カテゴリー別アーカイブ: カメラ修理

ニコンF2フォトミックAのカメラ修理

今日は「リクエストの日」だそうですよ。
1936(昭和11)年のこの日に
ベルリンのドイツ放送で
世界初のラジオのリクエスト番組が始まったとされてるのだそうです。
ラジオのリクエスト番組…昔はたくさんありましたよねぇ
自分でリクエストしたことはありませんが
小~中学生の頃にはよくラジオ聴いていましたから
当時はかなりの数のリクエスト番組がありました。
ハガキによるものが多かったとは思いますが
電話リクエストの番組もありましたねぇ
「電リク」って言葉自体がかなり懐かしいですね!
それから一時期はファックスに移り変わり
今ではメールやラインだったりするのですかね…
そのあたりの通信手段は時代に応じて変わるでしょうが
それよりも「リクエスト番組」そのものが
もうほとんど残っていないみたいです…
これも時代の流れですかね

さてさて

本日は「ニコンF2フォトミックA」のカメラ修理を行っています。
F2のボディに「フォトミックAファインダー」が
組み合わされたモデルです。
F2自体の発売は1971年ですが
「フォトミックA」の発売は1977年です。
F2発売当初からある「フォトミックファインダー」をベースに
いわゆる「Aiレンズ」に対応したファインダーです。
レンズの絞りとの連動にそれまでのニコンならではの
「カニの爪」を使うのではなく
Ai連動爪でボディ側と連動します。
それまでの非Aiレンズも装着は可能ですが
その場合、ファインダー側のAi連動爪が干渉してしまうので
引っ込めることができます。
ファインダー内絞り表示はそれまでの非Aiレンズ用の
フォトミックファインダーではファインダー内で
レンズと連動する絞り表示盤で表示していましたが
Ai対応となったことでレンズ側のファインダー表示用絞り値を
直読する方法に変更になっています。
これに関しては非Aiのフォトミックファインダのほうが
絞り値の字も大きく読み取りやすいような気がします。

お預かりしている「F2フォトミックA」は
シャッターが切れず巻き上げもできず…という状態で
お預かりしています。
シャッターが切れない(レリーズができない)のか
巻上ができないのかで原因箇所が変わってきますが
幕の位置から判断すると
どうやら巻上ができない状態のようです。
巻上ロック機構の動きを確認してみると
本来レリーズされた時点でロック解除となる爪が固着していて
巻上ロックが解除できない状態になっているようです。
強制的に一度解除してみると
とりあえず巻上はできますが
またレリーズした時点でロックがかかったままの状態になってしまい
元の状態に戻ってしまいます。
巻上ロック機構だけでなく
機械的な部分の動きがかなり粘っている部分が多く
シャッターが切れたとしても精度が出ていない状態です。

画像は分解整備に取り掛かる前の画像です。
まずは下から現在の状態や巻上位置等を確認している時点でのモノです。
これから本格的に分解の取り掛かり
巻上機構やシャッター幕軸、ミラー駆動部等の
ボディ側の機械的駆動部を一通り整備していき
電池室からの配線等の整備も行っていきます。
ボディ側がある程度整備が終わって組みあがったところで
ファインダー側の分解を行い
接点、摺動抵抗等の電気的部分の清掃整備
ファインダー清掃を行っていきます。

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ミノルタハイマチックFのカメラ修理

今日は「おいもほりの日」だそうですよ。
日付は二十四節気の「霜降」の頃である10月23日とし
「おいもほり」の主役であるサツマイモは
霜が降り始めるまで太り続けるとされており
この頃が「おいもほり」のピークを迎えることからだそうです。
ただ今年の「霜降」は明日24日なのです。
二十四節気は年によって日付が前後しますからね。
いもほり…幼稚園年長の遠足で一度だけ体験した記憶が…
でもこのときのことは割と鮮明に覚えていて
さすがにどこの畑だったかは覚えていませんが
幼稚園児が歩いていけるほどの場所だったので
園からたいして遠くはなかったのでしょうね
園児なのでろくにほれはしないのですが
それでも一生懸命ほって小さくても何とか掘り出すことができて
何だかめちゃくちゃ楽しかった記憶が残っています。
意外と幼少期の記憶って断片的ながら
鮮やかに覚えているのですよねぇ…
いもほりはともかくとして
本格的に焼き芋が美味しい季節になってきましたねぇ
近所のスーパーでもそろそろ店頭で焼く頃かな…
今度見かけたら焼きたて熱々を買って帰りましょう!

