オリンパスペンSのカメラ修理

今日は「ハサミの日」だそうですよ。
「ハ(8)サ(3)ミ」(鋏)と読む語呂合わせからですね。
私もハサミは毎日使いますねぇ
作業自体でももちろん使いますが梱包等でも使いますし…
もう昔からなので慣れていますが
私は左利きなので通常の右利き用ハサミだと
使いにくい場面も実は多くあります。
でも以前に試しに左利き用ハサミを手に入れてみたのですが
今まで長年、右利きハサミを左手で使って
使いこなすことに慣れてしまっているせいで
左利き用ハサミだと意外と正確に切れなかったりするのですね…
「慣れ」ってすごいですね。
ハサミ以外にも作業中も含めてカッターや小刀等々
いろんな刃物を使いますが
慣れた道具はやはり使いやすいですね。
刃物の場合はそれに加えてよく切れる
ちゃんとしたものを使うことも大事です。
カッターの刃とかでもありがちですが
少しずつ切れ味の鈍ってきたものを
いつまでも無理やり使っているとそのうち大失敗の原因になります。
常に必要最小限の力でスパッと切れるものを使うことが大事かと思います。
包丁だってそうですよね…
なまくらなものをいつまでも使っていると失敗ならまだしも
ケガの原因にもなりかねません。
消耗する道具はケチらない…あるいはこまめに手入れすることが大事ですね

さてさて

本日は「オリンパスペンS」のカメラ修理を行っています。
ハーフ判カメラの代名詞ともいえる「オリンパスペン」ですが
一番、人気があって使われているのは
やはり台数が多く操作も簡単な「ペンEEシリーズ」なのでしょうね。
しかしながら操作方法の点ではそれとは正反対で
露出計レスでフルマニュアルの「ペンS」もなかなか根強い人気です。
当店でも修理依頼の多いカメラです。
最初の「ペンS」は無印の初代ペン発売の翌年1960年に発売開始されました。
通常のペンの高級版といった位置づけです。
レンズは2.8cmF3.5から3cmF2.8へと変更され
シャッターも二枚羽根のB、1/25-1/200秒の4速から
5枚羽根でB、1/8-1/250秒の6速となりました(いずれもコパル製)
露出計レスのマニュアルカメラであることは同じですが
特にシャッターの変更によりいろんな場面に対応し
撮影ができるようになっています。
のちにレンズだけ2.8cmF3.5に戻された「ペンS3.5」も追加されます。
今回お預かりしているのはこの「ペンS3.5」です。
F2.8版に比べると現存台数の少ないカメラです。

お預かりしている「ペンS3.5」は
もはや定番ともいえるシャッター羽根の粘りを抱えていて
たまにシャッターが切れなくなってしまうようです。
おそらく撮影結果にも影響が出ているとも思われます。
加えてこれもシャッター羽根粘りが根本的な原因ですが
巻上が止まらずに一気に2枚分進んでしまうこともあるようです。
そのため撮影した現像済みフィルムを見ると
たまにコマ間が大きく一コマ分開いている箇所が散見されます。
いずれもペンではよく見られるトラブルです。
シャッター羽根の清掃、シャッターユニットの通常整備一式で
改善・修復できると思われます。

画像は一通り整備が完了し
最終的なテストを行っている段階でのモノです。
ペンSは整備する上で意外とデリケートな部分も多いので
ちょっと神経を使うカメラですが今回も問題なく仕上がっています。
明らかに歯切れよくシャッターが切れるようになり
もちろん粘りなくスムーズに開閉しています。
精度的にも問題はございません。
当然ながら巻上のトラブルももう起こりません。
ダイヤル巻上もスムーズに操作することができます。
ハーフ判ならではの小ささが最大の魅力ですが
SSも絞りもすべて自分でコントロールできる
小さなカメラって意外と少なかったりします。
お手軽に撮影できるEEカメラのほうが
コンパクトなカメラには多いからですね。
ペンシリーズ共通の魅力ですが
ハーフ判でフィルムフォーマットが小さいからこそ
画質を維持するために良いレンズを搭載する…という考えに基づいていて
ペンはどのタイプも優れた写りをします。
小さくて何でもできる写りの良いカメラ…
ペンSに人気あるのも納得ですよね。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。