ニコンFのカメラ修理

今日は「振袖火事の日」だそうです。
1657(明暦3)年のこの日、
江戸城天守閣と市街のほとんどを焼失し、
死者が10万人にもおよんだ明暦の大火が起きたそうです。
諸説ある火事の原因の中で
いわくつきの振袖が原因。。。と言われる話が
まことしやかに語り継がれており
「振袖火事」の異名があるそうです。
長くなるので割愛しますが
ご興味のある方は調べてみてください。
個人的には人の霊魂だとか怨念だとか死語の世界だとか
一切存在するわけがないと思っていますが
世の中には不思議なことが数多くあるのも事実ですね。
そういうのはきっと人の目に見えない蟲か妖精のせいだと思っています。

さてさて

今日は「ニコンF」のカメラ修理を行っています。
今回の「F」はボディのみの状態でお預かりしています。
「F」の中では後期モデルにあたる
「ニューF」とも呼ばれるものです。
外観上では巻上レバーやセルフタイマーレバーが変更されています。
もちろん基本的な構造は従来の「F」と変わりません。

この「ニューF」ですが巻上が全くできません。
巻上レバーは手応えなくスルスルと回るのですが
シャッター幕が全くチャージされません。
幕の位置は1/3ほど巻き上げられた
中途半端な位置で止まったままです。
ただ、フィルムを送るスプロケットは回っています。
実際に試してみると「F」使いのかたなら
イメージできると思いますが
「A-Rリング」を「R」ポジションにしたまま
巻き上げているような感じ。。。です。
今回はもちろん「A-Rリング」は「A」になっています。

巻上部がおかしいことはわかっているので
本格的に分解する前に巻上部上カバーを外し
下カバーも外し、巻上機構がある程度確認できるようにしておき
まずは動きを観察します。
やみくもに分解すると何が悪かったかわからなくなる可能性があるので
先に悪い箇所だけある程度ははっきりさせておきます。
もちろん最初に「A-Rリング」下部のリンクを疑いましたが
ここには問題はないようです。
しばらく動きを確認しているとどうやらスプロケット下の
クラッチの動きが悪いらしくシャッター幕軸にリンクしていないようです。
ある程度、原因が確認できたところで
本格的な分解整備に取り掛かります。
悪いところがわかっていると分解したときにそこを入念に
チェックしなくてはなりません。
よくわからないまま分解してしまうとたまたま動きがよくなって
原因のわからないまま症状が改善してしまうこともあります。
そのまま進めてしまうと再組み立てしてしばらくすると
同じ症状が出てしまう可能性も高いため
トラブルの原因はできるだけ分解する前に
ある程度、原因箇所をはっきりさせておくことが大事です。

整備・修理が完了し再組み立てした「F」は
あの剛性感の非常に高い精密な巻上が復活しました。
おそらく同じトラブルはもう出ないと思われます。

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