ニコンFのカメラ修理

今日は「118番の日」だそうですよ。
118番…緊急通報用電話番号でありながら
「110番」や「119番」に比べて認知度が明らかに低いですよね
確かに海上での事件・事故の緊急通報用電話番号なので
通常の生活ではまず身近に感じることはないですものね…
海上保安庁って個人的には少し身近に感じることもあって
私が生まれ育った呉氏の二河川河口に
第六管区呉海上保安部があって
その脇の防波堤や公園でよく学校サボって
海見てぼーっとしてたのですよねぇ(笑
だから直接お世話になることはなくても
保安庁の船はよく見ていて
時には訓練している様子も見られたこともあったので
何となく身近に感じるのです…
海上でのトラブルに見舞われることは
通常はそれほどないとは思われますが
118番の認知度はちゃんとあがってほしいものですね!

さてさて

本日は「ニコンF」のカメラ修理を行っております。
言わずと知れた伝説のカメラですね。
その堅牢性は当時のカメラとしては群を抜いており
過酷な状況で使われることの多い
プロカメラマンの世界で圧倒的に支持されたカメラです。
同時に日本製カメラ全体のイメージを押し上げたカメラだとも思いますし
このカメラが出ていなかったら
一眼レフ機の普及はもう少し世界的にも
遅れていたのではないかとも思います。
それほど影響の大きな1台となったまさに「伝説のカメラ」です。
何と言ってもその丈夫さが最大のセールスポイントですが
発売開始から65年以上が経過する現在見直してみても
その使われている部品のオーバースペックぶりには
驚くしかありません。
さすがに油切れや逆に古い油脂類や汚れの粘り等で
動きが悪くなっている個体はみかけますが
その動作部品自体に問題を抱えている個体はほぼ見かけません。
部品に関することで弱点と言えば
やはりプリズム蒸着で蒸着剥がれを起こしている個体は多く
接眼部のモルトが起因する場合と
当時の蒸着技術だとやはりプリズム頂点部の蒸着が弱いらしく
頂点部に剥がれが起きファインダー内に縦線が入る場合が多いようです。
残念ながら腐食のないプリズムは入手困難で
プリズムの交換修理は当店では行えません。

お預かりしている「F」もプリズムに若干の腐食がみられ
ファインダー中央部に縦線がうっすら見られますが
このレベルであれば全く問題と言えるほどです。
アイレベルファインダーでこのレベルで腐食の少ないモノは
まだかなり良いほうかと思われます。
もちろん写真や実際の撮影には全く問題がありません。
シャッター、巻上はさすが「F」いったところで
一通り動作は致しますが
さすがに幕軸の動きの悪い部分はあるようで
高速シャッターの精度に少々問題を抱えています。
さらに「F」では定番ですが
スローガバナはさすがに少し動きに粘りがあり
このまま放置しているとそのうち固着すると思われます。
さすがに一通りの整備でリフレッシュしてやる必要があるようです。

ブラックボディでアイレベルファインダー
一番人気の高い組み合わせですね。
ボディのコンディションも非常に良い状態です。
まずはシャッター・巻上・ミラー駆動部等の
機械的動作部分を徹底的に清掃整備して
スムーズな動きを取り戻していきます。
毎度のことですが各部品の肉付きの太さや
バネの強さはこれでもか!という感じですね。
その上で日本製らしく非常に精度の高い組付けが
できるような工作精度で造られています。
まさにこの時代の「made in Japan」を象徴する機械だと思います。
できの良い機械が正しく気持ちよく動けるように
入念に整備を行っていきます。

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