ミノルタハイマチック7のカメラ修理

今日は「冥王星の日」だそうですよ
少し前に冥王星の軌道が海王星の内側に入った日の
話をここでしたばかりですねぇ(苦笑)
1930(昭和5)年のこの日に
アメリカ・ローウェル天文台の天文学者クライド・トンボーが
太陽系第9惑星「冥王星」を発見したことを記念した日です。
海王星の軌道の乱れから冥王星の存在は
予想されてはいたのですが実際に発見されるまでは
かなり時間がかかったそうです。
それもそのはずで冥王星は地球から見て15等星という暗さだったのです
空気のキレイなところで目の良い人が肉眼で見える
最も暗い星が6等星と言われています。
5等級異なると100倍明るさが異なるということなので
肉眼で見えるギリギリの明るさから
1/10000の明るさしかないということですね
そんな小さな星が良く見つかるものだと思います。
(実際にはある程度ありそうなエリアを絞り込んでおいて
日付の異なる日に撮った写真を比べて
動いている星(惑星)がないか探すのだそうです。
それにしたって冥王星より明るい
多少近くにある小惑星だってたくさんありそうですし
どちらにしても気の遠くなるような作業だったと思われます。
冥王星は月よりも小さく直径は2370kmしかありません
(月は3474km、地球は12,700km)
それが約48億kmのかなたにあるわけですねぇ
太陽系だけでもとんでもなく広いですねぇ
それと比べてもいけませんが私の部屋の何と狭いことよ(笑)

さてさて

本日はミノルタハイマチック7のカメラ修理を行っています。
1963年発売のカメラです。
ハイマチックシリーズと言えば60年代から70年代にわたり
ミノルタを代表するレンズ固定式カメラのシリーズです。
ハイマチック7はその2代目にあたりモデルですが
名前は「7」です。
これは初代ハイマチックのOEM製品である
「アンスコオートセット」が
マーキュリ-アトラス6号(コールサイン「フレンドシップ7」)に
搭載されて初めて宇宙に飛んだカメラとなったことを記念して
フレンドシップ7の「7」からハイマチック7となったわけです。
これ以降、ミノルタのカメラは戦略上、重要なモデルに
「7」を含むモデル名を多用します
(SR-7、X-7、α7000、X-700、α-7等々)
ハイマチック7は初代ハイマチックと比べると
内部構造も含みかなり大幅な変更を行っています。
そしてこの後続く初期のハイマチックシリーズのベースモデルとなっています。
初代と同じくプログラムオート露出を搭載しますが
初代では不可能だったマニュアル露出も可能となっています。
露出計は受光体がCdSのものに変更され
ファインダー内にEV表示することでオート時だけではなく
マニュアル時にも非連動ながらちゃんと動作するようになっています。
(連動の問題ですがマニュアル時に
露出計使用不可になるこのジャンルのカメラは意外に多いのです)
レンズは大口径のロッコールPF45mmF1.8で
シャッターユニットはセイコーシャLAで最高速は1/500です。

お預かりしているハイマチック7は
まずシャッター羽根がレリズしても全く開きません。
レンズシャッター機定番の羽根固着です。
シャッター羽根がこれだけ固着しているということは
絞り羽根にもやはり粘りがあり
マニュアル時にはそれほど問題にならないのですが
小さなバネ力で絞りを制御するオート時には
やはり上手く開閉ができないようです。
加えてレンジファインダー内のハーフミラーが劣化して
蒸着部分がかなり剥がれ落ちているのが
明らかに目視でわかります。
これ以上剥離が進むとそのうちハーフミラーではなく
ただの素通しのガラスになってしまいます。
当然今の状況でも随分剥がれ落ちているので
ファインダー内の2重像やブライトフレームの見えは良くありません。

ハーフミラーは交換で対処するしかありません。
シャッターが開かなかったので透かして見られなかったのですが
外してみるとレンズにも強烈にカビが生えています。
後玉表面のカビはかなり深く侵食しており
さすがにカビ跡は残りそうです。
通常の撮影に問題のないレベルに持っていくように
できる限りの清掃で対処いたします。
当時としてはコンパクトカメラに分類されるでしょうが
現在の感覚だとコンパクトとはいいがたい大きさです。
でもその余裕のある大きさのおかげで
整備性はなかなか良好です。
後のハイマチック9,11、7Sと長きに渡って
この「7」がベースとなるわけですが
それだけしっかり考えられて作られている内部構造だと思います。
個人的にもかなり」好きなカメラの一つです。

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