ペンタックスSPのカメラ修理

今日は「円周率の日」ですよ。
え?普通は「ホワイトデー」じゃないかって???
。。。そこはあえて触れたくないので(笑)「円周率の日」です。
円周率は「π(パイ)」で表しますよね。
だから今日は「パイの日」でもあるそうです。

さてさて

本日は「ペンタックスSP」のカメラ修理を行っています。
発売は1964年です。
一昨日紹介した「SV」の後継機にあたるモデルです。
CDS受光素子を利用した露出計を搭載していますが
まだこの時代は「絞込み測光」が主流です。
測光を行うときには実際に絞り込んで
撮影時と同じ明るさにしてCDSで測光を行う方式です。
そのためSPに付いている露出計SWを押すと
絞り込みも同時に行います。
ただ、F11やF16に絞り込んだ状態だとそのままでは
非常にピント合わせが行いにくいので
その辺りは手順に慣れが必要です。
シャッターを切ると自動的に露出計SWはオフとなり
絞込みも解除されます。

ところで「SP」は「スポットマチック」の頭文字ですが
平均測光のSPが何故スポットマチックというネーミングなのでしょう?
調べてみると元々、スポット測光を搭載する予定で
開発が行われていたのですが
スポット測光を実現させるために測光時に
ファインダー視野内にCDSのついたアームが
出現するという仕様だったそうです。
(ライツミノルタCLのCDSアームが
ファインダー内に出てくるイメージだと思います)
テスト段階でそのファインダー内に出てくる「異物」が
テストに参加した写真家にかなり不評だったようで
スポット測光はあきらめ接岸レンズ脇にCDSを装備し
「平均測光」に落ち着いたとのことです。
ただし、モデル名は「スポットマチック」という形で
残ってしまったらしいのです。
この時代ならではの理由のような気がしますね。

お預かりしている「SP」は
そのセールスポイントのひとつである
「露出計」が全く動作しない状態です。
電池室内は問題なくキレイなのですが
電池室裏には緑青が発生し
一部ハンダ付けも劣化で断線している模様です。
加えて1/1000は全く開かない状況で
1/500もかなり露光ムラが見受けられます。
毎度のことですが前後の幕速バランスが崩れてしまっているようです。

写真は前板を外した段階でのものですが
これからミラーボックスを外し幕軸周りの清掃・注油
ミラー駆動部・巻上部の整備を行います。
組み上げる段階で露出計関連のハンダ付けのやり直し
ファインダー清掃を行い、最終的に各部の精度を調整していきます。
写真の前板のネジ穴の裏には
フランジバック調整用のワッシャが入っています。
おそらく製造段階で現場合わせだったと思われますが
不規則に2枚、3枚重なっている部分もありますので
前板を外す場合にはわからなくならないように注意が必要です。

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