オリンパスOM-1Nのカメラ修理

今日は「旅の日」だそうですよ。
1689(元禄2)年5月16日(旧暦3月27日)、
俳人・松尾芭蕉が江戸を立ち、
『おくのほそ道』(奥の細道)の旅へ
出発したことに由来しています。
隅田川から日光街道を北へ進み
下野・陸奥・出羽・越後・加賀・越前など
彼にとって未知の国々を巡る旅は
全行程約600里(約2400km)に及ぶ
徒歩の旅でした。
芭蕉は体が弱かったため困難も多かったそうですが
2年後の1691(元禄4)年に江戸に帰ってきたそうです。
2400kmの徒歩の旅は気が遠くなるような距離ですね…
出発時の芭蕉の年齢は45歳…本当にすごいですねぇ
日々の仕事も生活もあるし
そんな長期に渡る旅なんて私には無理ですねぇ
せいぜい先日のGWや年末年始の墓参り帰省ぐらいで
精一杯です…(苦笑)
それ以前に今更見知らぬ土地に
それほど行きたいとも考えないのですが…(笑
日帰りで行ってこられるような場所でさえ
以前から行きたいと思っていて行けていない場所だらけです…
世の中はもはや今の私には広すぎますね(苦笑)

さてさて

本日は「オリンパスOM-1N」のカメラ修理を行っています。
最近、少しペースが落ちているような気もしますが
まだまだ修理依頼の多いOM-1シリーズです。
「軽量コンパクトな機械制御一眼レフ」というジャンルで
ほぼ独り勝ちしてると言ってよいカメラだと思います。
そのコンパクトさを実現するために
通常の一眼レフでは見られない数多くの工夫や
独創的構造を持った独自性の非常に強いカメラでもあります。
現行モデルだった頃はその堅牢性も高い評価を受けていましたが
さすがに登場から50年が経過する現在ともなると
多少華奢な部分が隠せないのも事実です。
…とはいえ整備性もよく考えられたカメラですので
交換のできない部品等が存在するのも事実ですが
大抵の場合がきちんと整備することで
まだまだ使い続けることのできるカメラだと思います。

OM-1Nは1979年委発売された
OM-1のマイナーチェンジ版ともいえるモデルで
機能的にはフラッシュ関連の機能が追加された程度で
それほどOM-1と大きくは変わりません。
ただ内部の部品等はかなり変更が行われていて
OM-1と互換性のない部分も多くあります。
特に露出計SWや露出計回路、
メーター周辺部には大きな変更が行われています。

お預かりしているOM-1Nは
まず露出計が電池を入れても全く動きません。
このパターンで多いのは電池室周りや
配線の腐食や劣化等ですが
今回はそのあたりの状態は良好で
ボディ上部の基板入口までしっかり電流は届いています。
こうなるとOM-1でも1Nでも
怪しまれるのはメーター本体断線かアース不良
あるいは電源SWの接触不良です。
従来のOM-1だとSW不良が最も可能性が高いのですが
1NはSwが大幅に改良されているので
SW部の可能性は低いかな…メーター本体や
アース不良(メーターアース箇所は
1Nになってちょっとややこしいところにある)だと
ちょっと厄介だな…などと考えながら確認を進めていくと
今回は構造の新しくなっているSW部の不良でした…
メーター本体のトラブルでなくて少し安心しました(苦笑)
従来のOM-1よりはトラブルは少ないはずなのですが
やはりSWのトラブルはそれなりにあるようです。
それに今回は大丈夫でしたが
ちょっと構造的に破損しやすい部分もあるので
1NのSW部(従来のOM-1の後期も同じ構造の場合もあり)は
要注意な箇所ではあります。

露出計トラブルの原因は確定しましたが
その露出計の精度もずいぶん狂っていることと
高速シャッターの精度もイマイチなことがわかっているので
シャッター・巻上部を含め
これから一通りの整備を行っていきます。
1Nになってもプリズム周りのモルトは相変わらずで
今回もかなり劣化が進んでおり
一部プリズムにも影響が出ていました。
もちろんこれ以上プリズムに侵食しないように
できる限りの対処も行います。

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