キヤノンFXのカメラ修理

今日は「海外旅行の日」だそうですよ。
「遠(10)くへ行く(19)」と読む語呂合わせからだそうです。
今の私にとっては都内から出るだけでも
結構な「遠くに行く」だからなぁ…(苦笑)
いいですね。海外旅行…非日常的な気持ちを味わえますね!
でも海外旅行なんてもうたぶん行くことはないかなぁ…
今までだって昔勤めていた会社の報奨旅行とかでしか
海外なんて行ったことないですし
そんな感じだからたいしたところにも行ったことがないのですが…
数十年前なら「いろんな遠くに行ってみたい!」という気持ちも
強かったですがさすがに近年はそんな気持ちが起こりません(笑
それでも頭いかれちゃう少し前までは(5,6年前)
1泊2日程度で行ける登山にはかなり行ったから
それが私の中では結構な旅でもあり冒険だったかな…
もう今はたまに墓参りに帰省する広島旅行が
一番楽しいしそれでもう充分ですねぇ…

さてさて

本日は「キヤノンFX」のカメラ修理を行っています。
1964年登場のカメラです。
いわゆる「キヤノンFシリーズ」の最初のカメラであり
FLマウント機としても最初の1台です。
成功とは言えなかった前身の「Rシリーズ」から
絞り連動機能を一新して改良したのがFLマウントであり
「Fシリーズ」ともいえます。
シャッター周りや巻上機構もかなり改良されていて
このFXでの機械的構造を基本として
後の数々の「Fシリーズ」や「F-1」が登場します。
露出計は内蔵されますがまだTTLではなく
外光式の露出計を搭載します。
受光体はCdSで明るさに応じて指針が動作し
その指針が指す絞り指示板がSSダイヤルと連動して動きます。
CdSの感度はHigh/Lowの2段切り替えとなっています。

お預かりしている「FX」は
まずシャッターが切れず(レリーズボタンも押し込めない)
巻上もできず…といった状況です。
幕の位置から判断すると一応巻上はできていて
シャッターはチャージ状態かと思われます。
外装にも一部緑青が出ている部分があり
かなり各部の動作も悪いものと予想されます。
露出計は電池を入れれば一応動作しますが
指針は露出計時/BC時共に非常に不安定で
指針がかなり踊っているような状態です。
プリズムはかなり腐食が進んでいて
こちらも交換しないとまともにファインダーも見えないような状態です。

シャッター不動…というよりレリーズ不良の原因は
巻上軸の汚れ等による動作不良にあり
巻上完了しているはずなのに
巻上軸が正しい位置で止まっていないような状態でした。
とりあえずはシャッターが切れるように応急的に
処置してみたところ何とか動作はしたのですが
巻上軸以外もシャッター幕軸やミラー駆動部等々
いろんな部分がまともに動けないような状態で
軋んだような異音も随分聞こえてきます。
機械的動作部分をひとつひとつ入念に洗浄清掃する必要があるようです。
その上で精度が出せるように調整を行っていきます。
プリズム腐食は視野中心の縦線は蒸着が単純に弱いところが
剥離したと思われ周辺部の大きな水の流れた跡のような腐食は
プリズム抑え内側に貼られているモルトの
加水分解の影響からできた腐食かと思われます。
上画像にもプリズム抑えとプリズムカバーに付着した
劣化モルトが写っています。
機械的にも露出計回路的にも全般隅々まで整備調整を行っていきます。

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