ニコンFMのカメラ修理

今日は…とうか今夜は「中秋の名月」ですね。
旧暦の8月15日にあたります。
今年は早いのですねぇ
現在の新暦と旧暦では最大1ヶ月程度のズレが出るのですが
ここ数年で最も早い「中秋の名月」かと思われます。
ちなみにここ5~6年で最も遅かった「中秋の名月」は
2017年の10月4日ですね。このくらいのほうが
空気も張り詰めてきていかにも「秋の夜」って感じかと…
今年だと個人的には次の十五夜のほうが
「十五夜」っぽいような気がします。
それでも今夜は関東では天気も良さそうなので
しっかり「中秋の名月」を堪能できそうです。
月見そのものよりもお団子食べたくなってきますねぇ(笑

さてさて

今日は「ニコンFM」のカメラ修理を行っています。
ニコマートFT系の流れを汲む
機械制御シャッターのマニュアル専用機です。
70年代半ばは各メーカーの一眼レフの小型化が
かなり進んだ時代ですが
ニコン機もその流れを受けて
ニコマートシリーズをフルモデルチェンジし
取り回しの良いサイズに生まれ変わり
ニコマートFT系がFMにEL系がFEに生まれ変わりました。
以前のニコマートシリーズ以上に
FM/FE系はより共通した部分も多いのですが
FMは機械制御シャッターのマニュアル機
FEは絞り優先AEも搭載した電子制御シャッター機と
キャラクターもよりはっきり分かれたのではないかと思います。
どちらが良いのかはもはや好みの問題だとは思われますが
両者に共通した「適度に」コンパクトな扱いやすい
ボディサイズは非常に使いやすく質感も高いと思います。
中古市場では機械制御でメンテナンスの心配が少ない
FM系のほうが人気だと思われますが
個人的にはメンテナンスの心配は
どちらも似たようなものだと思います。
FEの電子回路は確かに修理不能になることもありますが
基本的にはかなり丈夫です。
両者ともに搭載されるコパルシャッターは
ユニットシャッターであるがために
根本的に破損すると修理不可能になる可能性もあります。
(中古シャッターユニットと載せ替えという手段もありますが)
そしてFMに搭載されるLED式の露出計は
内部短絡等で制御部が破損すると修理不可能です。
その点ではFEの指針式露出計のほうがメンテナンスは容易です。
。。なのでどちらが良いのかは
好みの問題かな…と個人的には思います。

話が逸れました…
お預かりしているFMはシャッターに問題を抱えていて
最高速1/1000だとシャッターが全く開かず
1/500、1/250でも一部が開かず
写真の一部が黒くなってしまう症状が出ています。
シャッタースピードを計測するまでもなく
先幕の動きが明らかに悪そうで
走行中に後幕に追いつかれてしまうものと思われます。
まずは目視でフィルム室側から
シャッター羽根の状態を確認してみると
先幕の羽根に油滲みが見受けられます。
シャッターユニット内部等から経年劣化で
染み出してきた油分が羽根に付着しているようです。
金属羽根シャッターはレンズシャッターでもよくありますが
汚れの影響を非常に受けやすく
わずかな汚れや油滲みですぐに動作不良を起こします。
今回はシャッターユニットを分解して
羽根清掃を行いますがやはりフィルム室から見えた以上に
内部の重なっている部分や羽根の根元部分に
かなり油滲みが確認できました。
これでは動きが悪くなってSSに悪影響が出て当然です。
保管環境等の影響も多少はあるかもしれませんが
なんだかんだで登場してから40年以上経つカメラです。
内部の清掃やメンテナンスは当然必要になっておかしくありません。

シャッターユニットの分解清掃整備
ミラー駆動部・巻上機構部の清掃整備注油、
露出計を含む電気的調整
ファインダー清掃、モルト交換等々
一通りの整備調整を行いました。
シャッターは全く問題なくスムーズに動作するようになりました。
もちろん精度的にも全く問題ございません。
これでまた当分は安心してお使いいただけれると思います。
それなりに使い込まれた個体かとは思いますが
やはり元がしっかり造られているカメラなので
まだまだ存分にお使いいただけると思います。
これから最終チェックを行って問題なければ完成となります。

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