日別アーカイブ: 2022年3月20日

アイレスフレックスのカメラ修理

今日は「LPレコードの日」だそうですよ。
「LP=Long Play」ですね!
毎分約33回転(33 1/3rpm)、標準は直径12インチ(30cm)で
収録時間は片面最長で約30分。直径10インチ(25cm)のものもあります。
それまでの材質がシェラック(樹脂)のSP盤(Standard Play)に対し
素材がポリ塩化ビニールとなったことで
丈夫で薄く軽くなり高密度で長時間の録音が可能になりました。
最近はまたレコードブームでちょっと言い方を変えて
「ヴァイナル」なんて呼びますね。
これも要はビニールってことでポリ塩化ビニール素材の
レコードのことを指すのですが…
さすがに私はSPレコードの世代ではなくて
モノ心ついた頃に普通にLPがあって
シングル盤は7インチ45回転のEP(Extend Playing)盤ですね。
中心の穴が大きいものは「ドーナツ盤」と呼ばれます。
私は買い始めた頃はLP2,800円、EP700円って感じでした。
子供の頃から少しずつ集めたレコードは私のところではいまだに現役で
結構頻繁に聴いています。
クリーナを盤面に吹きかけ拭き取り
針を掃除してレコードをセットし針を落とす…この一連の流れがいいですよねぇ
ある意味、フィルムカメラに通ずるものがありますね。

さてさて

本日は「アイレスフレックス」のカメラ修理を行っています。
〇〇フレックスとくれば大抵の場合、二眼レフです。
アイレス写真機製作所は東京にあったカメラメーカーで
前身は1949年に設立されたヤルー光学です。
アイレスになってから二眼レフブームも追い風となり
アイレスフレックスシリーズで成功し
その後、35mm判レンズシャッター機の
アイレス35シリーズを展開し
さらに一眼レフの開発・発売も行いましたが
残念ながら1960年に倒産してしまいました。

アイレスフレックスもたくさんの種類があるのですが
この時代の二眼レフにありがちな話で
銘板は基本的にどれも「AIRESFLEX」としか表記がありません
(一部輸出用に「AIRES REFLEX」も存在)
でも今回お預かりしているアイレスフレックスは
まだわかりやすいほうで
シャッターユニットに当時の最高級シャッター
「セイコーシャラピッド」が搭載されていることから
「アイレスフレックスZ」かと思われます。
「Z」には搭載レンズが3種類存在し
「日本光学・ニッコールレンズ」、「オリンパス・ズイコーレンズ」
そしてアイレス傘下の「昭和光機・コーラルレンズ」の場合があり
今回お預かりしている個体はコーラル75mmF3.5レンズを搭載します。
1953年発売のカメラです。

おそらくかなり長い間仕舞い込まれていた個体かと思われます。
まずシャッターはチャージレバーは動き
チャージは完了するもののレリーズしても
うんともすんともシャッター羽根は動きません。
さらにシャッタースピード設定レバーも
絞り設定レバーも強烈に固着していて
全くビクとも動きません。
シャッターが開かないのは定番のシャッター羽根の固着かと思われます。
設定レバーが動かないのはレバー動作部自体が固着しているようです。
それに加えてSSが1/500でチャージ状態のため
(セイコーシャシャッターの1/500は別バネ使用で
一旦設定してチャージすると非常に重くなります
さらにチャージしてから1/500に入れることも
重すぎてほぼ不可能です。負荷がかかるので
チャージ状態から無理に動作させることはお勧めしません)
なおのこと動かないものと思われます。
ファインダーミラーはこちらも定番で
劣化してクモリが酷い状態です。
スクリーンもかなり汚れています。
テイクレンズ・ビューレンズそれぞれにも
やはりカビがかなり発生しています。
きちんと全体を整備しないととても使える状態ではありません。

レバー類の固着はやはりレバーそのもの固着でした。
画像の状態にして直接絞り羽根動作部分を動かすと
粘りでスムーズではないもののとりあえずは動きます。
SSの方はまずシャッター羽根の固着を解消しないと
無理には動かせない状態です。
いろいろとトラブルは抱えてはいますが
致命的な部品の破損とかはなく
経年で動作不良をあちこちで起こしている状態です。
つまりは動きやすい状態にさえしてやれば
問題なく使用できる状態になると思われます。
レンズはカビこそあったものの
変質によるクモリとかはなく
元々ある細かい傷とかは残りますが
撮影に問題ないレベルのクリアさに清掃できました。

整備後の動きは快調で
クリアなf大ンダーでのピント合わせも快適です。
ご依頼者様はまだこのカメラのまともな状態を
体験されていないと思われますので
是非、本来の姿で撮影を楽しんでいただきたいと思います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。