ペンタックスMEのカメラ修理

今日は「靴の日」、「靴の記念日」らしいですよ。
1870(明治3)年のこの日に実業家・西村勝三が
東京・築地入船町に日本初の西洋靴の工場
「伊勢勝造靴場」を開設したことが由来となっているようです。
靴は大事ですよねぇ…しっかりサイズがあっていることはもちろん
履き心地の良い靴を履いていると
歩くことが楽しくなってきますものね。
山登りに頻繁に行っていた頃は
登山靴が微妙に合わなくってよく苦労しました。
しっかり合っていないと足が痛くなってくるし
疲労度も全く変わってくるのです。
登山靴は本当に機能性重視になりますが
会社員時代には当然、毎日革靴を履いているわけで
こちらは機能性も大事ですが見た目の質感や
履き心地で仕事に取り組むテンションも変わってきます。
毎朝、キレイに手入れしたピカピカの靴を履くと
「さぁ、今日もがんばろう!」って気になりますし
靴によっては立てる足音がとっても気持ちよくて
立ち振る舞いにも影響します。
ただ、今はその頃ほどは靴にあまり気を使っていないかも…(汗)
(スーツ着なくなったし
通勤時間が5分な上に座り仕事というのもありますが…)
ヒサビサにちょっと良い革靴を
一足でいいから買っておこうかな…

さてさて

今日は「ペンタックスME」のカメラ修理を行っています。
「ペンタックスMシリーズ」を代表するカメラです。
「Mシリーズ」で最初に発売されたのは
シリーズ中唯一の機械制御横走りシャッター機の「MX」ですが
これは「Mシリーズ」の中でも異端児的存在で
「MX」の1ヶ月後に発売されたこの「ME」が
それ以降の全ての「Mシリーズ」の基本形となります。
シリーズのコンセプトでもある
「小型軽量化」、「電子化」に忠実に乗っ取って開発されたカメラで
絞り優先AE専用のエントリー機でありながら
優れた使い心地を持つカメラです。
当時の最新の電子技術が使われ「MX」より約35g軽くできています。
(横幅は4.5mm小さく、高さ、奥行きは同一)
非常にたくさんの数が売れたヒット作でもあり
現存台数も非常に多いカメラです。
ただコンディションの悪い状態のものが多く
特に「Mシリーズ」全般の持病ともいえる
「ミラーアップしたまま固着」の症状が出たまま
放置されているものも多いかと思われます。

お預かりしている「ME」は
その持病のミラーアップのトラブルは出ていません。
後で分解してわかりましたが
その原因となるミラー駆動部のゴムブッシュ使用部分に
対策品のプラスチックリングが取り付けられていました。
これであれば問題ございません。
もちろん通常のミラー駆動部の整備は一通り行います。
それはいいのですが今回のMEは
まず電源が非常に不安定で
たまに完全に電源が入らなくなるようです。
それに伴って露出計表示も非常に不安定です。
電池室は一見キレイなのですが
やはり電池がかなり長期間入れたままになっていたようで
電池室裏側の端子やネジ部には緑青がびっしり発生していました。
これらが原因で接触不良を起こしているようです。
加えてかなり長期間眠っていたものと思われますが
ファインダーには普通に覗いても
はっきり目視で確認できるほどの巨大なカビが
プリズム面に大量に発生しており
少し離れて接眼レンズを透かしてみると
こちらにもびっしりカビが付着しています。
装着されていたPENTAX-M50mmF1.7レンズにも
大量にカビが発生しています。
レンズも含めて隅々まで徹底的に清掃が必要な状態です。

まずはボディ側から分解整備に取り掛かります。
「ME」や「MEスーパー」は頻繁に修理依頼のあるカメラなので
分解手順は頭に入っていますが
慣れたものこそ油断は禁物なので慎重かつ手早く取り掛かります。
毎度のことですがこの時代のペンタックス機は
内部モルトが非常に多くそのモルト屑が
あちこちに入り込んでいることも多いのです。
特にシャッター羽根周りは隅々まで念入りに清掃を行っていきます。
電子制御機とは言えME系のカメラのトラブルのほとんどは
機械的部分と電子基板以外の部分の接触不良です。
今回も電子回路そのものは全く問題がないようです。
最終的に電気的調整も行いますが
本来の機械的動きを取り戻せば微調整程度で済みそうです。
再び快適に使えるように今回もしっかり整備していきます。

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