月別アーカイブ: 2025年6月

ニコンFのカメラ修理

今日は「路地の日」だそうですよ。
「ろ(6)じ(2)」(路地)と読む語呂合わせからだそうです。
路地とは、密集市街地に形成される狭い道のこと
私の生まれ育った呉でも
狭い路地が入り組んでいる地域が多かったですね。
私が住んでいた地域もクルマなんて入れない
それこそ人がすれ違うのも少々気を遣う
狭い路地が住宅を縫うように入り組んでいました。
おまけに坂の多い地域だったので
たいていの場合多少の階段が道のあちこちにあったりします。
またそういう道って近道が多かったり
生活道路となっていたりして
意外と人の往来があるのと
ちょっとした子供の遊び場にもなっていました。
最近、帰省した際にそんな路地を通る機会もあったのですが
比較的昔のままの部分もあったりして
妙に懐かしい気持ちになりました。
狭い路地って何とも言えない魅力がありますよね。
ただ子供の頃の見え方と異なり
「こんなにも狭かったっけ?そしてこんなに坂しんどかったっけ???」と
思うことも多々あり、自分の年齢を感じてしまいます(苦笑)

さてさて

本日は「ニコンF」のカメラ修理を行っています。
いわずと知れた伝説の名機ですね。
1959年発売のカメラです。
モデル名の「F」はRe’F’lexのFが由来とのことです。
なぜ頭文字の「R」ではなかったというと
アジア圏での発音が様々だったためといわれています。
来たるべき「一眼レフ機の時代」を象徴するカメラとも言えますね。
非常に精度の高い丈夫な部品を精密に組み上げたカメラで
発売から60年を大きく超える現在でも
ある程度のメンテナンスを施せば
当時とほとんど変わらない精度の高い動作を行ってくれるカメラです。
道具としても非常に高い信頼性をおこえるカメラです。
少し心配される点はファインダープリズムの蒸着が
劣化してしまっている個体が多く
プリズムの腐食がファインダー視野に影響を与えている個体が
比較的多いことです。
水没品だったりあまりに大きなショック品、粗悪な分解品だったりすると
もはや修理不可能なことも稀にありますが
普通に保管されていたり使い続けられている個体は
これからもある程度の整備を行っていけば
まだまだ現役で安心して使い続けられるカメラだと思います。

お預かりしている「F」は
やはり長らく使われていなかったものかと思われます。
シャッターは油切れで巻上があまりスムーズではないものの
シャッターを動作させることは可能な状態です。
ただ、終始ミラーが上がったままになってしまっていて
ファインダーでは何も見えません。
ミラー駆動部が固着してしまっているものと思われます。
加えてスローガバナも完全に固着していて
スローガバナが駆動するスローシャッターになると
その全域でシャッターは開いたままになってしまいます。
「F」のスローガバナは比較的固着が多いのですが
これもガバナと取り外して洗浄注油すれば
問題なく改善できると思われます。
そして高速シャッターの精度はさすがに出ていません。
これも幕軸の清掃注油と若干の微調整で
全く問題ない精度に改善できると思います。

分解して整備を行うことが前提として作られているので
整備性はもちろん文句なしに良好です。
画像には写っていませんが装着されてるのは
アイレベルファイダーでさすがに若干の腐食が出てしまっています。
ただそれほどまで視野を邪魔するような状態ではなく
実際の運用にはそれほど悪影響はないと思われます。
残念ながらプリズム府所億に関しては当店では
対応不可なのでここに関しては現状のままとなります。
(もちろんできる限りの清掃は行います)
全体的に油切れや汚れで動きは悪いものの
整備を行えば全く問題なくなるレベルです。
世界初の「チタン製シャッター幕」の状態も良好です。
余談ですがフォーカルプレーンシャッターの金属幕としては
既にキヤノンがお得意のレンジファインダー機に
「ステンレス製シャッター幕」を採用していましたが
ステンレスよりさらに傷や変形に強いのが
このチタン製シャッター幕といわれています。
整備された「F」の巻上やシャッター音を確認していると
何とも言えない精密感にいまだに気分が上がります。

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キヤノンAE-1のカメラ修理

今日は「写真の日」だそうですよ。
1841(天保12)年のこの日に
日本初の写真が撮影されたとされていて
写真機はオランダから献上されたもの
写されたのは薩摩藩主の島津斉彬で
撮影したのは長崎の御用商人・上野俊之丞だったそうです。
ただ、後の調査で、それ以前にも写真撮影が
行われていたことが分かっているのだそうです。
「写真」の意味合いも私が生きている間だけでも
時代とともに随分様変わりしたような気がします。
私は芸術的な観点からの写真に関してはよくわかりませんが
これだけ気軽に写真が誰にでも撮れる時代なのだから
ちょっとした日常のことを気軽に写真で
記録しておくのも良いとよく思います。
そのときは何でもない写真でも
後から見ると思いで深いものになっていたり
開きにくくなった記憶の引き出しの
トリガーになってくれるかもしれません。

さてさて

本日は「キヤノンAE-1」のカメラ修理を行っています。
最近、「AE-1」の修理依頼、比較的多いですね。
少し前にも同じようなことを書いた気がしますが
1976年発売のカメラです。
世界初のマイクロコンピュータ搭載カメラで
きたるべきさらなるカメラの自動化・電子化への流れを
リードするカメラとして開発発売されました。
徹底的な生産の効率化も行われ
同機能のこれまでのモデルに比べて
約300点の部品削減にも成功しています。
そういった部分も功を奏し
他メーカーの同クラスカメラに比べて2万円近く
お安い価格設定にすることができ
普及機で今一つヒットに恵まれていなかったキャノンの
救世主ともなったカメラです。
コスト面だけではなく適度にコンパクトで
基本性能に優れ
非常に使いやすいカメラでもあり
そういった面からも支持されたカメラだと思います。

お預かりしている「AE-1」は
シャッター幕が中途半端な位置で
止まったまま固着してしまっています。
「AE-1」としてはめずらしいパターンでのトラブルです。
そこから巻き上げることもできず
ミラーもアップしたままなので
他の動きも全く確認できない状況です。
「AE-1」は言わずとしれた電子制御機ですが
機構上、いったん走り出したシャッターは
電源が入っていようがいまいがとりあえずは
最後まで走るはずです。
そこから考えると何か機械的なトラブルかと思われます。

強制的に巻き上げると正常なチャージ状態に
することはできました。
そしてそこから機械的に強制レリーズすると
やはり最後まで走り切らず
シャッター幕が途中で止まってしまいます。
それも幕軸の動作不良とかでじわっとシャッターが動いて
じわっと止まるの感じではなく
勢いよく走り出してパシッとある点で止まります。
何かシャッター駆動部に部品か
ゴミかが挟み込まれているような感じです。
分解し始めてすぐにわかりましたが
過去に分解歴があるのは明らかで
それもあまりよろしくない弄られ方をしているのが
一目瞭然です。
シャッターのトラブルはもう少し
分解を進めれば何とかなるとは思いますが
いろいろとこのままだとまずそうな箇所が
ここまででも既にいろいろ散見されるので
入念に細かくチェックしていきます。

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