オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は「コーヒー牛乳の日」だそうですよ。
王冠で栓をした瓶入りの「珈琲牛乳」が
1923(大正12)年4月20日に
東海道線国府津駅で販売開始されたことが由来となっています。
当時、並弁当が1箱35銭で売られた時代に
珈琲牛乳は20銭とかなり高額だったにもかかわらず
飛ぶように売れたといわれています。
コーヒー牛乳…美味しいですよねぇ
今は2003(平成15)年の法律改正から
生乳100%のものしか商品名に「牛乳」と表記できなくなったため
現在では「コーヒー牛乳」という商品はなく
正確には「コーヒー入り乳飲料」となっています。
商品名で言えば「ミルクコーヒー」とか「カフェオレ」になるのですよねぇ
私の生まれ育った家にはお風呂がなくて
毎日、銭湯通いだったのですがそこで風呂上がりに飲む
「ラムネ」や「コーヒー牛乳」がとにかく絶品でした。
当時のコーヒー牛乳はおそらく今飲んだら
甘ったるくって困るほどのような気がしますが
子供の頃にはそれがよかったんですよねぇ
もちろん瓶で売っていて自動販売機ではなく
番台のそばにある引き戸式の冷蔵庫から自分で出して
番台にお金を払うシステムでした。
コーヒー牛乳では必要ありませんが
冷蔵庫の横にチープな栓抜きやラムネの玉押しが
ビニールの紐で繋がれていましたねぇ…
ついこの間のような気もするのですが…
50年前の話になってしまいました(笑

さてさて

本日は「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
相変わらずの依頼数の多さを誇るカメラですね。
少し前にもOM-1の修理をここでも書いたような気がしますが…
いつも書きますが機械式シャッターで
軽量コンパクトな一眼レフというジャンルで
最も人気の高い…というか他にこのジャンルに当てはまるものが
ほとんどないカメラかと思います。
(唯一のライバルはMXですかね)
単に軽量コンパクトなだけでなく
作動音の小ささと上品さ、そして使用感の気持ちよさまで含めると
もはや孤高の存在と言えるカメラだと思います。
発売当時はもちろんのこと、
現在でも人気が高い理由がよくわかります。
ただこれもいつも書きますが
そのj軽量コンパクトさや静粛性を実現するために
様々な独自性の高い工夫や機構が取り入れられていて
そのため、大きさに余裕のある機種と比較すると
若干華奢な部分も多くあります。
現行機種だった当時では大きな問題ではなかったと思われますが
さすがに発売から50年経過した現在では
そういった部分の影響も出てしまいます。
ある程度手を掛けながら使っていくカメラだと思います。

お預かりしている「OM-1」は今回もいわゆる初期モデルで
フィルム室にスタッドが4本立っていて
フィルム圧版も短いタイプのモデルです。
この時期のモノとしては比較的めずらしいブラックです。
シャッターが切れないということで当店にやってきました。
シャッター幕の位置から判断すると
リリース状態で「シャッターが切れない」というより
「巻上ができない」状態のようです。
ただ、ちょっと気になるのが
レリーズボタンが押された状態のままで
固着してしまっています。
巻上がスタックした場合は何らかの動作不良が原因で
底部三連ギアのかみ合わせタイミングが
合わなくなっている場合が多く
今回もそうだったのですが問題はなぜこうなったかという点と
レリーズロックしていること自体はこことは別の問題のようです。
分解を進めながら動きを確認していると
レリーズボタンからリンクして
実際のシャッターレリーズを行う部品のリンク部分が
微妙に変形していることが判明しました。
部品を取り外して見るとただ曲がっているだけでななく
もはや折れる寸前でピンセットでほんの少し力を加えると
パキッと折れてしまいました。
積年の劣化もありますがこういう部分の強度は
やはり少し弱いのかもしれません。
もう少し後期の部品取りの個体からまだまだ問題なさそうな部品を
見つけて交換で対処します。
この上で三連ギアの位置調整やその周りの駆動部品の
清掃整備調整を行い無事にシャッターが切れるようになりました。

画像はまだ取り掛かり始めの段階のモノです。
この時点ではまだ全く原因がわかっていませんでした。
過去に(といっても随分昔かもしれません)整備歴があるようで
プリズムは明らかに交換されていますし
腐食対策も講じられています。
露出計周りは逆に特に手が入っていないようで
配線はかなりくたびれていて交換が必要です。
SW部の接触も良くなく露出計の動きは不安定です。
巻上不良の原因と対策は把握できたので
他部分やシャッターの精度も含めて
一通りの整備を行っていきます。

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