オリンパスペンFのカメラ修理

今日は「元号の日」だそうですよ。
645年(大化元年)のこの日に
蘇我氏を倒した中大兄皇子(後の天智天皇)が
日本初の元号「大化(たいか)」を制定したことが由来となっています。
以来、現在の「令和(れいわ)」まで
248の元号が定められているのだそうです。
元号は中国を中心にアジア東部における紀年法の一つですが
現在は日本のみで制定・使用されています。
「明治」より前、すなわち「慶応」以前は
天皇の交代時以外にも随意に改元されていました。
吉事の際の「祥瑞改元」、
大規模な自然災害や戦乱などが発生した時の
「災異改元」などがあるそうです。
改元は一年の途中でも行われ
一年未満で改元された元号もあるのだそうです。
そんなに頻繁に改元されたらややこしくてたまりませんね…(苦笑)
システム的に厄介なのも重々わかるので
基本的には西暦表記でいいのではないかと思います…
私は昭和44年生まれで世代的には「昭和」なのだと思いますが
(多感な10代を「昭和」で過ごしてますし…)
冷静に考えてみれば平成を過ごした期間の方が
もう長くなっていたのですよねぇ…
現在は令和…令和で過ごした期間が
平成以上に長くなる…はないかな…(苦笑)

さてさて

本日は「オリンパスペンF」のカメラ修理を行っています。
ペンF系も修理以来の多いカメラです。
ハーフ判の一眼レフといった時点で
もはや孤高の存在ですが
毎度書きますがペンFは単に35mm判一眼レフを
ハーフ判に置き換えたカメラではなく
ハーフ判であることを最大限に生かすために
独自の特殊な構造を多く採用しています。
心臓部となるロ―タリーシャッターもそうですし
そのシャッタスピードを制御するガバナの構造も独特です。
さらに横方向に駆動するミラーシステムや
ボディ巻上側に第二反射面となるプリズムを置き
さらに接眼部に第四反射面となる小プリズムを配置する
ファインダー光路も他に例をみないものです。
その構造のため外観デザインもペンタ部の出っ張りのない
一眼レフとしては特異なデザインとなっています。
もうこの独自構造の多さだけでも非常に魅力的なカメラです。

ただし他メーカーのやらないことをやっているということは
構造的に多少難しい部分も多く
機械的にまだ新しい分にはよかったのですが
登場から60年近く経過する現在となっては
各部の劣化等もあって
多少はトラブルの多いカメラと言えるかもしれません。
…いや…この時代のカメラなら
いずれにしても大差ないかな…トラブルはあって当然かな…

お預かりしているペンFは
シャッターが開いたままの状態で固着しています。
当然シャッター走行が完了していないので
ミラーアップもしたままです。
ミラーアップのみの状態であれば
かなり多く見かけるトラブルで
ミラー駆動部のトラブルである可能性が高いですが
今回はシャッターが途中で止まってしまっている…ということなので
シャッター駆動部のトラブルの可能性が高そうです。

各部のネジの取り付け方や革の張り方からして
分解品なのは明らかでしたが
シャッター駆動部のギアの軸が折れてしまっていました。
それに加えSS制御ガバナーのアームも折れており
(ここはちょくちょく折れた個体を見かけます。)
軸の入れ替えやアーム部の交換等で対応できないこともないのですが
ちょっと信頼のおけない状態だったため
今回はシャッターユニットごと中古良品と交換することで対処します。
他、定番のミラー駆動部の動作不良とかもありましたので
一通りの整備を入念に行い
各部おかしな弄られ方をしているところは他にないことも
念入りに確認していきます。

そうして何とか組み上げたのが上の画像です。
下に転がっているのがもともとのシャッターユニットです。
かなりの重整備だったので少々様子見の時間もかけましたが
現在のところ全く問題なくスムーズに動作しており
各部の精度も問題ございません。
これで当分の間、安心してお使いいただけると思います。
巻上フィーリングもダブルストロークのペンFらしい
非常に軽快で気持ちの良い巻上になりました。
これから最終的なテストを行い
問題なければ完成となります。

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