオート時に
巻き上げた時に所定の位置まで絞りが戻らない状態です。
。。。。いや。。。。やっぱりわかりにくいですね。。。(苦笑)

これから本格的に分解整備に取り掛かります。

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ミノルタニューSR-7のカメラ修理

今日は言うまでもなく「クリスマス・イヴ」ですね。
さすがに今日は他に記念日らしいものもないのですね(苦笑)
クリスマスは25日なのに何故24日のイヴも
祝うのかというとキリスト教会暦では
日没が1日の始まりであり
クリスマスは24日の日没から25日の日没までなのですね。
ちなみに「eve」は夜を意味する古語「even」が語源であり
正確な意味合いとしては先程の1日の始まりの話も合わせると
「クリスマス前夜」ではなく
「クリスマスの夜」という意味ということです。
あぁ。。。そんなことより誰か今夜プレゼント持って来てくれないかなぁ(笑)

さてさて

本日は「ミノルタニューSR-7」のカメラ修理を行っています。
発売は1965年です。この3年前に発売された「SR-7」の
マイナーチェンジ版です。
機能的には「SR-7」とほぼ変わりはないのですが
ダイキャストが一新されており少し小型化されました。
ちなみにこのダイキャストは後に出る「SRT101」のものと共通です。
中身の構造もSRT101に近いものに変更されています。
サイズ以外で外観でわかる変更点としては外光式露出計の感度切替が
背面からレンズマウント部に移動し
バッテリーチェックも底面のスイッチ部に組み込まれました。
接眼レンズはそれまでの伝統の丸形から角型に変更となりました。

お預かりしている「ニューSR-7」は
ご依頼者様がご実家で見つけてきたものだそうです。
やはりかなり長らく仕舞いこまれていたもののようです。
全体的にカビや油切れの症状があちこちに見られます。
それにしてもファインダー内には盛大にカビが発生しているのに
付属しているオートロッコール55mmF1.8は
少々薄クモリは見られますがカビは見られません。
レンズだけ一度、清掃しているのかもしれません。
それにしてはピントリングがかなり重いです。
ボディ側はとりあえずシャッターは動作していますが
やはり油切れで精度は出ていない状況です。
1/1000のSSで実質1/300しか出ていない状況です。
ミラー駆動部にも問題があるようで
たまにレリーズしてもミラーアップするだけで
シャッター幕が走らないことがあるようです。
加えて露出計はかなり不安定です。

露出計はCdSの劣化もあり、できる限りの調整となります。
普通にネガで撮っていただく分には
問題ないレベルにはなると思います。
後でわかったことですが付属する55mmF1.8レンズは
ピント精度が随分狂っていて
指標上5m付近で既に無限遠が出てしまっています。
ボディの整備の後にこちらも調製していきます。

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ワルツエレクトリック2.8のカメラ修理

今日は天皇誕生日でもあり
東京タワーが完成した日でもあるのですね。
東京タワーは約4000トンもの鋼材が使用されたそうですが
その中でも特別展望台から上の部分には
朝鮮戦争後にスクラップされたアメリカ軍の戦車が使われているそうです。
当時の日本では良質の鋼材に恵まれず、
またアメリカもとっても戦争でボロボロになった旧式戦車を売却して
新型戦車を製造した方がメリットが大きかったためだそうです。
スカイツリーが完成してもやはり東京のシンボルは
東京タワーかなぁ。。。と思います。
そういえばスカイツリーは近くまで行ったことはあるのだけど
登ったことまだないのです。。。(苦笑)

さてさて

本日は「ワルツエレクトリック2.8」のカメラ修理を行っています。
ワルツといえばフィルターやフード等の
カメラアクセサリーでよく知られたメーカーですが
二眼レフのワゴーフレックス(ワルツフレックス)や
ワルツ35シリーズ等のカメラも1950年代に発売しています。
「ワルツエレクトリック2.8」はセレン光電池を使った露出計を搭載した
レンズ固定式のレンジファインダー機です。
エレクトリックの名前から電子制御シャッター機をイメージしてしまいますが
機械式レンズシャッター機です。
発売は1960年です。
シャッターは他のカメラでもお馴染みのコパルSVを搭載し
最高速は1/500です。
レンズはWALZER4.5cmF2.8を搭載します。

お預かりしているワルツエレクトリック2.8は
かなり長い間、どこかに仕舞いこまれていたようで
最大の問題はレンズが真っ白に曇っていることです。
曇っている。。。というより濁っている。。。というほうが近い感じです。
通常、レンズのクモリは取れないことも多く
今回もご依頼者様には改善しないリスクもお話していたのですが
結果からいうと多少のうす曇りは残ったものの
何とか普通に撮影に使える状態にはなりました。
当然、通常の清掃では全く改善せず
なかなか苦労しましたが何とかなって一安心です。

レンズは何とかなりそうですが
他にも問題はたくさんあります。
絞りリング、SSリング、巻上等々、操作系が全て激重です。
さらにシャッター羽根、絞り羽根には粘り
スローシャッターは全く効かず全て高速で切れてしまいます。
セレンは生きているもの露出計は非常に不安定です。
フィルムカウンターも動作していないようです。
。。。とはいえ、この辺りの症状は
この年代のカメラであればよくあることで
分解してひとつひとつ、清掃・注油していけば改善すると思われます。
ただ、露出計は全く問題のない精度を出すには
ちょっと難しい状態かな。。。と予想しています。

