キヤノンFTbのカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの「白露」です。
季節はいよいよ秋に移り始め大気も冷えてきます。
夜間に気温が下がり、
大気中の水蒸気が草花に朝露となってつくようになります。
光によって白く見える露ができ始める頃という意味で「白露」と言うそうです。
空を見ても少しずつ秋の高い空に近づいている気がします。
日によってはまだまだ暑いですが。。。
ところで今夜、関東は台風の直撃を受けそうです。
猛烈な風雨が予想されていますので
皆さま本当にお気をつけください。

さてさて

本日は「キヤノンFTb」のカメラ修理を行っています。
1971年発売のカメラです。
同年にF-1とFDレンズが発売されており
従来のFTをFDレンズ対応として
開放測光になったものがFTbです。
それだけではなく内部の基本仕様はF-1と共通の部分も多く
色々な意味でFTからブラッシュアップされています。
しかしながら外観はF-1ではなく
従来のFTのイメージを引き継いでいるのも良いと思います。
機械制御の布幕横走りシャッターで
少々重いですがその分、非常にしっかり造られています。
この当時のキヤノンお得意のQL(クイックローディング)を装備し
フィルム装填は当時の他のカメラに比べて随分楽にできます。

FTbには1973年にマイナーチェンジを行います。
巻上レバーに指当てを装着し
セルフタイマーレバーもF-1に近いものに変更され
シャッターボタンも変更されています。
最大の改良点はファインダー内にシャッタースピードが
表示されるようになりました。
マイナーチェンジ後のモデルはFTb-Nとも呼ばれます。

今回、お預かりしているのもマイナーチェンジ後の「FTb-N」です。
もともとご依頼者様のお父さまが使われていたカメラだそうです。
外観の状況で何となく予想できるのですが
丁寧に大切にかなり使い込んでいるカメラかと思われます。
ご依頼者様の小さな頃の写真もこのFTbで
相当な枚数を撮っているのではないかと思われます。
さすがにここ10年くらいは全く使われずに
仕舞いこまれていたものと思われます。
まず、高速シャッターは開きません。
先幕と後幕の動きのバランスが崩れてしまっているようです。
スローシャッターはスローガバナが固着気味で
何度かシャッターを切っていると
たまにミラーアップしたままになってしまいます。
露出計はわずかに反応するもののほぼ不動です。
後から気づいたのですがミラーも外れかかっているようです。
この時代の80年代以降の普及機と違って
一眼レフのミラーは接着剤で付けてある上に
金具でずり落ちないように固定してあるので
ミラーがずりおちることはまずないのですが
ミラーを清掃しているとズルッとミラーが動いたので気がつきました。
もちろん再接着し、ファインダー上のピントも再調整します。

まだ上カバーを開けただけの状態です。
FT系ならではの露出計連動のノコギリ歯が見えていますね。
これから分解を進めて
シャッター幕軸、スローガバナー、ミラー駆動部あたりの整備から取り掛かります。

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