トプコン35Lのカメラ修理

今日は「組立家具の日」だそうですよ。
「組立家具」となると今でも
いろいろな種類のものがホームセンターで売っていて
便利なものも多いですが
意外と組み立てに苦労したりするのですよねぇ…
ただここの記念日で言う「組立家具」は
私あたりの世代では懐かしく感じる
「3段カラーボックス」のことなのだそうです。
今でもあるにはありますが
当時のように「グリーン」や「オレンジ」なんて
カラフルになものは見かけることがなく
ほぼ「白」一択みたいですねぇ
登場したのは思っていたより古く
1967年に発売開始だそうです。
「家具にもカラフルなオレンジやグリーン、
赤色の物があって良いのでは」との発想で
大手紙メーカー協力のもと当時の色紙を薄いベニヤに貼って合板を作り
特殊加工で軽い三段ボックスの「カラーボックス」を作ったことが始まりです。
フラッシュ合板のものが多く
軽くて使い勝手が良いのですよねぇ
私が小中学生くらいの頃は
どの友達の部屋に遊びに言っても
カラーボックスのひとつやふたつはあったような気がします…
カラフルなカラーボックスを部屋に並べるだけで
70年代風の部屋のインテリアになりそうですね!

さてさて

本日は「トプコン35L」のカメラ修理を行っています。
トプコンブランドは東京光学が作るカメラ製品のブランドです。
トプコン35シリーズはレンズ交換の可能な
トプコン35Aから始まりましたが
1956にはレンズ固定式のトプコン35Sにモデルチェンジされ
さらにSS/絞り設定をライトバリュー式にしたものが
今回のトプコン35Lとなります。(1957年発売)
2年弱しか生産されなかったため
意外と現存台数の少ないカメラでもあります。
写りの評価の高いカメラで
装着されるレンズはトプコール4.4cmF2です。
シャッターは当時の国産最高級シャッターといえる
セイコーシャMXLを搭載し最高速は1/500です。
そして何と言っても魅力なのは贅沢な造りの
等倍ファインダーで反射面にはこの類の
レンジファインダー機でよくあるハーフミラーではなく
シールドプリズムを採用しています。
パララックス自動補正のブライトフレームも備えます。
巻上はダブルストロークでちょっと独特なフィーリングです。
外装の質感も非常に高くこのカメラを好きな方が
多いのもわかる気がします。

お預かりしているトプコン35Lは
レンズシャッター機の定番トラブルともいえる
シャッター羽根の粘りを抱えており
シャッターを切っても非常にゆっくり羽根が開いて
ゆっくり閉じていくような状態です。
当然普通に撮ろうとした写真は全て真っ白になってしまいます…
シャッター羽根がそんな状態なので
絞り羽根にもやはり油滲みがみられ
こちらは絞りリングに連動して一応は動いているのですが
やはり粘っていると思われます。
これが悪化すると動作させた際に絞り羽根を破損させる可能性も
高くなってしまうのであまり動かさずに早急に対処していきます。
最大の魅力であるファインダープリズムの状態は悪くなく
接眼部・対物部の清掃のみで問題ない状態にできそうです。
レンズにはやはりカビや汚れが散見されるので
こちらもできる限り清掃を行っていきます。

画像は一通り整備が完了した状態のモノです。
分解時に1枚画像を撮っておこうと思ったのに
作業に集中していてまた忘れてしまった…(苦笑)
外観の特徴はやはりファインダー対物レンズ部が
薄い金色にミラー反射しているところですね。
これがいいアクセントになっていて文句ナシにカッコ良いです。
鏡胴やボディのメッキ処理も非常に質感高く
眺めているだけでも楽しくなってくるカメラです。
当時流行ったライトバリュー式の露出設定は
今となっては多少使いにくさを感じる部分もありますが
これも慣れてしまえばそれほど意識することもなくなります。
巷ではLVでない「S」の方が人気が高いそうですが
個人的にはどちらでも良いような気がします。
羽根洗浄も含めシャッターユニットにかなり手を入れているので
動きが落ち着くまで少し様子見をしている段階です。
明日か明後日あたりに最終テストを行って
問題なければ完成となります。

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