キヤノンAE-1のカメラ修理

今日は「チンチン電車の日」だそうですよ。
いわゆる「路面電車」のことですが
「路面電車の日」は6月10日なのですね。
同じもののはずなのですが。。。
私は広島・呉出身なので広島市内を走り回る
「チン電」には馴染みが深いです。
私が生まれる直前までは呉市内にも「チン電」が
走っていたそうです。
地質的に地下鉄を走らせることが難しいらしく
広島市内の「ちん電」は今でも市内の重要な交通機関です。
見ていて楽しいのは最新型の電車もあるのですが
日本中から集まった昔の電車が今も現役で
走っていることですね。
次回、広島を訪れる際には「ちん電」もしっかり写真に
撮ってこようと思います。

さてさて

本日は「キヤノンAE-1」のカメラ修理を行っています。
「キャノンAシリーズ」の先陣を切ったカメラですが
時代を大きく変えたと言っていい1台だと思います。
1974年、キヤノンの各部門一丸となって
「新機種X開発計画」としてスタートし
その2年3ヵ月後の1976年、AE-1がデビューしました。
世界初のマイクロコンピュータを搭載したカメラで
1973年発売のEFと同様の露出制御をコンピュータで実現
その上に徹底的な生産の効率かも行われ
従来機種より300点もの部品削減を行ったカメラです。
一眼レフの普及に非常に大きく貢献したカメラですね。
ちなみに自動露出制御という意味で使われる「AE]は
「Automatic Exposure Control 」の略ですが
「AE-1」の「AE」は
「Total Automatic System By Electronic SLR Camera 」の意味を持ち
「1」は電子式カメラにおける頂点を指すそうです。

「連写一眼」のキャッチフレーズで
使いやすい上に比較的お求め易い価格設定もあり
とにかく非常に売れたカメラです。
現存台数が多いため現在でも見かけることの多いカメラですが
結構手荒く扱われた個体も多く
未整備のものは何らかのトラブルを抱えているものが多いと思います。

今回、お預かりしている「AE-1」は
ご依頼者様が昔から使っているカメラなので
非常に丁寧に使われている個体ですが
それでも各部に主に経年劣化が原因と見られる
トラブルが見られます。
「Aシリーズ」で有名なのはシャッター鳴きですが
今回はそれはほとんどありません。
もちろん時間の問題で放っておけば出てくるものなので
この機会に予防として対処いたします。
現段階で問題なのは電池室からの電源供給が
どうも不安定なようでシャッターが
切れたり切れなかったりしてしまっています。
加えて露出計が示す値も実際のオート露出も
4段以上オーバーとなってしまっています。
これだけズレていると基板内の調整のみで
何とかなる範囲ではありません。

フィルムカメラだと当たり前なのですが
最新のデジカメだと電子シャッターというと
シャッターそのものが電子式という場合もありますが
フィルムカメラの場合、電子制御式。。。ですから
制御しているのは電子基板ですが
シャッターは機械的に動作しています。
当然、動作部分は定期的に清掃・注油を行わないと
トラブルの元になってしまいます。
今回もシャッター幕軸やミラー駆動部、巻上部等々の
清掃・注油を行っていきます。
露出計、オート露出が大幅にオーバーだった点は
基板周りのハンダ付けの劣化が影響しているようで
怪しいと思われる箇所のハンダ付けをやり直した結果
微調整で済む程度の値に改善されました。

これから組み上げて調整を行っていきます。

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