オリンパスペンFのカメラ修理

今日は「紙の記念日」なのだそうですよ。
王子製紙の前身にあたる「抄紙会社」が東京・王子で
営業運転を開始した日だそうです。
直接関係ないのですが「紙」といわれて思い出したのが
昔は粉薬とか紙に包んで処方されていましたよね。
風邪引いたときとかにいつも連れて行かれる
近所の内科で紙に包んだ風邪薬よくもらっていたなぁ。。。
その頃(幼稚園~小学校低学年)は本当に注射が大嫌いで
その内科に行くのも泣き叫んで嫌がっていたのですが
注射の後でおじいさんの先生が分銅を使って粉薬を計って
紙に包んで出してくれる様子を見るのは好きだったな。。。
自宅の一部を医院として使っている感じで
こじんまりした待合室や小さな木枠の窓の受付や
今思い出してもレトロな空間だったなぁ。。。

さてさて

本日はオリンパスペンFのカメラ修理を行っています。
本当に今月はオリンパスの修理が多いですね。
今日で5日連続です(笑)
ペンFは言わずと知れた孤高のハーフ判一眼レフです。
デビューは1963年です、
オリンパス初の一眼レフはハーフ判のペンFなのです。
もちろん世界初のハーフ判一眼レフです。
ハーフ判そのものが日本以外ではそれほど普及してはいなかったのですが。。。
オリンパスのカメラは基本的に他のメーカーでは
できないようなコンパクトさがセールスポイントとなっているものが多く
その造りも独自性の高いものが多いのですが
ペンFは明らかに他の一眼レフとは全く構造が異なります。

まずはロータリーシャッターですかね。
パックマンのような円盤が1回転することによって
シャッターを開閉します。
最高速の1/500の場合は単に1回転するだけですが
他のシャッタースピードの場合はシャッターが開いた状態で
SSの応じて円盤の動きを止める仕組みです。
そのためシャッターは全速度で全開となるので
全てのSSでフラッシュシンクロ可能です。
SSの動きを制御するのは回転を止めるガバナーです。
シャッター周りのトラブルはこのガバナが原因となるとが多いです。

ファインダー至る経路とミラー駆動システムもペンF独特のもので
ミラーは通常の一眼レフとは異なり縦向きに取り付けられ
横方向に駆動します。
ミラーで反射した光は小さなスクリーンを経て
これまた独特の形状のプリズムで反射され
上カバー部のミラーでさらに反射
(FTはここにハーフミラーを用いて露出計に光を取り込みます)
さらに通常は接眼レンズとなる拡大用レンズを上カバー経路内部に
配置しそれを通過した後にさらにプリズムで反射し
接眼部に導きます。
このファインダーの造りによりペンFは通常の一眼レフに
存在するペンタプリズムの出っ張りがなく
レンズも大きく巻き戻し側にオフセットした配置になっているのです。

ペンFのトラブルは先述したシャッターガバナ部に並んで
その独特のミラー駆動部に関連したものが多く
今回、お預かりしているペンFもミラー駆動部のトラブルです。
シャッターを切るとミラーが跳ね上がるのですが
跳ね上がる勢いが弱く完全にミラーアップする直前で
止まってしまいます。
まだミラーアップが完了していないのでシャッターも作動せずそのままです。
この状態で軽くミラーを上方向に押し込んでやると
シャッターも作動し、その後ミラーもダウンし動きは完了します。
ミラー駆動部の作動不良ですね。
元となる原因は駆動部の汚れ等による作動不良で
それをきっかけにミラーのバネテンションが抜けてしまっていると思われます。
テンションをかけなおすだけでもとりあえず応急処置とはなるのですが
それではまた近いうちに再発してしまうので
駆動部の清掃整備を入念に行います。

もちろん、並行してシャッター駆動部・巻上部の整備も行います。
今回のペンFはめずらしくスプリットのスクリーンが入っています。
プリズムもペンFTと同様のものです。
(スリガラス加工がないもの)
詳しい経緯はわかりませんが改造品かな。。。
精度的には問題ありませんがピント面のチェックも行います。

ペンFはやはり2回巻のこのタイプが良いですね。
後に出るFTは露出計を付けてしまったことと
1回巻きにしたせいで便利にはなりましたが
色々と機構的に無理がある部分も多いと考えます。
ペンFは一時期、個人的に使っていたこともあるのですが
軽快な2回巻きでリズミカルに撮ることが
何とも楽しいカメラです。
システムもコンパクトにできるし
もう一度、自分用も手に入れたいカメラのひとつです。

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