キヤノネットのカメラ修理

今日は言わずと知れた「成人の日」ですが
1月8日といえば「平成」が始まった日でもあるのです。
昭和64年1月7日の昭和天皇の崩御の翌日
平成元年1月8日から平成がスタートしたのですね。
つい最近、始まったばかりだと思っていた「平成」も
既に30年。。。「昭和」に生きていた時間よりも
とっくに「平成」に生きている時間のほうが長いことに気づきました(笑)
そんな「平成」ももうすぐ終焉を迎えます。
時間の流れって何とも不思議ですねぇ。。。

さてさて

本日は「キヤノネット」のカメラ修理を行っています。
今回は初代のキヤノネットです。
キヤノンの社員の方々が「自分達でも買えるカメラを」ということで
開発された初代キヤノネット
キヤノン初のレンズ一体型のコンパクトカメラでもあるのですね。
(コンパクトと呼ぶには今となっては大きいですが。。。)
当時のカメラとしては最高級品レベルの性能を持ちながら
非常に安価に発売されたキヤノネットは
社会現象を引き起こすほどのヒット作となり
発売当初、2週間分と試算していた在庫が
数時間で売り切れ全く生産が追いつかない状態になったようです。
また、キャノネットの成功が原因で
カメラの高機能化及び低価格化についていけなくなった
多くのメーカーが倒産することになりました。

そんな伝説的なカメラでもある初代キヤノネットですが
爆発的に売れたカメラでもありますので
現在でも多くの個体を見つけることができます。
しかしながら程度がよくそのままで撮影に使えるものは
非常に少ないと感じます。
もちろん、基本的には非常に丈夫でしっかり作られたカメラなので
修理・メンテナンスを行えば現在でも気持ちよく使うことができます。

今回、お預かりしている初代キヤノネットは
ご依頼者様のお父様がお母様との初デートに使うために
購入したキヤノネットだとのことです。
それから以降、ご家族の歴史を写し続けてきたわけですね。。。
現在はシャッターも切れず、セレンの起電力も落ちているようですが
ご依頼者様がご両親が使ったこのキャノネットで
気持ちよく撮影できるように整備していきたいと思います。

巻上レバーは底部にあるため上カバーは非常にシンプルです。
すっきりしたカバー上に筆記体の「Canonet」の文字が
何ともオシャレですよね。
シャッターは切れないのはシャッター羽根、絞り羽根の固着が原因です。
さらにオート制御機構もあちこちで固着していて
オートにすると無条件にシャッターロックがかかってしまいます。
セレンは起電が随分落ちているようなので
場合によっては起電力のある中古品と交換いたします。
レンズ、ファインダーともにカビ・クモリがかなりあるので
できる限り清掃していきます。

それにしても何回見ても
このカメラは非常に上手く作っているカメラだなぁ。。。と感心します。
いわゆる針挟みこみ式のSS優先AE機のお手本だと思います。
これから本格的に隅々まで整備に取り掛かってまいります。

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