さてさて

本日は「ミノルタハイマチックF」のカメラ修理を行っています。
1972年発売のカメラです。
前年に発売された「ハイマチックE」の
下位機種としての位置づけですが
それよりも大ヒットした「コニカC35」の対抗馬としての意味が
大きいカメラだったと思われます。
レンズスペックも「C35」に近いロッコール38mmF2.7を搭載し
露出もC35同様プログラムオート専用です。
何といってもC35同様、どこにでも持っていけるような
軽量コンパクトなボディで操作も簡単というところが
セールスポイントなカメラです。
ただC35と大きく異なるところはハイマチックFは
セイコーESL電子シャッターを搭載し
露出精度特に低輝度時にスローシャッターで対応できるという
強みを持っています。
レリーズのストロークの深さとそのフィールが独特なカメラで
「ジャキン」と切れる感じは他のカメラにはない感触です。
好みは分かれるかもしれませんが
個人的にはいい感触だと思っています。

お預かりしている「ハイマチックF」は
まず距離計がどうにもおかしなことになっているようで
ファインダー内二重像で1m弱のものにピントを合わせると
レンズ側指標ではすでに無限遠を指しているような状態です。
実際にはレンズ上の指標のほうが正しく
ファインダー内の二重像がおかしなことになっている状態です。
シャッターは一応は動作していますが
露出制御が妙にアンダーよりです。
ASA100・LV15(屋外晴天時)で測定機にかけてみると
3段近くアンダーに露出してしまうようです。
さすがにこれではネガでも影響が出るかと思います。
現在のネガは性能が良いので写らないことはないですが
さすがに写真はかなり暗めになるかと思います。

距離計の動作不良の原因は
鏡胴を抑えているネジが緩んでいて
距離計のピンを必要なところまで
押し込めていないことが原因でした。
明らかに位置関係がおかしかったので
そのあたりかとは思っていましたが
ここが緩んでも意外と鏡胴は大きくぐらつかないので
ちょっと気づきにくいかもしれません。
露出精度の問題は各接点の清掃、
マグネットの吸着部の清掃整備を入念に行った上で
最終的には電気的な微調整で何とかなりそうです。
直接の原因はやはり接点の汚れかと思われます。
他機械的駆動部分も含めて
一通りの整備を行い安定した動きを確保していきます。

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キヤノンAE-1プログラムのカメラ修理

今日は「図鑑の日」だそうですよ。
日付の由来は日本で最初に「図鑑」の書籍名称を用いた
『植物図鑑』の初版が発行された
1908(明治41)年10月22日にちなんでだそうです。
幼い頃に家にあった子供向けの図鑑を
時間さえあれば眺めていた時期がありました。
「動物図鑑」「植物図鑑」「昆虫図鑑」
「乗り物図鑑」「恐竜図鑑」「人体図鑑」…
他にもあらゆるジャンルの図鑑が
確か12冊セットだったと思うのですが…
本当にボロボロになるまで何度も何度も
出しては片づけを繰り返していたと思います。
だからいまだにその頃にみた図鑑の絵面や写真で
頭に残っているものもあります。
あまりにもよく使ってボロボロにしてしまうので
年齢にも合わせて何回かセット丸ごと
買いなおしてもらったんですよ…
今調べてみるとそれなりの値段がするのですよねぇ
ほんまじいさんばあさんには感謝しかありません…

さてさて

本日は「キヤノンAE-1プログラム」のカメラ修理を行っています。
1981年発売のカメラです。
当店で扱えるカメラとしては
このあたりが最も新しいモノになります。
…といっても40年以上前のカメラになりますが…
巻上、シャッター、ミラー駆動部等の機械的構造は
最初の「Aシリーズ」でもある1976年発売の
「AE-1」がベースにはなりますが
要ともいえる電子制御部分は5年もあれば相当進化しています。
制御部に関してはもはや最初の「AE-1」とは全く別物です。
大きな機能としては「プログラムオート」が追加されただけであり
一見さほど違いはないのではないかと思われがちですが
動作の安定性やファインダーの明るさ、露出計の視認性の良さ等に
明らかな違いがあり使い勝手の良さや動作の信頼性では
1978年発売のAシリーズトップモデルの「A-1」をも上回ると思います。
ただし、電子制御が進化した分、
もはやちまちまと手作業で
整備調整できる部分は制御部に関しては少なく
電子制御関連にトラブルが出た場合は修理不可能になる可能性もあります。
…とはいえ先述した通り信頼性に関してもかなり向上しているので
普通の環境で使われている個体はそう簡単に電子制御部に
トラブルは出ないかとも思います。

