今日は「電気記念日」だそうですよ
1878(明治11)年のこの日に
工部大学校教師英人エルトンが
電信中央局開業祝宴開場の同校ホールで
グローブ電池を使用してアーク灯を点火したことが由来となっています。
これが日本で灯された初の電灯だそうです。
アーク灯は19世紀後半から
街路灯に用いる電気照明として
欧州ではもてはやされていましたが
点灯を維持するには電極間の微妙な距離調整が必要で
なかなか手軽に扱えるものではなかったようです。
この国内初の電灯点灯の翌年には
トーマス・エジソンが白熱電球を実用的に改良し
日本にも輸入されました。
さらにそれからしばらく後の1886(明治19)年には
日本初の電気事業者として東京電灯会社(現:東京電力)が開業し
電灯に動力に、電気の時代が幕を開けたということです。
今では電気のない生活なんて考えられないですし
(例の10年前の計画停電等で痛感しましたよね)
当たり前のように電気が使えるのが普通になっていますが
こうなるまでに大変な苦労があったと思いますし
今でもこれを維持するためにいろいろな方が
努力しているのだということをたまには実感しないといけませんね
普通に生活しているだけでも
人は一人では生きていないのだなぁ…と感じます。
さてさて
本日は「キヤノンEF」のカメラ修理を行っています。
1973年に発売された高級一眼レフです。
時代的にはFTb-Nとかと同じ年に発売され
「キヤノンFシリーズ」の一員ではあるのですが
この「EF]、他の「Fシリーズ」のカメラとは
共通項が非常に少なく異端児的な存在となっています。
何といっても採用されたシャッターがニコマートや
コニカFTA等でお馴染みの
縦走り金属羽根のユニットシャッターコパルスクエアです。
もちろん他の「Fシリーズ」はみんな横走り機なので
ここで根本的に構造が大きく変わります。
さらに「EF」は1/1000~1/2までは機械制御とし
1秒~30秒までを電子制御でシャッター駆動します。
で、最大30秒のSSでシャッター優先オート露出が可能という
なかなか意欲的な機能を持つカメラなのです。
30秒のオートを使う機会がどれほどあるかはわかりませんが
撮影の可能性を広げるという意味では立派な機能です。
構造としては1秒以上のシャッターのときは
マグネットでシャッター全開を保持し
残り1/2で機械制御に引き渡すというような形です。
実際に試してみるとわかりますが
例えば2秒のシャッタースピードだと
1.5秒はマグネットで保持し
その間、上カバー部の動作中を表すLEDが点滅します。
で、最後の0.5(1/2)秒はスローガバナーで制御され
機械制御の1/2秒と同様に「ジーッ」とガバナ作動音がして
シャッターが切れます。
なかなか他のカメラでは見られない動きです。
で、この電気制御から機械制御に切り替わる
残り1/2秒のときにガバナが少し粘っていると固着し
シャッターが開きっぱなしになってしまうのが
EFのスローシャッターで多いトラブルです。
電子制御的には正常に動くのですが
最後の機械部分で引っかかるわけです…
これが普通に機械制御のみの1/2秒だと
何とか動作するものも多いのです。
で、電子制御部分がおかしいという話になるのですが
多くの場合、スローガバナの粘りが原因のことが多いのです。
(一定数は本当に電子制御がダメなものも見受けられますが…)
今回、お預かりのEFもしばらく放置した後の一発目のシャッターで
スローが固着することがあるようです。
2回目以降は正常に動作するので微妙に粘っている程度ですが…
それよりも露出計及びオート露出が異様にオーバー傾向で
3段近くオーバーになってしまうようです。
オート制御自体は実は機械的な指針挟み込み式なので
露出計が大幅にオーバーな部分を直せば
オートも連動して正常になると思われます。
整備性は他の「Fシリーズ」に比べるとあまりよくはありません。
上カバーを外すのも少し一癖ありますし
ファインダー枠を取り外すと必ず再組立て時に
ファインダーのピント調整が必要だったりします。
それほど難しいわけではないのですが
いちいちひと手間必要としてちょっと面倒なのですね
先程もいったように電子制御はスローシャッター制御のみで
他はオート制御も含めて機械制御です。
金属羽根ですのでシャッター羽根清掃も含めて
一通りの整備を行っています。
画像に移っているFD50mmF1.4s.s.cはレンズの状態は悪くないのですが
絞り羽根が開放状態から全く出てきません。
まさかとは思いますが絞り羽根がないといけないので
先に清掃整備を行っています。
(以前明らかな分解品で絞り羽根が全てないレンズに巡り合ってから
絞りが確認できないレンズは警戒するようになりました(苦笑))
FDレンズは絞りの固着、粘りが多いですね
今回も無事に絞り羽根はありましたが
油べったりでしっかり固着してしまっていました
ボディ側はまだまだこれからですが
露出計の修理も含めて一通りの整備を行っていきます。
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