ニコンEMのカメラ修理

今日は「缶ジュース発売記念日」だそうです。
1954(昭和29)年のこの日に
明治製菓株式会社が日本初の缶ジュース
「明治天然オレンジジュース」を発売したことに由来しています。
それまでは瓶詰のジュースが主流だったのですね。
ただしこの「缶詰」のジュースには
現在のように缶を開けるプルトップは付いておらず
缶切りで開ける必要があったのだそうです。
それはかなり不便ですね…
今でも少ないながら瓶のジュースもありますが
私が幼い頃はまだ瓶のジュースの自販機もあちこちにありました。
そしてスーパーカーの絵が裏にプリントされた王冠を
必死になって集めていました(笑
缶ジュースもその頃はプルトップ付きが普通でしたが
今のようにステイオンタブではなく
プルタブが切り離されるタイプでした。
道のあちこちにプルタブが落ちていましたし
砂浜とかでもプルタブがよく埋まっていて
はだしで歩くのは注意が必要な程でした。
プルタブに限らず昔はいろんなゴミが路上に落ちていましたね。
あおから考えると今は路上がキレイです。
昔主流だった250mlの細身の缶ジュースとか
もはや懐かしいですねぇ…

さてさて

本日は「ニコンEM」のカメラ修理を行っています。
1980年発売のカメラです。(一部海外では1979年先行発売)
ニコン初のエントリークラスのカメラです。
それまでのニコン機のイメージとは大きく異なり
プラスチックを多用してコストも抑えたエントリー機で
機能的にも絞り優先オート専用機と割り切ったカメラです。
同時期に開発されたフラッグシップ「F3」と同じく
ジウジアーロが外装デザインを行っており
非常に小型軽量なうえにデザイン的にも洗練された
オシャレな一眼レフです。
この時代、各社から「絞り優先オート専用機」のエントリーモデルが
発売されていたのですが
「EM」は海外では非常に好調なヒット作となりました。
しかしながら国内ではそれまでのニコンの「高級機メーカー」という
イメージにそぐわないモデル…という印象が先行し
国内発売時の売れ行きはそれほどのものではありませんでした。
(それでもエントリークラスのなのでそれなりには売れていますが)
EMの人気が国内で急上昇したのは残念ながら
生産中止された後の中古市場でのことになってしまいました。
今でも根強い人気のあるカメラかと思います。

お預かりしている「EM」はひととおり動作してはいるものの
巻上やシャッターの多少の動作不良の傾向が見られます。
特に気になるのが油切れが原因とみられる
巻上時の異音です。
加えて接点の汚れ等の影響もありオート制御が不安定です。
当店が扱うカメラとしてはかなり新しい部類になりますが
それでも登場から40年以上経過するカメラです。
さすがに駆動部や電気的接点の一通りの整備を行わなければ
安定した動作は望めないかと思われます。

一通りの分解整備をこれから行っていきます。
エントリークラスの電子制御機とはいえ
ニコンらしく整備性は悪くありません。
ただ分解する上でまずは上カバーを外すわけなのですが
ここがEMはなかなか厄介な場合が多いのです。
まず巻き戻しクランクは経年劣化で
プラスチックの巻上クランクが脆くなっていることが多く
力任せに開けようとすると高い確率でクランク基部が破損します。
かなり慎重にアプローチする必要があります。
そして巻上レバー部はレバー抑え部の円盤が
生産時期によって順ネジ逆ネジが混在している上に
留めネジの有無も混在しています。
加えて個体によってはかなり強烈に固着しているものも多く
ここの取り外しに非常に時間と手間がかかります。
今回もここの取り外しに非常に時間がかかりそうなので
先にブログ用の画像を撮っておいてこれから
集中してじっくりと取り掛かります。
画像に写っている定番のAi-S50mmF1.8パンケーキレンズは
もともとピントリングは軽めですが
それにしてもグリス抜けでスカスカになっているので
こちらもボディの後に一通りの清掃整備を行います。

「EM」はコストの制約もあって確かに樹脂部品が脆い部分や
華奢な造りの部分もありますが
電子制御機でも「B」と「M90」は電池ナシでメカニカルで動作し
整備性も使い勝手や使い心地も非常に良いカメラで
ニコンらしさを随所に感じるカメラだと思います。

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