お預かりしている「AE-1プログラム」は
電池室の腐食が激しく電源が全く入りません。
電池を入れたままで仕舞い込んでしまった期間が
相当長かったものと思われます。
「電池なければただの箱」とこの時代の電子制御機を
揶揄する言葉が当時からありましたが
まさに電源が入らなければ
このカメラはシャッターも何も動きません。
それでも比較的簡単に強制的にシャッターを切る方法はあり
チャージ状態だったので強制的にシャッターを切ってみると
やはり派手なシャッター鳴きの異音も確認できました。
電池室の修復と機械的な動作部分の一通りの整備は必須で
電子制御的に致命的な問題がないかどうかは
電源が入るようにある程度電池室を修復してみないと
確認することもできない状況です。

画像は分解整備に取り掛かり始めのモノですが
電池室の蓋も端子の腐食の影響から樹脂が脆くなって
一部破損しており外れたまま閉められない状態です。
マイナス端子側のバネで出たり引っ込んだりする端子は
引っ込んだままの状態です。
それほど激しく腐食していなくてもここが引っ込んだままに
なっている個体は「旧AE-1」を含めて多いです。
今回は引っ込んでいるだけでなく端子自体が黒く変色していて
さらに端子裏側は緑青でびっしり覆われていて
完全に朽ちてしまっています。
ここは部品交換しないともはや通電させることは不可能です。
結果からいうと中古部品を使って端子交換で
電源は復活し、調整は必要なものの電子制御には
大きな問題もありませんでした。
あとは機械的に動きの悪い部分を整備して電気的にも調整を行っていきます。
今回も何とか快適に使える除隊に復活できそうです。

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オリンパスペンDのカメラ修理

今日は「あかりの日」ですね。
1879(明治12)年のこの日に
発明家トーマス・エジソンが
世界で初めて実用的な白熱電球を完成させたことに由来しています。
秋も深まってきて少し肌寒い夕暮れ時に
家々のあかりが何とも暖かそうに見える季節ですね。
当たり前のようにあかりがあるおかげで
日が暮れても普通に生活できますし
当店なんてあかりが点かなかったら
昼間でもほぼ真っ暗で仕事も何もできません。
本当に普通にあかるのある生活に感謝ですね。
エジソンが白熱電球を発明してから
150年も経っていないのですよね…意外と最近の話です。
それより前は行灯や石油ランプってことですね。
まぁたまにはそれも風情があっていいですが
生活するには暗すぎますよね…
しかしお店の電気代がここのところ
高止まりしているのが少し悩みの種です(苦笑)
空調ももちろんですが照明もかなり電気食うのですよねぇ…
(LEDじゃなくて天井組み込みの蛍光灯だし…)

さてさて

本日は「オリンパスペンD」のカメラ修理を行っています。
「ペンD」のDはデラックスのDですね。
最初のペンが出た翌年に高級型の「ペンS」が追加され
3年後に「プロ仕様のペン」とされる
「ペンD」が追加されました。
F1.9の高性能大口径レンズ、高速1/500秒シャッター、
LV値直読式内蔵露出計を装備したまさに最高級機です。
さすがにF1.9の大口径レンズや露出計(セレン)搭載のため
最初のペンに比べると少しだけ大きく重くなりましたが
それでもハーフカメラならではのコンパクトさです。
デザインの秀逸さもあって現在でも非常に人気の高いカメラです。

お預かりしている「ペンD」はまず巻上が上手くできません。
正確にいうと巻上はできるのですが
シャッターチャージが上手くいかず
巻上った瞬間にシャッターが切れてしまい
また次のコマに巻き上げられてしまいます。
たまにうまくチャージできても巻止めは効かず
次のコマに巻き上げられてしまいます。
今回のようにいつまでも巻き上げられてしまったり
巻上が二コマずつ進んでしまうような症状は
ペンシリーズ全体でよくあるトラブルの一つで
原因の多くはシャッター羽根が粘っていて
きちんと最後まで閉まりきっていない場合が多いのですが
(隙間は開いていなくても最後まで閉まっていない)
今回はそれに加えてシャッターユニットチャージレバーの
動きも悪いことが症状を悪化させてしまっているようです。


