ペンタックスSPFのカメラ修理

今日は「3分間電話の日」だそうですよ。
1970年(昭和45年)のこの日に
日本電信電話公社(現:NTT)の
市内電話の料金が3分間10円になったのだそうです。
それまでは1通話10円で時間無制限(!)だったのだそうです。
長電話防止のために3分間10円になったのだそうです。
中学生くらいの頃は10円玉1枚と100円玉数枚持って
よく夜に近所の電話ボックスに行きました。
本人が出られなくてすぐに通話が終わることもあるので
最初に10円玉で電話して
本人が出て時間が大丈夫そうだったら100円玉を投入していました(笑)
100円玉はお釣り出ませんからね。
そのため「100円玉でモシモシ お釣りはデンデン」なんて言われていたそうです。
ちなみにその頃はまだテレフォンカードも登場前です(汗)
今の方にはわからないかもしれませんが
公衆電話も赤電話、青電話、黄電話、今でも見かける緑電話、
一般加入電話を公衆電話として使用したピンク電話
(いかがわしい電話のことではありません(笑))
いろいろ種類もありましたねぇ。。。
緑電話やグレー電話以外の公衆電話はさすがに見かけることがないですが。。。
あのでっかい受話器を持って久しぶりに電話してみたいような気もします。

さてさて

本日は「ペンタックスSPF」のカメラ修理を行っています。
大ヒットした「SP」の後継モデルですね。
SPに開放測光機能を追加したモデルです。
この時代のペンタックス機なので
レンズマウントは汎用性の高いM42マウントですが
電子制御シャッターで絞り優先AE機である
「ペンタックスES」が1971年に発売されたときに
基本的にはM42マウントの形を取りながら
絞り値をボディ側に伝達するレバーを設け
確実に同じ位置にねじ込まれるような定点も追加し
開放測光を可能としたSMCタクマーレンズが発売されました。
SPFはそのSMCタクマーレンズに対応した
SPと言って良いと思います。発売は1973年です。
もちろん従来のM42レンズによる絞込み測光にも対応しており
SPと同じようにマウント脇のSWで絞込みを行います。
SPではここが露出計のon-offスイッチを兼ねていましたが
SPFでは露出計のon-offスイッチはなく
レンズキャップをして受光体に光が当たらなくなると
露出計への電源供給が切れる「フォトスイッチ」という新機構が採用されています。
個人的にはきちんと露出計スイッチが付いていたほうが
便利だし余計な電池消耗をしなくて良いとは思いますが。。。
ペンタックスM42マウント機はこのSPFが出た翌年(1974年)に
絞込み測光でSPの復刻機でもあるSPⅡで最終となり
20年近くに渡った歴史に終止符を打ちKマウント機に移行していきます。

お預かりしているSPFは外観も非常にキレイで
一通りとりあえずは動作している個体です。
本格的に使う前に一通りの整備を。。。というご依頼ですが
近年のうちに整備された形跡がないので
細かく見ていくとそれなりに問題は抱えています。
まず高速シャッターは精度が全く出ておらず
先幕・後幕のバランスが大きく崩れています。
フォーカルプレーンしゃったーは基本的に
先幕と後幕は一定のスリットを保ったまま
全く同じ速度で走っていかなくてはいけないものですが
(厳密に全く同じ速度とういうのは現実的ではないですが)
後幕が非常に遅れるため
シャッター走行中にスリットがどんどん開いてしまってい状態です。
例えば1/1000で測定してみると
走り始めは1/1000のスリットが開いているのですが
走り終わり時には1/400くらいのスリットに開いてしまっている状態です。
全体的な露出のズレはネガを使っている限り
それほど神経質になることはありませんが
同じ1枚の写真の中で露出のズレ(ムラ)があると
さすがにネガだろうがポジだろうが影響は出ます。
幕軸の清掃を行った上で微調整を行い
安定して一定のSSが出せるように整備が必要です。
他、露出計も1.5段程アンダーの傾向です。
SPFの露出計はちょっと変わっていて
メーターから3本の配線が出ていて
何も入力がないときには真ん中にあるメーター指針を
受光体側から来る電流とSS・絞り設定から来る電流とで
綱引きのように引っ張り合う形式です。
だから電池を抜くと露出計の指針は真ん中で落ち着きます。
普通は下端か上端に引っ込むものが多いですものね。

写真のレンズは当店のテスト用レンズです。

長々と講釈を書き連ねましたが
まだ現状チェックだけでこれから本格的に作業に取り掛かります(汗)
少々雑務に足を引っ張られていて
ここ数日、作業が遅れ気味なのでがんばります!
それにしても作業完成後の写真みたいにキレイですね。。。
バッチリな外観に負けないように中身の動きも
しっかり整備を行っていきます。

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