ニコマートFTNのカメラ修理

今日は12月8日ということで「御事(おこと)納め・御事終い」ですね。
私の育った地域では「御事納め」の風習はなかったのですが
こうやって毎年調べるたびに12月8日が「御事納め」と刷り込まれていると
何だか12月8日がくると「あー「御事納め」で年末が近いなぁ」と
感じるようになりました(笑)
この日は農作業など一年の作業が終わる日であり
農事が終わることを祝って行った行事のことも意味するそうです。
2月8日には農作業など一年中の行事の始まりである「御事始め(おことはじめ)」または「事始め」があるのに対し
この日はこれを終えることから「御事納め(おことおさめ)」
または「事納め」というのだそうです。
この日には、里芋・こんにゃく・にんじん・小豆を入れた
「御事汁」を食べる風習があったそうです。
何だか具沢山の豚汁が食べたくなってきました…(笑
日付的には「御事納め」ですが
静かに仕事が終わるにはまだ早いですね。
ここから年末までが個人的にもラストスパートです!!!

さてさて

本日は「ニコマートFTN」のカメラ修理を行っています。
ニコマートシリーズはフラッグシップの
「ニコンF一桁機」に次ぐ中級機のブランドです。
機械制御シャッターのFT系と電子制御シャッターのEL系に
大きく二分されます。
ニコマートFTNは1967年発売のモデルで
最初のニコマートFTをベースに
開放F値補正操作を取り入れ
絞り環を往復させるだけで開放F値の設定が完了するようになりました。
いわゆるニコンの「ガチャガチャ」です。
ニコンの非AiのTTL開放測光機は使用レンズの開放F値を
ボディ側に設定してあげないと露出計が正しく作動しません。
その設定方法が「FTN」では簡単になりました。
加えてファインダー内に設定SSが表示されるようになり
測光方式も中央重点測光が採用されました。
基本的構造は変わりなく
使いやすさの点でブラッシュアップされたカメラです。
そして何といってもニコマートFT系は基本的に非常に丈夫なカメラです。
丈夫さ・堅牢さといえばフラッグシップの「F一桁機」の
代名詞でもありますがニコマートFT系も
それに負けず劣らずの丈夫さを誇ります。
さすがに露出計関連は経年劣化もあってトラブルは多いですが
核といえるシャッターや巻上は現在でも
ある程度の整備を行えば非常に安定して動作します。

お預かりしている「ニコマートFTN」は
露出計が多少不安定なことと
シャッターは動作していますが高速シャッターに
少しばかり精度不良があるような状態です。
動作自体は一通り行えますが
さすがに発売から50年以上経過するカメラなので
機械的な部分にも積年の汚れや古い油脂類の影響で
動きに重さや鈍さが見られます。

この時代のカメラにはお馴染みの
コパル製ユニットシャッターを搭載します。
それも関連して整備性も非常に良好なカメラです。
画像はまだ取り掛かり始めですが
ここから一気にシャッターユニットを降ろすところまで
分解整備を進めていきます。
並行して露出計の配線等の劣化部分を交換していきます。
マウント部に仕込まれているマイラー抵抗の劣化が
弱点と言えば弱点ですが大抵の場合は
抵抗の清掃で安定する場合が多いです。
ただし清掃しすぎは抵抗体の剥がれに繋がるので厳禁です。

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