これからシャッタユニットを分離して
シャッター周りの整備から取り掛かっていきます。
おそらくかなり長い間使われていなった個体と思われ
レンズやファインダーもカビや汚れで
かなり曇った状態ですので
そちらもできる限りの清掃を行っていきます。
心配されるセレン光電池の状態は悪くなく
露出計にはさほど大きな問題はないようです。
ペンに限らずレンズシャッター機は
小さなバネ力で駆動する部分が多く
ちょっとした汚れや古い油脂でも動きが悪くなってしまいます。
登場して50年以上経つ個体が未整備であれば
当然ながらまともに動くわけがありません。
今回も入念い整備を行ってっ本来の動きを取り戻していきます。

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キヤノンFXのカメラ修理

今日は「海外旅行の日」だそうですよ。
「遠(10)くへ行く(19)」と読む語呂合わせからだそうです。
今の私にとっては都内から出るだけでも
結構な「遠くに行く」だからなぁ…(苦笑)
いいですね。海外旅行…非日常的な気持ちを味わえますね!
でも海外旅行なんてもうたぶん行くことはないかなぁ…
今までだって昔勤めていた会社の報奨旅行とかでしか
海外なんて行ったことないですし
そんな感じだからたいしたところにも行ったことがないのですが…
数十年前なら「いろんな遠くに行ってみたい!」という気持ちも
強かったですがさすがに近年はそんな気持ちが起こりません(笑
それでも頭いかれちゃう少し前までは(5,6年前)
1泊2日程度で行ける登山にはかなり行ったから
それが私の中では結構な旅でもあり冒険だったかな…
もう今はたまに墓参りに帰省する広島旅行が
一番楽しいしそれでもう充分ですねぇ…

さてさて

本日は「キヤノンFX」のカメラ修理を行っています。
1964年登場のカメラです。
いわゆる「キヤノンFシリーズ」の最初のカメラであり
FLマウント機としても最初の1台です。
成功とは言えなかった前身の「Rシリーズ」から
絞り連動機能を一新して改良したのがFLマウントであり
「Fシリーズ」ともいえます。
シャッター周りや巻上機構もかなり改良されていて
このFXでの機械的構造を基本として
後の数々の「Fシリーズ」や「F-1」が登場します。
露出計は内蔵されますがまだTTLではなく
外光式の露出計を搭載します。
受光体はCdSで明るさに応じて指針が動作し
その指針が指す絞り指示板がSSダイヤルと連動して動きます。
CdSの感度はHigh/Lowの2段切り替えとなっています。

お預かりしている「FX」は
まずシャッターが切れず(レリーズボタンも押し込めない)
巻上もできず…といった状況です。
幕の位置から判断すると一応巻上はできていて
シャッターはチャージ状態かと思われます。
外装にも一部緑青が出ている部分があり
かなり各部の動作も悪いものと予想されます。
露出計は電池を入れれば一応動作しますが
指針は露出計時/BC時共に非常に不安定で
指針がかなり踊っているような状態です。
プリズムはかなり腐食が進んでいて
こちらも交換しないとまともにファインダーも見えないような状態です。

シャッター不動…というよりレリーズ不良の原因は
巻上軸の汚れ等による動作不良にあり
巻上完了しているはずなのに
巻上軸が正しい位置で止まっていないような状態でした。
とりあえずはシャッターが切れるように応急的に
処置してみたところ何とか動作はしたのですが
巻上軸以外もシャッター幕軸やミラー駆動部等々
いろんな部分がまともに動けないような状態で
軋んだような異音も随分聞こえてきます。
機械的動作部分をひとつひとつ入念に洗浄清掃する必要があるようです。
その上で精度が出せるように調整を行っていきます。
プリズム腐食は視野中心の縦線は蒸着が単純に弱いところが
剥離したと思われ周辺部の大きな水の流れた跡のような腐食は
プリズム抑え内側に貼られているモルトの
加水分解の影響からできた腐食かと思われます。
上画像にもプリズム抑えとプリズムカバーに付着した
劣化モルトが写っています。
機械的にも露出計回路的にも全般隅々まで整備調整を行っていきます。