まずはシャッターユニットの整備から取り掛かります。

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オリンパス35ECのカメラ修理

今日は「冬至」ですね!
北半球では太陽の南中高度が最も低く
1年の中で昼が最も短く夜が最も長い日です。
今日は北緯66.6度以北の北極圏全域で極夜となり
南緯66.6度以南の南極圏全域で白夜となります。
柚子湯に入る日でもありますね。
近くの銭湯、柚子湯やってるかな。。。
あとはかぼちゃを食べるだとか「と」の付く食べ物を食べるとか。。。
今夜は「とうふ」。。。うん、湯豆腐だな(笑)

さてさて

今日は「オリンパス35EC」のカメラ修理を行っています。
1960年代後半から1970年代にかけて
発売された「オリンパス35シリーズ」ですが
SP,DC,EC,RC,LE,ED。。。なかなかわかりにくいですね(笑)
35ECは電子制御シャッターによるプログラム露出機です。
最長4秒の露出制御が可能なモデルです。
レンズはEズイコー42mmF2.8を搭載し
シャッターはセイコーESFです。
他のコンパクトカメラでもおなじみのシャッターユニットですね。
ミノルタハイマチックEやF、リコーエルニカ、キヤノデート、
ミランダセンソレット等々、色々なカメラに使われています。
電子制御シャッターの宿命ではありますが
正直なところ場合によっては修理不能の可能性もございます。
ちなみにミノルタハイマチックEとミランダセンソレットについては
現状では当店で修理を行っておりません。

お預かりしている35ECはご依頼者様の
お祖母さんが使っていたカメラだそうです。
タンスの奥でかなり長い間眠っていたそうです。
地元のカメラ屋さんで一度、修理に出したそうなのですが
電池室の腐食が酷く修理不能ということで
戻ってきたのだそうです。
電池室周辺を開けてみると。。。うん、確かに。。。
電池室の端子はもちろん腐食して断線しています。
さらにその後に繋がる端子台も酷く腐食しています。
端子台のさらにその先でシャッターユニットに繋がるのですが
そこのハンダも緑青を噴いています。

まずはシャッターユニットに直接電圧をかけてみて
動作するかどうかを確かめます。
少々不安定ですがとりあえず動作はするようです。
不安定なのはおそらく接点等の汚れが原因だと思われます。
基板内のコンデンサ等の部品がダメな場合だと
正直なところ当店では修理は不可能ですが
この状態なら何とかなりそうです。

動作をある程度確認できたので
本格的にシャッターユニットの整備に取り掛かります。
他、レンズ、ファインダー等にかなりカビも生えているので
もちろんそちらもできる限りの清掃で対処します。

ミノルタSRT101のカメラ修理

今日は「回文の日」だそうですよ。
頭から読んでも後ろから読んでも同じ読みになる文のことですね。
さらに今日は「クロスワードの日」でもあるようです。
何だか言葉に関する記念日の多い日ですね。
こういう言葉遊びは結構好きなので
今回も何かおもしろい回文を考えて書こうかな。。。とも思ったのですが
ちょっと時間がかかりそうなので
また次の機会にでも。。。(汗)

さてさて

本日は「ミノルタSRT101」のカメラ修理を行っています。
SRT系のカメラは月に数台は修理を行っている
修理依頼の多いカメラですね。
修理依頼が多いからといって壊れやすいカメラなわけではありません。
それどころかかなり頑丈なカメラだと思います。
ミノルタ初の開放測光を採用したカメラで
丈夫で使いやすくロングセラーとなったカメラです。
後に出るSRTスーパーやSR505/101も
このSRT101がベースとなっています。
現存台数も非常に多いカメラで
家の押入れから出てきたのがSRTなんて話も多いと思います。
以前にも書きましたが
非常に丈夫なため何十年も動かさずに仕舞いこまれていても
とりあえずシャッターは切れる。。。という個体も多いと思います。
でも大抵の場合、油切れや汚れで
非常に動きにくいところを一生懸命動作している状態なので
精度が出ていないのはもちろん、そのまま無理に使っていると
大きなトラブルに発展しかねません。
SRTに限ったことではないですが何十年も動かしていないカメラは
まずは点検だけでもきちんと行っておくことをお勧めします。

お預かりしているSRT101は
やはりかなり長い間、仕舞いこまれていたもののようです。
ご依頼者様のお子様が使ってみたいということで
それであれば問題ない状態にしてから。。。ということで
当店にやってきました。
まずシャッターは何とか切れていますが
高速シャッターの精度はかなりズレてしまっています。
1/1000の場合で実際には1/400くらいしか出ていない状況です。
スローシャッターにすると何回かに1回の割合で
ミラーアップしたままになってしまいます。
やはり幕軸の汚れと油切れが原因かと思われます。
露出計はとりあえず電源は入るのですが
非常に不安定で動きが落ち着きません。
バッテリーチェックの際も同様です。
スイッチか電池室の接触不良をまずは疑いましたが
それよりもCDS周りのハンダ劣化が原因のようです。

写真は一通り整備が終わって少し様子見をしている段階です。
黒のSRT、カッコ良いですね。
時代的には初期のMCロッコールが当時の組み合わせですが
NewMDレンズも似合いますね。

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