ヤシカエレクトロ35GSNのカメラ修理

今日は「あかりの日」です。
1879(明治12)年のこの日に
トーマス・エジソンが世界で初めて
実用的な白熱電球を完成させたことに由来した記念日です。
「あかり」というとやはり白熱電球の
あたたかい光が合いますよね。
うちの実家の玄関路地を照らす灯りが
白熱電球で家の中からコンセントを抜き差しして
点灯させるような原始的なものだったのですが
それがないと玄関前で本当に真っ暗で
足元なんて全く見えないのですね。
で、私が帰ってくるころにばあさんが
いつも見計らってその外灯を点けておいてくれるのです。
ちょっとしたことだけど
帰ってきてうちの前の路地に入るときに
煌々とあたたかそうな白熱電球がついているのを
見ると何だか妙に嬉しかった記憶がありますねぇ
で、帰って家に入ってしばらくすると
「外の電気消したか?」って必ず聞かれるのも懐かしいなぁ
(年寄りの家なので電気はこまめに消さないと怒られる)
あぁ、やっぱり実家借りたままにしておけばよかった(苦笑)
実家のあかりって
なんであんなにもあたたかそうに見えるのでしょうねぇ

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35GSN」のカメラ修理を行っています。
こちらは白熱電球ではなく
「ろうそく1本の光でも写る」を目指して作られた
長時間露出性能の高い電子制御シャッター搭載の
絞り優先AE専用機です。
初代が発売されたのは1966年で
今回の「GSN」が発売されたのが1973年です。
この「GSN」までは初代のデザインそのままに作られたモデルで
これ以降のモデルは時代を反映して小型化されていきます。
やはりエレクトロというとこのちょっと大柄な
初代からGSNまでのものが「らしい」ような気がします。
ブラックもいいですがヤシカらしい
ギンギラギンのシルバーがさらに良いですね。
これもGSNより後のモデルだと
ギンギラギン度合いが少し地味目になってしまいます。
搭載されるレンズのスペックは初代と同じく
45mmF1.7の大口径です。
この大口径レンズも「ろうそく1本の光で写る」ために
少しでもSSを稼ぐために採用されたものです。
「GS」以降ではコーティングが一新され
カラーヤシノンDX45mmF1.7となっています。
独特の青みがかった全体的には少し暗めの
ファインダーも本来であれば二重像の非常に見やすい
コントラストのついたファインダーです。
ただし未整備のものは汚れが酷かったり
曇っていて非常に見づらいものが多いと思います。

お預かりしているエレクトロ35GSNは
数日前まで普通に使えていたそうなのです。
それが現在では電池を入れるとバッテリーチェックは点灯するものの
シャッターが全く制御されず
明るさに関係なく同じ速度で切れてしまっています。
露出の適正やスローシャッターを警告する
赤・黄ランプも点灯はするようです。
古い電子シャッター機なので
電子部品に何かあるとお手上げの可能性もあるのですが
いろいろ動きを確認しているとどうも機械的に
シャッター駆動部の動きが悪いのか
ソレノイドの吸着が汚れ等で悪いのではないかと思われます。
そのあたりシャッター周りの接点も含めて
整備を行っていきます。

どうやらやはり電子部品の問題ではなさそうです。
一通りの整備を行った結果
再びシャッターを正しく制御できるようになりました。
今回は結果的に良かったのですが
さすがにエレクトロは電子部品の不具合で
修理不能のことも多いカメラです。
ただ、それ以上に単純な機械的トラブルや
接点・配線の異常によるトラブルのほうが圧倒的に多いとは思います。
初期のエレクトロは1960年代~70年代の
日本の空気感を非常に濃く伝えてくれるカメラだと思いますので
こうしてできるだけ多くの個体が
まだまだ活躍できる状態になれば私も嬉しく思います。
ただ写りは決してそれほどレトロなものではなく
非常に良い写真を作り出してくれます。
このあたりもエレクトロがなかなか侮れない部分かと思います。

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