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ペンタックスS2のカメラ修理

今日は「冷凍食品の日」だそうですよ。
便利ですよねぇ…
いつもいつも冷凍食品のお世話になっているわけではありませんが
ちょっとしたときに冷凍食品と電子レンジで
簡単に済ませることができるのは助かります。
ハンバーグやギョーザとかのおかず系から
チャーハンやパスタ等の主食系まで
今はなんでもありますよねぇ~
晩酌のお供に何か簡単にできるものってときにも助かります。
ちなみに日付は10月は食欲の秋であり
また「れいとう(10)」(冷凍)と読む語呂合わせ
18日は冷凍食品を保存するのに適した温度が
マイナス18℃以下であることからだそうです。
保存温度のマイナス18℃は0℉(華氏0度:ファーレンハイト度0は
セルシウス度-18)に由来するのだそうです。
さらに温度を下げれば、魚に寄生するアニサキスのような
寄生虫を殺すこともできます。
また、マイナス18℃以下の温度は
長期保存においてビタミンCなどの栄養素を保つ役割もあるのだそうです。
利点はいろいろ多いわけですね!

さてさて

本日は「ペンタックスS2」のカメラ修理を行っています。
1959年発売のカメラです。
ペンタックスカメラ1号機である「アサヒペンタックス(AP)」や
フラッグシップの「K」に続いて
普及機クラスとして登場したカメラです。
生産ライン・工程の効率化が大幅に進められ
価格も比較的お求めやすく設定され大ヒットしたカメラです。
普及機ではありますがスクリーンにはマイクロプリズムが使われ
シャッターダイヤルも後に主流となる「一軸不回転式」となり
低速~高速までひとつのダイヤルで設定できるようになりました。
シャッター最高速こそ1/500までですが(後に1/1000も搭載)
機能的には当時のフラッグシップの「K」を超えた部分も多く
非常に使いやすいカメラとなりました。

「SV」以前の「アサヒペンタックス系」のカメラは
全てそうなのですがそれまでに未整備の個体の場合
ほぼ間違いなくシャッター幕交換が必須となります。
今回お預かりした「S2」もシャッター幕が開いたまま
レリーズしても何も動かず
もちろん巻上もできないという状態でした。
予想はしていましたが分解してみると
既に幕を引っ張るリボンは劣化でバラバラに千切れていて
引っ込んだまま出てこない後幕も
硬化してボロボロに裂けている状態でした。
先幕も一部がすでに完全に切れていました。
幕をそのままの形で取り出すことすらままならない状態で
これまでにやったことない機種であれば
幕の寸法採りもできずに苦労するパターンですが
「アサヒペンタックス系」の幕交換はこれまでも
何度も行ってきているので
寸法データもありそこは問題にならずにすみました。

強烈にクルクル巻き癖が付いているので
撮影のためにテープで留めていますが
幕はご覧の通りなかなか悲惨な状態でした。
いずれにしても交換なのでどんな状態でも一緒ではありますが…
幕は新たに切り出して作成し
慎重に位置合わせをしながら幕軸に貼っていきます。
先日の他機種の幕交換のブログでも書きましたが
取付位置次第で後からどんなに調整しても
シャッタースピードの精度が出なくなるので
そのあたりは慎重に行います。
それでも貼った後でうまく精度が出せずに
貼り直しになることも多々あります。
そのへんは根気よく取り組んでいくしかありません。
幕交換はもちろん重作業ですが
定期的に入ってくる作業でもあるので
慣れた部分もありますが油断せずに細心の注意を払って行っていきます。

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コニカSのカメラ修理

今日はこれといった記念日がないので
過去の10/16の出来事を調べてみると…
1986年に登山家ラインホルト・メスナーが
史上初の8000メートル峰全14座完全登頂を達成しています。
世界一標高の高いエベレストは有名ですが
標高8000mを超える山頂は世界に14座あり
そのすべてが広義のヒマラヤ山脈に存在します。
そのすべてを世界で初めて登りつくしたのが
メスナーさんなのですね。
それも全て無酸素だそうです。凄すぎます。
8000m峰全てを登った人のことを「14サミッター」と呼びますが
メスナーさん以降、現在では
44人の14サミッターがいらっしゃいます。
日本人では竹内洋岳さんが
2012年に29人目の14サミッターになっています。
8000m超えなんて想像を絶する世界ですよね
富士山の3776mだって頂上近くになると
明らかに酸素が薄いのがわかるのに…
「デスゾーン」とも呼ばれる標高8000m超えのエリアでは
酸素は通常の地上の約1/3となるそうです。
通常の人では高所順応できず
体内で酸素が補充されるよりも早く
酸素の蓄えを消費するのだそうです。
やはり想像を絶する世界ですね…

