ニコンF2フォトミックAのカメラ修理

今日は「旅の日」だそうですよ。
1689年(元禄2年)5月16日(旧暦3月27日)に
俳人・松尾芭蕉が江戸から
『おくのほそ道』(奥の細道)の旅へ
出発したことが由来となっています。
この頃の旅は全て徒歩だから
今のような気軽な旅立ちではないですよね。。。
私もお金と時間があり余るほどあれば
ふらりと無計画な旅へと出かけたくなるかもしれませんが
現実はそんなに甘くはありません(笑)
でもたまにはそんなに遠くでなくてもいいから
非日常的な景色や場所を楽しみたいですよねぇ
身体がストレスなく動くようになって
生活に余裕ができたら
温泉旅行くらいでいいから行きたいですねぇ。。。

さてさて

本日は「ニコンF2フォトミックA」のカメラ修理を行っています。
F2のフォトミックファインダーは種類がいろいろあるのですが
「フォトミックAファインダー」は
一番基本形の指針式無印フォトミックを
Ai対応としたものです。
すなわちレンズとの連携はカニ爪ではなく
AI連動環を使って連動します。
非Aiレンズだとファインダー側の爪をたたんで装着しなくてはならず
露出計との連動が必要な開放測光はできません。
ニコンFマウントは現在に至るまで
マウントがずっと同一で物理的にはどのレンズも基本的には装着可能ですが
Aiレンズと非Aiレンズには注意が必要です。
AiレンズをAi連動以前のボディに装着する場合には
大した問題はありませんが
(デジタル用のレンズや
絞り環のないAF用Gレンズ等はここでは考慮しません)
非AiレンズをAi連動するボディに装着する場合は
注意が必要です。
Aiレンズへの過渡期のボディであれば(フォトミックAもそうですが)
Ai連動爪が折りたためるようになっており
非Aiレンズ装着時にはかならず折りたたまないと
連動爪を破損する可能性があります。
Aiレンズ使用を前提としボディ側のAi連動爪が
固定されているボディ(FM2・FE2・EM系)であれば
そもそも非Aiレンズを装着してはいけません。
たまに某オクやフリマサイト等で
非Aiレンズが装着されたFM2とかを見ますが
連動爪が無理矢理押し込まれてしまっているので
変形や破損のリスクが非常に高くなってしまいます。
ニコンに限らずレンズマウントは
ややこしい話や決まりごとが多いので
知識のない場合は妙な組み合わせで装着しないようにお願いします。

お預かりしているF2フォトミックAは
まずミラー駆動がおかしなことになっていて
シャッター駆動時にゆっくりとミラーアップしてシャッターが切れます。
粘りや固着というよりは何だかどこかに干渉しているような感じです。
加えて露出計は全く動きません、
こちらはボディ側の電池室から電圧が供給されないようです。
フォトミックファインダーの露出計も精度に問題がありますが
こちらは調整で何とかなりそうなレベルです。
高速シャターではやはり精度は出ておらず
巻上やシャッター幕軸に油切れの兆候も見受けられます。
全体的に整備・調整が必要な状態です。

ミラー駆動がおかしな原因はミラーチャージレバーが
なぜか変形しており駆動時に周辺に干渉してしまうためでした
変形はできる限り修復し、動作に問題のない状態にいたしました。
電源供給不良はF2定番の
電池室端子留めステー部の破損が原因です。
他、駆動部分の清掃・注油、SS調整、露出計調整等
一通りの整備も行い、非常に快適に動作するようになりました。
相変わらずスマートさとかスタイリッシュさとは
無縁なF2フォトミックの外観ですが
この武骨さが何とも言えず良いのですよねぇ。。。
ライバルのキヤノンF-1とは本当に正反対で面白いですね。
ご依頼者様はこのF2が使えるようになったら
山に持っていきたいとおっしゃっていました。
質実剛健なF2に非常に似合うシチュエーションですね。
是非素晴らしい山の写真をたくさん撮っていただきたいと思います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。