リコーオートハーフSEのカメラ修理

今日は「録音文化の日」だそうですよ。
1878(明治11)年のこの日に
東京大学に外国人教師として招かれた
イギリスのジェームズ・ユーイングが
持参した蓄音機を使って
日本初の録音・再生の実験を行ったことに由来しているのだそうです。
録音…私が10代の頃にはこの「録音」という行為が
日常に欠かせない行為だったとも思います。
サブスク&配信全盛の現在からは考えられませんが
当時は好きな曲や音楽を好きな時に聴こうとすると
レコードを手に入れるか(CDですらなかったですねぇ(笑))
FMラジオでフルコーラスかけてくれる番組を
エアチェックしてカセットテープに編集するかくらいしか
手段がなかったのでFMエアチェックには随分ハマりました
(小学生6年生~中学生の頃)
高校生になった頃には貸しレコード屋全盛の時代になったので
毎日のように何か借りてきてましたし
少ないバイト代は全てそれ関連に消えてしまいました(笑
当時手に入れられなかったレコードを
最近になって手に入れたりしているので
さすがにテープに録音はしませんがスマホで聴けるように
デジタルデータに落としたりしています…要は録音ですね。
音源がレコードだと等速アナログ録音なので
あまり40年前とやってることが変わっていない…(笑

さてさて

本日は「リコーオートハーフSE」のカメラ修理を行っています。
オリンパスペンシリーズと並んで
ハーフカメラを代表するシリーズです。
ペンは途中で追加されたEE系は手軽に誰でも撮影できるカメラですが
初期のペンは完全マニュアル機でした。
オートハーフは最初の登場当時から
「シャッターを押すだけでだれでも簡単に撮れるカメラ」を目指して
開発されています。
加えて持ち運びに便利なタバコの箱ほどの大きさ目標となっていました。
そうして発売されたオートハーフは1962年発売の初代から
ピントは固定焦点で撮影者が合わせる必要がなく
セレン光電池を使用する露出計と連動したプログラムオート露出で
露出もカメラまかせでよく
さらに巻上もゼンマイ仕掛けで自動巻上としていました。
大きさもほぼ当時のタバコの箱の大きさと変わらないコンパクトさです。
ただこの時代なので総金属性でさすがにずっしりと重く270gの重さがありました。
今となってはそのズッシリ感と金属の質感は逆に魅力です。

派生モデルは除いて本流のモデルは
初代→「S」→「E」と小変更を重ねていき
今回お預かりしている「SE」へと変わっていきます。
基本的な構造はどのモデルも大差ありませんが
「S」が付いているモデルはセルフタイマー付きです。
「SE」は「E」をベースとしてセルフタイマーが追加されたモデルです。
そして生産時期に寄りけりで「SE」の全てではないと思われますが
「SE」の途中からフィルムを装填した際に
自動的に1コマ目までフィルムが送られる
「オートスタート」が搭載されます。
今回の「SE」にも装備されています。
通常に使うには非常に便利な機能ですが
修理する立場から言うと
裏ブタ開けた状態での空シャッターが切りにくくなりました(苦笑)

お預かりしている「SE」は
シャッター切れず巻上もできず…という状態でした。
シャッターが切れなかったのは羽根の粘り等の問題で
露出計もセレンの劣化のため全く動作していない状態でした。
加えて自慢のゼンマイ巻上はゼンマイが切れていたため
正常に動作しない状態でした。
上画像は既に整備が完了した状態でのもので
手前に置いてあるのは交換したセレンとゼンマイ本体部分です。
オートハーフのセレンはペンEE系に比べると
劣化している率が高いような気がします。根拠はなく印象ですが…
最近は通常撮影に充分使用できるだけのセレンが
なかなか見つかりにくくなったように感じます。
今回はじゅうぶんな起電力を持ったセレンと交換でき
他整備の甲斐もあって
非常にスムーズに撮影に使用できる状態となりました。
これから最終的なテスト行って問題なければ完成となります。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。