さてさて

本日は「コニカS」のカメラ修理を行っています。
1959年発売のカメラです。
「Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」と続いていた
それまでのレンズ固定式レンジファインダー機の
後継となるカメラです。
外観のデザインは大きく変更され
直線的なデザインとなりました。
「ⅢM」で折り畳み式セレン露出計が
搭載されるようになっていましたが
「S」ではスマートにボディ内に組み込まれ
SS・絞りリングと連動し定点合致式となっています。
搭載されるレンズは「Ⅲ」と同様の
ヘキサノン48mmF2レンズとなります。
シャッターユニットはコパルSVで
B・1s~1/500をカバーします。

お預かりしている「S」は
かなり長い間しまい込まれていたものかと思われます。
まずシャッターが全く切れません。
これはレンズシャッター機では定番の羽根固着かと思われます。
そしてレンズ・ファインダーには盛大にカビが発生しています。
多少のカビ跡が残る可能性もありますが
実用上問題のないレベルにまではクリアにできるかと思います。
そして露出計は残念ながら全く動きません。
後で取り外して見てわかりましたが
全く起電しないというほどではないのですが
セレンがかなり劣化してしまっているようで
光に対してわずかしか起電できないようです。
今回は何とか代わりとなる比較的状態の良い
セレンが確保できたのでそれと交換することで対応します。

画像は取り掛かり始めの段階でのモノです。
ここからシャッターユニットを分離して
シャッター周り、巻上関連から整備を行っていきます。
その後、セレン、露出計を取り外して修理を行い
できる限りの調整を行っていきます。
この時代のレンズシャッター機は少し大柄なこともあり
整備性は非常に良好です。
内部機構も非常にしっかり造れているカメラです。

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ニッカⅢAのカメラ修理

今日は「きのこの日」だそうですよ。
10月は「きのこ」の需要が高まる月で
その月の真ん中の15日が落ち着いて消費者に
きのこのことをアピールしやすいと選ばれたそうです。
天然物のきのこの旬もこの季節ですものね。
「きのこ」が頭(脳)に良いという話を少し前に
聞いてから割と積極的にきのこを食べるようにしています。
マツタケやホンシメジ等の高級キノコは
滅多なことで手が出せませんが
ブナシメジやシイタケ、ナメコ、エノキ、エリンギ等々
気軽に年中入手可能なキノコはたくさんありますものね。
キノコの種類にもよりますが
鍋物やお味噌汁の具にしても良いですし
煮たり焼いたりいろんな食べ方もできますし
素材として非常に使いやすい食べ物です。
もちろん美味しいのは言うまでもないですね。
子供の頃はシイタケが嫌いで嫌いで…(笑
煮物に入っているのをとにかくよけていたものですが
大人になってからはシイタケ大好きです!
食べ物の好みって成人すると変わりますよねぇ
特にこれからの季節、鍋物にシイタケがないとかはあり得ません(笑
今日も少し寒そうですし夜は鍋物にして
たっぷりシイタケ入れて楽しもうかと思います。

さてさて

本日は「ニッカⅢA」のカメラ修理を行っています。
便宜上、「ニッカⅢA」と断言していますが
たぶん「ⅢA」だと思います。
…というのもニッカのカメラは
通常は上カバー上にモデル名の刻印があるのですが
今回はその刻印がないのです。
ちょっとめずらしいですね。
特有の部品交換の必要がなければ
整備する分にはバルナックタイプのカメラは
メーカーごとに多少は違いがあるとはいえ
基本的な部分は似たようなものですし
モデルの違いはそれほど大きな問題ではありません。
それでも一応ざっと調べてみたところ
ⅢAの初期モデルには刻印がないものが存在するようで
今回はそれではないかと思われます。

