オリンパスペンEE-3のカメラ修理

今日は「食堂車の日」なのだそうですよ
1899(明治32)年のこの日に私鉄の山陽鉄道(現:山陽本線)において
官設鉄道・京都駅~三田尻駅(現:防府駅)間の急行列車に
日本で初めて食堂車が連結されて走ったことが由来となっています。
私、子供の頃にいわゆる「ブルートレイン」ブームが
あったりして食堂車には憧れましたねぇ
その頃は寝台特急ばかりではなく新幹線にも食堂車があったのですが
残念ながら体験することなく今に至っています(苦笑)
今や「食堂車」は非常に貴重な存在で
特に車内に調理設備を備えた列車は数えるほどしかありません。
うーん、機会があればやはり体験してみたいとも思いまし
今でも憧れはありますが…たぶん縁はないかなぁ…
豪華列車に乗って旅をする…なんてことが
まずなかなかありえないかな(苦笑)

さてさて

本日は「オリンパスペンEE-3」のカメラ修理を行っています。
ここのところ初代ペンの流れを汲むマニュアル機「ペンS」の修理が
続けてありましたが
やはり依頼の多いのはこちらの「ペンEEシリーズ」です。
「買ったその日から、ボタンさえ押せばだれにでも写真が撮れるカメラ」という
コンセプトで、固定焦点など機能を限定したシリーズです。
セレン光電池をレンズを囲むようにドーナツ状に配置し
そのセレンを使って露出計を駆動します。
露出制御は露出計の指針挟み込み式の自動露出で
シャッタースピードは露出計の指針によって2速
(EE-3は1/40・1/200)を切替、絞りも指針位置により制御を行います。
露出計指針が反応しないほどの暗さになると
これもオペンEE系やトリップ35で有名な「赤ベロ」が
ファインダー内に出現しシャッターロックがかかります。
ピントも固定焦点で撮影者が合わせる必要はありません
(逆に言うと合わせることができないともいえますが)
巻上こそ手動で行わなければいけませんが
あとは構えてレリーズボタンを押すだけです。
セレン光電池なので電池も不要で電源Swもありません。
考え方によっては最新のデジタルより簡単とも言えますね!

EE-3はその手軽さや設計の良さもあり
ペンシリーズの中で最後まで生産され続けたモデルです。
登場は1973年ですが1986年まで生産され続けました。
こんなレトロなルックスのそれもハーフカメラが
1986年まで作り続けられたということも驚きです。

生産年数も長いため現存台数も多く
コンディションも千差万別です。
しかしながら生産中止からも36年が経とうとしており
さすがに未整備の個体をそのまま使うのは難しいと思います。
お預かりしているEE-3も一通りは一応動くのですが
モルトは全滅で間違いなく光線漏れが起こる状態で
動作しているとはいえオート制御は
かなりオーバー目に制御されており
写真を撮ると光線漏れがないと仮定しても
かなり白っぽく写りそうです。
オーバー目に制御する原因はおそらくセレンの劣化で
起電量が落ちているためとみられ
LV9あたりの明るさで既に「光量不足」となり
赤ベロが出てしまいます。
少し薄暗い場面ですぐに撮影できなくなる状態です。

セレンの劣化自体はどうにもなりませんが
もともとこのカメラはセレンの起電量を抵抗で少し抑えてから
露出計に流しています。
このくらいの起電力の低下であれば抵抗の交換と
露出計の調整で何とか対応できそうです。
これから急激に劣化が進むとは考えにくいので
ここで一度調整を行っておけば当分普通に使えるかと思います。

まだ取り掛かり始めですが露出計の調整の前に
機械的な動作部分の整備を一通り行い
レンズやファインダーの清掃も行います。
いつも書きますがレンズシャッターの駆動も
シャッタスピードの切替機構にしても
とても小さなバネ力で駆動しています。
ちょっとした汚れやサビ、油切れによって
簡単に動作不良や固着を発生させてしまいます。
当分の間そういうことにならないように
一通りの整備を行っていきます。
構造自体は非常にシンプル且つ効率的に造られていて
改めて見ても「よく考えて作られているなぁ」といつも思います。
セレンさえ生きていて
整備さえ行えばまだまだ存分に使えるカメラだと思います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。