ニコマートFTNのカメラ修理

昨日、「左義長」で「どんと焼き」の話をしましたが
今日が「小正月」なので
昨日の夜か今日の午前中に「左義長」(どんと焼き)が
行われるところが多いのですね。
小正月も1月15日だけの地域もあれば
14日から16日の3日間というところもあるようです。
で、かつて小正月に「元服の儀」を行っていたことから
1月15日は「成人の日」になったわけですね。
今やハッピーマンデーで第二月曜日ですが
やはり成人の日といえば15日のイメージが今でも強いです。
さらに今日は「ウィキペディアの日」だそうです。
ウィキペディアはその性格上、
何でもそのまま鵜呑みにできないこともありますが
調べ物をする際には非常に役に立ちますし
なくてはならないツールです。
ここで書くカメラの発売年や詳しいスペック等も
ウィキで調べる場合も非常に多いですね。

さてさて

本日はニコマートFTNのカメラ修理を行っています。
ニコンFをフラッグシップとする当時のニコンの一眼レフの中で
本格的なレンズ交換式一眼レフ中級機として発売されたのが
ニコマートシリーズです。
機械制御シャッター機のFT系と
電子制御シャッター機のEL系に大きく分かれます。
初代のFTを開放F値補正操作(いわゆるガチャガチャ)を採用し
レンズ交換の際の煩わしさを一気に解消したのが
今回のFTNとなります。
もちろん改善されたのはガチャガチャだけではなく
より実用的な中央部重点測光への変更や
ファインダー内SS表示等も追加され
基本設計こそFTと同様ですが
非常に使いやすく進化したモデルです。
発売は1967年でニコマートシリーズ最大のヒット作となりました。
その販売台数の多さに加えニコンらしい堅牢さを備え
現存する台数も非常に多いカメラです。
シャッターはこの時代のカメラではお馴染みの
コパルスクエアを搭載しますが
このシャッターがまた非常に丈夫なシャッターユニットです。
精度はともかくとしても発売から50年以上
ろくにメンテもされていない個体が
とりあえずシャッターだけはしっかり切れる個体が多いというのは
本当にすごいことだと思います。

お預かりしているニコマートFTNも
シャッターは元気に作動しています。
しかしながらやはり羽根に汚れ等の付着もあるようで
先幕と後幕のバランスが崩れていて高速時の精度はイマイチです。
シャッター周りに比べるとトラブルの多い露出計は
作動してはいるのですが指針の動きが非常に不安定で
一定の明るさの光源に向けていても
指針が安定しません。
さらにシャッターダイヤルや絞りリングを動かすと
たまに指針が振り切ったままになってしまいます。
マウント部にマイラー抵抗と呼ばれる
摺動抵抗があるのですがそれの汚れ等が原因かと思われます。
まれに抵抗体が剥がれ落ちてしまっている場合もあり
その場合には中古良品と交換で対応します。

まだ分解途中の状態ですがこれから本格的に
分解整備に取り掛かります。
ニコン機にはめずらしくファインダー周りに
比較的内部モルトが多く使われています。
ここもしっかり清掃しておかないと
せっかくファインダー内がキレイになっても
後からまたモルト屑がスクリーン上に落ちてきます。
かなり念入りに清掃してモルト交換を行っても
どこからともなく落ちてくる場合も多いので
非常に神経を使います。
こういうときはスクリーンが下から抜けるELが
羨ましくなりますね。
(ELはそこ以外は全てFTより困難なことが多いのですが。。。)

ある程度、整備して確認できたのですが
マイラー抵抗は単なる汚れによる接触不良で
交換の必要はないかと思われます。
巻上の動きがやけにもっさりしていたのですが
それも解消できそうです。
快適に使えるように今回もしっかり仕上げていきたいと思います。

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