いずれにしてもこのタイプのカメラは
シャッター幕交換が前提です。
今回も幕は相当劣化しており
シャッターはまともに動作できない状態でした。
当店で幕交換を比較的多く行うのは
今回のようなバルナックタイプのカメラや
アサヒペンタックス系の一眼レフですが
いずれにしてもそれなりの重作業で
相当に繊細な作業が求められます。
貼り方次第では後からいくら調整しても
シャッターの精度は全く出ないなんてことも
多々あることなので
場合によっては何度も貼りなおすこともよくあります。
基本的にはシャッター幕がちゃんと残っていれば
全く同じ寸法の幕を作成し
全く同じ位置に貼れば精度はでるはずなのですが
これも幕が激しく劣化している場合も多く
そもそもそれ以外の要因で精度が狂っている場合もあり
それなりに経験を積んできていても
なかなかうまくいかないことも多いのです。

いろいろ苦労もありますが
それはそれとして今回も何とかしっかり仕上がっています。
裏ブタがないバルナックタイプのカメラは
シャッター計測も少々難しいものがあるのですが
毎度のことで今回も計測器を使って
しっかり精度が安定してい出ていることを確認できています。
高速からスローまで全く問題はございません。
各部の動きも非常にスムーズになり
これで当分の間、安心して使っていただけれると思います。
フィルム装填等なかなか撮影にも手間のかかる部分がありますが
非常にコンパクトでもあり
その質感や使い心地も含めて
何とも言えず魅力のあるカメラだと思います。

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コニカC35FDのカメラ修理

今日は「世界渡り鳥デー」だそうですよ。
5月と10月の第二土曜日に制定されています。
南から来て夏に日本で過ごす「夏鳥」
北から来て冬に日本で過ごす「冬鳥」
渡りの途中に日本を通過する「旅鳥」に大別されます。
身近なのはやはり夏鳥である「ツバメ」ですかね。
でも昔はそこら中の軒先で「ツバメの巣」を見かけていましたが
最近は見ることの少なくなりました。
少し寂しいですねぇ
これからは「冬鳥」の季節です。
マガモとかハクチョウとかマナヅルですねぇ
ハクチョウとかはコハクチョウとだとしても
大型の鳥で群れでいるとなかなかの迫力ですし
意外と気性も荒いみたいです。
マガモやハクチョウがたくさん飛来する
湖や川も各地にありますが
遠目でいいので見物に行ってみたいですねぇ

さてさて

本日は「コニカC35FD」のカメラ修理を行っています。
大ヒットしたコンパクトカメラ「C35」をベースに
大口径レンズを搭載し、シャッターユニットを換装して
露出設定もシャッタスピード優先オートとしたカメラです。
プログラムオートで撮る「C35」に比べて
より撮影者の意図を反映した撮影ができる上級モデルです。
ベースは確かに「C35」なのですが
シャッターユニットが全く異なる構造なので
それに伴って巻上・チャージ機構の変更もあり
ノーマルの「C35」とは全く異なるカメラとなっています。
それでもボディ函体はC35なので
大口径レンズの分、鏡胴やレンズの出っ張りは大きいですが
このスペックを考えると非常にコンパクトなカメラであり
小さくても本格的な撮影ができるカメラとして
現在でも人気の高いモデルです。

お預かりしている「C35FD」はまずシャッターが切れず
巻上もできない状態です。
シャッターが切れない…というよりは巻上ができないようです。
よくある羽根粘りによるシャッター固着ではありません。
その状態では何も確認できないため
まずはある程度分解して原因を探ります…と分解を始めて
すぐに原因が発覚しました。
電池室の端子が破損していて
その端子の一部が内部に入り込み巻上部分に引っかかっていたようです。
電池室の構造はベースとなるC35と共通で
コストの問題もあり樹脂で端子を支えている構造ですが
このあたりが経年劣化で破損してしまうのですね。
それも電池のガスの影響も受けてしまうのでなおさらです。
完全に端子基部が破損していなくても
一部が折れてしまって電気的にショートしてしまう場合も多いです。
「FD」だけではなく「C35」シリーズ全体の弱点です。
もちろん新品で売っていた頃には全く問題なかったとは思いますが
「C35FD」にしろ販売開始から50年です。
当時の樹脂部品で力のかかる部分は劣化のため高確率で破損してしまいます。

画像は一通り修理整備が完了した状態でのモノです。
電池室の修復に加えてそこからの配線も
過去の電池の影響と思われる腐食で
ボロボロになっていたので配線もすべて交換です。
レンズ・ファインダーにもかなりのカビがあり
特にファインダーのカビはかなりしつこいものでしたが
できる限りの清掃を行い
非常にクリアな状態になっております。
もちろんシャッターユニットも整備も入念に行った上で
露出計・オート制御の調整も行い
精度も全く問題のないレベルで安定して出ています。
もうしばらく時間をおいてから
各動作の最終チェックを行い問題なければ完成となります。

