キヤノネットのカメラ修理

今日は2/15、なんだかキリが良くって
いろんな記念日がありそうな気がしたのですが
随分今日は少ないのですね…
バレンタインの次の日だからですかねぇ
そんな少ない2/15の記念日の中に
「次に行こうの日」なんてのがありますね。
4月の新学期を前に、「次に(2)行(1)こう(5)」と
読む語呂合わせからだそうです。
年度末も近くなって環境が変わる日が近い方も多いかもしれません。
そういうときには切り替えも大事ですね!
環境の変化だけではなくて
どうにもならないことやがんばってもどうにも難しいことは
さっさとあきらめて「次に行こう」と切り替えることも必要ですね。
反対にあまり見切りを早くつけ過ぎて
あきらめが早すぎるのもちょっとマズいとは思いますが…(苦笑)
何事も「継続は力なり」ってこともありますものね。
まぁケースバイケースで判断が難しいですね!
そこが人生の難しいとこでまた楽しいとこかもしれません。

さてさて

本日は「キヤノネット」のカメラ修理を行っています。
「キヤノネットシリーズ」は
1960年代~70年代にかけて作られたキヤノンの
コンパクトカメラのシリーズです。
時代の流れに合わせて様々なモデルが存在しますが
今回は記念すべき初代の「キヤノネット」です。
「キヤノネットシリーズ」の初代機という意味でも
メモリアルなモデルですが
コンパクトカメラという大きな枠でとらえても記念碑的なモデルで
キヤノンの最初のコンパクトカメラでもあり
当時の家庭用カメラとしてほぼ最高級の性能を持ちつつも
キヤノンの社員たちが自分たちの月給で買えるカメラを望んだことから
18,800円という性能に比して非常に安価なカメラで発売されました。
当然のごとく社会現象になるほどの爆発的ヒット商品となり
業界内では「ダンピングではないか?」と反発の声もあがったようです。
この初代キヤノネットの登場は
カメラの低額化・高機能化に付いていけなくなった多くのカメラメーカーを
倒産・撤退に追い込むきっかけともなり
まさに業界を揺るがすほどの存在となったカメラです。
そういう意味でも国産カメラの歴史上、メモリアルな存在のカメラです。

お預かりしている「キヤノネット」は初代キャノネットの中でも
初期のモデルでファインダー内の表示が絞り値表示ではなく
矢印(?)のような図形だけで露出指示を表示するタイプです。
このタイプの初期モデルも最近はあまり見なくなりましたね。
まずは巻き上げてレリーズボタンを押してみますが
レリーズボタンは押せるもののシャッターは全く動きません。
レリーズすると再び巻上は行えるのですが
シャッターはうんともすんとも動かない状態です。
レンズシャッター機よくありがちなシャッター羽根の固着かと思われます。
シャッター羽根がこれだけ固着しているということで
当然のように絞り羽根も固着しています。
特にシャッタースピード優先オート時にはシャッター羽根以上に
小さな力で絞り羽根を駆動するためシャッター羽根以上に
絞り羽根は固着・粘りが起こる可能性が高いと思います。
そしてこのタイプのカメラでやはりトラブルの多い
露出計が全く動きません。露出計本体には問題はなさそうなので
やはりセレン光電池の劣化か、
セレンから出ている配線の断線が原因かと思われます。
カメラの機種によってはセレンの状態は致命傷となることも多いですが
初代キャノネットはこれだけヒットしたカメラで
現存台数も多く、比較的程度の良いセレンが入手可能なので
最悪セレン自体がダメだった場合でも交換で対処できるかと思われます。


まだ現状を確認している段階です。
初代キヤノネットは巻上レバーも巻き戻しクランクも
底部側に配置されているので上カバー部は
非常にすっきりしたデザインです。
先日も書きましたがこのすっきりした上カバーに
筆記体の「Canonet」の文字が何ともカッコ良いですね。
上カバーがシンプルなのでネジ3本で簡単に外れます。
レンジファインダーやファインダー表示の構造
露出計本体やオート時の指針抑え機構の様子が確認できます。
ここだけはないですがキヤノネットは非常に効率的に
造ってあって価格破壊的な存在ではありましたが
内部構造にも安っぽさは微塵も感じられません。
今見ても非常に良くできたカメラかと思います。
それではこれから本格的に分解整備に取り掛かります。
整備性も非常に良好なカメラです。

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