ニコンFMのカメラ修理

今日は「FMの日」だそうですよ。
ここでいう「FM」は「FMラジオ」のことです。
最近はめっきり聴かなくなりましたが
クルマで外回りの仕事だったりした頃は
当たり前のように毎日聴いていました。
もっと昔に遡ると小学校高学年の頃は
夜中に布団に潜り込んで
AMラジオを聴きまくり
中学校入るころにはFMエアチェックにはまりました。
今はFMといえどトーク番組が多いですが
当時は音質の良さ(AMと比べて)を生かして
1曲まったくカットなしで次々と
レコードを流してくれる「リクエスト番組」も多かったのです。
この辺りにも時間の流れを感じますねぇ。。。
今ではスマホでもラジオ聴けるのだと思いますが
レトロなラジオ、インテリア代わりに1台欲しくなってきますね。

さてさて

カメラ修理のほうも今日は「FM」。。。
「ニコンFM」です。
いや、狙ったのではなくて本当に偶然です(笑)
ニコマートFT系の後継機として
1977年に発売されました。
ニコマート時代に比べるとコンパクトなボディとなり
非常に取り回しの良いサイズとなりました。
シャッターはやはりコパル製の縦走り金属羽根で
もちろん機械制御で駆動します。
露出計はLED表示で「+〇ー」の3灯で表示します。
このLED露出計がちょっと曲者で
ここの制御部分がトラブルを起こしていると
修理不能の可能性が高いです。
そういう点では指針式のほうがメンテてきにはやりやすく
せっかくの機械制御機なので
露出計も指針式で良かったのではないかな。。。とは思います。
(兄弟機のFEとの差別化もあってこうなのだとは思いますが。。。)
レンズは基本的にAi連動で開放測光を行いますが
まだまだ非Aiレンズも現役で使われている時代で
非Aiレンズに対応できるようにAi連動爪は可倒式になっています。
ただその場合、絞り情報は全くボディ側に伝わらないので
露出計は絞込測光となります。

お預かりしている「FM」は
まずセルフタイマーが妙な位置で止まっていて
そこから全く動きません。
横走りシャッター機であればセルフタイマーはたいていの場合
独立しているのでもし交換となっても比較的簡単なのですが
縦走り機の場合、基本的にセルフタイマーユニットは
シャッターユニットに内蔵されています。
そこを抜き出して交換するくらいであれば
シャッターユニットごと交換したほうが早いですし
リスクも抑えられます。
セルフタイマー内部の破損等があれば
ちょっと厄介かな。。。と考えていたのですが
結果から言うと単なる固着でした。
それにしても強烈に固着していて
分解するまでは内部破損の可能性のほうが高いと思っていました、
シャッターユニット整備の際に
しっかり洗浄して注油して本来の動きを取り戻しました。
他、シャッター羽根に油にじみが出ていて
シャッタスピードにも悪影響が出ています。
金属羽根なのでレンズシャッターと同じく
シャッター羽根に常にキレイにスムーズに動く状態でないと
すぐにシャッタースピード精度に悪影響が出ます。
こちらも念入りに羽根清掃を行います。
加えて露出計はまずまず問題ないのですが
たまに接触不良を起こすようで不安定な挙動が見られます。
これはSSダイヤル下の摺動部の清掃で改善いたしました。

装着されているレンズは当店のテストレンズです。
先述のトラブル修理の他、
モルト交換、ファインダー清掃、巻上やミラー駆動部の
整備等々、一通りのメンテナンスを行いました。
現在は非常にスムーズ且つ安定して動作する状況です。
F一桁機に比べるとやはり扱いやすいサイズでいいですね。
いかにも一眼レフカメラらしい端正なデザインもよいと思います。
今でも非常に人気が高い理由がわかりますね。

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