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フジカST801のカメラ修理

今日は「豆の日」だそうですよ。
陰暦の9月13日に「十三夜」として名月に豆をお供えし
ゆでた豆を食べる「豆名月(まめめいげつ)」という風習がありました。
日付は暦どうりの「十三夜」とすると毎年日付が大きく変動してしまうので
新暦の10月13日としたそうです。
ちなみになじみの深い「十五夜」では
新芋(サトイモ)の水炊きを供えたりすることから「芋名月」とも称します。
月見団子の風習はそれよりも後で江戸時代あたりから始まったらしいですね。
「豆の日」は便宜上新暦10月13日で今日ですが
本来の十三夜(旧暦9/13)は今年は10月27日です。
「片見月」は縁起が良くないので
「十五夜」にお月見をした方は「十三夜」も忘れずに…
話が「十三夜」のお話に偏ってしまいましたが
「豆の日」です。豆と言えばじいさんが好んでよく食べてて
ビールのつまみが枝豆や落花生なのは当然で
呑まないときも「いかり豆」や煎った豆やら殻付きの落花生とか
やたらと食べていた記憶があります。
よく灰皿が落花生の殻でいっぱいになってたなぁ(笑
私もそこは似たみたいでたまに無性に「いかり豆」が食べたくなって
ついつい買ってしまいますし、ナッツ類もよく食べますねぇ…
たまに煎りたて熱々の大豆を食べたくなるのですよねぇ…
なかなか家で豆を煎ることはありませんが…
休みの日にでも煎ってビールのつまみにしようかな…

さてさて

本日は「フジカST801」のカメラ修理を行っています。
1972年発売のカメラです。
「STシリーズ」としては第二弾のカメラとなりますが
先に発売された「ST701」はシンプルなM42ねじ込みマウントでしたが
この「ST801」で開放測光に対応するため
位置決めのピンと絞り情報伝達機構の付いた
「フジカSTマウント」のレンズと同時に発売され
ボディ側も「STマウント」に対応可能となっています。
「ST701」用だったM42マウントレンズももちろん装着可能で
その場合は絞り込み測光で対応します。
そしてこの時代としてはまだかなり先進的だった
LED式ファインダー表示の露出計を搭載しています。
さらに布幕横走りシャッターとしてはめずらしく
SS最高速1/2000を搭載しています。
横走りで1/2000といえばニコンF2やキヤノンF-1等の
フラッグシップ機をイメージしますが
これらのカメラは金属幕を搭載し幕速も速くして
1/2000を達成しています。
それに比べるとST801の1/2000は幕速は通常の布幕横走り機の速度で
スリットをとにかく狭くすることで達成しています。
そのためやはり1/2000をコンスタントに保つには
こまめなメンテナンスが必要ですし
スリットが閉じてしまうようなトラブルもをやはり多いようです。

お預かりしている「ST801」は一通り動作してはいるものの
やはり全体的には動きが悪く先述した1/2000は
やはり不安定で閉じてしまうことも多い状態です。
ご依頼者様のお話によると「レリーズできないことが多々ある」そうでしたが
受付時にも症状が確認できず
作業前にも長めにいろいろ確認したのですが
その症状は出ませんでした。
ただしレリーズ部やミラー駆動部にかなり動きの悪い部分が確認できたので
原因はこのあたりかと思われます。
そして露出計も動いたり動かなかったり非常に不安定です。
こちらは電池室からの配線ハンダ付けの劣化が原因かと思われます。

画像は一通り整備の完了した状態でのものです。
シャッターは安定して動作するようになり
最高速からスローまで精度的にも問題ございません。
全体的に非常に動きは軽やかになっていると思います。
露出計も安定して動作しており
こちらも精度も確保されています。
画像で装着しているレンズは当店のテスト用レンズです。
適度にコンパクトで軽量で端正なスタイリングで
非常に使いやすいカメラです。
ただしフジカのカメラは全体的にそうですが
少々華奢な部分もございますので
未整備で年月の経っているものは
まず間違いなく整備の必要な状態だとは思われます。
しっかり手を入れてやれば
また当分の間は安心してお使いいただけると思います。

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